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16世紀中頃。九州は大友、龍造寺、島津の三氏鼎立状態となっていた。そんななか、三氏も手を出せない国ーー勇猛果敢で「鬼」と恐れられた鷹生氏一族の支配地域があった。その居城、血のように燃える色をした紅城で、次々と起こる摩訶不思議な事件。消えた正室の首、忽然と現れた毒盃、殺戮を繰り返す悪魔の矢、そして天守の密室……。眉目秀麗な、鷹生氏の腹心・弓削月之丞が真相解明に挑む!
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Posted by ブクログ
戦国時代を舞台としてミステリーとして ちゃんと成立しているので その点は面白く読めた。 登場人物も役割やキャラクターがはっきりしていて つかみにくいところもなく、 よくできた作品だと思った。 ただ、トリックや行動理由のところで スッキリしない部分も残る。 そこに目をつぶれば楽しめる本だと思う。
戦国時代を舞台にした本格ミステリ。 これは面白かった。キチンと探偵役がいて、この時代ならではの理不尽なフーダニット・ハウダニットが炸裂する。トリックも含め、時代を戦国に設定した意味があったのが良かった。意外性も充分だった。 読後感は相当悪いけど、この展開で爽やかに終われる筈が無いからなあ。そこは我慢...続きを読むしましょう。
戦国時代の一大名の居城を舞台にした連作ミステリ。 残虐な城主の身内が次々と奇怪な死を遂げてゆく。城主の腹心である月之丞が真相解明に挑むが… この時代ならではの大掛かりなトリックと、狂気に満ちたおどろおどろしい雰囲気がいい。細かいツッコミどころはあるが、奇想大好きなのでたいへん面白かった。
戦国の世、九州は西の龍造寺、東の大友、南の島津が睨み合う三氏鼎立の状態であったが、三氏の影響がいまだ及ばぬ地域があった。そこに頭角を現したのが、椎葉正忠の重臣鷹生(たかき)龍久であった。築城の名人として名をとどろかせていた市房信秀を、卑怯な計略で白兵戦に持ち込み打ち破り、市房城を下賜された後、代替わ...続きを読むりした龍政は、勢いに乗じてこちらも代替わりした主君の椎葉義忠を打ち破り、椎葉氏の一族郎党を皆殺しにした。ただ、義忠の息女であり、傾城の誉れが高かった鶴姫だけは生け捕りにして、自らの妻にするために城へ連れ帰った。かくして、この地を平定した鷹生龍政は居城の市房城の白壁を辰砂で赤く塗り、紅城(くれないじょう)と呼称を改めた。 破の壱 妻妾の策略 龍政はこの世の春を謳歌していた。美しい妻を娶り、側室も3人いる。跡継ぎの熊千代は少々頼りないところはあるが、息女の鳰(にお)は幼いながらもしっかりしている。そんなある日、井戸曲輪で正室の鶴姫の首のない無残な死体が見つかった。さらにすぐあと、第一側室で懐妊中の雪が五層の高さの月見櫓から飛び降りて息絶える。 破の弐 暴君の毒死 鶴姫と雪の死の真相を暴いたのは、龍政の腹心の一人弓削(ゆげ)月之丞だった。彼は、城下で行倒れていたところを、龍政の腹心牛山武兵衛が見つけ、その眉目秀麗な面立ちと有能さに側近として取り立てた男であった。第二側室の花は、月之丞に好意を抱いていた。御殿で、雪を忍ぶ宴席が設けられ、その席で龍政の弟で、兄に勝るとも劣らない残忍非道な性格をしていた龍貞が毒殺される事件が起きる。 破の参 一族の非業 龍貞が毒死したあと、娘の鳰も自害し、龍政は俄かに熊千代に期待を寄せ始めた。そんな時行われた弓比べで、またまた悲惨な出来事が…。 破の肆 天守の密室 父の龍久、世継ぎの熊千代を相次いで亡くした龍政は狂気の世界に足を踏み入れていた。そこに敵軍が攻め寄せてきたという報が。月之丞の勧めで龍政と花は天守に立て籠もることになったが、密室であるはずの三階で龍政が死体となって見つかった。 急 龍政の死後、新しい城主となった月之丞は、島津の軍勢に攻め入られ、危急存亡の秋(とき)を迎えていた。月之丞は、花に自分の素性とこれまでの事件について語るのだった。
