門井慶喜のレビュー一覧
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舌に甘みを感じるか苦みを覚えるかで美術品の真贋を見分けることができる美術コンサルタント・神永美有が活躍する美術探偵シリーズの3作目。
前作同様、美術探偵の神永とワトソン役の美大准教授・佐々木のコンビが遭遇する美術品の真贋を巡って右往左往するという、美術ミステリ短編集。
作者の多彩な知識(というかうんちく)から成る、余裕のある語りに身をゆだねて読み進めれば、一度のみならず二度も覆される珍説の応酬に心おどる…というのがこのシリーズの楽しみ方なのですが。
でも今回はその鑑定の過程にこじつけが多く、短編の多くが仮説で終わってしまい、真贋がよくわからずに物語が閉じてしまうのでスッキリしませんでした。 -
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伝統もありサービスも一流のホテルポラリス京都。
ホテルのスイートに長期宿泊中のお坊ちゃん・桜小路清長が持ち込んでくる厄介ごとをベテランコンシェルジュの九鬼と新人フロント係の麻奈が次々と解決していく短編集。
コンシェルジュとは普通ホテルで快適に過ごすにあたっての相談(観光やお店情報の提供やチケットの手配など)を請け負う人たちだと思うのですが、この作品では桜小路清長が家庭の問題や個人的な問題を思い切り相談しまくってます。
探偵役がコンシェルジュである必然性があまり無いので、現実的ではなくて違和感を少し感じました。
でもその点を除けば、派手さには欠けるけど謎解きの楽しさを味わうには申し分ない連作 -
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ネタバレ通常の科目のほかに,「雄弁」を学ぶという伝統ある名門校雄弁学園を舞台とした連作短篇集。パラドックス(=逆説)をテーマとした論理的な作品というよりは,やや人情ものっぽい要素がある。ミステリではないが,個々の短篇にはミステリ的な手法が生かされている。「パラドックス実践」は,本編の主人公,能瀬雅司という教師が,生徒達から出題された三つの命題にどのような解決を見せるかというハウダニットだし,「職業には向かない女」は,一度,挫折して雄弁学園を去った五十嵐という女性教師と,一歳年下の北原という女性教師との関係は何か。なぜ,雄弁学園は五十嵐を教師として呼び戻したいと思っているのかという点が謎として描かれてい
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万城目学氏との共著「ぼくらの近代建築デラックス!」で溢れんばかりの薀蓄を放つ門井氏に興味を持って、初の門井氏の小説作品。
やはり凡人が知らないような薀蓄ネタに笑みがこぼれた。
「薀蓄在りきで、後からミステリーを組み立てたでしょう。」と 突っ込まずにはいられない。
さらに門井氏に代わり薀蓄をスマートかつ存分に披露するホテルコンシェルジュというキャラクターに思い至った門井氏のほくそ笑む顔が思い描ける。
ということで、普通は可決に至れるとは思えない難事件を薀蓄で解くストーリー展開はミステリー作品としてはあり得ないと思うが、軽快な展開とキャラクターの突飛さと事件のばかばかしさは、薀蓄好きのコメディー -
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ネタバレ父と娘の関係がクローズアップされている日常の謎系ミステリ。5つの短編からなる連作の作品である。主人公の「父」である八駒敬典は,もともとは旅行会社勤務であり,なかなかのやり手だったという設定だが,現在は会社を辞めて専業主夫状態。博識の「父」とその娘「つばめ」との間の,なんとも微笑ましく,そしてちょっと難しい関係が楽しめる作品である。
日常の謎系のミステリとして見ると,各作品で描かれている謎は魅力的であり,解決もなかなかのもの。壊れた人形の謎(人形の部屋),万年筆についての謎(銀座のビスマルク)など,傑作というほどではないが,十分楽しめる佳作が続く。
読後感もよく,なかなかの良作なんだけど,ちょっ