【感想・ネタバレ】セックスボランティア(新潮文庫)のレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

障害者の性と恋愛について書かれてるノンフィクションです。

題名からすると、なんだか卑猥な感じのする本、とイメージされがちですが、これはとっても真面目なノンフィクションです。
まず初めに驚いたのは、「障害者でも性欲があるんだ」。ということ。
私たち健常者は当たり前の日常生活を送ってて、いつの間にかに健常者と障害者を区別・差別してしまってる。
でも障害者も一人の人間。
体が思うように動かなくても、思うように喋れなくても、麻痺しても、性欲はある。
とても驚きました。
彼らは、本当は普通に恋し、愛した人と結ばれたい。
そう思うのに、「自分が障害者だから」という理由で諦めてしまってる。
だから、性欲を介助してくれる人が必要なのです。
ボランティアや介助者に性欲を満たされても、一時的な満足感はあってもやっぱりそのときだけ。
なんだか空しくなる。。。
でもそれは健常者も一緒じゃないかな?
『セックスボランティア』と言っても、内容は結局いわゆる風俗関係と一緒。
やってる方も受ける方も、結局は同じような関係であって、自分の思いだけが見えないとこで「ボランティア」という形になってるんじゃないか。
障害者のボランティアでも、やっぱり周りの後ろめたさはあると思う。
だけど、国はもっと障害者の性について深く考えるべきだと思う。
ちゃんとした指導や知識を植えつけてあげ、もっと障害者が後ろめたさを感じない障害者に人生を諦めさせないような何か方針を打って出るべきだと思う。
この本を読んでて、唯一の救いは、葵さんゆかりさん夫婦のような前向きな人がいるということ。
すこしでも明るい未来が垣間見れたような気がした。
ほんと読んで為になった本でした。

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2012年11月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

美談に持っていかれがちな障害者の問題を、美醜も善悪もない、必要不可欠な人間の営みとして捉え、淡々とルポしていく・・・
と思いきや、時に著者が登場人物となり、迷い、成長し、読者に語りかける。
単純に物語としても面白く読ませて頂きました。
無論、内容も興味深いものです。
自らの「出来る範囲」を見つめ直す良い機会になります。

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2014年03月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

興味本位で購入。障害者への性関連の現状に興味があったのもあるが、それ以上にそういうことが現実として行われているのかどうか、従事している人はどう考えているのか、その辺に興味があって。

読んでみて、そんな軽い気持ちで読めるようなもんじゃないな、と思った。テーマとして非常に重い。まあある程度は予想されていたんだが、この『セックスボランティア』という題名から受ける軽さに比べて、内容は遥かに重い。これ、題名を変えたほうがいいんじゃないか?

感じたのは、障害者への性的支援を行う人たちってのは、基本的にはすごく真面目なんだな、と。当たり前だよね、その人のために尽くそう、その人のために自分の時間や時には身体を提供しよう、とするわけだから。すごく真面目ですごく優しい。そんな人たちだからこそ性的支援の重要性に気付きつつ、それを行うことに悩んでる。普通の性風俗とは異なり、お金のため、趣味のため、そういった割り切りが行えない。そこは本当にしんどいやろなぁ、と思う。

じゃあどうしたらいいのか。国はそこに金を突っ込むべきなのか?でも金のためだけにやる人を集めたら、サービスの質は落ちるだろう。(上から目線の言い方になるが)障害者のために、という思いがあるからこそ、その人に合わせてサービスを提供できるわけだし。そこがお金のため、になったとき、障害者に合わせた適切なサービスが提供できるのか。

途中で「日本の多くの人たちが、知的障害者や知的障害者の性や結婚に対して、否定的なイメージを持っている」という記述がある。「彼らを幼児視し、過小評価し、(中略)間違った考えや偏見をもたらしてきた」と続く。これは僕自身もそう。障害者が抱える一番大きな問題は、そういう社会の意識、周囲の反応、なんだろうな、と。

僕自身、そういう意識を持たないように、偏見はなくすように、というふうに思っているつもりだが、そう考える時点で偏見を持ってるんだよね、間違いなく。そして僕が性的支援をできるかどうか、と言われると、かなり難しい。特に同性に対してはなおのこと。

更に自分のパートナーができるのか。それを容認できるのか。無理だな、としか言いようがない。そこがこのサービスの難しいところだと思う。他のボランティアなら称賛されるのに、このボランティアは称賛されないからね。

これを読んでて、幸せな結婚をした障害者と健常者のカップルと、結婚後にすれ違いが増えた障害者同士のカップルが出てくる。どっちもあり得る話やなぁと思ってたんだけど、幸せなほうのカップルの話を読んでて、乙武洋匡氏を思い出したんだよなぁ。

