冨島佑允のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
「難解な金融理論は、すべて『市場にタダ飯はない』からできている。」
日々の業務で扱うCAPMやVaR、ブラック・ショールズ方程式といった金融指標は、便利なツールとして消費される一方で、その根底にある理屈がブラックボックス化しがちだ。難解な数式や専門用語の壁を避けていると、市場環境が急変し前提が崩れた際、リスク判断の軸そのものが揺らいでしまう。本書は、そうした複雑に見える金融数学の世界を「無裁定条件(市場にタダ飯は落ちていない)」という極めて素朴な原理から解きほぐす。自分が普段扱っている数字がどのような見取り図の上に成り立っているのか、その全体構造を静かに整理し直す確かな手がかりを与えてくれる。
特に印象深いのは、複雑なデリバティブ商品を「割引債」や「アロー証券の束」といったシンプルな部品に分解し、再構築する思考プロセスだ。無裁定条件というレンズを通せば、難解なブラック・ショールズ方程式すらも「セータ損+ガンマ益+デルタヘッジの資金繰り損益=0」という、裁定機会を許さないための損益均衡式として直感的に捉え直せる。実務において単なる感応度として処理していたデルタやガンマといった指標が、市場の均衡を保つ「引力」としてどう働いているのかが深く腑に落ちた。
一方で、この理論が「完備市場」や「効率的市場仮説」といった強い仮定の上に成り立つことも冷静に示されている。ファットテールなど現実の市場の歪みに対峙する際、理論の限界をどう割り引いて現場に適用すべきかという「手綱さばき」の難しさも同時に考えさせられた。
【こんな人におすすめ】
金融理論の背景にある構造を、直感と論理の両面から捉え直したい実務家。逆に、理論の背景よりも今すぐ使える計算手順だけを手っ取り早く知りたい人には向かないだろう。
数字の羅列にしか見えなかった市場価格の裏側には、わずかな価格のズレを利益に変えようとする参加者の執念が働き、結果として美しい均衡が生み出されている――。この市場構造の捉え方が、新たな視点として手元に残る一冊である。 -
Posted by ブクログ
『この世界は誰が創造したのか』です
題名と表紙だけ見ると宗教の本に思われるかもしれませんが、れっきとした科学の本です(宗教や哲学の分野も大いに含んでいますがね)
本書は「シュミレーション仮説」の入門書と銘打っているだけあって非常に分かりやすく書かれていました
「シュミレーション仮説」ってなんぞや?って話よね
はいはい慌てなさんな
書くから、今書くから(書かない流れ)
そう言えば、先日、長嶋茂雄さんがお亡くなりになりましたね
魂の巨人ファンたるわたくしも非常に残念な思いでいっぱいです
さすがに現役時代は知りませんが、監督時代、セコム時代とその言動には(失礼な言い方かもしれませんが)非常に楽しませてもらいました
謹んで御冥福をお祈りいたします
あー、はいはい「シュミレーション仮説」ね
めちゃくちゃ簡単に言うと、この世界は”ポスト・ヒューマン”と名付けられた高位の存在がコンピューターの中に作り出したシュミレーションなのではないか?とする理論です
しかもハーバード大学のボストスロム教授によれば、その確率はほぼ100%なんだそう
マジか!
いやなんかワクワクしちゃったんだけどw
詳しくは各々勝手に調べればいいんだけど、それによって辻褄の合うことがけっこうあるよっていうことなんよね
そしてもしそれが本当なら自分たちもそこに到達する可能性があって
シュミレーション世界の住人たちが、シュミレーション世界を作って、そこの住人たちがシュミレーション内で進化してまた新たなシュミレーション世界を…
うがー!
え、でも待って、そうすると長嶋茂雄さんがお亡くなりなったのもシュミレーションの一環なのか…
やっぱ、うがー!! -
Posted by ブクログ
文系の私に数学を教えてくださいよりは、やや、難易度高い。が、中学、高校数学の範囲を少し越えて、ビジネスで用いられる数学を根本的なところから応用まで説明してくれ、数学的な思考方法を身につけることができる良書。
あとがきでも書かれているように、丁寧な専門用語の解説、計算より考え方の理解重視、数学なぜ学ぶのかという問いへの対応という、3点が意識されていて分かりやすく、数式の羅列ではなく読み物として数学思考を学ぶことができた。
今回この書で、
線形代数って何を指しているのか
三角関数を用いたフーリエ変換
微分方程式の意義→複雑な現象を微分で簡素化して方程式で表現解析して、積分で現実の世界に戻すことで活用するということ
統計学、特にベイズ統計学というものの概要
を把握できたことが大きな収穫であった。
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Posted by ブクログ
名前は知ってるけれど、何だっけ?
の代表格とも言える「微分積分」を、
細かく細かくかみ砕いて、
それを一つひとつ簡単にしてわかり易くしている
とても良い本でした。
上記の「細かくして簡単にする」これがまさに
「微分」
微分で分かりやすくなったものを集めて
「全体をまるっと理解してしまう」これがまさに
「積分」
この本では、これらを「数学」というよりも、
実は社会で使われまくっている
「考え方」として説明してくれているので、
アレルギーなく素直に、なるほど!と読めました。
世界の見え方がちょっと変わり、
微分積分すごいかも!と思えるかも知れない、
学校で微分積分を教わる最初に読んだら良いなと感じた作品でした。 -
Posted by ブクログ
この類の本って、説明がわかりにくかったり、扱う事象のピントがずれていたりして、つまらないことが多いのですが、この本は、どちらも絶妙で、非常に面白かったです。
扱っている事象のレベルが高い場合も、身近で具体的な例からスタートして、大枠を理解できるようになっています。
しかも、言葉遣いも説明の内容も平易。
高校生ぐらいでも、数学がある程度できる子や数学が好きな子であれば、十分読めますし、中学生でも読めるかもしれません。
すぐに難しい言葉を使いたがったり、難しい説明をしたがったりする、平均的な著者は、この本を読んで勉強してもらいたいですね。
おそらく、この著者、めちゃくちゃ頭がいいと思います。
しかも、非常に魅力的な、数学観を持っているように思われます。
他にも著書があるようなので、そちらも読んでみたいと思います。 -
Posted by ブクログ
筆者は大学教授かと思ったら、金融資産の運用をする金融マンだった。巨大な数字に日々関わるうちに科学・哲学にも興味を持ったのか、あるいはその興味が金融マンとしての仕事に大きく役立っているのか興味深いところ。
自然界から科学技術、遺伝子、AIなど広い分野における現象や仕組みを数学的に解説。時々理解が追いつかないが全体的には分かりやすく、読みやすい。
大きな数字や自然界の法則に目を凝らすと哲学的に、時に宗教的になっていくのがなんとなく感じられる。日本語の数字の単位が、巨大数と超極小数に仏教用語が使われている(那由多、不可思議、虚空、刹那など)のが象徴的だ。