青羽悠のレビュー一覧
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個人的に難しい本だった。
数年前に『星に願いを、そして手を。』で知った若い才能で、『凪に溺れる』でグッと心掴まれた著者の、初めての青春小説以外の作品。
元から全般的に共感しやすいわけではなく、どこか超然とした思考や真意があり、それらを掴むまでには時間がかかる印象だったけど、今作はその感じが顕著だった。
幾千年もの時間を跨いだ舞台や、巨大な木の恩恵という設定は興味を惹かれるしワクワクするけど、どこか自分とはかけ離れたところで物語が進んでいるような、一種ののめり込めなさが常にあった。もちろん、個人的な読解力の問題ではあるけど。
いろんな変遷を経た上での最終章の、「もう死んだようには生きたくない。ち -
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ネタバレ古来に突然現れた謎の巨大な木。地球上には存在し得ない構造、一体何によって何のために生まれたものなのか、、?
舞台となる時代が異なる5つの短編集になっていて、人々と木の関係性や生き方の変化に注目です。
1つ目は原始的な世界で、木を中心とした信仰の中で生き、祈りを捧げる少女の話
2つ目は木の上に建つ天文台で星を観察することに全てを捧げる青年の話
3つ目は国の危機に、生まれながらに木を中心とした信仰の拠り所となった少女が立ち向かう話
4つ目は人生に絶望した配達員の男が、木に関する研究によって時代が変わる瞬間を目の当たりにする話
5つ目は科学技術が限界まで進み、人々が退化し機械化していく中で、人間らし -
Posted by ブクログ
ネタバレ幼なじみの薫、理奈、春樹、祐人は、町の科学館で多くの時間を過ごした。
館長や奥さんの乃々さんと過ごした高校時代は、唯一無二の大切な時間だった。しかし、理奈と祐人の破局をきっかけに何となく疎遠になってしまった四人が、館長の死をきっかけに再会する。
とてもフレッシュな作品だった。
作者が16歳だということもあってか、学生時代の話がとてもリアルで瑞々しく感じる。しばらく読書から離れていたので、自分の感性が急に年をとってしまったように感じた。将来の夢に対するひたむきさが眩しくて、共感よりも先に自分との乖離を感じた。夢にガチンコで向き合える期間は、渦中にいる間は気が付かないけれど、案外少ない。
物語 -
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古本屋でたまたま目にして気になったから購入。
著者が16歳の時に書いた作品で、16歳でこのような作品を書ける事にはただただ脱帽。
恐らく、ネットの世界にはもっと色々な作品が溢れていて日の目を見るのを待っているのかもしれない。
今作は、タイトルにもあるように星が重要なテーマになっている。
閉館になる科学館を舞台に昔の友人が集う。
なんか、それだけでいいなぁ〜と思う。
子供から少し大人になって、幼少期を過ごしたところに、そのとき過ごした仲間と集う。
いつかやってみたいな。
河村さんいいなぁ〜。
それにしても、プラネタリウム。
寝ちゃうんだよなぁ〜。 -
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ネタバレなりたい自分であること、大人になること。
祈り。
書こうとしているのはこういうことなのかもと思う。
登場人物全員に書かれるべきストーリーがあるが、人物切りで章立てし、かつ章ごとに舞台となる年が切り替わるため、それぞれがどうしても短く淡白になり描ききれていない印象。
登場人物たちの心理描写はリアルを追求しているように感じられる一方、十太と父親との人生の重なり方は非現実的な創作感が漂っており、ちぐはぐに感じてしまった。
十太の魅力、十太が聖来と惹かれあった理由、タイドオブノイズが人々の心に響く納得感など、もっとクリアになるとストンと来そう。
文章はちょっと詩的な感じもあってきれいで魅力的。
登 -
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夢を追うことをめぐる、いくつかの世代の群像劇。
宇宙にあこがれて地元の科学館をたまり場にしていた祐人、理奈、薫、春樹。
理奈は研究者となるべく、大学院で学んでいる。
一方、高校時代彼女とつきあいはじめた祐人は、夢をあきらめ、地元に戻り公務員をしている。
薫は、「古巣」の科学館で働く。
その科学館が、閉館することになる。
彼ら四人をおおらかに見守り続け、時に導いてくれた館長の死をきっかけに。
社会人となってばらばらになっていた四人が、閉館をきっかけに、再び集まることで物語が動いていく。
宇宙の夢を追う幼馴染たちという構図は、実は館長とその妻の乃々さん、そして祐人たちの高校の物理教師だった細山 -
Posted by ブクログ
科学館の館長の訃報を受けて、久しぶりに会った同級生達。
彼らは、それぞれ生きる道を辿っていた。訃報をきっかけに科学館の閉鎖が決定したり、館長の隠された経歴が明らかになっていきます。そこから彼らの見えなかった部分や人生の葛藤を垣間見えてきます。
登場人物達は、夢を諦めた人や目指そうとする人など、あらゆる「夢」によって人生を歩んでいる人たちが描かれています。作者のデビュー作品ということで、印象深かったのは、場面の転換が、スーッと自然に切り替わるので、ぶった切った感じがそんなにありませんでした。ただ、そのせいか、視点が一人ではなく、「僕」「私」「俺」の複数の視点であるため、「あれ?いつ視点変わった