野沢佳織のレビュー一覧

  • ぼくの心は炎に焼かれる 植民地のふたりの少年

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    小さなほころびをそのままにすると、信用がくずれていき、溝は深まるばかり。疑いが広がるのはたやすいのだ。〈第一回10代がえらぶ海外文学大賞〉ノミネート作品(10代の方はノミネート候補作品の中から投票できます)

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    2025年09月02日
  • 熊と小夜鳴鳥

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    ネタバレ

    久しぶりの翻訳物だったからか、最初取っ付きにくかったけど、気がつけば、【土着の信仰と都からもたらされた正教の狭間で、悪しき物の影がちらつく極寒の地】にどっぷりとハマっていた

    読み終わってみれば領主である父親の分かりにくい愛情とか、継母の寄る方なさとかが哀しい

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    2025年05月07日
  • 塔の少女

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    故郷を守る代償に、故郷を失ったワシリーサ(ワーシャ)。冬の王から与えられた馬(ソロヴェイ=小夜鳴鳥)と共に旅に出る。男装したワーシャはふとした偶然から次兄アレクサンドル(サーシャ)と再会する。サーシャは母方のいとこドミトリーと行動を共にしていた…。

    第2巻のモチーフは"火の鳥"です。そしてワーシャたちの亡き母が"イワン1世の娘だった"という筋立が物語に奥行きを与えて行きます。モスクワへ嫁に行った姉オリガとその娘マーシャも重要な役割を果たします。

    ワーシャがぶつかる難題の数々は余りにも過酷で目を背けたくなる所が多々あるのですが、張り巡らされた伏線が少し

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    2024年10月02日
  • 熊と小夜鳴鳥

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    私好み!大当たり。全3巻でおよそ1600ページの歴史ファンタジー。しかも舞台は1370年頃のロシア(モスクワ大公国)イワン2世〜ドミトリー•ドンスコイの時代。日本では『全く』と言い切ってよいレベルで知られていない。従って人にはお薦めできない(笑)でも面白い!

    著者はアメリカの女性作家。大学でロシア語を勉強し、ロシア留学もしている。そのため本書はロシアの歴史や風土はもちろん、昔話や伝承なども下敷きになっている。第1巻は"麗しのワシリーサ"や"森は生きている"などが隠し味のように織り込まれていて、その辺も私好み。好き!

    主人公ワシリーサ(ワーシャ)は、亡

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    2024年10月02日
  • モノクロの街の夜明けに

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    1989年ルーマニア
    1989 ペレストロイカ、
    ブルガリア、ポーランド、チェコスロバキアと社会主義体制が崩れて、
    ベルリンの壁が崩壊して、
    なのにルーマニアではチャウシェスク大統領の独裁が続いている、
    国が混乱しているときって、ほんとに苦しい。
    勇気を持って行動した人もたくさん亡くなっていく・・・
    そうした人の犠牲の上に新しい世界が広がっていく。
    けれど、それも一概にいいものとは限らない。
    世界はそうして動いていくのだろう。
    願わくば、良い方向に、幸せになれる世界を!

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    2024年07月09日
  • モノクロの街の夜明けに

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    恐ろしい。身の毛もよだつとはこのことか。
    国家規模で行われた洗脳と支配。
    孤立させ、暴力と恐怖でお互いを監視させて、疑心暗鬼にさせる。日本でも何件か事件(北九州や尼崎など)があったが、あれを国家規模で。
    これは、主義や思想などでは決してなく、ただの犯罪だと思う。
    戦時中の日本もこのような感じだったのだろうか?
    そして、今現在の隣の国も。

    これはノンフィクションではないが、それゆえか、主人公の心情がこちらに迫ってきて、苦しくなった。
    最後が、きれいに終わってないところも作者の意図らしいが、この革命はまだ終わっていないと感じた。

    平易な文で書かれているので、中学生にもすすめたい。(小学生には刺

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    2024年06月17日
  • 死について! 下 あらゆる年齢・職業の人たち63人が堰を切ったように語った。

