野沢佳織のレビュー一覧
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故郷を守る代償に、故郷を失ったワシリーサ(ワーシャ)。冬の王から与えられた馬(ソロヴェイ=小夜鳴鳥)と共に旅に出る。男装したワーシャはふとした偶然から次兄アレクサンドル(サーシャ)と再会する。サーシャは母方のいとこドミトリーと行動を共にしていた…。
第2巻のモチーフは"火の鳥"です。そしてワーシャたちの亡き母が"イワン1世の娘だった"という筋立が物語に奥行きを与えて行きます。モスクワへ嫁に行った姉オリガとその娘マーシャも重要な役割を果たします。
ワーシャがぶつかる難題の数々は余りにも過酷で目を背けたくなる所が多々あるのですが、張り巡らされた伏線が少し -
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私好み!大当たり。全3巻でおよそ1600ページの歴史ファンタジー。しかも舞台は1370年頃のロシア(モスクワ大公国)イワン2世〜ドミトリー•ドンスコイの時代。日本では『全く』と言い切ってよいレベルで知られていない。従って人にはお薦めできない(笑)でも面白い!
著者はアメリカの女性作家。大学でロシア語を勉強し、ロシア留学もしている。そのため本書はロシアの歴史や風土はもちろん、昔話や伝承なども下敷きになっている。第1巻は"麗しのワシリーサ"や"森は生きている"などが隠し味のように織り込まれていて、その辺も私好み。好き!
主人公ワシリーサ(ワーシャ)は、亡 -
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恐ろしい。身の毛もよだつとはこのことか。
国家規模で行われた洗脳と支配。
孤立させ、暴力と恐怖でお互いを監視させて、疑心暗鬼にさせる。日本でも何件か事件(北九州や尼崎など)があったが、あれを国家規模で。
これは、主義や思想などでは決してなく、ただの犯罪だと思う。
戦時中の日本もこのような感じだったのだろうか?
そして、今現在の隣の国も。
これはノンフィクションではないが、それゆえか、主人公の心情がこちらに迫ってきて、苦しくなった。
最後が、きれいに終わってないところも作者の意図らしいが、この革命はまだ終わっていないと感じた。
平易な文で書かれているので、中学生にもすすめたい。(小学生には刺 -
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ネタバレ熊と引き換えに父親が死んでワーシャは魔女として皆から追われ旅に出る。少年の格好をして愛馬ソロヴェイと共に困難を乗り越え成長していく。姉や兄との再会、盗賊からさらわれた娘たちの救出、魔術師との闘い、その影に寄り添うように冬の王が危機のたびに現れ助けてくれる。二人の間に何かが生まれ育っていくのが感じられる。だからこの巻の最後はショックでした。
冬の王などの伝説神話の世界がキリスト教の閉じられた世界に侵食されていく様子、ロシア黎明期のモスクワのハン一族との攻防など歴史物のような奥行きがあって面白い。また虐げられていた女性たちの在り方なども考えさせられる。 -
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ネタバレ中世時代のロシア、ルーシを舞台にしたファンタジー。2巻はモスクワが舞台となり、マースレニツァ祭や、モスクワ大公がらみの陰謀、男装した主人公が活躍する王道展開があり1巻よりも楽しめた。なじみのない極寒の世界やロシア文化が面白く、ルーシの人々が何かというと風呂小屋(サウナ)に入りたがるのが意外だった。
魅力的なキャラは多いものの、ワーシャの目的がはっきりせず、何をする物語なのかよくわからない。「海に沈む太陽を見る」ために村を出たはずなのに、たまたまサーシャと出会ったからモスクワに行き、悪いタタール人がいたから戦い、ドミトリーの人柄に惚れると家来になれたらと思う。魔女の血のルーツを探すとか、チョル -
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ネタバレ主人公が生まれる前の話から始まり、モスクワでの政治的な思惑や、仲の良かった兄弟達がそれぞれ別の道に行くなど、物語が大きく動くまではとても良かった。が、継母と神父を連れて父が戻ってからは、日本の因習村みたいなドロドロジメジメした展開が続き退屈だった。特に、美形で美声で絵画も描けるハイスペ神父の視点が多く、こいつが改心してヒーローになるかと思ったらそうでもなく、最後まで読んで美形設定いらんかっただろと思った。
不思議な力で精霊達を見ることができるワーシャが、村人達から魔女と怖れられるなか、兄のアリョーシャと異母妹イリーナだけが、ワーシャを信じて味方するのが良かった。冬の王マロースカは、いまいちキ -
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ミヒャエル・エンデの『モモ』のような話?と思いながら読み始めた。
経済危機が悪化した現在から逃れようと、人々はタイムボックスに入る。ボックスから出てきたシグルンは、変わり果てた町でグレイスに出会う。グレイスは、シグルンら子どもたちに「オブシディアナ姫の物語」を聞かせて…。
動物に人間を襲わせ世界征服を果たしたパンゲア国の王、ディモンと、時間の箱に閉じ込められたオブシディアナ姫を中心に物語は進むが、一番おどろいたのはこの場面!
「こびとの首がころがった瞬間、刃の下で石の床が割れ、裂け目がひび割れ、谷間になり、深い峡谷になる。そこに水が流れこんで水路となり、ついには波だつ海となった。パンゲア -
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ルーマニアと聞いて、人々は何を思い浮かべるだろう?
15世紀、吸血鬼ドラキュラのモデルになったワラキアの梟雄ヴラド・ツェペシュが活躍した。第二次大戦後には”社会主義国家”となったものの、“独裁者”チャウシェスクが君臨し、彼もまた、吸血鬼と言われた。本編は二人目の吸血鬼の時代である。
1989年のルーマニア、ブカレスト。17歳のクリスティアンは、物おじせず自分の意見を言う祖父と、働く母と三人暮らしだ。ある時、秘密警察に目をつけられ、米大使館員の息子から家庭の情報を得るように迫られる。体調の悪い祖父の薬と交換条件に任務を引き受けるが、家族や親友にも話せず、誰も信じられず過酷な精神状態に追 -
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親が亡くなり、身近な人の死を聞き、自らも平均寿命の最終コーナーに近づきつつあることを自覚するようになると、「死」について考えることが多くなってきた。これだけは絶対にしたいと思うようなことも特にないけれど、あと余命一年と言われたら、それはそれで大きなショックを感じると思う。ほかの人たちは「死」についてどんなことを考えているのだろう、そんな関心をもって本書を読み進めた。
下巻では、HIV感染者の何人かのインタビューが収録されていて、死の病と恐れられ、差別もされていた時代だったことを思い出させられたし、いかにもアメリカらしい、悲しい事件を経て信仰心に目覚めた人たちの声も取り上げられている。