近藤譲のレビュー一覧

  • ものがたり西洋音楽史

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    とっても分かりやすくて、そのうえ示唆に富んでいる。中世から20世紀までを各時代ごとに概観していくのだけど、相対的に評価するスタンスをとっていて、これがいい。
    とはいえ、芸術っていかに独自性を出せるか、新しい試みに挑んでいるかに価値があると信じている人間にとって、芸術性も相対的に評価される現代は辛いな。特に音楽がビジネスになっちまった今、音楽を通して芸術性を求めていくってどういうことなんだろうね。

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    2021年04月18日
  • 高校生と考える世界とつながる生き方 桐光学園大学訪問授業

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    「私は この小説を書くときに、読んでくださる人が小学六年生までの漢字を読む力があれば読んでもらえるものと思ってこの作品を書き始めました」
    と「氷点」を書いた三浦綾子さんがいってらっしゃいました。

    この本の中で出張授業をされる先生たちは
    もちろん、その道のプロフェッショナルの方たちです
    そして、聴いている対象者たちは 中学生、高校生たち
    その語り口が そのまま 一冊の本にまとめられました

    その「語り口」を読んでいて
    冒頭の三浦綾子さんの言葉を思い起こしたのです

    本当の専門家は
    ただ感心させるだけでなく
    それなら 僕も(私も) 何かやってみよう
    そんな気にさせてくれる方なのです

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    2016年07月05日
  • ものがたり西洋音楽史

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     中世のグレゴリオ聖歌から二十世紀初頭の前衛の作曲家たちと、それが衰退するというところまで「前後の時代とのかかわりを意識しながらもそれぞれの時代の音楽様式の特徴と特質を描きだすこと」(p.7)を中心に語られる西洋音楽史。
     2冊前に読んだ中公新書の『西洋音楽史』よりも著者独自の見解みたいなものはだいぶん後ろに退き、たぶん、もっとオーソドックスな、それなりにたくさんの作曲家が紹介され、目次もきちんとついている、そういう本だった。
     次に印象的だった部分のメモ。実はすごく小さい時に教会に行ったことがあって、そこで歌われるあの独特な「詩編の朗唱」というのが頭に残っているが、「歌詞の文章のほとんどの音

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    2021年08月20日
  • 線の音楽

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    筆者がクラシック音楽の伝統と真摯に向き合い、その歴史も踏まえながら、自らの作曲に向き合っていることは十分に感じ取ることができた。
    音楽の「聴き方」は基本的に受け身である、という指摘にはいささか疑問の思うことがないわけではなかったが、「聴き方」ということに限って言えば、いわゆる現代音楽(無調、総音列、音群など)は、聴いていて「感動」を覚えることがあるのだろうかと思ってしまう。感動のあまり、つい涙を零してしまうというような経験は、たぶん「現代音楽」の場合にはないように思う。つまりは、「聴き方」が違うのだ。
    でも、音楽というのは、個人的にはエモーショナルなものだと感じている。そういう意味では、そんな

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    2020年10月11日
  • 線の音楽

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    まだちょっとしか聴いたことはないのだが、正直なところ、近藤譲さんの音楽にさほど深い感銘を受けたことはない。
    本書は氏の基本的音楽論を展開するものだ。時代は1979年、ベリオらの「前衛の時代」は終わりに向かいつつあった(と思う)。
    近藤さんはセリエリズムや音群的音楽(クセナキスなど)を「イディオレクト(個人言語)」と呼んで批判する。では著者の目指すのは「普遍的言語」なのだろうか。しかし本書に「普遍」という語は明記されない。
    けれども、実際に近藤さんの音楽を聴いてみると、確かに古びた主情性とも構築性とも意味体系とも隔絶しているものの、聴取にあたって何らかの「作者による説明」を必要とするような、そん

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    2014年08月15日