爽々のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
似鳥鶏さんのノン・シリーズ。
『育休刑事』『彼女の色に届くまで』など、似鳥さんは、現代社会の「ちょっとおかしいところ」をうまくすくい上げてくれる。
今作でも、主人公がとある「物語」を「嫌いだ」と断言するシーンがあり、わたしも常々まったく同じことを思っていたので、心の中でひっそり快哉を叫んだ。ありがとう、似鳥さん♡
ミステリとしては、全編暗号ものなので、好みは分かれるかもしれない。
わたしはとてもおもしろかったし、後書きにも書いてあるように、
「なぜ暗号を使わなければならないのか」
という根本的な状況がきっちり設定されていたし、
暗号を解いている最中の小さな違和感もすべて伏線として回収されて -
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Posted by ブクログ
友人たちと過ごした夏休みの思い出… それぞれの覚悟が新しい自分を発見してゆく #夏休みの空欄探し
■あらすじ
高校のクイズ研究会に所属する成田頼伸は、役に立たない知識をばかりもっている。一方、同じクラスの成田清春はコミュニケーションに長けており、頼伸いつも羨望の眼差しで見ていた。
ある日頼伸は、喫茶店で謎解きパズルを解いている美人姉妹を見かける。思いがけない出会いからパズルを手伝うことになった頼伸、さらに清春と共に四人で謎解きパズルに挑んでゆく… 彼らの何かを解き明かす夏が始まる。
■きっと読みたくなるレビュー
夏休みといえば、様々な思い出がありますよね。両親に連れてってもらった遊園地、 -
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Posted by ブクログ
面白くて一気読み!やっぱり似鳥鶏さんはいいなあ。イケてない男子高校生に突然訪れたキラキラしたひと夏。その切ないきらめきを主旋律とし、そこに超難しい暗号がドドーンと投入され、底の方では、マッチョなもの、無神経なものへの怒りがずっと響いている。まったく作者らしい快作だと思った。
主人公のライ君が共感たっぷりに描かれている。偶然知り合った美少女七輝との会話やラインで、「今ので良かったのか」といちいち悩むところ、お出かけに着る服を買いに行ったが、怖くて店に入れず、覚悟を決めてクラス一の人気者キヨ君に助けを求める場面、卑屈になりながら実は無意識にあなどっていたキヨ君に対して、つきあう中でフラットな気持 -
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Posted by ブクログ
青春ミステリーですね。
日常の謎。とびきりのパズルが散りばめられています。
似鳥さんのお得意の学園物語とは少し趣が異なりますが、高校生が主役の物語です。
似鳥さんは(未だに男性が女性か不明ですが)自分の分身を作品に仕立てたように思います。
博識が必ずしも『何かの役に立つ』とは限らない。そんなジレンマと好奇心の塊のような、何でも知りたがる性質の人間《実は私も同類なのですが》の一夏の物語です。
似鳥さんの語り口は軽妙で、それでいて出てくる豊富な蘊蓄がたまりませんね。本文に*のマークを置いて、説明文が入る等と云うのは、漱石先生の本か?と思わせる位、親切丁寧ですね。誤植が多い事も、漱石先生と同じようで