前野ウルド浩太郎のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ私は虫が苦手だ。正直に言うとこの世からいなくなってしまばいいのにと思っている。だったらなぜこの本を読んだのか。それはひとえに、この本の著者が私と同郷であり、著者縁の地ということもあって地元の本屋に平積みされているのを見かけたからだ。なんか表紙もファンキーだし。これはズッコケアフリカ道中記の予感。笑わせてもらおうじゃない。
と思っていた時期が私にもありました。はい、舐めた理由で読み始めて申し訳ございませんでした。とても崇高な志で研究に打ち込むも様々な不幸と困難が立ちはだかり、挫けそうになりながらも不屈の闘志で立ち上がって、そびえ立つ大きな壁を乗り越えたり乗り越えられなかったりする素晴らしい研究記録でした。
最後まで虫は好きになれなかったけど、著者の生き方には敬意を表します。
私のような一般人からすれば雲の上の存在とも思える研究者という職業の明日のメシのタネも定かではないという実態。そんな無職一歩手前という状況にも関わらず、机上の空論ではないリアルなデータを求めて、様々な制度を活用しバッタ被害の中心地、アフリカに赴くバイタリティたるや。とてもじゃないけど真似できない。
いろいろと手抜かりなところもあったりして、そこをおもしろおかしく書いてくれているおかげで学術的な小難しさをあまり感じずに楽しく読むことが出来ました。
そしてどうやら続編もすでに出版されているみたいだ。これはぜひ読みたい。同郷ということもありますが、真摯な気持ちで研究と向き合う著者のこれからの研究者人生を応援するつもりで、続きも読みたいと思います! -
Posted by ブクログ
全くバッタに興味がなかったが、たまたま手に取った一冊。結論から言うと、とても面白かった。
この人の書く文章が軽快で読みやすく、登場人物もみんな個性的で面白い。特に、相棒のティジャニがとても優秀で、頼もしい存在だった。
モーリタニアでの生活では、日本とは違う文化や習慣に驚かされた。
また、研究者としての厳しい現状についても知ることができ、普段はあまり知ることのない世界を覗いたような気がした。
ただ、突然バッタのドアップや大量のバッタの写真が出てくるので、そこには何度かびっくりした。虫は苦手だが、それでも最後まで楽しく読むことができた一冊だった。 -
Posted by ブクログ
今年読んだ本の中でも指折りに好きな一冊。バッタ研究の面白さはもちろんだが、何より、夢を追い続ける著者の姿に心を動かされた。
無収入になることも顧みずアフリカで研究を続け、困難にぶつかりもしたが、「自分が成し得ることの価値」を信じる。自分の夢を口にしたからこそ生まれた数々の出会いが、やがて研究を前に進めていく。そして最後には、その情熱が母校の秋田の高校生たちへ伝わっていく。この流れがとても美しかった。
「私の『普通』など世界では所詮『例外』なのだ」という言葉にも強く惹かれた。異文化の中で自分の常識を疑い、計画通りにいかない現実に向き合う姿も印象的。
専門的な研究の話なのに、ブログで鍛えたという文章は驚くほど読みやすく、笑えて、最後には胸を打たれた。夢は叶うかどうかだけでなく、語ることで思わぬ人や機会を引き寄せるものなのかもしれない。 -
Posted by ブクログ
2017年発行の前作『バッタを倒しにアフリカへ』。たまたま行った本屋でコーナーの一角にたくさん平積みされていた。全身緑の衣装で眼光鋭く虫取り網を構えるバッタ博士こと前野先生の写真は陳列されている本の表紙の中でも一際目立っていた。本を手に取ってパラパラとめくってみると「バッタに食べられたい」とかいう文言が目に飛び込んでくる。「新書らしからぬ」というのが最初の印象だった。しかし、いざ買って読んでみると、バッタの生態のみならず、アフリカの文化や、社会人としての働き方など、著者の人生がぎゅっと詰め込まれた、瑞々しい体験が綴られている本で、働き始めたばかりで失敗続きの私は、先生が遠い異国で奮闘する姿とその知見に大いに励まされた。
