中井英夫のレビュー一覧

  • 新装版 とらんぷ譚3 人外境通信

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    ・『人外(にんがい)境通信』
    ・単行本ながら、装丁も挿絵も美しい。
    ・巻頭と巻末に配された同じ文句に物語が収斂する。見事!
    ・主に、男と女の仄暗さ。
    ・「物」による語りのうまさ(→皆川博子に影響?)。
    ・最初の短篇「薔薇の縛め」が一番好み。

    0
    2010年12月23日
  • 新装版 とらんぷ譚1 幻想博物館

    Posted by ブクログ

    こんな美文で彼岸に達してしまった人達を書かれたら参らないわけにはいかない。本人にその意思が無くても、最後の最後まできちんとまとまっている磐石の幻想短編集。根への偏愛を書く「火星植物園」(若干乱歩風味)、今では定番となってしまったバスの乗客それぞれの心情「大望ある乗客」、忌まわしき三つの贈物「黒闇天女」(個人的ベスト。毒々しいのに最後は格好良いと思ってしまった)、妖しき降霊会「地下街」(短編集中珍しく読後感が切ない)、書簡で過去の事件の真実をあぶる「蘇るオルフェウス」、毒に魅せられた子供「公園にて」と雰囲気は同じなのによくこれだけ味わいの異なる様々な作品を書けるなと驚嘆した。

    0
    2010年07月17日
  • 新装版 とらんぷ譚1 幻想博物館

    Posted by ブクログ

     美しさと気持ち悪さって紙一重・・・。火星植物園のおかげで薔薇が怖くなりました。願わくば、自分もこんな風に美しく狂っていきたいものです。
     

    0
    2010年04月26日
  • 新装版 とらんぷ譚2 悪夢の骨牌

    Posted by ブクログ

    幻想小説かな、て読み始めてたら、出口はSFだった感じです。
    時間の流れとか平行世界とか。
    そしてお耽美ww

    0
    2010年03月08日
  • 人形たちの夜

    Posted by ブクログ

    280
    夜は夢魔が目覚める時。夜に生をうけた人形たちは、人の世の原罪を、哀しみをまた憎悪をその糧として生きているのか。……日常の営為の底にひそむもう一つの世界を人形たちと共に旅する時、季節の移ろいは我々をより深い酩酊へそして破局へと誘う。著者五十年の苦い想いをこめて描く魔術の書。
    異形の列・真夜中の鶏・跛行・夢のパトロール・海辺の朝食・水妖・笑う座敷ぼっこ・三途川を渡って・影人・憎悪の美酒・歪む木偶・貴腐

    0
    2009年10月04日
  • 人形たちの夜

    Posted by ブクログ

    忘れもしない中学生だったある日。
    教室にあった学級文庫(みんなで持ち寄った本を置いてある)の中、担任だった国語教師が置いていた本をたまたま手に取った。
    それが今は絶版になっている角川文庫の「銃器店へ」という本だった。著者名は中井英夫。勿論、その人の名は全く知らず、どんな内容なのかも知らず、ただその表紙の漆黒に誘われて、私は貪るように読んだ。それが私と中井英夫の出会いだった。
    中学生が読むには多分難解なのだと思う。けれど、その硬質な文章に潜む、濃密な色彩、情念、謎……が私を虜にした。
    その後この人の作品を探し求め、代表作である推理小説「虚無への供物」をはじめ、手に入る本は片っぱしから読んでいった

    0
    2009年10月04日
  • 人形たちの夜

    Posted by ブクログ

    中井作品は戦中日記もの以外はほとんどがおすすめなのですが、これは日曜日に某所へ集うお姉様方へおすすめ。
    もし再び出会っても、もう彼は自分が知る彼ではないかもしれないという件が好きです。
    ちょっと切ないのです。

    0
    2009年10月04日
  • 新装版 虚無への供物(下)

    Posted by ブクログ

    面白いけど難しかった
    色々自分なりに推理とかしたけど全然でした
    作中に出てくる曲を聴いてみたりしてそこらへんも楽しめた

    0
    2025年10月17日
  • 新装版 虚無への供物(上)

    Posted by ブクログ

    日本三大奇書の一冊。始まりはミステリーの入りだけれど、探偵役4人がそれぞれ謎解きを行い、どれもピンと来ない。最後に現れた5人目が一応のまとめはつけるのだけど、その後も事件が起こることを匂わせて下巻へ。
    探偵役が各々、ミスリード役であり、話せば話すほど真相が不透明になっていく感じが不思議。

    0
    2025年07月26日
  • 新装版 虚無への供物(下)

    Posted by ブクログ

    下巻はアパートでの毒殺死、五色不動の謎、まだ起きていない第四密室殺人事件の素人探偵推理、犯人の告白編。気の毒にぐらいしか考えていない物見高い御見物衆達は現代にも通ずる。推理小説ではなくアンチミステリーらしい。

    0
    2025年05月05日
  • 新装版 虚無への供物(上)

    Posted by ブクログ

    はじめてのミステリ三大奇書。1954年(s29)代々祟りの噂ある氷沼家は洞爺丸転覆により氷沼家当主夫妻弟夫妻が死去。蒼司紅司兄弟いとこ紺司住む館でワトソン役も呼ばれた中、紅司が密室浴室で死亡。続いて6名での麻雀の最中叔父が寝室でガスで絶命。自称探偵達の推理合戦が始まるがどれも決めてに欠け下巻へ

