門井慶喜のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
舌に甘みを感じるか苦みを覚えるかで美術品の真贋を見分けることができる美術コンサルタント・神永美有が活躍する美術探偵シリーズの3作目。
前作同様、美術探偵の神永とワトソン役の美大准教授・佐々木のコンビが遭遇する美術品の真贋を巡って右往左往するという、美術ミステリ短編集。
作者の多彩な知識(というかうんちく)から成る、余裕のある語りに身をゆだねて読み進めれば、一度のみならず二度も覆される珍説の応酬に心おどる…というのがこのシリーズの楽しみ方なのですが。
でも今回はその鑑定の過程にこじつけが多く、短編の多くが仮説で終わってしまい、真贋がよくわからずに物語が閉じてしまうのでスッキリしませんでした。
佐々木教授や、教え子のイヴォンヌのキャラの立ちぶりは板についていて見事なのですが、人物造形に深みはあまり感じられません。
美術品を持ちこむゲストの登場人物に、その美術品にまつわる過去の思い出や思い入れがあり、真贋がわかることによって何かしらの解を得る・・・という話を期待していたので(前作がそうだったので)拍子抜けでした。
佐々木教授の恋路がベースとなる短編が多いのでコミカルで軽いお話になっているのかもしれません。
(40男のシリアスな失恋話なんて読みたくないもんね・・・)
歴史ネタと組み合わせて描けばまだまだネタはあると思うので、次回に期待します! -
Posted by ブクログ
伝統もありサービスも一流のホテルポラリス京都。
ホテルのスイートに長期宿泊中のお坊ちゃん・桜小路清長が持ち込んでくる厄介ごとをベテランコンシェルジュの九鬼と新人フロント係の麻奈が次々と解決していく短編集。
コンシェルジュとは普通ホテルで快適に過ごすにあたっての相談(観光やお店情報の提供やチケットの手配など)を請け負う人たちだと思うのですが、この作品では桜小路清長が家庭の問題や個人的な問題を思い切り相談しまくってます。
探偵役がコンシェルジュである必然性があまり無いので、現実的ではなくて違和感を少し感じました。
でもその点を除けば、派手さには欠けるけど謎解きの楽しさを味わうには申し分ない連作ミステリです。
それぞれのお話もバラエティに富んでいて、知的好奇心も満足させてくれます。
情報を小出しにして見事解決に至る持っていき方は熟練の手さばきで、安心して読めました。
清長に大学を卒業してもらいたい清長の伯母、資金源である伯母の機嫌を損ねたくない清長、ホテルの売上のために清長に少しでも長くホテルに逗留してもらいたい九鬼、将来コンシェルジュとして仕事をしたいために清長の問題を解決しようとする麻奈。
各々の目的は異なるのですが、九鬼はすべての人が納得でき、幸せになれるような解決策を提示していきます。
それぞれの意図で動く人々を納得させ、物語のドラマに落としこんでいくスリルは謎解きよりも興奮しました。
また続きが出たら読んでみたいと思わせてくれる作品でした。