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    こういう「死」をテーマにした本はおもしろいですね。当たり前だけどいろいろな死生観がある。
    先人は偉大です。

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    2024年03月03日
  • 熊と小夜鳴鳥

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    ネタバレ

    三部作を一気読みしてしまった。

    良質なファンタジーは良いですね。
    これがラノベだったらと想うと、ゾッとします。歴史考証ガッツリの上に構築された本格の幻想。最高に美味しい三部作でした。

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    2024年01月11日
  • 死について! 下 あらゆる年齢・職業の人たち63人が堰を切ったように語った。

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    上巻と感想は同じ。

    支えとなる人を見つけることが、死を考え受け入れることにつながるのかもしれない。

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    2023年11月05日
  • 死について! 上 あらゆる年齢・職業の人たち63人が堰を切ったように語った。

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    死は万人に等しく訪れるものでありながら、死について考えることはしないものだ。身近な人の死や自分自身の死は何らかの形で訪れるというのに。

    色々なバックボーンを持つ人達が、死についてそれぞれの想いを語る。想いを語る中で誰もが支えとなってくれる人がいることが分かる。死ぬときは確かに独りだが、死を語るとき、生きているときは独りではない。

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    2023年11月05日
  • 死について! 上 あらゆる年齢・職業の人たち63人が堰を切ったように語った。

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    「死」をテーマに、様々なバックボーンを持つ人々への取材を纏めたノンフィクションのインタビュー集。

    身内の死に際し、心の準備のための本を探して偶然見つけた。上巻は亡くなる前、下巻は亡くなって半年経ってから読んだ。
    厚みある上下巻ながら口述文体でとても読みやすく、まるで彼らの話をすぐ側で聞いているような臨場感に没入して読み進めた。

    「死」を語ることは「生」を語ること。

    生きる上での精神的支柱になってくれる一冊。

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    2023年07月30日
  • 塔の少女

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    ネタバレ

    熊と引き換えに父親が死んでワーシャは魔女として皆から追われ旅に出る。少年の格好をして愛馬ソロヴェイと共に困難を乗り越え成長していく。姉や兄との再会、盗賊からさらわれた娘たちの救出、魔術師との闘い、その影に寄り添うように冬の王が危機のたびに現れ助けてくれる。二人の間に何かが生まれ育っていくのが感じられる。だからこの巻の最後はショックでした。
    冬の王などの伝説神話の世界がキリスト教の閉じられた世界に侵食されていく様子、ロシア黎明期のモスクワのハン一族との攻防など歴史物のような奥行きがあって面白い。また虐げられていた女性たちの在り方なども考えさせられる。

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    2023年07月26日
  • タイムボックス

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    悲しく壮大なファンタジーで、とても感動的な物語なのだが、とにかく読んでいておもしろい。次はどうなる!と先を知りたくて知りたくて、一気に読んでしまった。ラストシーンが美しく、心を打たれる。読後のあまりの感動の大きさにその日の夜なかなか寝付けなかったほど。個人的にはここ数年で一番のお気に入り。この作品に出合えて良かった。

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    2021年05月20日
  • モノクロの街の夜明けに

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    1989年のルーマニア革命までの、社会主義国家が舞台の話。
    とにかく読んでいて辛い。本当にこんな状況の国が、私が生まれてからもあり続けたのかと思うとゾッとする。周りを盗聴されながら生活する。周りの人間が、家族でさえも密告者ではないかと疑いながら日々を生きる。お粗末なインフラ。毎日店に並んでやっとパン1個買えるかどうか。比べるのはよくないけど、太平洋戦争時の日本より悲惨なのでは…と考えてしまう。でもルーマニアの場所すら覚えてなかったので、この歴史を知ったことはよかった。

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    2025年10月01日
  • タイムボックス

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    経済危機をやり過ごすため、世の中のみんながタイムボックスに入る。
    その間誰も何もしなかったので、当然世の中はめちゃくちゃに。実は、それは遥か昔、世界の始まりの国パンゲアで起こったことに端を発していた。
    現代社会への痛烈な批判と示唆が含まれた意欲作。
    個人的には、登場人物に共感できなかったのと、場面展開の荒さが気になって、心から入り込めなかった。

