あらすじ
自分にも劇的な未来が待っている。そう信じられなくなったのは、いつからだろう――。16歳にして小説すばる新人賞史上最年少受賞を果たした鮮烈なデビュー作、『星に願いを、そして手を。』から三年。現役京大生となった若き才能が、“青春の難題”に立ち向かう! 読了後、静かな感動と勇気が押し寄せる、「救い」の物語。 【あらすじ】仕事も恋愛も惰性の日々を過ごしているOLの遥。ある日遥は、無名のアーティストの曲がYouTube上で「バズって」いるのを見つける。その曲にとてつもない引力を感じた遥だったが、数日後、そのアーティストの公式サイトで、「2018年10月23日、Vo.霧野十太逝去。27歳」の文字を目にする。なぜ1年も前に亡くなった無名のアーティストの曲が、今更注目を浴びているのか。霧野十太とは何者なのか――。一人の天才音楽青年と、彼が作った「ある曲」を軸に、夢と理想、そして現実とのはざまで藻掻く6人の人生を描き切った、著者渾身の青春小説。
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Posted by ブクログ
1人の天才とそれと関わる人たちとの物語。
すべてが繋がっている…。
めぐりめぐって。
最初の章から、この音楽を聴いてみたい!と思わせられた!
みんなそれぞれ前に進むんだ。
Posted by ブクログ
一人の天才を取り巻く「普通」な人達と、一人の天才もまた「普通」だった話。
物語の中に出てきた「凪に溺れる」の曲、聴いてみたくなった。存在しないのが残念。
私の周りにはこうして突出した天才はいないけれど、人より何らかが抜きん出ている人はいた。私もああなりたい、届きたいと思っていたけどその気持ちに陰りが見え始めたとき嫉妬に変わった。あの気持ちも全部まるっと、私の青春の中にあった。
日常に紛れる天才の描写がとても上手いと感じた。
Posted by ブクログ
「凪に溺れる」という一つの楽曲の周りにうごめく色んな人の感情の起伏が面白かった。
夢を諦めるのか、
孤独の中を進むのか
今を愚直に生きるのか、
色んな視点での葛藤とそれぞれが出す答えに人生の希望を貰える作品。
Posted by ブクログ
あるバンドマンの死去、それが様々な人々に波紋を起こす。
本書はミステリではないがミステリ小説のような構成で一気に読ませる秀作である。
例えばカート・コバーンやシド・ヴィシャスがその例だが、才能の詰まった人というのは普通の人生を普通に歩けない。生きるのがどうしても上手くいかない。
本書に登場する十太(じゅった)もそうで、彼はバンドをしたくてもことごとく上手くいかない。そして悲劇が待ち受ける。
時間を遡る形式にして描かれる本書は青春の、何かが始まりそうな予感を前面に押し出している。陳腐な言い方をしてしまえば伝説の始まり、だろうか。そして大勢の若者がそうであるように彼らもそれに敗れていく。だがここでストーリーを投げ出さないのが本書のいいところだ。青春小説のくせに青臭くなく、真正面から衝動を切り取った面白い一冊だ。
Posted by ブクログ
純文学のような文体と言葉選び、そしてミステリ小説のような伏線や話の構成で素晴らしかった。
アーティストの霧野十汰とその周りにいた人たちのアンソロジーになっていて、主題は10代から20代の漠然とした「なにか起きるかも」という希望とそれを失う様々な瞬間が描かれていてとても良かった。
Posted by ブクログ
「星に願いを、そして手を」で評されていたように、まだ文章に荒削りな部分はあるのかも知れないが、ストーリーとしてはとても読みやすくて、一気に読み切ってしまった。
主人公視点の章がないところや内容に桐島に似たものを感じさせる雰囲気があって好みだった。
まだ2作しか出されていないが、早く新しい作品を読みたいと思う。
Posted by ブクログ
2000年生まれの作家さんだそうです。
2018年10月23日に亡くなったボーカリスト霧野十太27歳と巡る人たちの物語です。
十太と中学2年生のわずかな間だけ同級生だった、スイマーを目指す大宮夏佳は十太と初恋をしますが、転校により別れ別れになります。十太は夏佳の為に曲を作ります。夏佳はその曲をずっと覚えています。十太との約束も。
十太の初めての彼女となる高校の少し危ない同級生、小崎聖来。聖来は十太のことを「私の神様」と呼ぶようになります。
そして2015年。十太とバンドを組んでいたギターの石田正博。ベースの金木梓。ドラムの原田弘毅。やがてバンドは解散してしまい十太は一人になります。
十太をデビューさせようとするワンダーミュージックの辣腕プロデューサー北沢。北沢は奇しくも十太の父の霧野久太と母親の加奈と同郷で高校の同級生で一緒にバンドを組んでいました。
そして2019年。フリーのライターの相葉光莉は大学の寮のライブで十太たちの曲を聴いて覚えていました。光莉は水泳選手の大宮夏佳28歳のインタビュー記事を書き夏佳とともに十太の故郷である海辺の町を訪ねます。
夏佳には婚約者がいますが「泳いでいればまた十太に会えると確信しました」といいます。
十太と夏佳は特別な間柄の初恋の相手でしたが十太にも聖来がいました。
「すべてのものは繋がるべくして、繋がっている」登場人物の誰かの言葉が響きました。
2000年生まれのこの作者の作品はストーリーティングも上手いけれどセリフが光っていると思いました。
十太の母の加奈「逆よ」「次第にねこうして微笑むことしかできなくなるの」
夏佳「彼は愛の中で死んだ。宿命には殺されなかった。私はそれが、嬉しくて少し寂しい」
「私は、わたしがこれまで信じたものを、これからも信じていく。それだけです」
Posted by ブクログ
一人の天才、霧野十太をその取り巻く人たちからの視点で書かれた物語。読んでいる私も霧野十太に引き込まれるような感覚になった。“凪に溺れる”という曲も本当にあるような錯覚に陥ってしまうほど……あったら聞きたい✨️音楽好きにもたまらない本だと思います!!
