【感想・ネタバレ】セックスボランティア(新潮文庫)のレビュー

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Posted by ブクログ

「性」とは生きる根本。
それはたとえ障害者であっても同じこと。

脳性麻痺の男性を風俗店に連れていく介助者。
障害者割引のある出張ホストクラブの利用者と経営者。
障害者専門のデリヘルで働く聴覚障害のある女の子。
知的障害者にセックスを教える講師。
体の動かない障害者にセックスボランティアを行なう主婦

性の介助について、オランダまでも出向き、その最前線で取材を重ねる。
どう考え、どう捉え、どう係るのか?
タブーに大胆に切り込み、手探りしつつも問いかけてくる、真摯なルポルタージュ。

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2017年08月13日

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面白い内容だが、最終的に、障害者の性ではなく、人間一般の性に逃げてしまっているのが残念だ。結局つまらない結論にいきついてしまっている。ただのインタビューだけじゃ浅い。セックスで興味をひくだけのレポート。

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2017年07月28日

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著者の立場とか動機とかが最後の最後まで出てこないのに、著者の知りたいという切実感が半端なく、その気持ちの熱量によってぐいぐい読み進めてしまう。テーマそのものがセンセーショナルで、興味はあるがなかなかうかがい知れないことを知ることが出来、知的好奇心も満たせた。若くて美しい女性が著者だけに、この人もセックスワーカーなのかと勘違いして買った男性は多そうだ。僕はその点は誤解はなかったが、男性とのセックスを前にしたわくわく感を主語無しに書いてある部分はちょっと反則(笑)。
それはともかくとして、著者としての一線がちゃんと引かれているからこそ、下品にならず、知的読み物として、作品のバランスが保たれている。
障害と性ということに限らず、男と女の付き合い方、幸せのあり方、快楽と恋愛の違い、介護する側とされる側、日本と外国での性についての考え方の違い、老いと介護、行政の支援のあり方…など、さまざまなテーマが自然と内包されており、その点においてもこの本は奥が深い。
そして本の最後の最後、彼女の切実に行動していく動機の一端がエピソードによってちらっとだが開示される。その開示のされ方がさりげなく、それでいて効果的。ぐだぐだ書かないところが、ラストとして相応しい。

テーマの広がり、作者の切実感、証言によって浮かび上がっていく知らなかった事実、問題提議、シーンの切り取り方。どの点においても、素晴らしい。噂に違わず、名作だと思った。

と同時に書き手として対象とどう距離を置くのかという点でとても参考になった。だけどこの本以後、彼女はなぜ2冊しか本を出せてないんだろう。その点は気になる。

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2016年06月08日

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ネタバレ

障害者の性と恋愛について書かれてるノンフィクションです。

題名からすると、なんだか卑猥な感じのする本、とイメージされがちですが、これはとっても真面目なノンフィクションです。
まず初めに驚いたのは、「障害者でも性欲があるんだ」。ということ。
私たち健常者は当たり前の日常生活を送ってて、いつの間にかに健常者と障害者を区別・差別してしまってる。
でも障害者も一人の人間。
体が思うように動かなくても、思うように喋れなくても、麻痺しても、性欲はある。
とても驚きました。
彼らは、本当は普通に恋し、愛した人と結ばれたい。
そう思うのに、「自分が障害者だから」という理由で諦めてしまってる。
だから、性欲を介助してくれる人が必要なのです。
ボランティアや介助者に性欲を満たされても、一時的な満足感はあってもやっぱりそのときだけ。
なんだか空しくなる。。。
でもそれは健常者も一緒じゃないかな?
『セックスボランティア』と言っても、内容は結局いわゆる風俗関係と一緒。
やってる方も受ける方も、結局は同じような関係であって、自分の思いだけが見えないとこで「ボランティア」という形になってるんじゃないか。
障害者のボランティアでも、やっぱり周りの後ろめたさはあると思う。
だけど、国はもっと障害者の性について深く考えるべきだと思う。
ちゃんとした指導や知識を植えつけてあげ、もっと障害者が後ろめたさを感じない障害者に人生を諦めさせないような何か方針を打って出るべきだと思う。
この本を読んでて、唯一の救いは、葵さんゆかりさん夫婦のような前向きな人がいるということ。
すこしでも明るい未来が垣間見れたような気がした。
ほんと読んで為になった本でした。

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2012年11月28日

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性は生きる根本。
考えさせられる本だった。
少し読んでいて苦しくなった。

