見田宗介のレビュー一覧

  • まなざしの地獄 尽きなく生きることの社会学

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    1970年代、当時19歳のN.Nの連続射殺事件を通して社会を考察した本。農業が廃れ、若者はもはや帰るべき場所としての故郷を失い、新しい居場所を求める自由意志を持った人間として上京する。都市は若者を歓迎するが、あくまでも安くて丈夫な使い勝手の良い労働力としてであり、両者には溝が存在していた。N.Nは出身地や貧困が理由で差別的な扱いを受け、去ったはずの過去をみる人々のまなざしに苦しめられ、国外への脱出をはかりその過程で事件が起こる。特殊事例を考察することで、普遍的な事象を観察できる。統計的事実の実存的意味。

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    2025年08月11日
  • 社会学入門 人間と社会の未来

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     本書は社会学の総論といった形で展開されている。専門的な内容に入る前の著者の実体験による雑談の章があるが、これが非常に面白く、ページをめくる手が止まらなくなってしまった。
     随所に多くの引用、そして時々挟まるコラムも背景理解に大変役立った。補講の章も加筆されているが、小難しい部分もあるので、そこは改めて戻ってきた際に味わえれば良いのではないかと思う。
     本格的に社会学に触れる予定のある方や、社会学という学問がどのようなものであるのか気になる方におすすめしたい。

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    2025年06月05日
  • 現代社会はどこに向かうか 高原の見晴らしを切り開くこと

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    鶴見俊輔さんから、連綿と続くポジティブでラディカルな道が伸びていく。

    よく考えればわかること、がなかなかわかられなくてそちらの方向に行かない。

    2022年に読んでも新しいというか、10年前から見据えておられたことが今やっと一部の人にとどき共感とひっ迫を持って今まさにの感性として受け止めらる。
    よく考えればわかることなので10年あればラディカルにもポジティブにもリベラルにも進んだであろうによく考えない人よく考えない人に支配されているクニ、セカイ。

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    2022年06月09日
  • まなざしの地獄 尽きなく生きることの社会学

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    社会学の面白さを教えてくれた本。 授業の教科書として購読したが、初めは堅苦しい本に感じてあまり面白いと思わなかった。しかし、無駄のない簡潔な短い文章でありながら、そこらじゅうに考えさせられる言葉が敷き詰められている。 尽きなく生きるとは何なのか。 何ヶ月後、何年後と何回も繰り返し読んで、自分が今感じている感想とぜひ比較したい。

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    2022年03月14日
  • 現代社会はどこに向かうか 高原の見晴らしを切り開くこと

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    増殖する欲望の終着点を私たちは探らなければいけない。
    倒さなければいけない敵ではなくて、高歓し得ることのできる相手として捉えたい。
    共存共栄を今後実現できるのではないかと少しポジティブに未来を見つめることができた。

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    2022年01月27日
  • 戦後思想の到達点 柄谷行人、自身を語る 見田宗介、自身を語る

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    編者のお二人に対する深い造詣と敬意、鋭い切り口から、お二人の考え、概念を分かりやすく掘り下げながらどんどん引き出してくれています。
    しかも最終章でお二人の鍵概念をつなぎ合わせ、それぞれの思想が混交されていくところが、なんというか、新たな可能性を感じました。

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    2021年10月23日
  • 現代社会はどこに向かうか 高原の見晴らしを切り開くこと

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    2021.10.13 久しぶりに見田先生の本を読んだが感銘を受けた。とてもとても頭の整理がついた。これからの大きな糧になった。いろんな方にも勧めたいと思う。心からありがとうございますと言いたい。

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    2021年10月13日
  • 現代社会はどこに向かうか 高原の見晴らしを切り開くこと

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    2021.47

    良書すぎた。
    ・「成長と開発」から、「共存と共生」が基本的価値観に
    ・人や自然との交歓(交流)こそ、幸福度を高める。
    ・キーコンセプトはシンプル、ナチュラル、ボーダレス、シェア、脱商品、脱市場経済