Posted by ブクログ
何かに想い焦がれ、目指し、そして思い知らされたひと。あるいはその途上にいるひと。きっとこころを揺さぶられるはず。
凪に溺れる。
波風もなく穏やかで凪いだ水面のような人生に、波乱を、変化を期待してもがいた若者たちの物語。
映像化してほしい!
Posted by ブクログ
主人公十太の歌によって「何かができる」「どこかに辿り着ける」と感じさせられた人達が、悩み、成功し、挫折する、そんな物語りでした。
安っぽいドラマのようになりそうなテーマと思いましたが、よかったです。深く考察されて、実話なのかなと思わせる感じもあり。星4つです。
「ヒカリノオト」(河邉徹)と印象がかぶりました。
Posted by ブクログ
327ページ
1600円
1月19日〜1月28日
中学時代に出会った十太と夏佳。十太が夏佳に送った曲が、時を越えて様々な人に感銘を与える。夏佳が再び十太の存在に触れる時、真実が明らかになる。
十太というキーパーソンが始めから亡くなっているところから始まる。なぜそうなったのか少しずつ輪郭がハッキリしていく。
Posted by ブクログ
孤高のミュージシャンと彼を取り巻く人たちを描いた物語。
懐かしさ、衝動、諦め、上手く言葉にならない感情を見事に表現していて、とても良かった。
思春期に抱いていた、どこまでも行ける、これなら何者へとなれるという衝動と予感、現実と諦めと絶望、ままならなさ。
誰の心の底にもあって、埃をかぶっている感情をもう一度共鳴させてくれる一冊。
☆4.0
Posted by ブクログ
読み終わったあとうまく息ができなかった、
自分も「凪に溺れる」のタイトルと共にどこか遠くへ行ってしまうじゃないかと不安になった
良い話だった、面白かったそんなありきたりな言葉で片づけられない。もっと魂の奥底で響くような話
この話を読んで感じたのは、人は皆どこかで繫がってるんだなと強く感じたこと。
この物語は、霧野十太に影響を受けた者達が、その影響を信じていいのかというところでそれぞれ葛藤していく物語。
個人的には、夏佳が十太とくっついてほしかった
でもくっつかなかったこそ、十太は皆が一目置く存在になったとも思う。
Posted by ブクログ
面白かったけど、聖来がイマイチ好きになれず、本当は夏佳とくっついてほしかった。
でも初恋なんてそんなもんか。
霧野十太が歌う歌を聴いてみたい。
恐らくビジュアルが私好み。
Posted by ブクログ
凪に溺れる/the noise of tide
バンド好きだから分かる部分が多かった
あの曲のあのフレーズが胸に沁みる
泣けて仕方ない経験なんてたくさんある
下北沢のライブハウスでひっそり人気で
でも爆発的に売れるわけでもなく若くして死ぬ
天才ほど短命ってよく聞くけど綺麗事だと思う
天才ほど長生きして色んな才能をみせつけてほしい
いろんな人を虜にしたアーティストだけど晴れ舞台もなく悲しかった
十太みたいに才能に溢れてても花咲かない人なんて山ほど居るんだと思った
YouTubeだったりTwitterだったり
色んな媒体が現代ですごく今っぽさ全開の蒼さがあった
2,000年生まれの作家さん
Posted by ブクログ
音楽によって、ゾクゾクするあの感じが伝わってくる。十太の音を聞きたくなる。
十太と夏佳の中学時代が甘酸っぱい反面、十太がどうして聖来と一緒にいるのか、どこに惹かれたのかわからなくて淋しさ故なのか持て余してる空白からなのか、最後まで2人を応援できなかった。
Posted by ブクログ
音楽をやりたいと思っていた私にはとても心に響くお話だった。天才の儚さに憧れてしまうような
とにかくこの小説を読むと、
ギターを弾きたくなり大声で歌いたくなる
Posted by ブクログ
ハタチでこれを書いたのか。
すごいな。
霧野十太という無名アーティストひたむきな生き様が、
いろんなことをあきらめかけている若者たちの人生に影響して、
彼らが交差していく青春群像。
十太が作ったある曲を通して、「何者かになりたい」「劇的な未来が待っている」そう信じたい、わたしたちのすぐそばにある物語でした。
今後が楽しみな作者です。
【本文より】
・「相手の退屈な話に付き合うのは、相手を突き放すのと同じことよ。相手を相手自身の檻に閉じ込めてしまう」
