星野佳路のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
2026/6//26
…消費者が求めているのは、商品やサービスの価値だけでなく、「価値観」だということ。
…成功している企業は皆、ターゲットとなる顧客が最も高く評価している要素に磨きをかけている。
アクセス/経験価値/商品/サービス/価格
Ⅲ 消費者が企業を選び出す/市場を支配している
「解決策」を提示してくれる:苦境から救い出してくれる。
ほかの企業にできないことをして、「親密」な関係を築いてくれる。
「代理人」を務めてくれる:買い物を安心して任せられる。
知らない優れた商品をそろえて、「刺激や感動」をくれる。
ニーズに合わせて、商品やサービスを「カスタマイズ」してくれる。
Ⅱ 消費者が企業を好む/差別化ができている
やりとりがスムーズにいくように考えてくれる。
客のニーズと客自身を「気遣って」くれる。
公正で「一貫性」のある価格設定をしている
品ぞろえや在庫状況がたしかなので、困ったとき「頼りになる」。
知らない商品や状況があれば、「教えて」くれる。
I 消費者が企業を受け入れる/業界標準に達している
ほしいものが「簡単」に見つかる、さっと来てさっと帰れるようにしてくれる。
「敬意」を払い、人として扱ってくれる。
「正直」な価格設定をしている:価格のつり上げや、得にならない大幅値引きをしない。
商品やサービスが「信用できる」。
「便宜」をはかってくれる:懸命に気遣いを見せてくれることがある。
それ以下 顧客から信頼されていない
道をふさぐ、イライラさせる、待たせる、さっと出入りさせてくれない。
非人間的な扱いをする、軽視する、ニーズを無視する。
一貫性のない、不明確な、人を欺くような価格設定をしている。
使いものにならない、低品質の商品やサービスを提供している。
思い出したくない目に遭う:家族や友人にも、当然勧められない。
5要素の適切なバランスとは?
ここで、5つの要素の相互作用を説明し、成功企業がこれらの要素を使って、いかにター ゲットとなる消費者に対して揺るぎない価値を創出しているのかを、明らかにしたいと思う。 そこで、各要素に点数をつけることにした。点数は、企業が、企業資源や業務上の努力をど う配分しているかを表している。
3点…企業が1つの要素によって市場競争にのりだし、消費者に受容される最低水準をクリアしているレベル。
4点…企業がその要素を使って、自社の商品やサービスを好むよう消費者を説得したいと考え、差別化に成功しているレベル。
3点…消費者がよそで買うことを拒絶する、市場を支配できているレベル。
このモデルには、次の4つの簡単なルールがある。
1 完璧なスコアは、第1の要素で5点(市場支配)、第2の要素で4点(差別化)、残り3つの要素で3点(業界水準)を獲得すること。
2 3点に満たない要素が1つでもあれば、持続不可能であり、ブランドにダメージが生じる。
3 市場支配や差別化を複数の要素で達成している場合は、度を超えており、経済的に適切な状態ではない。そのため企業は結局、金銭的な問題を抱えることになる。
4 3点(業界水準)の定義は、消費者の期待が変化するたびに、頻繁に変わる可能性がある。期待の変化についていけず、期待されるレベルに達しない場合は、3点に満たなくなるだろう。
多くの小売業者にとって、インターネットは、新たな市場に参入し、顧客との交流を深める大きなチャンスだ。ところが、ダラー・ジェネラルの本社では、オンライン・ビジネスを、少なくとも対消費者ビジネスの手段として、熱く受け止める向きはあまりない。「うちのお客さまは、必要なときに買われるんですよ」と、情報サービス担当部長のブルース・アッシュは言う。「トイレットペーパーやシリアルが届くのを、2日も3日も待てませんよ」
代わりに同社が重視するのは、ほかの企業には「ありふれた技術」でも、アッシュが「ダラー・ジェネラルの使命を果たすのに欠かせない」と考えるような技術だ。「情報システムへの投資は常に、ビジネスモデルにぴたりと合うものでなくてはいけません。うちのビジネス・コンセプトに合った、適正なものでなくては」と、彼は言う。「莫大なマージンを得ていない以上、コストには慎重にならざるを得ません。投資は、経営に本当に必要なものだけにしています」
