鳥飼否宇のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
戦国時代の九州、暴君の城を舞台に次々と一族が殺されていく事件を描く。
城主・鷹生(たかき)龍久の正室が首を切り落とされた遺体となって発見されたのを機に、第一側室が転落死し、城主の弟が毒殺され、その後も愛娘に父親に嫡男、第二側室と次々不審な死を遂げる。
鷹生龍久は前の城主や主君を残酷な手法で打ち破っただけでなく一族郎党皆殺しにしている。この連続殺人はかつて龍久に敗れた一族の残党による復讐なのか。
時代背景や城という舞台背景も全てミステリーのためのもの。首無し遺体があったり幼い子供が死んだり、暴君によって容疑が確定してもいない者が呆気なく斬られたりなどという残酷なシーンはあるが、本格ミステリーにもよくあることなので読み流せる。
探偵役は龍久の重臣の一人、弓削月之丞。助手は第三側室の花。龍久は女たちの中でも新参者の花を特に気に入っていて執心しているが、花が想いを寄せているのは月之丞。やがてその想いは通じるが、勿論龍久には絶対にばれてはいけない秘密の関係。
月之丞が調査した結果披露する推理はかなり凝っている。トリックにしてもそこにある心情にしてもそこまでする?と首を捻りたくなるもの。
しかし一連の事件が龍久に対する復讐で龍久を徐々に追い詰めるためのものならそれもありかな、とも思えた。
だがこれで終わりではないだろうと思いながら読み進めると、やはり予想した真相があった。さらに最後に大技が来た! これこそここまでする?と驚いたが、上手く利用したということらしい。納得。
島田荘司さんか綾辻行人さんかという感じで楽しめた。
終始殺伐としているので物語としては入り込めないが、主人公の花としてはハッピーエンドということで良いだろうか。 -
Posted by ブクログ
嵐による遭難、たどり着いた目的の地、そして帰るべき手段も食料も失ったサークル一行。
極限状態の中で、思いもかけない心理状態に陥っていく人間の弱さが露呈していく。
閉ざされた孤島での連続殺人を描いているクローズド・サークルものである。
海岸に流れ着いた1枚のフロッピーの中に綴られていたのは、驚くべき内容だった。
いたずらかもしれない…拾った猫田は該当する大学のサークルに確認をとる。
すると行方が知れないメンバーがいるという。
これは本当に助けを求める知らせかも。
そう思った猫田は警察に連絡を取り捜索が始まる。
だが、捜索に向かった島には彼らの痕跡はなかった。
歴史、民族学、そして自然科学。
さまざまな分野の薀蓄が詰まっていて、それを読むだけでも楽しかった。
後々になって「あれはそうだったのか」と思う場面も数多くあり、先の展開が読みにくいところも気にいった。
学術的な説明部分は苦手な人もいるかもしれないが、興味はあるけれど詳しくはないという人は興味深く読むことができると思う。
ただ、鳶さんこと鳶山久志が登場するまでは話が進まないため引きが弱いように感じた。
鳶さんが登場してから物語はグッと加速し、それ以降は謎解きへ一直線へと進んでいく。
ミステリーが好きな人にとっては、中盤から後半にかけて事件の大筋が見えてくるかもしれない。
何よりも、猫田たちのすぐ近くで遺体となっていた男の死因が、あらたな可能性として提示され驚いた。
「なるほど」と。
あまり本筋とは関係のないようにみえる描写も、気がつけば重要な意味を持っている。
さらっと読み過ごしていたため、結局戻ってその場面を確認したりしたことが、ミステリー好きとしてはちょっと悔しい。 -
Posted by ブクログ
観察者(ウォッチャー)シリーズらしい。
3冊目?
植物写真家の猫田さんと観察者、鳶山さんが岩手の寒村で、鳥取の山村で、奄美大島の村で事件に遭遇する。
猫田さんが巻き込まれ、鳶山さんが謎を解く。
過疎化した山村の薄暗い森の中、廃墟というロケーションに心を躍らせ、イズナサマやユタの神儀にドキドキ。
なのだけど、なんだろ。イマイチ盛り上がりに欠ける。暴かれた真相が後味のよくないっていうのもあるのかな。
うーん。もっと面白くできたんじゃ?という気持ちが拭えない。
共感できる登場人物が不在なのかな。この世界に入りこめなかった。
それこそ鵺を相手にしているよう。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ【本の内容】
沖縄・やんばるの森は、人の手の入っていない自然がいまだ残る原生林だった。
昆虫採集家・松崎と柳沢は、ギネス級に成長するオキナワマルバネクワガタの幼虫を求め、森へと踏み入る。
台風の襲来により荒れ狂う森で、二人は軍から脱走した米兵と出会い、森に財宝が隠されている事を知る。
傷ついた米兵から、難解な暗号で書かれた財宝の地図を残された二人は…!?
米軍、ハンターと二人の三つ巴での、命を懸けたサバイバル宝探しゲームが始まる!!
奄美大島で生物観察を続ける鳥飼否宇が描く、迫真の大自然アドベンチャー。
[ 目次 ]
[ POP ]
鳥飼否宇というと、横溝賞を受賞した「中空」のイメージが真っ先に浮かんできます。
(あの雰囲気はいままで読んだ本で味わったことがなかったので本当に新鮮な気持ちで本と向き合えた作品でした。)
そんな強烈なインパクトを私に与えた作家さんの今回の書き下ろし、舞台は「沖縄」。
オキナワマルバネクワガタの幼虫を探し求める昆虫商の松崎とその相棒の柳沢は、原生林の中を進んでいた。
季節はずれの台風が接近していて、風が強く、視界も悪い。
そんな中、二人は米軍基地から脱走してきた米兵と出会う。
一方で、渡久地という猟師は脱走した米兵が隠したとされる「宝」を探していた。
米兵・昆虫商・猟師、4人は台風のなか出会い、そして「宝」を示す暗号を前にサバイバルゲームを開始する。
この作品、一筋縄ではいかないところがたまらない。
サバイバルゲームを描いたようで、じっくりとミステリを味わうことができます。
劣悪な気候条件・宝・暴力。
極限状態で繰り広げられる謎解き。
この作品はこの作家さんにしか書けなかっただろうと、しみじみ感じる一作。
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]