あらすじ
秘められた宴、囁きの森――地上の一隅にたしかに存在する影の王国、すなわち人外境。そこへの扉は容易に開かれないし、かりに偶然、彼ら人外の宴にまぎれこんだとしても、人は気づかず通り去るのだ。これから著者が招待するのは、その秘められた宴……。イマージュに光沢と飾り付けを与え、短篇の至芸を示す作品集。連作とらんぷ譚3。
◎美しきイマージュ、まさに短篇の至芸! たちまち一篇を読みとおして、ボードレールのいう「時間の強迫」から逃れることができる。<出口裕弘「解説」より>
感情タグBEST3
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・『人外(にんがい)境通信』
・単行本ながら、装丁も挿絵も美しい。
・巻頭と巻末に配された同じ文句に物語が収斂する。見事!
・主に、男と女の仄暗さ。
・「物」による語りのうまさ(→皆川博子に影響?)。
・最初の短篇「薔薇の縛め」が一番好み。
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人外(にんがい)。
それは私である。
幻想文学の金字塔的存在、中井英夫『とらんぷ譚』の三巻目である。ハートのこの巻は、『人外境通信』と命名されているが、これは江戸川乱歩の長編小説、『孤島の鬼』の中の「人外境便り」の章へのオマージュなのだろうか、とまず考えてしまう(実際、創元推理文庫版の『孤島の鬼』の解説文には、中井英夫の名前がある)。しかし、あくまでこの感想には関係がないので、ひとまず疑問のままにしておこう。
感想としては、個人的大満足の『幻想博物館』にはやや劣るが、それでも幻想的で馨しい薔薇の馥郁たる香りが感じられる、やはり圧巻としか言いようがない珠玉の短編たちだと思う。連作小説みも薄れてはいるが、だからこそ却って際立つ薔薇への執着が美しい。
そう、やはり『人外境通信』で際立ち、私を恍惚とさせたのが、中井英夫の「美少年✖️薔薇」の掛け算であろう。ここから連想されるのは山本タカト氏の平成耽美画や、皆川博子氏の小説『薔薇密室』であるが、ことに『薔薇の縛め』『薔薇の戒め』は素晴らしい! 同じ「薔薇」シリーズなら、個人的には『薔人』で見せたような、美しさと醜さの同居、中井英夫本人の胸中を披瀝したような大胆な作品はものすごく好みだった。全編を通して特に好きな話は『薔薇の縛め』、『扉の彼方には』、『薔人』だ。
小説は天帝に捧げる果物、一行でも腐っていてはならない──こう述べる中井英夫の神髄をとくと見せられた作品の一つに、『人外境通信』があるのは間違いない。
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やや失速気味だが。
「幻想博物館」同様、連関のない短編集。
あちらよりもコント色が強い。
しかし冒頭の「薔薇の縛め」は最高。
オチは驚愕に近い。
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再読。「とらんぷ譚」第3巻にあたる作品です。
今までの2巻と同じで、各短編が独立していながら通して読むとひとつながりの物語になるような連作短編集の形をとっていますが、完成度や統一感と行った部分では前2巻にはやや劣るかもしれません。
とは言え、「笑う椅子」のような傑作もあり、全体に漂う耽美性と病的な妄念に取り憑かれた人々をどこか共感を持って語っているあたり、並の短編集から抜きんでた出来になっているのは間違いありません。
猫をテーマにした「青猫の惑わし」「夜への誘い」2篇の不気味で奇妙な味も好みです。
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ぼーっと毎夜少しずつ読んだが、この読み方をしたせいで時間軸があやふやになってしまった。大事な仕掛けを見落としたような。
中井英夫は一気に読んでしまうのがよい。
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うんうん。やっぱ短編の連作のほうがしっくりくるなぁ。
暗黒な世界観はあいかわらず いい!!
ただ「幻想博物館」に比べると、完成度が今ひとつかも。
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とらんぷ譚 三巻。
前回は全体を通して一つの物語になってましたが、今回のは完全な短編。
と思いきや少し何処かが繋がってたりなかったり。
相変わらずの病的な、それでいて引き込まれる文章がとてもいい!
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相変わらずぶっとんだ文章書いてますね。
読むのには体力がいるので、まだ読破してません。
とりあえず、世界観が異なる場所で話が綴られているので
幻想博物館よりかは読みやすいかな。
幻想博物館の悪夢の連鎖を読んだあと、これを読んでいるので
ちょっと身構えてます。1話1話を読んでますが
どうも読むのが進まない。
まあ、だいぶマシ?な感じもしますが、やはり病んでる。
幻想博物館は下手なホラーよりホラー。
真珠母の匣は読破できるのだろうか心配です。
なんというか、非常に難解になるんですよね。
文章自体は難しくないのですが、その世界観が
酷く病的なので・・・。