アクセスに、物理的アクセスと心理的アクセスがあるように、経験価値にも2種類あるということを調査が示している。1つは、外的な経験価値。店でピアノが聴ける、シシカバブを目の前で料理してくれるなど、要はエンターテインメントだ。もう1つ、内的な経験価値のほうは、ある企業とのやりとりについて、消費者が抱く感情と結びついた、はるかに個人的な経験だ。
消費者ならその違いを、こう説明するかもしれない。「肝心なのは、店でどんな経験をするか、というより、店で私自身がどんな気分でいるか、なのよ。店では、どんなふうに感じている?礼儀正しく敬意を払ってもらえている?大切なお客さまとして扱われている?私の用件に、店は積極的に取り組んでくれている?」
外的な経験価値と、内的な経験価値を、同時に提供することはできるのだろうか?もちろんできる。たとえば、高級デパート、ニーマン・マーカスの経営者であるスタンリー・マーカスは、店を劇場の舞台のように演出する一方で、消費者に「自分だけの経験」を提供 する大切さも理解していた。マーカスがよく話していた、ある顧客のために「100万ドルのパフェ」をつくった話を紹介しよう。
実質本位なサービスを身上とするサウスウエストは、価格を第2の要素に据えて戦ってい るが、ミッドウエストの第2の要素は、商品だ。同社の飛行機は、革張りの2列席を採用し ているため、座席が広く、足元のスペースに余裕があるのが特徴だ。さらに乗客全員に、新 聞と機内で焼いたチョコチップクッキーが無料でふるまわれる。
だが、結局のところ、ミッドウエスト・エクスプレス航空の勝利の秘訣は、人にある。
「採用するときは、その人の価値観をじっくり見るようにしています。私たちの価値観に合 う人材かどうか、判断しなくてはなりませんから」と、スウィーニー。
「人を思いやれる、チームプレイができる人材を求めているんです。いったん採用したら、私たちは、訓練に多額の投資をします。全員が2日間のオリエンテーションを受けますが、 そこでわが社の戦略や哲学を伝え、どうすればみんなでそれを形にできるか、話し合うんで す。そのあと、8~10週間に及ぶ技術訓練プログラムで、それぞれの仕事について具体的に 学んでもらいます。たとえば、客室乗務員なら、航空機器についてや心肺蘇生法、応急手当 などを勉強します。しかし、こうした訓練中も、お客さまへの気配りというわが社の戦略を、 絶えず社員に伝えています」
スウィーニーによると、ミッドウエスト・エクスプレス航空の最大の課題は、自己満足に 陥らないこと。「今の私たちのようなポジションを手に入れたら、『やったぞ、目標達成 だ!』と言いたくなるものですが、ご存知のように、顧客の期待というのは、常に変わって いきます。だから、どんなときも一貫して、信頼に足るたしかな経験価値を提供できるよう、 やるべきことをやらなくてはいけないんです。清潔な機内、親切で気配りのできるスタッフ、 最高の料理――お客さまは、私どもの飛行機に乗るたびに、それを期待してくださっている んですから」
テクノロジーは、私たちの生活の隅々にまであまねく広がっていくだろうし、価値観を求める旅も、ますます複雑に、おそらく今より厳しくなっていくだろう。だが、この変化の海の中で、次の4つの灯台を手がかりに、未来がどうなっていくかを定義できる、と私たちは信じている。
1 この世に人がいる限り、人は集団で何らかの商売に乗り出し、個人として自分の価値観を補強してくれる何かを求め続けるだろう。
2 取引がある限り、5つの要素が存在しているだろう。
3 5つの要素がある限り、それぞれの要素の予測はできる。
4 予測ができる限り、それぞれの要素を軸に、競争力や利益性が高い、成功する商品・サービスを生み出していけるだろう。商品・サービスに、その時代の新しい価値観を組み込んでいくならば。
経験価値を第1の要素に選択することで、リクルーティング力と組織文化がより重要な位 置づけになるだけではなく、経験価値を高めるための新しい仕組みの開発に資源を優先して 当てるということが正当化できる。顧客満足度調査の精度の向上、分析ツールの開発、ス タッフへのタイムリーな情報提供、「サービス品質重視の企業」という社内ブランディング など、経験価値を上げるための仕組みが生まれ、それらに迷わず投資してくることができた。 星野リゾートというブランドの認知度が高まっていく過程で、「良いサービス」という知覚 品質を同時に獲得することができ、それは現在の業績に大いに貢献している。