同情とか何かしたいなんて思うこともおこがましいので、私は五体満足に生まれて、不自由なくセックスができて、セックスの愉しさをしれたことに、ただ安堵して感謝した。

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2022年09月18日

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障害者の性をテーマにしたノンフィクション。

男女の障害者、性の介助の提供者、オランダの性事情、風俗など、関係のある人物をレポートしている。

「性は生きる根本」
「全ての人が自分の性について見つめ直すべき」

などの言葉が響いた。

性=生であり、性欲≠性交ではなく、精神的、肉体的コミュニケーションであると。

また障害者だから性のことをタブー視するのではなく、全ての人間がもっと性について向き合うべきとしている。

勉強になりました。

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2018年11月12日

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途中まで読みました(確か出張ホストの話まで)
重度身体障害者の男性と、健常者の女性の夫婦の話には驚きました。
女性に障害者の男性とお付き合いしたい、結婚したいと思わせたものは何なのだろう?
身体こそ不自由だけれど、内面がとても魅力的で、奥様との相性も合うのだろうなと思いました。

「自分は障害者だから恋愛や結婚は無理だろう」と諦めている方がもしいたら、↑の章だけでも読んでほしいです。

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2020年05月06日

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性への興味から。

非常に読みやすかったです。

障害をもっていても、そりゃ人間ですものね。障害者の性介護を有償でするにしろ無償でするにしろ賛否両論あるようですが、私は本文中にもあったように、そこにニーズがあるのであればあってしかるべきだと思った。

ただし、サービスを提供する側にも生活や感情はあるので、そこが有償であるか無償であるべきかは、当事者が判断されるべきだと思う。少なくとも何の手出しもしない外野の者がとやかくいうべきではない、と思う。

有償であるべき理由として、互いに「お金が絡んだサービスだから」ということで割り切って気軽に付き合えるといメリットには大変納得した思いがしました。

根気強く取材を続け、世にこの事実を届けてくれた著者に拍手です。

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2018年08月27日

Posted by ブクログ

昔、セックスボランティアというものがあると聞いてからずっと興味は持っていた。
技術や医療が進歩したり、バリアフリー法が多くの施設で義務付けられていたり等、昔よりも圧倒的に障がい者の人が生きやすい世の中になっているはず。
しかし、障がい者の方の性の話になると途端にタブーな話のように感じてしまう。

際私も、読んでいく中で
「障がいを持っていて、周りに助けられながら生きる事が出来ているのにそれでもなお、必要最低限以上の欲望を満たそうとするのか」と思ってしまい、我に返った。
結局、自分も障がい者の差別を行ってしまっている。

恐らく一般的にも「障がいへの理解があり、差別はしない」と思っている人が障がい者のセックスになると「性欲まで満たしたいと考えるなんて贅沢だ」と反射的に考えてしまうはず。

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2017年12月24日

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今まで全く考えてこなかったコトであり、衝撃を受けつつも、なんでこんな当たり前であり、人間の基本の欲望に近い性という問題について知らなかった、教えてもらえなかったことが残念だったなーと感じた。大学時代には障碍者について学ぶことも多い分野だったにも関わらずだ。

やはり性についての内容はタブー視されている今の世の中だから仕方のないことかもしれないし、じゃあこの問題について取り組めと言われても、拒否しそうな私もいて。

本当に難しい問題だと思った。だからと言って、全く知らないふりをするということもいけないような気もする。この本を読んだからと言って答えがでるわけではないけれども、色んな人にこの内容を知ってもらうというのは大事なのかもしれないと感じた。

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2017年09月16日

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現在学生で介護を行った経験から読み始めた。
性の介護について客観的に書かれている。
知らない事が多く驚きの連続だった。最後のシーンは感動的だった。今後に生かしたい。

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2015年03月30日

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かなり良かった。これまでタブー視されてきた障害者の性に(まだやや浅いぐらいだけど)切り込んだ一冊。昔TVで見たNPO ホワイトハンズの特集でこうした人達がいるのは知ってたけど、改めて読むと性は生の根源なのだと深く考えさせられる。読んで損なし。

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2013年07月07日

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長い間タブーとされていて、ほとんど実態が分からない障害者の性について書かれていて興味深く読ませてもらった。男性だけじゃなく女性の障害者の性欲についても書かれていたのも良かった。