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    2025年09月16日
  • タイムボックス

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    ミヒャエル・エンデの『モモ』のような話?と思いながら読み始めた。

    経済危機が悪化した現在から逃れようと、人々はタイムボックスに入る。ボックスから出てきたシグルンは、変わり果てた町でグレイスに出会う。グレイスは、シグルンら子どもたちに「オブシディアナ姫の物語」を聞かせて…。

    動物に人間を襲わせ世界征服を果たしたパンゲア国の王、ディモンと、時間の箱に閉じ込められたオブシディアナ姫を中心に物語は進むが、一番おどろいたのはこの場面!

    「こびとの首がころがった瞬間、刃の下で石の床が割れ、裂け目がひび割れ、谷間になり、深い峡谷になる。そこに水が流れこんで水路となり、ついには波だつ海となった。パンゲア

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    2025年09月17日
  • モノクロの街の夜明けに

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     ルーマニアと聞いて、人々は何を思い浮かべるだろう?

     15世紀、吸血鬼ドラキュラのモデルになったワラキアの梟雄ヴラド・ツェペシュが活躍した。第二次大戦後には”社会主義国家”となったものの、“独裁者”チャウシェスクが君臨し、彼もまた、吸血鬼と言われた。本編は二人目の吸血鬼の時代である。

     1989年のルーマニア、ブカレスト。17歳のクリスティアンは、物おじせず自分の意見を言う祖父と、働く母と三人暮らしだ。ある時、秘密警察に目をつけられ、米大使館員の息子から家庭の情報を得るように迫られる。体調の悪い祖父の薬と交換条件に任務を引き受けるが、家族や親友にも話せず、誰も信じられず過酷な精神状態に追

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    2025年09月12日
  • 死について! 下 あらゆる年齢・職業の人たち63人が堰を切ったように語った。

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     親が亡くなり、身近な人の死を聞き、自らも平均寿命の最終コーナーに近づきつつあることを自覚するようになると、「死」について考えることが多くなってきた。これだけは絶対にしたいと思うようなことも特にないけれど、あと余命一年と言われたら、それはそれで大きなショックを感じると思う。ほかの人たちは「死」についてどんなことを考えているのだろう、そんな関心をもって本書を読み進めた。

     下巻では、HIV感染者の何人かのインタビューが収録されていて、死の病と恐れられ、差別もされていた時代だったことを思い出させられたし、いかにもアメリカらしい、悲しい事件を経て信仰心に目覚めた人たちの声も取り上げられている。

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    2025年06月01日
  • 死について! 上 あらゆる年齢・職業の人たち63人が堰を切ったように語った。

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     最近日本でも様々な人たちが自らの生活を語った内容をまとめて本として出したりすることが増えているが、本書の著者スタッズ・ターケルはアメリカでは高名なインタヴュアーらしい。どうしてこの本、「死」についての本を書こうと思ったのかについては、自ら「はじめに」で詳しく語ってくれている。死という体験、それは唯一、だれひとりとして味わったことはないが、いずれはだれもが味わう体験。
     
     人生の第4コーナーに差し掛かった自分には、この言葉が心に沁みた。「ここに記された数々の死についての証言は、同時に生についての、生がいかにかけがえのないものについてかの証言でもあり、ときに混乱していたり不完全だったりするにせ

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    2025年04月15日
  • 魔女の冬

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    冬の王
    三部作の三

    ワ―シャの戦いは終わりを迎える。マロースカとメドベードとの関係にも変化が訪れる。領主の娘としては異色の心の少女は多くの出会いの中で自立した女性になっていく。
    ぎゅーーっと縮こまっているときも、うわーっと広がっているときも彼女はやっぱりワ―シャだった。

    それはとても気持ちのいいこと

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    2024年02月04日