差別化の要素としてはアクセスを選択した。他の要素での差別化が難しいと感じる一方で、 ネット上での予約や海外からの予約など、旅行商品の買い易さが大きく変化している過程に あり、業界スタンダードがしっかりと確立されていない分野と言えた。
自社ホームページ上では情報の見やすさや予約の機能がかつてないほど重要になってきて いて、タブレット機器が登場すればそれにも対応する必要があった。海外からの観光客に対 応するためには、言語対応だけではなく情報の中身も変えていく必要がある。同時に予約 チャネルが増加していくことに対応するためのシステム開発も大切だ。これらへの投資の内 容と規模を判断する際、ファイブ・ウェイ・ポジショニング理論を採用し、アクセスを第2 要素として設定するという覚悟を持っていると正当化しやすいし、期待される成果も設定し やすい。
これがまさにファイブ・ウェイ・ポジショニングの教えである。第1要素と第2要素には 妥協なく注力し、残り3要素は業界水準を下回ってはいけない。自信を持って「業界水準を 下回らないようにすれば良いのだ」と言い切れるところがこの理論の長所であり、本書は資 源の制約がある中でのコモディティ化に対応するアプローチを提案している。 -
Posted by ブクログ
マネージメントについて考えるために星野さんが推奨しているということもあり読んだ。ブランチャード先生の本はストーリー仕立てになっており読みやすい。
社員の力を引き出すには?と3点ポイントが挙げられている。
1. 情報を公開する
情報公開は社員への信頼の証。現在地を知ることで理想との差が可視化されモチベーションとなる。
2. 境界線を明確にし自律的な働き方を促す
やってはいけないことよりも推奨されることを明確にする、優先順位を明確にすると解釈した。このプロセス設計に多くのメンバーが携われるとよりよさげ。
3. 階層組織をセルフマネジメントチームに置き換える
権限をチームに与える。1で情報を与え、2で行動指針を明確にしているので、会社全体に損失を与えることはなく、むしろ利益をもたらすと考えられている。マネージャーは仕事の仕方を教える(何もしない)のが理想。
これらを部分的に行うのではなく、全て行うことが重要。
-
Posted by ブクログ
一般に非合理的活動とされてきた「家族経営=ファミリービジネス(FB)」ですが、これが経営の合理性とどう交叉し、特有の価値を生むのかということを記した本。FB関連の国産本は「実証的なようでいて脇が甘い」、対するこの本は「ふわっとしているようで視角が良い」という感想を持ちました。
ファミリー/オーナー/経営というスリーサークルモデルは当然として、この本はアーキテクチャ(制度・組織)/ガバナンス/アントレプレナーシップ/スチュワードシップの4項目でも切り分けています。特にスチュワードシップは目から鱗みたいな概念で、そういう家系にいない人間には認識しづらい盲点ではないでしょうか。
FB特有の価値としては、年代記的な超長期的視点(スチュワードシップ)、ある種身分的な文化が産み出す競争優位(アントレプレナーシップ)が指摘されています。またこうした価値創出を可能にするガバナンスとして、(あえて単純化すれば)家族会議の制度化に係る記述も多くあります。
近頃(2023年度)は、硬直化した官僚型経営組織やら世襲を巡る呆れた事件やらが数多く報道されています。制度に理念の血を通わせることは難しく、かといって血さえ通ればよいというものでもない。家族とは何か、その良きガバナンスとは何か――これは日本の将来を占う重要な論点と考えます。経済誌的な選民思想の埒外に生きる地方の生活者にとっても、実用に耐えうる身近な分析視角と言えましょう。
ちょいちょい謎の図が出てくること、アーキテクチャとガバナンスの区別がやや曖昧なこと(前者は制度、後者は実務寄り)など気になる点があるので、★4。 -
Posted by ブクログ
星野リゾートの星野さんが番組の中で進めていたので読んでみた。日本では本書自体が星野さんによる監修という建て付けになっている。
本書の主張は、商品、サービス、アクセス、価格、経験価値の5つのうち、二つの要素を選択し、うちひとつはマーケットの中で圧倒できるまで鍛えあげ、もうひとつは他社と比べて差別化したい/できている要素とする。その他の要素は業界水準を下回らない程度を維持する、というもの。
本書で繰り返し主張されているように、企業は全方位に力を入れがちであり、結果として個性のない会社になる。社内の各部門の顔を立てた結果として個別最適になるのが実態。したがって、各部門2つの要素を選ぶこと、そして3つは捨てるわけでなく、平均を維持するという考えを経営陣のあいだで共有することは企業戦略上もっとも重要ということになる。
