前野ウルド浩太郎のレビュー一覧
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バッタアレルギーのバッタ博士による「バッタに食べられたい」という子供の頃からの夢を叶えるための冒険譚。
とにかく文章にユーモアが溢れてて、クスッと笑いを通り越して思わずニヤニヤしてしまいました。
度重なるアクシデントやトラブルにも決して諦めず、どうにかして知恵を絞り、現地の人と協力してなんとかしていく姿は、読んでいてとても勇気付けられること間違いなしです。
全体を通じてとてもコミカルだけれども、その研究には大きな意義があって、「こういう人に研究費用をもっとあげて!!」と叫びたくなります。
笑いあり感動あり、一気に読み進めてしまう魅力に詰まったエッセイ。
こんな人と一緒にいると、楽しい -
Posted by ブクログ
私は動物園の動画を見るのが好きです。そこには時おり、動物への変態的とも言える愛情に溢れた飼育員さんが登場し「動物に踏まれたい♪」などと言い出すのです。
こうした専門分野の人の、飼育、研究対象への愛って凄まじいな…と思っていたら、この本の著者・前野 ウルド 浩太郎さんもそうした異常な愛情の持ち主でした。
まず、彼の行動原理は「緑色の服を着てバッタに食べられたい」なのです。何でも昔、バッタが緑色の服を植物と勘違いをし、服ごと食べてしまった話があるそうです。
幼い頃、それを聞いた前野さんは自分もバッタに食べられたいと願い、バッタ研究者の道へ。
しかし現実は厳しく、博士号を取ったとはいえ、就職 -
Posted by ブクログ
『バッタを倒しにアフリカへ』の続編。新書なのに606ページ。一気呵成に読まないと、永遠に読み通せないかもしれない。
舞台は、モーリタニア、アメリカ、モロッコ、フランス、そして日本。ノリは正編と変わらないか、あるいはそれ以上、ノリノリ。
第2章はacridology(バッタ学)の研究史。ちゃんと「出エジプト記」から始まるが、そこはウルド、ちょっとおちゃらけが入る。(acridologyという単語、手元の英和辞書には載ってないよ!)
最後のほう(第9章)では、世界的なジャーナルへの投稿で奮闘。何度かのリジェクトののち、めでたくPNAS誌にアクセプト。
locust(バッタ)とgrasshopper -
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手に取るもすぐ、…戻す?と固まってしまった。
ボリューム!
びっくりしてこれが続編だと、この時点で気付けなかった。
気が遠くなるデータ収集。論文執筆。
砂漠での、とんでもない苦労の数々。
全てを詰め込んで、この見た目の一冊に仕上げる著者のセンス。いいなぁ。
少々疲れてきた頃に、7章でティジャニさんの話が来て、おぉ!と思っていたら、「これを楽しく読んで終わりじゃ駄目だよ!」と牽制球が飛んできた。
見透かされてる。笑
論文執筆の話では、しみじみ大変な世界だなーと
ご苦労を労っていたら、次の見出しが
「同志農家よ敵を撃て」と来た。
流行りに乗っかるスタイルも良きですが、落差で風邪引くとはこうい -
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「バッタを倒しにアフリカへ」の続編。
ひまわりめろんさんのご忠告どおり、ものすごく分厚い!普通の新書本の倍くらいの厚さはあるんではなかろうか。全10章から成りますが、バッタ学の話あり、外国生活の話あり、論文の書き方や掲載されるまでの流れの話あり、はたまた前作でも活躍してた音速の貴公子ティジャニの章まであり、色々と盛りだくさん。幕の内弁当か大人のお子さまランチか…と言った感じです。
色んなものを一度に読みたい、著者先生の楽しい語り口の好きな方オススメです。
でも個人的にはせっかくのバッタ博士先生なので、もっとバッタの話も読みたかったです。また本だしてくれると嬉しいです。 -
Posted by ブクログ
筆者はアフリカの砂漠に生息する、サバクトビバッタというバッタを研究する研究者である。本書に書かれている経歴を見ると、弘前大学(学士)、茨城大学(修士)、神戸大学(博士)で学位を取得し、京都大学で特定助教を務めたのち、現職の国際農研で主任研究員を務めている。その間、アフリカやアメリカやフランスでも研究経験を持つというキャリアを有する本格的な研究者である。本書は、筆者オリジナルの、サバクトビバッタの「集団別居仮説」を10年がかりで研究し、見事、メジャーな学術誌に掲載され(それは、研究としての成功を意味する)たばかりではなく、学術関係の賞を受賞する(それは、筆者の研究が優れたものとして認められたこと
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ネタバレここまでのボリュームの本を書かれては、☆は5つつけるしかない…
前作も読んでいたが、その後の前野氏の七転八倒の研究がどのように進められたかが事細かに描きつくされる。
条件がそろえば異常発生するバッタ。しかし通常の状態では捕まえることすら難しく、集団で着地している状態のバッタを見つけることはさらに難しい。しかも現場は気温40-50度に達する砂漠。動くことですぐ体力は削られ…
そんな中、著者はふと、バッタが雄雌別々の集団を形成していることに気づく。そしてそれが発見へつながる。
研究者が研究を進めるには、カネ(給与をもらえるか、研究費がつくか)、そして周囲との人間関係を築けるか(無