木犀あこのレビュー一覧
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ネタバレ自分から見てどんなに「くだらない」ことでも、相手にしてみれば「くだらない」とは限らない。
宿泊する条件として「くだらない謎」を用意しないといけない旅館の利用客は結局みな、決して「くだらない」と一蹴できるような謎を持ってきた訳ではなかった。
人は死なない、怪我人すら出ない、それでも利用客にとっては大切なものだ。
いや、「大切なものなのだ」ということに気付かせてくれる。
そんな一泊を用意してくれるのが、この物語の舞台である。
場所は徳島。
かの有名なかずら橋の近く。
あの橋、本当に怖い……お金払って怖い思いするのだから割に合わない(個人の感想です)
他にもジップラインや小便小僧など観光ネタを織り交ぜつつ、本編は前述通りの「くだらない謎」を解く元刑事の探偵(?)阿久井が営む旅館での物語。
主人公入れ替え制かなと思ったら、最初の話に登場した櫻井女史が読者側に近い視点で物語全体を俯瞰するスタイル。
彼女も元編集ということもあり、阿久井さんほどではないにしろ、なかなかの観察眼や推理力をお持ち。
ゆえに、時々読者をミスリードに誘うが。
特に4話目のは自分も遺骨かと思ってしまった。
やられたがね。
阿久井さん自身も「くだらない」と言いつつ、決してくだらなくはないトラウマ的過去をお持ちの人。
行く当てをなくしてしまった櫻井女史に執着する理由がはぐらかされたようにも思うし(多少語られたが不十分な気がした)彼女の連泊はまだまだ続く。
つまり彼女を伴った謎解きの日々は続くということで、物語自体が続く余地ありということだろう。
そのときは、阿久井さん自身の掘り下げにも期待したい。 -
Posted by ブクログ
ネタバレお能の舞台の空気感、「異界」感を文章だけでこれだけ表現できるのは凄い。
読んでいる間、昴が感じていたであろう空気を肌で確かに感じていた。
幽霊が生きている人間と同じように雄弁に語るのにも驚いた。
ましてミステリのごとく謎解きをしてみてくれないかと言ってくる幽霊がいるとは。
そんな彼らのために、幽霊と会話することしかできない昴が、それでも首を突っ込んでいくのは、お人好しだけでは済まない何かがあるのだろうなとは思っていた。
馬鹿正直に真正面からぶつかっていく、お人好しすぎる昴が抱えていたもの。
それが少し分かるのは、終盤になってからだ。
何となく幽霊を感じることはできても見えない、でも成仏させることはできる能楽師も変わり者。
喋りがあまり統一されていないのも可愛かったが、抱えていた闇は昴より余程ひどかったように思う。
彼も救われたかった者の一人だ。
幽霊を能で成仏させてきた彼が救われるのは、これからになるのだとは思う。
昴が抱えていたものに折り合いをつけるのも、これからのことかもしれない。
でも、少なくとも二人の未来が暗いものではないことを感じることができてよかったと思う。
そんな希望を持てるラストだった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ料理ものでホラー文庫とは?
と読む前は不思議に思ったものだが、なるほど。
いざ読んでみると、この異質な雰囲気はホラー文庫向きかもしれない。
出てくる料理は(一部例外はあるが)美味しそうだし、実際においしいのだろうが、食べる人たちが基本的に難ありで不気味さが漂う。
明らかに不気味という訳ではない。
見た目は普通に一般人なのに、中身が普通ではない。
何かしら傷を抱えていたり、トラウマとなってしったりで心が病んでいる。
父へのサプライズとして行ったことが怖い。
本当の不味い料理を追い求めた男のトラウマが怖い。
彼女が食べさせられたすっぽんスープのその正体が怖い。
外から見た印象の何と不確かなものかと。
この普通だと思ったら普通じゃなかったというこの不気味さ、下手な心霊ものより怖い。
何せ、実際にいそうだから。
よき隣人だと思っていた人が、実はこういう人だったなんて、知りたくもない事実だろう。
そういう意味では、料理長の方がよほど分かりやすい。
最初から変人で悪魔的だったから、裏がない。
最初から不気味さたっぷりだったので、他の登場人物より安心感が持てたほど。
(裏切りがないという意味で)
ただこの作品が稀有なのは、後半からがらりと印象が変わること。
料理長と大学生バイトの仲が深まり、料理長の過去が分かってくると、ホラー的不気味さが鳴りを潜める。
代わりに本当の家族とは何かを考えさせらる物語へと変貌を遂げる。
この変化には驚いた。
不気味な料理ものを読んでいたと思ったら、泣ける感動系になろうとは。
どうしてこうなった。
こういう裏切りは想定していなかった。
お蔭で、料理長の株が爆上がりした次第である。
あれ?
ともあれ、不気味さとミステリ要素もあり、最後は家族愛とは何ぞやと語り掛けてくる内容盛りだくさんな作品だった。
グロさはそうないが、ゲテモノ系に耐性ないと雰囲気的にしんどい部分もあるので、苦手な方は注意の上読むといいかと。 -
Posted by ブクログ
幽霊が見える臆病なホラー作家とその担当編集が究極のホラー小説を書き上げるために心霊事件に首を突っ込んでいく、といった内容でした。
ホラー小説……というより、ミステリを絡めたキャラクター小説でもあり、怖さを期待すると肩透かしを食らうかもしれませんが楽しく読みすすめることができました。
作家と編集というバディものであるとおり、作家と担当編集それぞれが抱いている悩みや葛藤などもテーマに盛り込んであり、そういったお仕事の関係者であれば少なからず心当たりのあるお話かもしれません。
究極のホラー小説を目指すというある種メタ的な目的に反して肝心の恐怖が薄かったところは残念ではありましたが、とても面白い小説でした。 -
Posted by ブクログ
初めましての作家さん。
読友のMirokuさんにいただきました。
ある意味新しい・・・んだと思う。
声だとか、触れられたとかなら、よく聞く。
が、音とか匂いは聞いたことが無い。知らないだけか?
で、怖くないです。
っていうか、怖くなるはずのところで、そこから先に進まない。
ここで戸惑うわけですよ。あれ?って・・・
まぁ~本作は、現象が先にあっての謎解きみたいな感じです。
でも、たどり着いた答えがいいなぁ~と思ってみたり。
ただ、読んでいる時は、読みづらいと思ったんですよ。
文章が合わないっていうのかなぁ・・・
テンポが合わないのかなぁ~・・・
でも、これって読んだ後で来る。