河合香織のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
知らない世界を知る。
読書の魅力が詰まった一冊だった。
身体障害者、知的障害者の性という
一昔前までタブー視された課題に踏み込んだ傑作だと思う。
身の回りにいないから、知らない。分からない。
考えたこともない。無知なことが本当恥ずかしかった。
障害者も健常者と同じように、性欲がある。
人を好きになる。結婚をする。子供を産む。
どこか特別で、難しいことなのではと思ってしまうが、障害者や介助者は、当たり前のこととして、難しく考えない。
生きるとは性と向き合うこと、
性と向き合うとは生きることなんだと考えさせられた。
本が発売されたのは20年以上前で、
今とは状況が変わり、障害者の性に対する -
Posted by ブクログ
【感想】
コロナの罹患者を乗せたダイヤモンド・プリンセス号が横浜港に到着したのが2020年2月3日。あまりに急なコロナの襲来に、政府は慣れない対応に追われ、国民は不安と恐怖に駆られることとなった。
しかしそれからわずか数日後に、コロナ対策のためのアドバイザリーボードが厚労省内に設立された。WHOでSARS対策に携わった押谷、同じくSARS蔓延時にWHO西太平洋事務局長として指揮をふるった尾身など、感染症対策の専門家たちが厚労省から依頼を受け、アドバイザーとして組織を結成したのである。その後、このアドバイザリーボードの委員たち数十名が、そのまま内閣官房下の「新型コロナウイルス感染症対策専門家会 -
Posted by ブクログ
『』内は本文より抜粋。
●出生前診断の結果、医師の誤診によりダウン症ではないとの診断だったため産んだ子どもがダウン症だった夫婦が、ダウン症児自身が生まれてくるべきではなかったと起こした訴訟。著者は訴訟に違和感を覚え、原告の母親の弁を聞きたいとの気持ちが発端となった一冊。出生前診断の是非についてかなり考えさせられる。
その子は合併症で闘病の末三ヶ月で亡くなる。
概要だけを聞けば、「障害ある子を産んだこと自体が損失だった、弁償しろ」という乱暴な主張に取られかねない印象を受けるが、原告の母親の話を著者が丁寧に聞き出し、母親としての愛情や苦悩や煩悶を生々しく感じ取れる内容。かなり訴訟に対する見方 -
Posted by ブクログ
「出産も、子育ても、
自分の思い通りにいかない日々を積み重ねていく。
その時間から、人生も人も思い通りにはできない
というのを学んだ」
この言葉は、最愛のわが子が失踪し、
すべての力をかけて子を探した母が、
子の死を受け入れた時に語られた言葉。
圧倒されるというか、刺さるというか、
語彙力無さすぎて表現し難いのだけれど
残しておきたい言葉が他にもたくさんあった。
その一部↓
誰も好き好んで被害者になったわけではない。
不条理な暴力にあっただけだ。
その苦しみの上に、さらにスティグマを抱えて
生きていかなければならないのだろうか。
.
私自身は、きっとこれからも間 -
Posted by ブクログ
母親としての著者自身のことも折々に交えながら、DVを受けている母親、AID(非配偶者間人工授精)(+α)で子どもを授かった母親、突然失踪してしまった子どもの母親、難病の子どもを持った母親、児童殺傷事件の被害者の母親、中絶を経験した母親、レズビアンの母親、特別養子縁組で子どもを育てる母親、自死を選んだ母親など、様々な状況に置かれた母親を取り上げるノンフィクション。一般的なノンフィクションというよりは、文学的エッセイに近い文体。
かなり重い、壮絶な状況に置かれた母親がたくさん登場し、胸が苦しくなった。特に、子どもが失踪して後に白骨化した遺体が見つかったり、事件に巻き込まれて子どもが殺されてしまった -
Posted by ブクログ
一気読み。尾身副座長を中心とした専門家と内閣官房・厚労省のコロナ対策の連携を描く。官僚が無謬性の原則から思っていた以上に硬直していた。それは本来あるべき姿ではない。政策選択によって被害を被る国民の一部からしてみれば甚だ迷惑な話だろうが、間違いもあることを認めて、反省して次に繋げるという謙虚さを持つことが肝要なのではないか(理想論に過ぎないと言われそうだが)。コロナの状況に関する西浦氏のインフォームドコンセントと厚労省のパターナル的対策は科学者と政策担当者の違いを示していて興味深かった。どちらも正しいしどちらも間違っているので答えが出ない。
押谷さんのブリコラージュの話(p138)は特に大事だと -
Posted by ブクログ
読むきっかけ:新聞広告で知り、専門家会議の運営に興味を持つ。
尾身氏をはじめとする専門家の矜持に低頭する。
以下、文中の尾身氏の心に響いた言葉。
「サイエンスというのは失敗が前提。新しい知見が出てくれば、前のものは間違っていたということになる。そういう積み重ねが科学であり、さらに公衆衛生はエビデンスが出揃う前に経験や直感、論理で動かざるをえない部分がある。一方で役所は間違わない、間違いたくないという気持ちが強かった。」
「リーダーは感情のプロである必要がある。リーダーとは何かといった本には、決断力やコミュニケーション、大きな方向性を示すことなどが書いてありますが、でももっとも重要で難し -
Posted by ブクログ
2020年の年明け以降、世界は新型コロナウイルス感染症に蹂躙された。
中国・武漢から始まり、世界へと滲みだした感染症は、多くの死亡者を出しながら、野火のように広がった。人と人とが触れ合うことで広がる感染症の性質から、多くの国で都市封鎖(ロックダウン)や活動・往来の抑制が行われ、経済にも大きな影響が出た。
現在のところ、日本では第五波がほぼ収束し、落ち着きを見せているが、世界全体では感染の再上昇が見られる国もあり、なお予断を許さない。
本書では、日本で、2020年2月~7月に設置された新型コロナウイルス感染症専門家会議の成立から解散までを追う。
先が見えない中で、構成員である専門家も、何度か「 -
Posted by ブクログ
大変興味深く拝読した。コロナが出てきた直後の意思決定がどのようにされていたのか、断片的な報道では知り得なかったことがまとまっている。未知のウイルスに対する初期対応の難しさがひしひしと伝わってくるまた、どう意思決定者に伝え、国民にコミュニケーションするか、何を課題として議論すべきかという点が、コロナ対策の本質的なテーマなのだとも再認識する。
読んでいろんな疑問が一年越しに晴れた。なぜあんなにも意思決定が遅く感じられたのか、専門家はどんな立場だったのか、などなど。最終的に思ったことは、政治の意思決定と、科学分野の検証プロセスはあまりにも相性が悪いということ。
そのギャップを埋めるために、結局は -
Posted by ブクログ
出生前診断が優生思想と結びついて語られがちな状況は、日本独特のものであることを知った。母体保護法と名前を変えてはいるが、その前身は優生保護法。母体の保護と経済的理由を中絶の根拠と表向きにはしつつも、実態としては胎児の先天的な障害が中絶の直接的な理由になっている。
NIPTのカウンセリングまでは受けた当事者として、どうしても読まなければならないと思って読んだ。やっぱり、どこにも答えがない。答えがないのが、答え、という言い古されたフレーズが頭をよぎる。
科学技術の進歩は、人類の身体的あるいは精神的負荷を取り除き、自由の領域拡大を目指してきた。結果、従来、人類に課されていた負荷は軽減された。楽に遠く