実際には星野リゾートのような創業家が強い会社では導入できるのかもしれないけれど、大企業でサラリーマン社長の会社では相当に社長に胆力がないと難しいだろう。そういうことができる社長を選ぶということでしかないのではとも思う。
というわけで、とても示唆深い本なのだけれど、アメリカのビジネス書にありがちな事例の多さにより、非常にページ数が多く分厚くなっているのがたまに傷。あと、最後の未来予想はむしろ気持ちが悪くあまりいい未来ではないなとも思った。 -
Posted by ブクログ
ネタバレホテル等サービス事業を考えるにあたり重要な概念であろうと思い、読書。
メモ
・全てのビジネスに関わる5つの要素
経験価値、商品、アクセス、サービス、価格
5つの要素を通して、業界標準レベルから滑り落ちてはならない。
2つ以上の要素で5点や4点を目指してははいけない。
5.4.3.3.3が理想的なスコア
・5つの要素でどれを選ぶかはターゲット顧客が最も高く評価している要素
・成功のベースにはシンプルさと価値観
・価格で重要なのは公正で適切な価格であると顧客に信頼してもらえていること。必ずしも最低価格である必要はない。一貫性が重要。
・優れたサービスは優れた社員から生まれる。
当たり前のことをきちんとやることがすごく重要。その上で顧客の期待以上のことをするとトップ水準がみえてくる。顧客の一人一人のニーズに応えてカスタマイズできているか。取引顧客に知識や情報を与えているか。羊の群れのように扱っていないか。
・アクセスについては物理的なもののみでなく心理的なアクセスも重要な要素。真の解決策を提示できているか。自社との取引がカスタマイズされた便利なものになっているか。欲しいものに簡単にアクセスできるようになっているか。
・商品について、しっかりと信頼されるものになっているか。顧客がワクワクできるものになっているか、価値を信用できるか。余計な商品を扱って共通価値、信頼関係を失うようなことになっていないか。
・体験価値について、顧客が敬意を払われていると感じることがまずはじめ。さらに親密性までつながるとこれは高まる。そのためには人材が最重要。他では得られない何かを提供できているか。購買活動以外の顧客の懸念を幅広くつかめているか。 -
Posted by ブクログ
ネタバレエンパワーメントに関する本。
前から気になっていたが意を決して読書
メモ
・エンパワーメントの3つの鍵
正確な情報を全社員と共有する
境界線を明確にして自律的な働き方を促す
階層組織をセルフマネジメントチームで置き換える
・エンパワーメントの別名。起業家精神、オーナーシップ、エンゲージメント、インボルブメント。メンバーがもっている知識、経験、モチベーションの力を解放し、驚くべき成果をあげることの必要性に着目したもの。
・信頼がエンパワーメントの鍵
・部下を育てるのは情報共有という行為。上司はあらゆる情報を共有することで部下を信頼していると示さなければならない。
・自律した働き方を促進する6つの境界線
目的 事業はなにか
価値観 事業指針はなにか
イメージ どんな将来像を思い描くか
目標 何をいつどこで達成するか
役割 誰が何をするか
組織の構造とシステム 仕事をどう位置づけ支えるか
・ -
Posted by ブクログ
八方美人神話の崩壊
企業の独りよがりはやめよう、全ての要素で競合を圧倒するのは不可、全ての要素で差別化できるというのは嘘。(経営資源に限界がある)
何で戦う(どの要素に注力する)のかを決めることと、消費者を1人の人間として扱うことが大切。
■概要
価格、サービス、商品、アクセス、経験価値の5要素で事業戦略を語れるとした内容。5要素はどんな時代も不変だが、各要素の定義は時代や業界、外部環境により変わるため、各々の企業で定義が必要。(星野リゾートの定義が分かりやすい)
■感想
やや冗長で途中読むのに苦労した。冒頭と最後、特に星野リゾート社長のあとがきが読みやすい。あれもこれもの詰め込み理論より、5つのうち1つで業界制圧、1つで差別化、残り3つは業界水準で良いと明確に割り切っているのが良い。星野さんの言う様に投資判断のアンカー⚓️となる。
ファイブ・ウェイ・ポジショニングは、サプライアーやチャネルともインテグリティを取らないと世界観が失われる。D2Cにも近い話がある。