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    2021年07月30日
  • 現代社会はどこに向かうか 高原の見晴らしを切り開くこと

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    ネタバレ

    子育てで迷った時に読みたい本。

    他者との交歓と自然との交感をたくさん経験させてあげよう。
    positive 肯定的であるということ。
    diverse 多様であること。
    consummatory 現在を楽しむ、ということ。
    自分自身でも大事にすることで子どもに伝えたい姿勢。

    自分の親たちやさらにそのずっと前から無限を信じて築いてきてくれたもののおかげで生存のための物質的な基本条件の確保が達成され、それによって「現代」だけに固有の、二重のリアリティの喪失という経験をするが、有限と向き合い解放を実践することで、自分がここに一つの花を開かせることができるかもしれない。

    私は宇宙への興味や挑戦する

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    2021年02月20日
  • 現代社会の理論 情報化・消費化社会の現在と未来

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    前半は現在の情報化・消費化社会の諸問題を挙げており、後半は前半で挙げた問題の解決の糸口を提示している。
    内容もさることながら、文章も難解で一度では理解しきれない部分が多かった。
    現代社会(の情報化・消費化)という面について、過去と現在、表と裏、内部と外部など比較や対立を持ちいた表現が多いことが特徴で、読み間違えれば混乱してしまうが、正しく読めれば著者の意図を十分に理解するに足る文章になっていると感じた。

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    2021年01月29日
  • まなざしの地獄 尽きなく生きることの社会学

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    誰もが犯罪者になりうることを示している。
    個人責任論を見つめ直すきっかけになる作品。
    文学チックで素敵。

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    2020年08月10日
  • 現代社会はどこに向かうか 高原の見晴らしを切り開くこと

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    見田宗介氏によると、キリストやブッダが宗教を説いていた人間の歴史の第Ⅰ局面に続く現代の第Ⅱ局面は、持続可能な幸福な世界が訪れるという。

    その際のキーワードは、幸福感受性である。
    来たるべき未来の目的のために現在の生を手段化し、耐え忍ぶのではなく、現在それ自体を楽しむ。

    人々は、経済競争の呪縛から解放され、芸術や生自体を楽しむ。

    格差など暗い時代に思うが、あまりにもオプティニズムに満ちた考えのように思うが、そういう暗い時代だからこそ、こういう意見は貴重で尊重されなければならないかも知れない。

    非常に読み易く、薄い本なので、1日でほとんど読めました。

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    2020年07月03日
  • 現代社会の理論 情報化・消費化社会の現在と未来

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    予言の書みたいだ。20年以上前にこの本が書かれていることに驚愕する。

    資本主義がこれまでぶつかってきた限界と課題
    ① 需要の限界 → 不況と戦争
    ・モノが人々の手に行き渡り、「必要」を根底とする需要が無くなる。市場が飽和するという限界。
    ・モノが売れなくなることで不況が発生し、不況を乗り越える(需要を創出する)ために、戦争が発生するという課題

    ★ 需要の限界は、需要創出を「戦争」以外の方法で乗り越えること、で克服された。
    ・ケインズ:政府によって、有効需要を作り出す(公共事業とか)
    ・情報(デザイン・広告・モード):
    フォードとGMの例で説明する。
    - フォートは、「便利な」車を、単一モデ

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    2020年01月04日
  • 超高層のバベル 見田宗介対話集

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    見田宗介の対談を集めた一冊。対談時期もテーマも多様なので一つ一つを咀嚼するのは大変。しかし、見田さんが何を目指して自らの営みを続けてきたのかはなんとなく分かった気がする。

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    2020年01月02日
  • 現代社会はどこに向かうか 高原の見晴らしを切り開くこと

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    <情報化/消費化資本主義>では、需要や欲望が無限であっても、資源が有限(「材料」と「ゴミ箱」が有限)であるため、限界にぶつかる(そして社会/人の精神構造が変容する)。人はよりシンプル、よりエコを、more lessを、志向する。ミニマリストも、グレタさんも、若者の○○離れも、SDGsも全て、つまりは「資源の有限性」から立ち現れている現象である。

