青羽悠のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
4人の20代の若者と2人の高校生を主な登場人物とする「夢」をテーマにした小説。
著者の2作目である『凪に溺れる』がすごく良かったので、著者のデビュー作であり、当時高校生でありながら小説すばる新人賞を受賞した本作も読んでみた。感想としては、高校生が書いたにしてはすごくよく書けている小説だと思ったが、2作目の『凪に溺れる』に比べると、ちょっと凡庸というか、まだ青さを感じた。具体的には、登場人物のキャラや台詞があまりこなれていないというか、自然でない感じがした。
一方で、青春時代に対するセンチメンタルな気分を惹起させるような刺さる部分も随所にみられ、読後感の良い作品ではあった。 -
Posted by ブクログ
自分が大学生活を送る中でたしかに感じていた言語化できない、大学という場所が生み出す景色とか思いが描かれていたと思う。常に新しいなにかを求めているのに行動はできない。成長したと思っても変わらないものの中に囚われている。焦燥感。周りはどんどん進んでいて、自分だけここに取り残されているんじゃないの?っていう焦り。それは常に私が感じてきたものだけど、それはみんな感じる、普遍的なものなのかなと思えた。あと今こうやって過ごしてる時間は後から振り返ったら何も残らないんじゃない?ぜんぶ忘れちゃうんじゃないっていう不安。でもそうやって燻ってうだうだしていた時間を引っ括めてそれは大学生活の中で価値あるものになるのではないかなと感じた。
とりあえず京都に行きたくなった。 -
Posted by ブクログ
読書備忘録897号。
★★★。
青羽さんは凄い方です。高校生の時に小説を書いてなにか賞を獲った。そして、この作品は京大大学院在学中に書いた。
究極に頭良いんですよ。そしてカッコいいんですよ。見栄えが!
本作品はラノベ感覚の青春小説。
青羽さんがどういう学生生活を送っているのか存じ上げませんが、私小説的な感覚はあるのかないのか?
京大出身の小説家、森見登美彦さんや万城目学の世界観は京大にあるのでは?と京大に入ったとのこと。すげえ!
ただ、この作品は大学生を主人公にしたステレオタイプの青春小説という感が。
「ふぞろいの林檎たち」の衝撃は全然超えられない・・・、と思う。知らんけど。
そして、ホルモーに代わるとんでも世界感・・・、でも無く。
大学とは?
①普通に行けば、在学中に成人する。未成年から大人へ。タバコ、お酒。ただただ闇雲に大人を経験する時。
②学生という枠組みの存在から、百人百様の社会人・・・、もっと言えば自分はなんなんだ?何になるんだ?という試行錯誤の時。
この2つの"時"が交錯するとき、登場人物たちが青い世界に不安定な足場の上で浮遊する。
ちょっと良いな、と思ったのは物語の舞台。
旧文学部棟という壊れかけた建物の地下(キューチカ)。そこにひっそり営業するバー「ディアハンツ」。
主人公の田辺朔は、バーのマスター(学生)夷川歩からマスターを引き継ぐ。
歩は言う。「人は人を救えないけど、場所は人を救える。ディアハンツを任せた」と。
場所がヒトを救う。良いなぁこのフレーズ!
ただ、う~ん。
自分が京大のような個性の塊のような大学には行ってないし、大学時代、学業以外は体育会テニス部に明け暮れていたので響かない世界でした。
テニスだけをやってどうやって単位を取るか!しか考えていなかった・・・。
平凡すぎる大学時代を過ごしたってことなんだろうな。今考えると寂しいわ。
ということで、大学生活の風景が描かれているだけでストーリーが見え難かった。ジジイには。
なので備忘録はこれにてさよなら。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ若い方の作品はほんと素敵ねぇ、と思いながらどっぷり浸らせていただきました。
史上最年少ですばる新人賞を受賞された作家さんですが、意外に感じたのは、一回り以上違うはずの自分の学生時代とキャンパスライフの印象があまり変わらないこと。
え? 今の若い子って、こんなにハチャメチャやるの……?
もっとスマートでドライなのかと勝手に思っていましたが、お陰様で自分の青春の思い出に引き寄せて読み進めることができました。
ファム・ファタールの野宮さんと、乗り越えるべき壁としてそびえる夷川さん。
父親不在の機能不全家庭で育った野宮さんが人として未完成な若いうちに、彼女の中へ入りこんで懐柔していった(と主人公の田辺くんは見ている)夷川さんのグロテスクさが冴えていました。
彼のマッチョイズムから強烈な洗礼を受け、地下サークルのバー「ディアハンツ」を守り、そして彼からの卒業に成功した田辺くんにあっぱれと言いたいところですが、一方でそんな田辺くんも日岡さんを振り回しているところにリアリティを感じます。
人からの影響って、プラス面もマイナス面も渾然一体となって、ぐちゃぐちゃになって押し寄せてくることがありますね。
モラトリアム期であればなおのこと。
だからこそ臆病な田辺くんは、人との関わりでなく「場所」や「学問」を志向したのでしょう。
田辺くんは抑制的で控えめ、そして自覚的な青年ですが、日岡さんや北垣君に対しては割と鈍感というか、ナチュラルに傷つけている場面がありました。
そういう相手こそ大切にしてもらいたいなと、おばちゃん目線で感じてしまいます。
なんにせよ、みんな自分の生き方を真剣に見つめていてえらい!
若者を応援する気持ちがあふれてくる、素敵な小説でした。
京都という場の設定も素晴らしかったです。