スラヴ系?の名前に苦心しながら読みふけった。おっっもしろ。続編楽しみ。
馬を自在に操れて精霊を信じていて神を信じないだけで気狂い(いい言葉ではないのはわかってる、念のため)の女と呼ばれてしまう勇敢なワーシャ。村の人間からはコソコソ陰口言われる。もうこの辺から嫌〜な感じがすごい。
西洋(この舞台は旧ソ
...続きを読む連圏内なんですが、大きなくくりとして)系ファンタジーはどうしてもキリスト教(正教会)の否定というか脱却、過去の精霊たちや神々とのつながり素晴らしいみたいな話になりがちよね。仕方ないのか。キリスト教ってそういうものを迫害してきた歴史あるし。
作者・訳者あとがきでなお驚く。史実をベースにしてるっぽい?すごすぎる。タタールのくびきとかもう一度勉強したいと思ってそのまんまだ。
コンスタンチン神父腹立つけど小悪党として最適なキャラクターですね。ワーシャに焦がれてしまって悪魔が心に滑り降りるのを許してしまった。
継母アンナの耳にも入れたくないような言葉もするりとかわすワーシャが強い。腹違いの妹(名前忘れたごめんなさい)が、こういう場合母親の言葉に染まって意地悪に育ったりするんだけどそれもなくワーシャに懐いてたのが救いだった。お兄さんお姉さんもワーシャを大事にしているしね。
昔話や神話の王道で冬の王にも熊悪魔にも「出来ない」縛りも多く、なるほどと思う仕掛けがたくさんあって、読んで良かった。
ラストもすごく良かった。父ピョートルの思いがけない勇気と愛にラスボスが縛られたというオチ、すごく良すぎた。ちょっと予想外の切り抜け方だった。
残念だなと思ったのは、こんなに強く賢いワーシャなのに恐らく冬の王とのロマンスがこれから入るんだろうなあというの。あるあるすぎるでしょ。ワーシャの強さ賢さがきっかけとなったとはいえ、冬の王の助けがやっぱり必要になってしまったこと。ワーシャの知恵と力と勇気と精霊たちを仲間につけるほどの慈愛だけでなんとか切り拓いてほしいというのはわがままだろうか。あと、やはり血筋なり運命なりが強くトリガーになっちゃうんだなあという無念さはあった。そういうのもうそろそろ違うパターンが読みたい。それから、いつも他の感想でも書いているけれど、話が大きく変化して始まるまで長過ぎた…。まあ三部作の序章なら仕方ないかなとは思うけど、ワーシャが育つまで長過ぎた…。