中井英夫のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ人外(にんがい)。
それは私である。
幻想文学の金字塔的存在、中井英夫『とらんぷ譚』の三巻目である。ハートのこの巻は、『人外境通信』と命名されているが、これは江戸川乱歩の長編小説、『孤島の鬼』の中の「人外境便り」の章へのオマージュなのだろうか、とまず考えてしまう(実際、創元推理文庫版の『孤島の鬼』の解説文には、中井英夫の名前がある)。しかし、あくまでこの感想には関係がないので、ひとまず疑問のままにしておこう。
感想としては、個人的大満足の『幻想博物館』にはやや劣るが、それでも幻想的で馨しい薔薇の馥郁たる香りが感じられる、やはり圧巻としか言いようがない珠玉の短編たちだと思う。連作小説み -
Posted by ブクログ
ネタバレ読み終わってすぐの感想は、あんまり奇書感無かったな。と。
で、アンチミステリと言われる所以は、突然作中作が挿入されるところと、クライマックスで蒼司が亜利夫を始めとする探偵ポジションの登場人物たちを痛烈に批判するところかと思ったら、ネット上の見解では事件が起こる前に推理合戦が盛り上がるところを指してるらしい。
私自身はどれもトンデモ推理だったから「この話大丈夫?」としか思えなかった。
ちょっと抱いた感覚を間違えちゃったみたい(笑)。
舞台となっている1954〜55年の実際の社会事件を取り入れながら物語は進むんだけど、語り口が少し後世から振り返ってる視点なので、ちょっと分かりにくい。もう少しスト -
購入済み
地図を見ながら、氷沼家はこの辺で、アラビクがここでと確認しつつ読む。地図が悪いのか、そーゆーもんなのか、残念ながら五色不動を結んだ線は西荻窪には至らなかった。ただ辿り着いた近くが、牟礼という地名なのが気になったけども。
二回読んで、あらためて「そう、たぶん同じつもりなのであろう」というフレーズにしみじみとさみしくなった。いつか向島の桜を見に行きたいなぁ。 -
購入済み
冷静に読むと随所に伏線があり、この本を奇書たらしめる準備は既に序章で完成していて、思わず感嘆。普通のミステリー感覚でいた初読時にモヤモヤさせられた推理くらべも、今読むと別のフラストレーションを生まずにはおらぬ。
ところで、真名子肇って十蘭の『魔都』の登場人物と関係あるのかな? -
Posted by ブクログ
ネタバレ三大奇書のうちの一冊を、やっと読んだ。
ずっと、いつか読まなきゃと思っていて、竹本健治の『ウロボロスの基礎論』を読んで、いよいよ読む時が来たと、読まなくちゃいけないと思って、読み始めた。
アンチ・ミステリーというものがどういうものなのか、わかったような、わからないような。私にとっては、そういう呼ばれ方、ジャンルってあんまり関係ないのかも。
ただ、推理小説というもの、謎があって、それをどうにか解こうとする人たちとそれに付随する物語が好きなんだなと思った。
最後の告発、すごい迫力だった。
蒼司の告発も、牟礼田、久生のも、全部……。
推理小説を揶揄したり自嘲したりで「意外性を狙って探偵が犯人、犯 -
Posted by ブクログ
ネタバレ登場人物の一人にすごくイライラしながら読んでいたので、下巻ラストの犯人の告白にはスカッとした。と同時に、あの犯人は私自身(読者)のことも指摘したように思う。物語とはいえ私も安全地帯から事件を眺めているので私だってお化けであり、また虚無の一部であるんじゃないかと…。現実の世界で私はお化けになっていないだろうか?もしなっているとすれば、お化けじゃない存在になるためにはどうすればいいんだろう?
あと謎が一つ。犯人は自身のしたことを「別の意味で[虚無への供物]といえる」と語っているけど、この意味をあまり理解できていない。この本のタイトルが使われている台詞なのですごく重要だと思うのだけど…お化けがいる