見田宗介のレビュー一覧
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ネタバレ社会学者・見田宗介の名前は、料理研究家・辰巳芳子の著作『いのちと味覚』で知った。
本書において著者は、人類史的な大局の視点から「これからの社会のあり方と幸福の形」を展望する。近年の状況は、人類が減速期に入ったことを示しており、経済成長こそが最高であるという今までの価値観・考え方とは異なる創意工夫が必要であるという。
世界全体の人口増加率の変遷を見たときに、1970年を先鋭な折り返し点として、それ以後は急速にかつ一貫して増殖率を低下している、というデータには、説得力がある。(「序章 図4」)
日本には、すでに”縮小”の現実がある。持続可能な世界を実現するためにも、いま世界が必要とするのは、実は、ゆるやかな”縮小”を受け入れ、著者の言う「高原(定常・安定)」を狙ってゆくことではないかと考えさせられた。
日本が直面している”縮小”の現実を、最も軽やかに、かつ肯定的に生き始めているのが「いま、ここ」を大事にする現代の若者たち(物欲に縛られず、シェアや他者とのつながりを重んじる世代)だとする、著者の分析はおもしろい。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ子育てで迷った時に読みたい本。
他者との交歓と自然との交感をたくさん経験させてあげよう。
positive 肯定的であるということ。
diverse 多様であること。
consummatory 現在を楽しむ、ということ。
自分自身でも大事にすることで子どもに伝えたい姿勢。
自分の親たちやさらにそのずっと前から無限を信じて築いてきてくれたもののおかげで生存のための物質的な基本条件の確保が達成され、それによって「現代」だけに固有の、二重のリアリティの喪失という経験をするが、有限と向き合い解放を実践することで、自分がここに一つの花を開かせることができるかもしれない。
私は宇宙への興味や挑戦する勇気もなければ、原子に造詣が深くもない。だからこれからの未来に何もできないのかというと、そうでもなさそう。
私にも私の思考と行動で一つの胚芽を作ることができる。そう前向きに励ましてもらい勇気までもらった。
”今ここに一つの花が開く時、すでに世界は新しい。”
なんて美しい言葉なんだろう! -
Posted by ブクログ
見田宗介氏によると、キリストやブッダが宗教を説いていた人間の歴史の第Ⅰ局面に続く現代の第Ⅱ局面は、持続可能な幸福な世界が訪れるという。
その際のキーワードは、幸福感受性である。
来たるべき未来の目的のために現在の生を手段化し、耐え忍ぶのではなく、現在それ自体を楽しむ。
人々は、経済競争の呪縛から解放され、芸術や生自体を楽しむ。
格差など暗い時代に思うが、あまりにもオプティニズムに満ちた考えのように思うが、そういう暗い時代だからこそ、こういう意見は貴重で尊重されなければならないかも知れない。
非常に読み易く、薄い本なので、1日でほとんど読めました。 -
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予言の書みたいだ。20年以上前にこの本が書かれていることに驚愕する。
資本主義がこれまでぶつかってきた限界と課題
① 需要の限界 → 不況と戦争
・モノが人々の手に行き渡り、「必要」を根底とする需要が無くなる。市場が飽和するという限界。
・モノが売れなくなることで不況が発生し、不況を乗り越える(需要を創出する)ために、戦争が発生するという課題
★ 需要の限界は、需要創出を「戦争」以外の方法で乗り越えること、で克服された。
・ケインズ:政府によって、有効需要を作り出す(公共事業とか)
・情報(デザイン・広告・モード):
フォードとGMの例で説明する。
- フォートは、「便利な」車を、単一モデルで、生産ラインを徹底的に合理化・効率化することで、低価格で販売し、市場を席巻した(=市場を飽和させる)
- 一方GMは、車を「デザイン」で売った。「魅力的」なデザインの車を売り、そして定期的な「モデルチェンジ」を行い「新しい」車を売っていった。デザインには、「正解」がないため、需要には、理論上限界がない(ブランド車を複数所有する金持ちとかをイメージするとわかりやすいかと。便利さだけなら一台で良い。「魅力性」を王ならば、理論上需要/欲望は底なしとなる)。そして定期的な「モデルチェンジ」を行うことで、既存の車はどんどん古いものとなり、新たな「新しい」車への需要を創出する。デザインとモデルチェンジを人々に広めるために、需要を喚起するために、広告が活用される。
モードに関してはMEMO
モードのリズムは以下の二つによって構成される
・消耗のリズム(u)
・購買のリズム(a)
モードは、a/u。購買が消耗を上回っている時、モードが存在する。
購買のリズムが消耗のリズムを超えていればいるほど、モードの力が強い。
モデルチェンジと<モードの理論>が消費社会を駆動するメカニズム。
モードは、広告を通じて、自己否定することで、回転を早くしていく。
② 資源と環境の限界 → 資源の枯渇と環境の破壊と格差
・「情報」によって、需要が無限になったことで、大量生産→大量消費のサイクルが回る。
・「大量採取→(大量生産→大量消費)→大量廃棄」という限界づけられたシステムであり、地球の「資源」と「環境」という外部的な制約にぶつかる。
「資源」:エネルギー、鉱物、一次産品、労働力など
「環境」:地球環境
★ 資源の枯渇と環境の破壊と格差は、大量採取・大量廃棄しない、システムを構築することで、克服される。
・本書では、<消費>すなわち「存在それ自体の幸福」的な話になっている。
▶︎ 個人的には、情報(エンタメ)を消費する社会になると考えている。今後は、基本的に「必要」がテクノロジーによって満たされ始めるので、本書に即していうならば、情報(エンタメ)商品としての「消費」する社会になるかと。
<消費>とエンタメ「消費」がメインとなる社会になると思う。
Youtuber、「好きなことして生きる」、生き様コンテンツ、信用経済、諸々これに関連している。見田さん的に言えば、これらは「ソフト」な側面に属するのかと。
最高に面白い本。 -
Posted by ブクログ
<情報化/消費化資本主義>では、需要や欲望が無限であっても、資源が有限(「材料」と「ゴミ箱」が有限)であるため、限界にぶつかる(そして社会/人の精神構造が変容する)。人はよりシンプル、よりエコを、more lessを、志向する。ミニマリストも、グレタさんも、若者の○○離れも、SDGsも全て、つまりは「資源の有限性」から立ち現れている現象である。
一方、ここで見落としていけないことがある。それは、需要や欲望が、情報によって無限化されたのと同様に、情報によって、供給や資源も、無限化できると言うことだ。
「経済競争の強迫から解放された人間は、アートと文学と学術の限りなく自由な展開を楽しむだろう。歌とデザインとスポーツと冒険とゲームとを楽しむだろう。知らない世界やよく知っている世界への旅を楽しむだろう。友情を楽しむだろう。恋愛と再生産の日々新鮮な感動を享受するだろう。子どもたちとの交歓を楽しむだろう。動物たちや植物たちとの交感を楽しむだろう。太陽や風や海との交感を楽しむだろう。
ここに展望した多彩で豊饒な幸福はすべて、どんな大規模な資源の搾取も、どんな大規模な地球環境の汚染も破壊も必要としないものである。」
youtuber、ブロガー、(西野亮廣さんがエンタメにフルベットしているのもきっと)、それに関係している。
これからは、物質的な資源を(多く)必要としない、広い意味での「エンターテインメント」が、社会に広がっていく。これは、間違いない。
なお「天国に経済成長はない」は痺れる。