    0
    2025年05月04日
  • 新装版 虚無への供物(下)

    Posted by ブクログ

    長かった。作中作との入れ子構造をとったりと、以外な形で謎が明かされる過程は面白かった。最後はちょっと消化不良でした。

    0
    2025年02月23日
  • 新装版 虚無への供物(上)

    Posted by ブクログ

    洞爺丸の後の時代背景がノスタルジックで、時々感じる違和感、疑問は時代のせいとして読み進めた。密室、様々な見立てと、楽しめる要素満載、それがどう解決されるのか期待しながら読み進めた。(下に続く)

    0
    2025年02月23日
  • 新装版 虚無への供物(上)

    Posted by ブクログ

    ずっと読んでみたいと思っていたが、意外に面白く、読みやすくてびっくりした。(他二つは挫折中…)

    警察が事故死と処理した事で、刑事も介入しない。
    古き良き時代の探偵、推理小説が続々と登場!あらすじや犯人になんかにも触れていて、知っていれば更に面白いし、そちらも読んでみたくなる。
    さすが東大?!頭の回転の速度が違う。ついて行くのがやっとだが、さすが面白い。
    各々が探偵役の推理合戦に華が咲き、見方も変わってきてわくわくする。

    「ザ・ヒヌマ・マーダー」
    誰が犯人なのか、下巻も楽しみである。

    0
    2023年05月25日
  • 新装版 虚無への供物(下)

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    三大奇書の一角にしてアンチミステリーの代表作、という前情報は得ていたので途中から段々「あれ?もしかしてこれ全部ただの事故や自殺なのに探偵役らが勝手に殺人事件に思い込んでキャッキャしてるだけなのでは…?」とヒヤリとしましたがちゃんと犯人はいました。よかった(?)
    アンチミステリーの所以たる一連の『他人の不幸をよってたかってエンタメにしてんじゃねーよバーカ!』の流れにはギクリとした方も多いことでしょう。ハイわたしです。
    巻末には約20年後の短編が収まっておりなんだかんだで皆元気そうで何より。

    …ところで玄次の事件ってただの自殺ってことになってますがあの不可解な状況や齟齬は結局なんだったんですかね

    0
    2023年05月04日
  • 新装版 虚無への供物(下)

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    「事件が起きる前に、殺人を犯しそうな人物を予想する」まではまだ理解できたんですが、これが「起きるに違いない事件を小説に書き下ろしてみて、その犯人とトリックを推理する」までくると理解できるようなできないようなで、さらにそこから「叙述トリックがありました!」って、叙述も何もまだその殺人起きてないんだけど!?とまさにワンダランドの世界。 推理合戦で一度は否定された推理がやっぱり正しかったり、かと思わせておいて正しくなかったり、読み終わった時には”面白かった”以前にようやく迷宮を抜けた達成感がありました。

    0
    2022年12月20日
  • 新装版 虚無への供物(下)

    Posted by ブクログ

    「虚無への供物」を初めて読んだのは、確か中学生の頃で、母方の伯母が読みさしを譲ってくれた、蜜柑箱一杯の文庫本の中に、講談社文庫版が混じっていたのだ。とはいえ、一読、そのすごさ、おもしろさに驚倒して夜を徹し、と言うなら自慢もできるが、ミステリは横溝正史氏あたりを読み始めばかりの中学生のこと、途中までは面白かったが、最後は支離滅裂、なにが四大奇書だよ、てな感想しか抱けなかったのではどうにもならない。それ以来の再読だが、中学生の俺、レベル低かったなと正直に思う。そのくせ、お話のディテール、例えば、最初の推理合戦で久夫が的外れは推理を延々披露したあげく、藍ちゃんに一蹴される辺り、ほぼ完璧に覚えていたか

    0
    2022年07月14日
  • 新装版 虚無への供物(上)

    Posted by ブクログ

    色と死に魅入られた氷沼一族。何やら因縁のありそうな家族の歴史と鬱屈した思い。ゲイバーだの緋色の十字架だの、なんとなく戦後の退廃したムードがあって良い。
    こういうのはトリックを推理せず雰囲気に流されて登場人物が勝手にガヤガヤ言ってるのを眺めていれば良いと思う。

    0
    2022年05月21日
  • 新装版 虚無への供物(上)

    Posted by ブクログ

    密室殺人。各々の推理。まだ犯人は明らかではなく、自殺か自然死か他殺か。謎が残ったまま。(下)もすぐに読みたい。推理小説史上の大傑作のふれ込み通り、面白かった。

    0
    2022年04月13日
  • 新装版 とらんぷ譚4 真珠母の匣

    Posted by ブクログ

    幻想文学の金字塔的存在『とらんぷ譚』も、ダイヤにあたるこの『真珠母の匣』にて、名残惜しくもついに完結である! 著者中井英夫のキャリアで最も有名なのは長編アンチ・ミステリ『虚無への供物』であるけれども、『幻想博物館』に始まる『とらんぷ譚』という短編傑作も忘れてはならないだろう。事実、ジョーカーも含めた54の短編を読んでみて私が感じるのは、短編こそ中井英夫の文学の真骨頂であり、その世界観が凝縮された傑作ばかりであった(中井英夫本人も短編という形式が好きだと語っているし)。

    さて、ダイヤの本書は、クラブにあたる『悪夢の骨牌』の構成同様、戦前と戦後の対比、その風景、「戦争とはついに何だったのか」を強

    0
    2022年01月07日