佐藤正午のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
【本の内容】
彼女はぼくと同じ18歳だった。
初めての女性だった。
好きかと尋ねられて頷いた―家族以外の女性についた初めての嘘。
嘘を重ねるために他の女性を拾い、途切れ途切れに続いた彼女との関係も、ぼくが街を出ることで終止符が打たれた―。
そして長い時を経て、ぼくは再び彼女と出逢った。
(「糸切歯」)青春のやるせなさ、ほろ苦さを瑞々しい感性で描く秀作集。
[ 目次 ]
[ POP ]
彼はいつも止まっている。
些細なことにも途方に暮れる。
そうやって、ゆっくり進む。
感情がスローなペースで読者の心に浸透していく。
この主人公はシャーレに入った水のように純粋で無垢で磨れていない感性の持ち主だと思う。
最初は出口の見えない重たさが読みづらいと思ったが、一つ年下の友人が話の中に出てきたあたりから文章にリズムがでだした。
おもしろい作品である。現実にある様々な出来事が著者の目を通すとどんな風に映るのか興味がわいてくる。
同じはずの世界を他の人がまったく別のものとして見ていたことに気づかされる、そんな不思議な感覚を味わった。
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ] -
Posted by ブクログ
旅行用にボロボロにしてもいい文庫を親から借りたので読みました。なんと自分が生まれる前に書かれた本だったなんて。
すばる文学賞受賞作品だったそうです。たしかに400ページほどのちょっと眺めの小説だったのですが、すらすら読むことが出来ました。文庫の後ろで佐伯彰一さんの解説には「軽み」を身につけた日常系ミステリーというような内容でした。
本作品は日記という体で文章が書かれています。重大な犯罪が起こる、予想もしないトリックがある、巧みな文章構成で読者をはっとさせる、というような内容ではなく、それはたしかに日記として読める少し不思議な日常といった感じでしょうか。やはり何よりの特徴はさらっとした口当たりの文章と思います。 -
Posted by ブクログ
過去のある時点に戻り、人生をやり直すことが本当に幸せなのか。
以前に読んだ佐藤正午さんの作品もそうだったのだが、タイムリープできるような力をつけても人の心はわからないのね・・・。という怖い話。
時空を超えた究極のラブ・ストーリーとあるが、あまりに独りよがりなので、ラブ・ストーリーといえるのか?まあ、片思いでもラブはLoveか。
一人称の私とフロッピーディスク内の僕と君がクロスするので少し分かりづらい。それが、最後に結びついてビックリするような展開になるのかとも思ったのだが、特にそのような展開もなくて拍子抜け・・・。
でも、最後まで展開が気になるミステリーとして面白く読めた。 -
Posted by ブクログ
もとは岩波の「図書」に連載されていたもの。
小説家と云う人間が,小説をどう読むか,ということで、近現代の小説家の作品を俎上にあげ、最後に自作を解説して見せた。
ということで、これは作品評ではない。あくまで小説家と云う職業柄、作品の気になる一節を、何故気になるのか,それはどうしてか等という切り口で語ったものだ。一種の文章(文体)読本。
勿論,小説を書いている人間には随分ヒントになるものだろうし、また並みの書評じゃないとみても、なるほどこういうこだわりもアリか、と興味深いことだろう。
しかしまた、酒間の歓談としてもこういうことをやる場合が多いことだろう。どうにでも読め,どうにでも考えられる面白さがある。
取り上げた小説は次のとおり。
川端康成「雪国」志賀直哉「暗夜行路」森鴎外「雁」永井荷風「つゆのあととさき」夏目漱石「こころ」中勘助「銀の匙」樋口一葉「たけくらべ」三島由紀夫「豊穣の海」山本周五郎「青べか物語」林芙美子「放浪記」井伏鱒二「山椒魚」太宰治「人間失格」横光利一「機械」織田作之助「夫婦善哉」芥川龍之介「鼻」菊池寛「形」谷崎潤一郎「痴人の愛」松本清張「潜在光景」武者小路実篤「友情」田山花袋「蒲団」幸田文「流れる」結城昌治「夜の終わる時」開高健「夏の闇」吉行淳之介「技巧的生活」佐藤正午「取り扱い注意」 -
Posted by ブクログ
まずタイトルは「ファイブ」じゃなく「ご」のようです、たぶん。そして分厚い。約670頁です。ここまで長くする必要はなかったんじゃないかなーと言うのが正直な感想。序盤はなかなか面白いんですが、中盤あたりから、中志郎って登場人物の、この話の中での立ち位置が不明確になり、重要なのかそうじゃないのか分からない女性が何人も出てくる(しかも忘れた頃に再登場する)し、物語りの行き先がどんどん分からなくなり、読んでて不安になります。ここで挫折する人は多いかも。が、後半は、概ね分かりやすい方向へ収束していくし、津田伸一のキャラも立ってて面白いです。でも読後は、どうなんだろう。これが恋愛小説?
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Posted by ブクログ
かなり好みが別れるんでしょうね。
なんとも言えない小説ですね。主人公の英雄は「女を蕩かせ夢中にさせる」事が出来る、熱意は無いがそつなくこなす県庁の若い役人。その生涯に時折顔を見せる叔父・酔助はロリータ趣味。英雄が今、蕩かせているのが知事の姪でお嬢さん育ちの美雪。そして、なぜか夢で未来を予見できる三ッ森小夜子。
ジゴロやらロリータが出てくると言っても、性的なシーンが多いわけでもなく、むしろ酔助に引きずり込まれ、英雄が一緒に犯す犯罪の方が山場なのですが、これも主題とは言えないようです。
むしろ、破滅的な性格の酔助、何処と無く中途半端なジゴロの英雄、そうした主人公の性格描写自体が主体かもしれません。
なんだか判らないまま読まされ、それなりに楽しめた。そんな作品でした。