氏も健常者の妻と結婚している。氏と、本書に書かれているカップルとは、非常に稀有な例なんじゃないだろうか。確かに美談になり得るだろうし、結婚した人にしてみたら「当たり前のこと」なのかもしれない。でもそれが、他の人たちには当たり前のことにはならないんだよね。明らかなる【非日常】。そのギャップが埋まれば、同じようなカップルはたくさん出てくる可能性はあるだろうが、ギャップを埋める方法が見つからない。

と、ここまで書いて、カップルが成立する要因の一つとして、男が障害者で女が健常者であることが必要なんじゃないか、と思った。

すごく乱暴に書くが、女性のほうが辛抱強くて優しくて母性が強いから、パートナーができないことも受け止め、受け入れ、対応してくれる。でも男は基本的にガキで狭量で自分勝手だから、自分の思い通りにならないことが続いたらもうやっていけなくなる。

逆に、仕事として割り切るのは男のほうがいいのかもね。そういう意味では、障害者向けの性サービスは女性向けのモノのほうが定着しやすいだろうし、発展もしやすいんじゃないかな、と思った。

最後に。

性的支援に関わらず、こうやって障害者への支援を行っている人たちは、もっともっと金銭的にも待遇的にも、報われないと駄目だと思う。そこに税金をもっと投入していくとか、ビジネスとしてどう展開していくのか、とか課題はあるだろうけど、こういうことをやっている人たちが報われないって、やっぱりきっついよ。

それは、社会の成熟度の一つなんじゃないだろうか。


追記
乙武氏のような『レアケース』を目指すべき『モデルケース』にはしちゃいけないな、と思う。モデルケースがハイレベル過ぎると、誰も辿り着けないし辿り着けないことで自分や周囲を責めることにつながりかねないから。
『理想的なケース』とするのはいいと思うけどね(理想的かどうかは別として)。

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2013年04月22日

Posted by ブクログ

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すごいタイトルですけどね。米原万里さんお薦めでなければ敬遠するところですが、内容は至って真面目な身体障害者の性に関するルポルタージュ。
しかし著者自身があまり釈然としないまま書いているのだと思いますね。それが読み手にも伝わってくるというか、後味の悪い読後感。誤解を恐れずに言えば、人間平等といったところで、平等なのは性を与えらたという所まで。そこから先は平等ではないという事。

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2013年02月03日

Posted by ブクログ

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日本では障害者の性は長い間タブー視されてきた。障害者にも性欲があることじたい一般的には十分認識されてこなかった。最近になって少しずつ語られてきている。しかし「セックスボランティア」はまくいっているわけではなく、受け手の障害者もみな悩みながらの試行錯誤。感情の処理ができなかったりれない感情が芽生えて妨げになったり周囲の理解が得られず苦しむことが多かった。「人権」の中に「セックスする自由」は含まれているのかな。考えさせられる問題だが売春行為、性を売り物にすること自体に抵抗があるため、どこまで人権として認められるのか難しい。性を「生理現象」の文脈で語られているとしたら本当に排泄介助同様に手袋着用、汚物バケツのセットで同性の介護もOKということだと思うが、そうじゃない。ファンタジーの要素も要求して、女性の介助者が裸で視覚的刺激も要求しながら「障害者のセックスも人権」と言われると「もともとそういう商売は誰にとっても道徳的にどうなんだ」といいたくなる。障害者もクソもないだろう、セックスは神聖なものじゃないのという話もあるわけで。自慰行為ができないから手伝ってくれというのもギリギリ理解できるが、国の税金を使ってまで?と思ってしまう。自慰行為を税金で…いかにもいかがわしい臭いがするが「差別」とか「人権」とか持ちだされると適切な言葉は浮かばないが、私の個人的な「正義」感が性にお金を介在させるのはなんとなく「ダメ」だと言っている気がする。もともと性というものじたいがそういう取扱い方をされるテーマだからだと思う。誰しもなんかしらの特徴なり個性なりハンディなり不平等なりを抱えて生まれてくるものだが、恋愛や性というものにおいてはあくまで個人の自由なような気がする。そこに国のなんたらが関ってくること自体が気味悪い。生活保護という制度は最低限の生活を保障する、でも「性」というものはそこに含まれるんだろうか?そんなものまで認めていいんだろうか?売春まで認めたことにならないか?いずれにしても「性」の問題はデリケートだ。性というものにどこまで人権が保障されるのか。障害者だけに偏る人権であってもいけないし、難しい。

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2013年12月30日

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