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2013年06月05日

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ネタバレ

美談に持っていかれがちな障害者の問題を、美醜も善悪もない、必要不可欠な人間の営みとして捉え、淡々とルポしていく・・・
と思いきや、時に著者が登場人物となり、迷い、成長し、読者に語りかける。
単純に物語としても面白く読ませて頂きました。
無論、内容も興味深いものです。
自らの「出来る範囲」を見つめ直す良い機会になります。

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2014年03月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

興味本位で購入。障害者への性関連の現状に興味があったのもあるが、それ以上にそういうことが現実として行われているのかどうか、従事している人はどう考えているのか、その辺に興味があって。

読んでみて、そんな軽い気持ちで読めるようなもんじゃないな、と思った。テーマとして非常に重い。まあある程度は予想されていたんだが、この『セックスボランティア』という題名から受ける軽さに比べて、内容は遥かに重い。これ、題名を変えたほうがいいんじゃないか?

感じたのは、障害者への性的支援を行う人たちってのは、基本的にはすごく真面目なんだな、と。当たり前だよね、その人のために尽くそう、その人のために自分の時間や時には身体を提供しよう、とするわけだから。すごく真面目ですごく優しい。そんな人たちだからこそ性的支援の重要性に気付きつつ、それを行うことに悩んでる。普通の性風俗とは異なり、お金のため、趣味のため、そういった割り切りが行えない。そこは本当にしんどいやろなぁ、と思う。

じゃあどうしたらいいのか。国はそこに金を突っ込むべきなのか?でも金のためだけにやる人を集めたら、サービスの質は落ちるだろう。(上から目線の言い方になるが)障害者のために、という思いがあるからこそ、その人に合わせてサービスを提供できるわけだし。そこがお金のため、になったとき、障害者に合わせた適切なサービスが提供できるのか。

途中で「日本の多くの人たちが、知的障害者や知的障害者の性や結婚に対して、否定的なイメージを持っている」という記述がある。「彼らを幼児視し、過小評価し、(中略)間違った考えや偏見をもたらしてきた」と続く。これは僕自身もそう。障害者が抱える一番大きな問題は、そういう社会の意識、周囲の反応、なんだろうな、と。

僕自身、そういう意識を持たないように、偏見はなくすように、というふうに思っているつもりだが、そう考える時点で偏見を持ってるんだよね、間違いなく。そして僕が性的支援をできるかどうか、と言われると、かなり難しい。特に同性に対してはなおのこと。

更に自分のパートナーができるのか。それを容認できるのか。無理だな、としか言いようがない。そこがこのサービスの難しいところだと思う。他のボランティアなら称賛されるのに、このボランティアは称賛されないからね。

これを読んでて、幸せな結婚をした障害者と健常者のカップルと、結婚後にすれ違いが増えた障害者同士のカップルが出てくる。どっちもあり得る話やなぁと思ってたんだけど、幸せなほうのカップルの話を読んでて、乙武洋匡氏を思い出したんだよなぁ。

氏も健常者の妻と結婚している。氏と、本書に書かれているカップルとは、非常に稀有な例なんじゃないだろうか。確かに美談になり得るだろうし、結婚した人にしてみたら「当たり前のこと」なのかもしれない。でもそれが、他の人たちには当たり前のことにはならないんだよね。明らかなる【非日常】。そのギャップが埋まれば、同じようなカップルはたくさん出てくる可能性はあるだろうが、ギャップを埋める方法が見つからない。

と、ここまで書いて、カップルが成立する要因の一つとして、男が障害者で女が健常者であることが必要なんじゃないか、と思った。

すごく乱暴に書くが、女性のほうが辛抱強くて優しくて母性が強いから、パートナーができないことも受け止め、受け入れ、対応してくれる。でも男は基本的にガキで狭量で自分勝手だから、自分の思い通りにならないことが続いたらもうやっていけなくなる。

逆に、仕事として割り切るのは男のほうがいいのかもね。そういう意味では、障害者向けの性サービスは女性向けのモノのほうが定着しやすいだろうし、発展もしやすいんじゃないかな、と思った。

最後に。

性的支援に関わらず、こうやって障害者への支援を行っている人たちは、もっともっと金銭的にも待遇的にも、報われないと駄目だと思う。そこに税金をもっと投入していくとか、ビジネスとしてどう展開していくのか、とか課題はあるだろうけど、こういうことをやっている人たちが報われないって、やっぱりきっついよ。

それは、社会の成熟度の一つなんじゃないだろうか。


追記
乙武氏のような『レアケース』を目指すべき『モデルケース』にはしちゃいけないな、と思う。モデルケースがハイレベル過ぎると、誰も辿り着けないし辿り着けないことで自分や周囲を責めることにつながりかねないから。
『理想的なケース』とするのはいいと思うけどね(理想的かどうかは別として)。