    一方、ここで見落としていけないことがある。それは、需要や欲望が、情報によって無限化されたのと同様に、情報によって、供給や資源も、無限化できると言うことだ。

    「経済競争の強迫から解放された人間は、アートと文学と学術の限りなく自由な展開を楽しむだろう。

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    2019年12月28日
  • 現代社会はどこに向かうか 高原の見晴らしを切り開くこと

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    2020年を控え、今こそ大局観を持とうと購読。数千年の歴史の中で人類は大きな曲がり角を経験している。一つ目は紀元前後の世界的宗教が確立した頃。それまで群・部族でしかなかった集団が、「現世は来世の幸せのためにある」という一つの世界観を共有し、何千キロを隔てても共通の価値観でものを語れるようになった。同時に、この見えないもので争うようになったが、それはより良い未来のために覇権をかけての争いである。第二の曲がり角はまさに現代であり、「未来・来世とはからなず良いものである」と信じられない世界。未来・来世がどうなるかわからないから、ものを所有することに意味はないし、耐え忍んだり苦行する意味もわからない。

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    2019年12月25日
  • 現代社会はどこに向かうか 高原の見晴らしを切り開くこと

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    希望が持てる本であった。現代社会は歴史的に着実に進化している。マルクスが唱えた予言は資本主義が発展すれば、共産主義に移行するというものであったが、その予言が当たりそうである。ただし自由と民主主義があればとの前提だが。ただ、その予言がうまくいかなかったのは、1.否定主義(とりあえず妥当)、2.全体主義(三位一体という錯覚)、3.手段主義(終わりよければすべてよし)、が二十世紀を賭けた革命の破綻の構造だそうだ。「憎しみは人間を破綻に導く、最も強力な感情である」と、その通りである。この失敗を繰り返さないために、1.肯定的であること、2.多様であること、3.現在を楽しむ、これを統合したイメージが「胚芽

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    2018年10月17日
  • 現代社会はどこに向かうか 高原の見晴らしを切り開くこと

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    今ここに一つの花が開く時、すでに世界は新しい。
    ポジティブなラディカリズム。肯定する革命。

    人に喜ばれることを喜びと感じられるように生きる。
    (欲望の相乗性)

    有限性の自覚。
    自己を目的化しない。
    二重疎外からの脱出。


    ・かつてに比べ、世代の距離は、ほぼ消失している。
    歴史は加速度的に進化する(人々が未来を信じていた時代)という団塊世代との乖離。

    ・地球は、無限であり、有限。

    ・グローバリゼーションによって実証されてしまった「有限性」。その有限性にどう立ち向かうか。

    ・封建制とは、戦闘合理性。→近代の現実原則としての合理性。
    それは、近代の理念である自由と平等の対極。
    =近代家父

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    2018年09月09日
  • 社会学入門 人間と社会の未来

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    社会学は越境する学問。
    俯瞰した視点で事象の法則性を見つけ繋ぐ

    関係の絶対性
    個人を見ずに客観的な関係性で敵対する

    それに抗う思想としての「自立」

    自立をどう獲得するか
    人間性への回帰


    現代を生命からはじまる5層構造の連続の中で捉えること

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    2020年10月28日
  • 現代社会の理論 情報化・消費化社会の現在と未来

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    ネタバレ

    再読。現代が消費化/情報化社会であるとして、その欠陥点が〈消費〉の概念を社会全体が正しく捉えられていないこととして指摘、その解決を情報化と〈生の直接的な充溢と歓喜〉へと消費の概念を見詰め直すことに見出している。

    以下、昔書いたまとめを。

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    <一章要点>

    ・資本主義という一つのシステムが、必ずしも軍事需要に依存するという事なしに、決定的な恐慌を回避し反映を持続する形式を見出したという事、この新しい形式として、「消費社会化」という現象をまず把握しておく事が出来るという事。

    ・自己否定、自己転回

    ・デザインと広告とクレジットを柱とする、ソフトなより包括的な戦略、「消費者の感情

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    2017年08月21日