野沢佳織のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレアイスランド文学賞を受賞した、との事前情報なしで読めばよかったかも。
いきなりフケイキが終わるまでタイムボックスに逃げ込む選択をする大人たち。はて?タイムボックスに経済危機が去ったと知らせるのは誰なんだろう。
昔話風に始まる今はないパンゲア国のオブシディアナ姫の物語。父のディモン王は妻に先立たれた悲しみを癒すため、動物に人を襲わせてはならぬ、という戒めを破る。更に姫を大切に思うあまり時間を止められる箱に姫を閉じ込める。そして世界征服のため、戦いに明け暮れる。
オブシディアナ姫は何も聞かされず、箱から出る度にどんどん周りの人たちは歳をとっていく。知らぬ間に再婚していた父王と新しい王妃の間には2人の妹も産まれていたが、もはや自分より年上になっていた。アノリという少年が味方となってくれるが、アノリにも事情があって、なかなか会えない。
どんなブラックジョークだ、と感じた。姫の恐怖というか焦りというか、その事だけが気がかりで途中から一気に読んでしまった。最後の部分は一番大事だと思われるのだが、おまけ程度しか書かれてなかった。グレイスがどんな時を過ごして、何を考えて、シグルン達の前に現れたのか、もう少し書き込んで欲しかった。最後は帳尻を合わせて美しく終わるのだけど、作中の物語の中で主体的に動けないオブシディアナ姫に、読んでいて、つい焦れてしまった。
苦しくても他人任せにしないで、子孫のために頑張る大人は今だって多分世界中にたくさんいる。著者の周りにはそういう人がいなかったのかなぁ。
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Posted by ブクログ
社会主義・全体主義政権のもとで抑圧されていた、革命前夜のルーマニアを舞台とした小説です。
それまで「嘘」だと信じていた西側諸国の豊かな生活が本当に存在することや、ベルリンの壁崩壊を中心に周囲の社会主義国家が続々と自由化してゆくことを知り、自分たちだけが取り残されていることに言いようのない不安を感じます。
また、密告が横行する社会の中で、友人・恋人はもとより家族のことさえも信じられない状況や、「周囲の目・耳があるために事情を離せない」ことで生じた誤解によるすれ違いや仲違いは見ていて辛くなります。
たしかにこの作品は「フィクション」ですが、当時のルーマニアでは本当にあった生活がリアルに描かれているのだと思います。そういった意味で、これまで知られていなかった歴史を明らかにし、またルーマニアという国や社会主義という制度に関心を持たせるきっかけとなる作品だと思います。
決して読んでいて「楽しい」物語ではありませんが、読みながら現在の日本のように好き勝手に発言することができる(そうして流れてゆく情報が正確かどうかはまた別問題ですが)という環境のありがたさも感じます。
日本は社会主義国家だったことはありませんが、太平洋戦争中には「特高」がいて思想・言論の自由は制限されていました。そのような状況を変えようと決意して立ち上がった本作の主人公たちを尊敬しますし、自由に考えたり発言したりすることができることが「当たり前」にあることのありがたさを考え、この環境が変わってしまうことがないように気をつけないといけない、と感じます。