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Posted by ブクログ
ある本が出てから22年後に読むことにどんな意味があるのだろうか。10年も過ぎれば世の中はすっかり変わってしまうし、20年となると生まれた子が20歳になるほどに社会の事象も千変万化する。22年前に刊行された河合香織の著した『セックスボランティア』は、痛烈な衝撃音を伴って障害者の現実を舞台の袖から覗き見るようなタッチで描かれている。舞台の中心にいるのは知的障害者や身体的障害者であり脇にいるのは著者である。当時、この本を書店で見た時、ガーンと頭を殴られたような感じを受けたのは、タイトルの意表をつくネーミングであった。刺激的であり挑発的でさえある。
一読して、この本の凄いところは、障害者の性に対する思いを、間近に接し淡々と誠実に描き切っているところにある。インタビューする障害者を相手に、必要以上に神経質になることなく告白の実際を汲み取り静観している。そして、形通りの取材に終始していないところが素晴らしい。
書き出しの竹田芳蔵さんへの取材風景は誠に白眉である。しかも、最終章にも再び竹田さんとの悲壮な対話で締めくくられている。
一方、セックスボランティアというコンセプトを制度化しているオランダに渡り、その実情を取材するわけだが、オランダでは障害者にセックスするための助成金を市役所から出していると云う。日本では想像もつかない。オランダで出逢った障害者たちの貴重な体験を軸に、男性も女性もセックスに対する関心度は同じ位あるということを訴えている。世界中の健常者も障害者もセックスに対する関心度は同じ位あるのである。私は、障害者は関心はあまりないのでは ••• と思っていた。これには留飲が下がった。読み進んでいくに連れ知らないことばかりで右往左往することもあった。
総じて、この本は生涯に残す1冊として十分に値する本であると思う。
Posted by ブクログ
著者の立場とか動機とかが最後の最後まで出てこないのに、著者の知りたいという切実感が半端なく、その気持ちの熱量によってぐいぐい読み進めてしまう。テーマそのものがセンセーショナルで、興味はあるがなかなかうかがい知れないことを知ることが出来、知的好奇心も満たせた。若くて美しい女性が著者だけに、この人もセックスワーカーなのかと勘違いして買った男性は多そうだ。僕はその点は誤解はなかったが、男性とのセックスを前にしたわくわく感を主語無しに書いてある部分はちょっと反則(笑)。
それはともかくとして、著者としての一線がちゃんと引かれているからこそ、下品にならず、知的読み物として、作品のバランスが保たれている。
障害と性ということに限らず、男と女の付き合い方、幸せのあり方、快楽と恋愛の違い、介護する側とされる側、日本と外国での性についての考え方の違い、老いと介護、行政の支援のあり方…など、さまざまなテーマが自然と内包されており、その点においてもこの本は奥が深い。
そして本の最後の最後、彼女の切実に行動していく動機の一端がエピソードによってちらっとだが開示される。その開示のされ方がさりげなく、それでいて効果的。ぐだぐだ書かないところが、ラストとして相応しい。
テーマの広がり、作者の切実感、証言によって浮かび上がっていく知らなかった事実、問題提議、シーンの切り取り方。どの点においても、素晴らしい。噂に違わず、名作だと思った。
と同時に書き手として対象とどう距離を置くのかという点でとても参考になった。だけどこの本以後、彼女はなぜ2冊しか本を出せてないんだろう。その点は気になる。
Posted by ブクログ
知らない世界を知る。
読書の魅力が詰まった一冊だった。
身体障害者、知的障害者の性という
一昔前までタブー視された課題に踏み込んだ傑作だと思う。
身の回りにいないから、知らない。分からない。
考えたこともない。無知なことが本当恥ずかしかった。
障害者も健常者と同じように、性欲がある。
人を好きになる。結婚をする。子供を産む。
どこか特別で、難しいことなのではと思ってしまうが、障害者や介助者は、当たり前のこととして、難しく考えない。
生きるとは性と向き合うこと、
性と向き合うとは生きることなんだと考えさせられた。
本が発売されたのは20年以上前で、
今とは状況が変わり、障害者の性に対する介助も前よりは充実し、理解されていると思うが、
周知はされてないとは思う。
福祉を考える上で、より広く知られて欲しいと
読後に切に想う。
Posted by ブクログ
性への興味から。
非常に読みやすかったです。
障害をもっていても、そりゃ人間ですものね。障害者の性介護を有償でするにしろ無償でするにしろ賛否両論あるようですが、私は本文中にもあったように、そこにニーズがあるのであればあってしかるべきだと思った。
ただし、サービスを提供する側にも生活や感情はあるので、そこが有償であるか無償であるべきかは、当事者が判断されるべきだと思う。少なくとも何の手出しもしない外野の者がとやかくいうべきではない、と思う。
有償であるべき理由として、互いに「お金が絡んだサービスだから」ということで割り切って気軽に付き合えるといメリットには大変納得した思いがしました。
根気強く取材を続け、世にこの事実を届けてくれた著者に拍手です。
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