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2013年04月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

すごいタイトルですけどね。米原万里さんお薦めでなければ敬遠するところですが、内容は至って真面目な身体障害者の性に関するルポルタージュ。
しかし著者自身があまり釈然としないまま書いているのだと思いますね。それが読み手にも伝わってくるというか、後味の悪い読後感。誤解を恐れずに言えば、人間平等といったところで、平等なのは性を与えらたという所まで。そこから先は平等ではないという事。

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2013年02月03日

Posted by ブクログ

障害者の性の問題。

脳性麻痺ってやつなんかだと、手も痺れてて自分でできないんだそうだ。
介助者に手伝ってもらって自慰をするとか、
女性ではウォシュレットで自慰をするなどびっくりする内容がほとんど。
つか、
男性が男性介助者に手伝ってもらうのはありですが、女性介助者には遠慮するらしい。。。
おいらだったら、
やっぱりどうせなら女性にって思うのですが。。。

オランダでは、
売春が合法だとか、ちょっと反れるけど安楽死も認められてるとか。
そんな国でも、
公には市役所は障害者にSEX代金を払ってるとは公言してないんだとか。

日本では?

最初の話に出てきたおじいさん70歳。
年に1回お正月か誕生日にソープに行くんだとか。
でも、
普段から生命維持装置の酸素ボンベをつけていなくちゃいけないのに、そのときははずすんだって!

命がけでSEXをするの!

最初レポでは、
愛した「みどり」さんの墓参りに行くお話しもでてくる。
最終章でまた登場してきますが、
そろそろ命の灯火が消えそうな時に聞いたの「最後に誰に会いたい?」と。
返答は、
「ソープランド ノ キョウコ サン」だって。

おいらが今死ぬって時に「クイーンズコート ノ メイド サン」って答えるようなものか。
違うな。

ここに集約されてると思った。

障害者同士の夫婦のレポなんかも途中にあったんですが、最初はやっぱりラブラブなんですが落ち着いてくると健常者と一緒。
なあなあになる。
なんだかんだでSEXもだけど「愛」って部分が重要になってきて、「想い」って部分も重要なんですよ。

ソープなどの風俗を使わないかたも居る。
ハマると怖い。
普通にコミュ障でもあるので女性との接し方が分からない。
SEXもしたいけど、愛が欲しい。
 
詳しくはMIXIで「セックスボランティア」ってタイトルの日記に書くけど、
ここでのまとめは、
人間やっぱり「愛」でしょう。
ある意味、
今死ぬって時に「クイーンズコート ノ メイド サン」って答えるおいらも正しい。

障害者もそうでない人も、おいら的には差別区別せずに普通に接っせればいい。
それが答えかな。

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2012年12月24日

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障害者の性について取り上げたルポルタージュ。タイトルのインパクトに惹かれて手に取ったが、内容もかなり衝撃的なものであり、障害者専用の風俗や性行為に対する介護の存在等、生と性の関係について考えさせられる内容でした。

「性は生きる根本」、また一つ教えられました。

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2012年09月01日

Posted by ブクログ

一言でとても感想は書けない

インタビューの対象が障がいを持っている方達ということもあり内容にしても聞きにくいことばかりで苦労したのが想像できる

日本では優生保護法なんていう時代があって
障がいがある人は強制的に子供を持てなくさせられていた 酷いことだ

障がいのある子を持つ親にとっても切実な問題

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2022年12月27日

Posted by ブクログ

あのカップルが良いなぁと思った。性のテーマは障害のあるなしに関わらず、向き合うのが難しいタブー視されがちなこと。ひとりひとりの背景、モラル、育った環境や歴史がすべて詰め込まれる。わかりやすい切り口で社会に切り込めるテーマだなと思った。
ただそれ以上に深入りの仕方が難しい、テーマそのものの力が強く、作者そのものの課題が隠れてしまっているようには思った。もう一歩考えさせられる切り口があったらもう少し印象の強い本になっていたかもしれない。

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2020年11月04日

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当時、大学卒業後だった著者が書いた取材をもとにしたルポルタージュ(デビュー作)。障害者にとって”無かった”ことにされる性の問題について切り込んだ内容。
河合香織さんの本を読むのは「選べなかった命」に続いて2作目となります。