・大きな流れの中で、誰もが何かを諦める。それを大人になるとか言い換えて、のうのうと生きている。そんなもんだ。
・回想はいつだって美しい。
・「十太が教えてくれたんです。憧れを信じて、ずっと前を見る。他のことなんて知らない。泳ぐことしかできなくていい。とにかく泳ぐんです。それ以外はすべて些細なことです。私を認めるのは私だけでいい。そうやって進んできたんです」
Posted by ブクログ
聴く人の胸を不思議と震わせる歌『凪に溺れる』を歌う霧野十太。この歌が誕生する中三から、27歳で亡くなるまでの約12年の間で、十太と深く関わりを持った6人による連作短編。あまり人と交わらず、常に遠くを見つめ、ひたすらギターを弾き歌い続ける十太は「自分はこのままでるいいのか?」と皆の心をかき乱す。ミステリアスというか、ずっと十太が何を考えているかイマイチ分からなかったけど、最後まで読むとそれは意外とシンプルで潔かった。ただ、どうしても聖来が好きになれなくて、それだけにラストに少し不満が残った。
Posted by ブクログ
「凪に溺れる」という曲、それを作って歌った十太という男性を、彼に巡り合ってきた人たちが語り探す。溢れる音楽と共に迷いなく進む十太、ついて行けず降りる仲間…この辺りの話がとても刺さった。
今回も初の作家さん、またタイトルに惹かれて手に取ったけど、良かった。
Posted by ブクログ
どこへでも行ける気がして、何かが待っている気がして、憧れに生き続ける日々はやがて終わりを迎えることになるのか。
一つの曲にインスパイアされて、音楽青年だった十太を追いかける彼らは、予感の波に乱されながらも、何かを救いとろうともがいているように私には見えました。
揺らぎの中で見る光ほど、美しいものはないだろう。
Posted by ブクログ
1人の人間が作り出す音楽を通じて繋がる人々を
描いた物語でした。
途中まではそれぞれ繋がっていく人生が面白く
読み進めましたが、最後ちょっと失速気味だったかな?と思います。
個人的にあまり好きな展開じゃなかったです……。
誰かに背中を押されているようで、自分でちゃんと生き方を選択してる。
神格化している人もただの人なんだ。
Posted by ブクログ
一つの音楽によって様々な人の心を動かし交わり合っていく話。音楽は違う存在と思いながらもどこか照らし憧れ、共感している。
何かに感動する気持ち、無性に心が動かされるものに助けられては縛られるような感覚を覚えたのがあったと思い出した。成長にするにつれ過去となっていくが原動力の一つだったと思った。
Posted by ブクログ
そんな音楽に、最近出会えてないなぁ… ちょっとしたの変化のきっかけ、
一歩踏み出す背中のひと押し、
しんどい時の心の支え。
ひとつの音楽が、
そんなカタチで及ぼす影響、
人々のつながりがよい。
音楽に少なからず影響を受けて育ってきたけど、
人生を変えるような出会い、
あったかなぁ…
ずっと、
そんな出会いを求め続けてるような気がする。
Posted by ブクログ
十太の心の中の暗い「凪」から、美しい音楽が生まれ、出会った人たちを巻き込んでいく。
十太の望んだものは一体何だったんだろう。
夢を追い続ける人の目はキラキラ輝いているものだと思っていたが、視線の先に何を見ていたのだろう。
十太の息子には、違った生き方をして欲しい。
尾崎豊の歌が遠くから聞こえてくる。
Posted by ブクログ
なりたい自分であること、大人になること。
祈り。
書こうとしているのはこういうことなのかもと思う。
登場人物全員に書かれるべきストーリーがあるが、人物切りで章立てし、かつ章ごとに舞台となる年が切り替わるため、それぞれがどうしても短く淡白になり描ききれていない印象。
登場人物たちの心理描写はリアルを追求しているように感じられる一方、十太と父親との人生の重なり方は非現実的な創作感が漂っており、ちぐはぐに感じてしまった。
十太の魅力、十太が聖来と惹かれあった理由、タイドオブノイズが人々の心に響く納得感など、もっとクリアになるとストンと来そう。
文章はちょっと詩的な感じもあってきれいで魅力的。
登場人物の描き方が、共感できたり、感情移入してしまうようなものになってくるともっと多くの人が引き込まれると思う。
青葉さんが書く、ある1人や、1組にもっとフィーチャーした作品を読んでみたい。