あらすじ
壮絶な戦いの末に熊を封じたワーシャだったが、その代償はあまりに大きかった。故郷に居場所を失った彼女は、冬の王に与えられた馬を供に旅に出た。女のひとり旅は危険すぎるため、男を装っての道中、タタール人の盗賊にさらわれた少女たちを助けたことから、盗賊討伐に向かっていたモスクワ大公の一行に期せずして加わることになった。そこには、十年前に家を出た兄の姿が。勇敢で聡明なワーシャは大公に気に入られるが、恐れを知らぬ振舞いにより自ら窮地を招いてしまう……。運命に逆らい生きる少女の成長と戦いを描く、大好評三部作第二弾。
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Posted by ブクログ
故郷を守る代償に、故郷を失ったワシリーサ(ワーシャ)。冬の王から与えられた馬(ソロヴェイ=小夜鳴鳥)と共に旅に出る。男装したワーシャはふとした偶然から次兄アレクサンドル(サーシャ)と再会する。サーシャは母方のいとこドミトリーと行動を共にしていた…。
第2巻のモチーフは"火の鳥"です。そしてワーシャたちの亡き母が"イワン1世の娘だった"という筋立が物語に奥行きを与えて行きます。モスクワへ嫁に行った姉オリガとその娘マーシャも重要な役割を果たします。
ワーシャがぶつかる難題の数々は余りにも過酷で目を背けたくなる所が多々あるのですが、張り巡らされた伏線が少しずつ少しずつ解けていくのが見事です。はたしてワーシャの運命が好転するチャンスは残されているのか?最終巻へと続きます。
Posted by ブクログ
熊と引き換えに父親が死んでワーシャは魔女として皆から追われ旅に出る。少年の格好をして愛馬ソロヴェイと共に困難を乗り越え成長していく。姉や兄との再会、盗賊からさらわれた娘たちの救出、魔術師との闘い、その影に寄り添うように冬の王が危機のたびに現れ助けてくれる。二人の間に何かが生まれ育っていくのが感じられる。だからこの巻の最後はショックでした。
冬の王などの伝説神話の世界がキリスト教の閉じられた世界に侵食されていく様子、ロシア黎明期のモスクワのハン一族との攻防など歴史物のような奥行きがあって面白い。また虐げられていた女性たちの在り方なども考えさせられる。
Posted by ブクログ
少女がありのままに生きるには厳しい社会。どうやって切り抜けて行くのだろう。悪魔のささやきも司祭の思惑もエイッと投げ捨てて、前へ進んでいくことを貫き通せるのだろうか彼女は
続きを読みたい!!
Posted by ブクログ
第2部
生まれ育った村を追われる形で、首都モスクワへと辿り着くワーシャ。 途中、盗賊と戦って攫われた少女たちを救出したり、宮廷に渦巻く陰謀に巻き込まれたり、自らの出自にまつわる因縁の魔術師との対決、という怒涛の展開。
当時、ロシアの一定の身分の女性はテレムと呼ばれる小高い住居に篭って暮らし、自由に外を歩くことさえ許されなかった。 年頃になれば、結婚して夫のテレムに移りそこで子を産み育てるか、もしくは出家して修道院に行くか…自由奔放なワーシャにとってはどちらも監獄と同じである。 馬に乗って1人旅立ち、寒さや飢えや身の危険に晒されたとしても広い世界を見たい!というワーシャの望みは叶うのか。
ふと『ピーターパン』の中で、人間が「妖精なんかいない」と言うたびに妖精が1人死んでいく…という話があったのを思い出した。 ロシアの土着の精霊たちや、キリスト教の神でさえ、目に見えないものに対する信仰というのは人間の心に深く根ざしながら、一方で簡単に揺らいでしまう不確かなものだ。
それは、死を司る冬の王マロースカであっても同じで、不死の存在である自らをこの世につなぎ止めるために若い娘を利用してきたが、いつの間にかワーシャを愛してしまったことで力を失い…という切ない展開。 自分の感情に戸惑いながら、ワーシャにどう接したらよいか悩んだりする意外な人間臭さ(ツンデレ)が微笑ましい。 マロースカはまた冬が来たら力を取り戻すの? それとも完全に消滅してしまったの…? 第3部が楽しみ。