時系列的にはこちらの方が「選べなかった命」より前になりますが、既に2018年「選べなかった命」を出版した彼女が、なるべくしてなった形だということがその文面から伝わってきます。
取材に際して葛藤する初々しさはありつつも、どこか真剣でひた向きな取材姿勢が伝わってくるようでもありました。

少し障害者について接点があったこともあり、私自身では「障害者=特別な人ではない」ということは明確なことだったのですが、皆さんのレビューを見る限り、そしてこの本を読む限り(少なくとも当時は)それが「当然ではなかった」ということが見て取れます。

障害者の歴史(というと語弊がありそうですが)について詳しく知らないのですが、この「障害者は性欲なんてないし、セックスだってしない。そもそもしたいとも思わないだろう」という考え方が一般的なこと自体、日本の「座敷牢」などの影響が色濃いのではと読みながら考えていました。障害者を人目に晒さない時代風景の中で、健常者と障害者の接点が限りなく少ない生活の中にあっては、「障害がある=我々とは違う特別な存在」として認識されやすかったのではないかと想像しました。

この本の著者(つまり取材者)が障害を持つ人々(取材される側)にとって「まだ純粋で学生を出たばかりの女性」だからこの内容を緻密に話してくれたのではないか、と考えたのは私だけでしょうか。
恐らく障害を持つ人々にとっては数えきれない差別の歴史が人生でしょうし、ある意味では「またそれ?」と思わざるを得ないような(著者からの)質問に対して、真摯に答えてくれたというのは一つにその取材者が親切だったというだけではなく、この取材者(著者)に対して彼らが「我々の気持ちをこの人ならわかってくれるかもしれない。だから何度も何度も話しては誤解を受けたり笑われたり軽蔑されたりもしたけれど、もう一度話してみよう」と考えた結果ではないかと思うのです。

「健常者だから大抵のことはできる」と、我々は恐らく殆ど全員が思っていると思いますし、その気持ちがないことには生きていけない心理的側面もあると思います。
しかし一方で「できるかどうかに健常者かどうか、は関係のない事柄」についても今一度深く考えてみても良いのではないだろうか。
そんな風に思った本でした。

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2019年11月18日

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国内外の身体、精神障害者に対する性の支援について、国内や先進的であるとされるオランダなどの事例を紹介されたもの。提供者側の障害者への支援という行為、性に関する行為、と言う両面の葛藤と、性に対する支援ということへの、障害者側の葛藤との錯綜が現れていた。自然と、どちらかに立ち、それを当然としている自身の価値観とも向き合える作品だった。

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2017年02月26日

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正直なところ、本のタイトルに対して助平な気持ちがあったから読んだ。50歳目前にして性欲は食欲や睡眠欲とあまり変わらない。10代や20代の頃は歳をとれば自然に衰退するものだと思っていたけど、今のところその様子はない。本能だから逆らえないとも思う。身体障害者と健常者の間でもそこに違いはないみたいだ。ただ、人の介助ないしでできるか否かは大きい。他人にオープンにすることではないからだ。ホントは誰もがしていることだ。どんな美男子や美少女だって。身体障害者と健常者にそこに違いはない。愛がなくてもしたいものはしたい。でも、「したいって」他人に言わないとできない障害がある人はむしろ潔い。

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2016年02月06日

Posted by ブクログ

自分とは異質なものに接すると、つい反射的に身構えてしまう。
多かれ少なかれ、人にはそういった傾向があるのかもしれない。

障害者は当然同じ人間なのだけれど、その見た目が異形だから、つい、自分とは違うという意識が働いてしまうのだろう。
分からないことは、怖い。
分からないことには、興味津々。

私も、純粋な興味からこの本を手にした。
でも、そうなのだ。
みんな同じ人間なのだ。
うわべで惑わされて、見えなくなっているけれど。

かといって、障害者の方の性の問題は、そうやすやすとクリアできるようなものではないだろう。
誰の性も、本来はごく個人的なことなのに、介助のありかたを一律化・一般化なんてできないだろう。
そもそも、本来は介助を考えること自体に無理があるようなことなのだろうから。
本当に難しい問題だと思う。

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2015年06月30日

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元カレのお兄さん、母の友人の子供、
大学同級生のお姉さん…
身近にいながら考えなかったこもごも。
必ず全員が抱いているわけでもないけど、
必ず関わる人がいる問題。
やっぱりきちんと教育すべきだよね、
隠さないで、私たち自らもそういう機会が必要だったと思う。
難しいテーマだった。

