青羽悠のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
高校卒業したばかりの主人公が、大学生活の4年間で出逢った人や出来事を通じて、少しずつ大人へと成長していく物語。その過程でみせる、大学生ならではの、完全な大人にはなりきれず、しかし子どもでもない中途半端さや儚さが、人間関係の変化や自分自身の心の揺れを通じて鮮明に描かれている。
誰もが大学生活で経験するであろう、人生の分岐点にたった時の葛藤や、思い通りにいかない他人の気持ちへのもどかしさ、親しい友人との心のすれ違い、こうしたリアルな感覚に自然と自分と重ねてしまう。あの時の青さや自由の中にある青春が、ページをめくる度に蘇る。もし22歳の時に出会っていたら、きっとより自分と重ね深く共感していたと思う。 -
Posted by ブクログ
読み終わった時には22歳の扉というタイトルに誰もが共感するのではないだろうか。自分の学生生活に重ね、主人公と同じように同じような悩みを抱えていたな、友達や他人と比べ彼らを羨んでいたな、自分に自信がなかったなと、でもそうやって毎日を生きていくことで多少なりとも成長しているんだと、よくやっているよ、と声をかけたくなった。誰だって頑張る時もあるけれど、休息の時間も必要で、決して自分がダメなことなんてない。これといって特別何かが起こるとかはないストーリーだが、主人公が大人になっていく様子が鮮明に書かれていて若さ、美しさ、鮮明さ、心地よさを感じる非常に読みやすい本だった。青羽さんの本を初めて読んだが他の
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Posted by ブクログ
読んでいくうちにだんだんと引き込まれておもしろくなって、最終章の途中まできたところで、もう一度最初から読み直して、ラストまでを読み切った。
どんなにおもしろいと思った本でも、これまでは一気に読んで再読することはほとんどなかったから、私にしてはめずらしい読書の仕方。
ドラマチックなことやびっくりさせられる意外な展開もとくになく、順序よくダラダラと大学の4年間が描かれているんだけど、それがまたなんかとっても良かった。
関西のまちで過ごした自分自身の大学4年間のことを思い出した。ふだんはほとんど思い出すこともないような出来事やそのときの自分の感情、親しくしていた人たちのことなど。
読み終えて -
Posted by ブクログ
私の大学時代の部室は、何故か一般の場所と異なる場所に。その建物は、乞食小屋と呼ばれた。複数の部で衝立等して分け合っていた。学食のお金もケチってそこで、蕎麦に卵入れたりして昼食を作っていた。ワンゲルだったので、煮炊き道具は、揃っていた。前の週に登った山行の反省会、次の山行の計画会、テント干し等で、昼に集まる。といっても、脱線して馬鹿話。土日は、登山。夏休みは、山を縦走。冬休みと春休みは、スキー合宿。スキー合宿は、山小屋か、冬季で閉鎖中の企業施設。よって、自炊。毎日夜は、酒盛りと生ギター伴奏の合唱。眠くなった奴から寝袋で寝る。酒や食材が無くなると、下界にスキーで降りて買い出し。リュック一杯買ってく
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Posted by ブクログ
あるバンドマンの死去、それが様々な人々に波紋を起こす。
本書はミステリではないがミステリ小説のような構成で一気に読ませる秀作である。
例えばカート・コバーンやシド・ヴィシャスがその例だが、才能の詰まった人というのは普通の人生を普通に歩けない。生きるのがどうしても上手くいかない。
本書に登場する十太(じゅった)もそうで、彼はバンドをしたくてもことごとく上手くいかない。そして悲劇が待ち受ける。
時間を遡る形式にして描かれる本書は青春の、何かが始まりそうな予感を前面に押し出している。陳腐な言い方をしてしまえば伝説の始まり、だろうか。そして大勢の若者がそうであるように彼らもそれに敗れていく。だがここで -
Posted by ブクログ
2000年生まれの作家さんだそうです。
2018年10月23日に亡くなったボーカリスト霧野十太27歳と巡る人たちの物語です。
十太と中学2年生のわずかな間だけ同級生だった、スイマーを目指す大宮夏佳は十太と初恋をしますが、転校により別れ別れになります。十太は夏佳の為に曲を作ります。夏佳はその曲をずっと覚えています。十太との約束も。
十太の初めての彼女となる高校の少し危ない同級生、小崎聖来。聖来は十太のことを「私の神様」と呼ぶようになります。
そして2015年。十太とバンドを組んでいたギターの石田正博。ベースの金木梓。ドラムの原田弘毅。やがてバンドは解散してしまい十太は一人になります。