続巻が出た暁には絶対に新刊を本屋で買うのだ、博士の活動費の足しにして頂くのだ、と心に決めており、2024年に本書『バッタを倒すぜアフリカで』が出た時は喜び勇んで本屋に買いに行った。それからずっと積んでいたけれど2026年になってやっと読んだ。
私が働いている職場では、2019年のコロナ禍をきっかけに、海外拠点から来ていた社員さんの多くが帰国してしまった。コロナが収束していけば以前のように色々な国籍の人たちが行き交う風景が職場に戻ってくるかと思っていたけれど世界の緊張感は増すばかりで、そんな風にはならなかった。いろいろな国で戦争が増え続け、2026年2月末の中東情勢緊迫化に伴ってホムルズ海峡が封鎖されてから、いよいよ私の生活にも色々な影響を感じるようになった。必要な資材が入ってこなくて仕事のスケジュールに影響が出たり、カルビーのポテトチップスが白黒パッケージになったり。
閉塞感を感じる日々の生活の中、『バッタを倒すぜアフリカで』で前野博士が示してくれる、壁を真正面から突破し続ける姿は、前巻と同様にやっぱり励まされた。
正面から突破といってもすぐに壊せる壁ばかりではない。何が起こっても、世界中の伝手をつかって研究を続ける突破力もすごいのだけれど、絶対にこの方向で貫通すると信じて、熱心にやり抜く忍耐力にも感嘆する。スプーンで一さじずつすくって厚い壁を掘り進めるがごとく。研究や論文というものはなんと地道な積み重ねなのだろう。
社会を維持するために対立をどのように管理するのかは大切である、という大きな関心から、サバクトビバッタの繁殖行動が果たしてどのように雌雄間の性的対立にかかわる問題を解決しているのか、という流れで論文を執筆し始めた。
『バッタを倒すぜアフリカで』p.484より
サバクトビバッタは普段、雌の集団と雄の集団が別々で生活していて繁殖の時に雄雌は群れを成すのではないか、という着眼点から博士は沙漠で過酷なフィールドワークに挑む。過酷であるし、予想外のアクシデント続きでつらい。でも語り口がおもしろおかしい。ユーモアのところを書いちゃうと、ギャグの面白い所を説明する野暮なヤツみたいになってしまいそうだからやめておくけれど、今の時代に漂っている閉塞感は集団幻覚でも患ってるのかもしれないと思うくらい、読んでいるとワクワクしてくる。
アフリカはイスラム教徒が多い国で、日本で暮らしている私にとっては全く馴染みの無い国だけれど、著者のディープなアフリカ暮らしの目線から書かれている人々の生活ぶりはパワフルで、親しみに溢れている。論文調の文章を好む人はこの本を回りくどく思う人がいるのかもしれない。しかし、広く色々な人に読んで欲しい、色々な人の興味関心を喚起したい、という願いが一冊の本に貫かれていて、私のように世界を狭く生きている人間の心を打つ。
専門外の人へ説明することを徒労に感じたり、対立相手はエネミー!になる事が組織的にも個人的にも多くなっている。もし「アフリカの農作物をバッタが食い荒らしている現状を知らない無知な読者(お前)」という雰囲気をこの本が持っていたら私は読み切れなかったと思う。
「こんなことも知らないのか」に耐えられない非力な私(読者)にどこまでも並走してくれる、懐の深い一冊だった。 -
Posted by ブクログ
青年記としての色合いが濃かった「バッタを倒しに〜」に比べ本著は研究色が強い。とはいえ学術書ほどお堅くはなく、専門的な分野もすんなりと頭に入ってくる。
この本を読まなければバッタ学なる学問
永久に知ることはなかった
孤独相と群生相について詳しく知る事ができて知的好奇心が満たされる
バッタなんて何の興味も関心も無かったのに
今やどんなバッタでも見つけて観察したい気分
「バッタを倒しに〜」の中で著者に匹敵する濃いキャラだったティジャニの話もがっつり楽しめた!
表紙の写真
もう一人はティジャニだった!
著者にとってはバッタ研究の欠かせない永遠の相棒なんだね
バッタの繁殖行動を解明し、バッタ被害の
防除研究に貢献していくであろうこれから
著者のバッタ愛から導かれた必然だと思っていたけれど、逆境や挫折も同じくらい運命を引き寄せる力になっていたのかもしれない
論文発表にこぎつけた本著
新たなスタート地点に立っているウルドさん
バッタ共々何かの機会でまた出会えたら嬉しいな