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2015年02月25日

Posted by ブクログ

いつまでもタブー化されている・されるであろう題材を書いてある。確かにどういう現状なのか。興味があったので読んでみましたが、もっと皆が考えていくべきだなっておもった。健常者だろうが障害者だろうが人間としての本能だしね

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2014年03月24日

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非常に読みやすい文章で、この分野に特に知識とか持っていなかった僕でも容易に分かる内容でした…。

ヽ(・ω・)/ズコー

まあ、少々ショッキングというか、刺激の強い箇所もいくつかありましたけれども、障害者だって健常者同様、性欲はあるんだゾ! ってなことを知る上で最適な一冊かと思います…この本を読んだ人の中には「障害者にも性欲ってあるんですね!」みたいな感想を述べてきた人が居たとか…この感想自体にアレですね、我々健常者がいかに日常生活の中で障害者に会っていないかを物語るようですね…。

ヽ(・ω・)/ズコー

この人の本は他にも一冊あるみたいですから、そちらの方も賞味してみましょうか…そんな気にさせる一冊でした。おしまい。

ヽ(・ω・)/ズコー

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2014年03月18日

Posted by ブクログ

ネタバレ

日本では障害者の性は長い間タブー視されてきた。障害者にも性欲があることじたい一般的には十分認識されてこなかった。最近になって少しずつ語られてきている。しかし「セックスボランティア」はまくいっているわけではなく、受け手の障害者もみな悩みながらの試行錯誤。感情の処理ができなかったりれない感情が芽生えて妨げになったり周囲の理解が得られず苦しむことが多かった。「人権」の中に「セックスする自由」は含まれているのかな。考えさせられる問題だが売春行為、性を売り物にすること自体に抵抗があるため、どこまで人権として認められるのか難しい。性を「生理現象」の文脈で語られているとしたら本当に排泄介助同様に手袋着用、汚物バケツのセットで同性の介護もOKということだと思うが、そうじゃない。ファンタジーの要素も要求して、女性の介助者が裸で視覚的刺激も要求しながら「障害者のセックスも人権」と言われると「もともとそういう商売は誰にとっても道徳的にどうなんだ」といいたくなる。障害者もクソもないだろう、セックスは神聖なものじゃないのという話もあるわけで。自慰行為ができないから手伝ってくれというのもギリギリ理解できるが、国の税金を使ってまで?と思ってしまう。自慰行為を税金で…いかにもいかがわしい臭いがするが「差別」とか「人権」とか持ちだされると適切な言葉は浮かばないが、私の個人的な「正義」感が性にお金を介在させるのはなんとなく「ダメ」だと言っている気がする。もともと性というものじたいがそういう取扱い方をされるテーマだからだと思う。誰しもなんかしらの特徴なり個性なりハンディなり不平等なりを抱えて生まれてくるものだが、恋愛や性というものにおいてはあくまで個人の自由なような気がする。そこに国のなんたらが関ってくること自体が気味悪い。生活保護という制度は最低限の生活を保障する、でも「性」というものはそこに含まれるんだろうか?そんなものまで認めていいんだろうか?売春まで認めたことにならないか?いずれにしても「性」の問題はデリケートだ。性というものにどこまで人権が保障されるのか。障害者だけに偏る人権であってもいけないし、難しい。

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2013年12月30日

Posted by ブクログ

単なる性的な欲求の解放だけを求めているならば(簡単に言うと自慰行為のお手伝い)、男でも女でもおじさんでもおばさんでもいいはずなのです。それが、「若い女がいい」というところには、何かしらの付加感情とか付加欲求があるはずなのです。しかし、それが「今までタブー視されてきた障害者の性の人権のことだから」とうやむやにされている。そういう感じがした。「障害者だって性的欲求があるはずだ!健常な男性と同じように、その欲求を解消する権利があるはずだ!」と声高に叫ぶことはまあ意味があるとは思うのですが、その先が問題だと。障害者だからということで免除されているなにかもやもやとしたものが、ある、気が。

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2013年12月10日

Posted by ブクログ

「世の中には、知らないことの方が明らかに多い」ということを、改めて実感する本だった。

障害を持っている人の方が、積極的な気がした。

「こうして欲しい」と言わなければ、感覚がない部分があったりするから、第三者を介していたり、健常者よりも時間がかかることをしているのだから、意味がないというか、だったらやらなきゃいい。

自分をよく知っている。向き合っている。

恥ずかしい、などと言ってはいられない。

見習うべきだと思った。

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2012年09月20日

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