戦国時代の九州、暴君の城を舞台に次々と一族が殺されていく事件を描く。 城主・鷹生(たかき)龍久の正室が首を切り落とされた遺体となって発見されたのを機に、第一側室が転落死し、城主の弟が毒殺され、その後も愛娘に父親に嫡男、第二側室と次々不審な死を遂げる。 鷹生龍久は前の城主や主君を残酷な手法で打ち破った...続きを読むだけでなく一族郎党皆殺しにしている。この連続殺人はかつて龍久に敗れた一族の残党による復讐なのか。 時代背景や城という舞台背景も全てミステリーのためのもの。首無し遺体があったり幼い子供が死んだり、暴君によって容疑が確定してもいない者が呆気なく斬られたりなどという残酷なシーンはあるが、本格ミステリーにもよくあることなので読み流せる。 探偵役は龍久の重臣の一人、弓削月之丞。助手は第三側室の花。龍久は女たちの中でも新参者の花を特に気に入っていて執心しているが、花が想いを寄せているのは月之丞。やがてその想いは通じるが、勿論龍久には絶対にばれてはいけない秘密の関係。 月之丞が調査した結果披露する推理はかなり凝っている。トリックにしてもそこにある心情にしてもそこまでする?と首を捻りたくなるもの。 しかし一連の事件が龍久に対する復讐で龍久を徐々に追い詰めるためのものならそれもありかな、とも思えた。 だがこれで終わりではないだろうと思いながら読み進めると、やはり予想した真相があった。さらに最後に大技が来た! これこそここまでする?と驚いたが、上手く利用したということらしい。納得。 島田荘司さんか綾辻行人さんかという感じで楽しめた。 終始殺伐としているので物語としては入り込めないが、主人公の花としてはハッピーエンドということで良いだろうか。
戦国時代でミステリ。動機やトリックが戦国時代ならではで好みでした。館シリーズや城シリーズみたいな、からくり屋敷の趣もあります。 物語を貫く狂気と執念が物凄いです。因果因縁。事件で最もおおぉとなったのは「暴君の毒死」でした。登場人物誰も彼もうーんだったけど、メインキャラのお子さんたちや妹さんみたいな周...続きを読む囲の人々の顛末に、戦国時代の非情さを感じました。 破ラストの合戦、難攻不落ってこういう城の事だっけ…????天守閣本体が兵器って……やり過ぎなかったらその後攻め込んできた島津義弘も困っていたかも。 「奇譚」の題に反しないミステリでした。紅い城は好きですね…安土城とか。暴君度が高いお館様は居城を紅く塗るのかな。九州を舞台にしたミステリ、既読が増えました。 「天守落とし」、言ってみたい日本語だけれど口に出す機会は無い。せつない。
【収録作品】序/破 破の壱 妻妾の策略/破の弐 暴君の毒死/破の参 一族の非業/破の肆 天守の密室/急 犯人も動機もわかりやすく、そこはメインではないのだと思う。でも、機械トリックがキモというのもそれに興味のない者にはピンとこない。どことなく懐かしい雰囲気がある。
九州の大名鷹生家で、城主一族が次々に謎の死を遂げる。ついに城主龍政も死んで後継がいなくなり城主の側近だった弓削月之氶が城主になるが、実は月之氶は鷹生家に滅ぼされた市房家の生き残りで、同じく鷹生家に滅ぼされた椎葉氏出身の龍政の正室と共謀して鷹生家に復讐したのだ。 登場人物の名前にやたら鳥が使われている...続きを読むと思ったら著者のプロフィールに「奄美野鳥の会現会長」とあって、すごく気になってしまったので他の作品も読みたい。
予想通りの密室トリック。綾辻行人の館シリーズのどれかに似たようなトリックがあったのではないか? 天正年間の九州という設定に食指が動いたのだが目新しいのはそこだけで、首無し死体のトリックはどうにも無理があるし、五歳の女児がお絵描きをするのは現代で何の不思議もないが、当時紙そして絵の具は子供の遊びに使え...続きを読むるようなものではない。つまりトリック成立のためのプロットになっていて、それが見えてしまった以上私には興醒めな作品となった。 トリックは難しい。
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