木犀あこのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
シリーズ第二弾。今回もホラー作家・熊野さんが、編集者・善知鳥さんに連れられ取材に行くもののいつの間にか怪人に襲われたり霊に追われたり呪いの館に呪われたりします。
物語の始まりは善知鳥さんが出オチしてるレベルのコメディタッチ。
それでも物語はやっぱり全体的に熊野先生単体で居る時に主に霊が出てきて、そのシーンが怖い。
ホラー苦手な自分は善知鳥さんが登場するととても安心しました。
しかしこの2巻、そんな感じで1巻と同じ心持で読むと大変なことになります。
それでも私は3章「不在の家」が特に好きでした。
霊(特に悪霊と言われるもの)が生者を死へと引きずり込む時って大体が死への道連れとか、恨みだとか、苦痛を伴う恐ろしいものだと思うんですけど、
この「不在の家」、それらとは違うタイプの、引きずり込まれる恐怖でした。
全3篇、すべての霊に通じること。
恐怖。生の実感。死に対する概念と。
熊野先生が小説を書く理由。 -
Posted by ブクログ
前作同様、怖がりホラー作家と最強(恐?)編集者コンビの取材から始まる掛け合いと緻密な描写、ただ「怖かった」ではとどまらない結末がいろいろな意味で面白かったです。
短編2本と中編1本という形だけど一貫のテーマが見られて、全体的には長編1本という印象でした。
生きるとは何か、怖いとは何か、死後の世界とは……。
よくあるテーマだけど、他とは違う方向から殴り飛ばされたようなアプローチが新しくて、読み応えがありました。
特に、中編「不在の家」が短編2本の結末とは対照的かつ異色っぷりが際立ってますが、怖いもの見たさでぐいぐい読めました(怖かったけど)。 -
Posted by ブクログ
題や表紙から最初感じたエンタメホラーな印象より、登場人物の心情に寄り添った、ホラーらしくもありホラーらしくもない話で、面白かったです。
主人公コンビの掛け合いがくすりと面白いし、ホラーなシーンもぞくりと背筋に来るものがあって、楽しめました。細かくはどれもネタバレになってしまうのですが、怪奇(幽霊?)現象の解釈や文字・音に関するネタが物語を深くさせていて、怖いだけじゃない物語の結末が印象的。
難点は、私の記憶力が悪いのか、時間の都合でぶつぎりで読んだのが悪いのか、主人公コンビの珍苗字の読みが最後まで覚えられずに…。2人の能力に意味があるのかなと考えながら読んでいたのですが、本筋とはあまり関係がなかったのね。
次があるなら、そこも絡んでくるのかな。
そんな所を含めても続きを読んでみたい作品でした。 -
Posted by ブクログ
仕舞い屋という死んだ人の染みついたものを片付ける住職と、そこに居候する少女と近所に住む男とで、呪いの解体?をするホラー。
幽霊は出て来ず、人は死ねばあの世へ行き、呪いなりこの世に染みついたものが人に悪影響を及ぼす、という考えが根底にあり、作中でも汚染という言葉を使っていたがまさにそれで、残穢がまず思い出された。
独特の思想が信仰になった時、家庭も金も縛りにならなければ狂った歯車のまま猛烈に進んで歪んでいく、サンプルのようなこの建築家というか思想家という。信仰が呪いの一つだとよくわかる。
キャラクターの書き分けも面白く、この世にどうにか片足がついてる住職と、この世にしがみついて生きている男と、この世と別の世界の間に立って幻視をする少女、それぞれの役割が周りながら話を進めるので会話も展開も突然ではなく、汚染されていく様もすんなりと読める。転げ落ちる狂気と、情緒を含むラストがうまく落ち着いたのは、途中途中で地の文で書かれる詩的な表現が繋がりになっているからだろう。
さかさまの意味も面白かったけど、写真に関しては楽しんでしまい、末路が想像できてしまう。
この三人で別のものが見たい。 -
Posted by ブクログ
元刑事が営む1日ひとりだけ限定の宿泊宿で謎解きありという設定は、おもしろくて読みやすいものではありましたが、最後が駆け足な感じだったことに少し違和感がありました。
お客さんそれぞれが持ち込む謎は、そこまで難しすぎず、ほどよく楽しめる感じ。
それぞれ背景があって、抱えてるものがあって、謎を解き明かす過程によって、お客さんたちの心が少し軽くなってる気がするのは素敵だなと思いました。
山奥の秘境というだけで非日常感がありますが、1泊2日で過ごす時間が何か前を向くきっかけになったら、良い旅だったなと思えますよね。
お客さんたちはともかく、宿を営む元刑事と主人公の抱えたものは、もう少し丁寧に描かれてもよかったのかなと。
続編があるのかと思いましたが、そういうわけでもなさそうで。
主人公だけ対応が特別だった理由とか、二人の関係性とか、想像にお任せしますってことなのでしょうか。
ちょっとそこだけ不完全燃焼です。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ「殺された」ことで死んでいながら「屍人」として活動できるように被害者。
人間に戻るには、自分を殺した犯人を怒りをもって糾弾すること。
同じく屍人ながら、屍人になった人物を救うべく、ぐちぐち文句を言いながらも活躍する探偵と、その助手の物語。
屍人のルールが細かくて面白かったし、3件の殺人事件それぞれの特色が違い、特に3件目の話は屍人のルールを逆手に取った話だったので、事件としては本当に面白かった。
一方で、屍人が人間に戻るさまが思いのほかぬるっとしていて、糾弾というほどのカタルシスがなかったなというのが正直な印象。
個人的にはもう少し振り切って欲しかった。
特に1話目は糾弾してたっけ?という感じだったし、他のも基本的に段々映像が変化していく系の戻り方だったので。 -
Posted by ブクログ
東京の出版社で編集として働いていた櫻井は、今までの日常から遠く離れ、徳島を訪れた。
宿泊を予約していたのは、元刑事の阿久井が営む、一日おひとり様限定の秘境温泉宿「かくれが」。その宿に泊まる条件は、「世界一くだらない謎」を用意する事。
徳島を舞台にしたライトミステリー小説。
宿泊するためには「世界一くだらない謎」を用意しなくてはいけない秘境宿で、宿泊客たちの持ち寄る客観的には「くだらない」、でも実際にはそれぞれの心の深い部分に関係するようなささやかな謎を解いていく話。
ほんのり優しい気持ちにさせてくれる、コージーミステリ連作短編集です。
個人的には、三話目の「その席に座るな」が、お客さんのキャラなど一番好きでした。四話目のお客さんもいい子でかわいい。
徳島の観光地も色々出てきて、土地勘があったらさらに楽しいかもしれません。
私はあいにくはいった事が無いのですが、是非行ってみたくなりました。
かずら橋に、ジップライン。スリル凄そう……。