城田真琴のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
『AIエージェント』読書考:拡張される自己と「越境」の技術
本書を読み進める中で最も強く揺さぶられたのは、AIエージェントが単なる「便利な道具」ではなく、私たちの知性とキャリアの構造を根本から作り変える**「拡張器」**であるという点だ。
1. 認知の筋力を鍛える「コグニティブジム」
「コグニティブジム(認知のジム)」という概念は、精神科医として日々患者の認知変容に携わる身にとって、非常に腑に落ちる表現である。AIを単に受動的に利用するのではなく、能動的に使い倒す過程そのものが、現代における知的な筋力トレーニングとなる。
特に「問いを立てる力」のトレーニングが、認知療法における**「別の認知を引き出す手法」**に酷似しているという指摘は興味深い。凝り固まった思考の枠組みを外し、多角的な視点からプロンプトを投げかける行為は、セルフケアにおける認知の再構成そのものであり、AIとの対話は高度なメタ認知の訓練場と言えるだろう。
2. 「Π(パイ)字型人材」とポートフォリオ型キャリア
本書が提示する「Π字型人材」への移行、すなわち専門性を一つに絞らず、複数の柱を持ちながら他分野へ「越境」する生き方は、現代の医師にこそ求められるモデルではないか。
臨床という一本の柱に加え、noteやYouTubeでの発信、さらには「動画処方箋」のようなデジタルサービスの構築。これらは独立した点ではなく、AIエージェントという接着剤によって結合され、強固な**「ポートフォリオ型キャリア」**を形成する。AIが実務の多くを肩代わりしてくれるからこそ、私たちは複数の専門性を越境し、事業の多柱化を現実のものにできる。
3. 「失敗のコスト」が消滅する時代の挑戦
「挑戦のコストが大幅に下がる」という一節には、強い希望を感じる。かつて新しい事業や発信を始めるには膨大な時間とリソースが必要だったが、AIエージェントはその障壁を劇的に下げた。
「たくさん失敗した者が最も多くを学ぶ」という言葉を胸に、まずは打席に立ち続けること。100回の微細な失敗をAIと共に高速で繰り返すことが、結果として唯一無二の価値を生む。
結びに代えて
精神科医としての知見と、AIエージェントという新たな翼。これらを掛け合わせることで、これまでリーチできなかった層へ「新しい価値」を届けることが可能になる。本書は、その挑戦が決して無謀なものではなく、時代の潮流に即した理にかなった戦略であることを確信させてくれた。
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Posted by ブクログ
ポイントを抑え,非常にわかりやすく,それでいて綿密な調査・整理に基づいてまとめられている.
個人的には2022年5月のビタリック氏らの論文を契機とした「SBT」が面白かった.
Web3はエコシステムを透明性の高いデジタル技術で無人化,自動化する一方,なりすまし送金やコピーNFTの払い出しといった,既存の金融システムが築いてきた,アルゴリズムだけでは判断ができない善悪に対処することが難しいという点に着目し,マスアダプションする未来が見えなかったが.SBTはこれを大幅に緩和してくれそうである.
一方で,2017年のICOバブルのようになんでもありなWild Westの世界は狭まりそうで,棚ぼた的一攫千金は今後さらに難しくなっていきそうである.
現状のWeb3は経済的インセンティブ,悪い言い方をすれば投機的魅力で盛り上がっているだけであり,つまらないGameFiが一瞬で盛り上がって冷めてしまうのはその好例.GameFiはゲームそのものが面白くなければダメ.そのほかにもWeb3の応用例として本書で紹介されていたDeSciのように社会的価値の創出につながるプロジェクトがもっと増えればWeb3の世界はもっと健全になるという筆者の見方にも合意.
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数あるWeb3,ブロックチェーン関係の本でも一般・ビジネスマン目線に特化している印象.
「そもそもビットコインとは,ブロックチェーンとは」といった古典や原理に揺れることもなければ,細かな技術的要素に触れることもない.
全てのブロックチェーンプロジェクトは経済的インセンティブ設計されており、それは必ず図解できる。
Web3プロジェクトは往々にして独自トークンの生成,分配,焼却等があるため,システムアーキテクチャのように必ずトークノミクスに関するアーキテクチャ(トークンネットワーク)を作ることができる.
トークン:
・投票権や疑似通貨,NFTなどとして機能.
・プロジェクトの成長=トークンの価値向上になっているか
・経済的インセンティブで参加者に特定の行動を促す.
・需要と供給のコントロールが肝
・インフレ型(BTC,BNB),デフレ型(ETH,SOL,DOGE)
・誰がトークンを買うのか:
需要=実用性,インセンティブ,コミュニティ
メタマスクは鍵管理・署名アプリ
SBT:SoulBountToken.譲渡不可能なトークン.学歴,職歴,資格
→取り消しは可能.
→透明性で効率的な信用スコア測定,エアドロップ,賃貸借契約に関する権利などより実生活に結びついた応用
→課題:プライバシー,不正 -
Posted by ブクログ
エンベデッド・ファイナンスについてよくまとまっている本。こういう本の傾向として旬を過ぎると読めなくなるけれど、まだ発売から1年ぐらいなので読むことができる。加えて著者が各ビジネスの構造をよく捉えているのも時の経過に抗える要因だと思う。
金融機関は土管化するかしないかというのは難しい問題。路面店もなく人件費負担が軽いGMOあおぞらのような新興は完全に土管化に舵を切れるけれど、ブランド力のあるメガはともかく、地銀はなかなか厳しいだろう。土管になりたくても土管として使ってくれる企業が少ないだろうし、土管になりきるには既存ビジネスをどうするのか問題がある。考えられるのは、路面店はサービス拠点にしてしまってコミュニケーションメインとし、定型業務は新銀行などのネットに移す。その先で地元企業などを相手に財務や資金繰り相談を含むコンサルサービスを提供するなどだろうか。それでも資金の供給源である個人顧客が今まで通りメイン口座として使ってくれるのかとか色々と気になる問題はある。
いずれにしても、最近のエンベデッド・ファイナンスの潮流を把握するにはいい本だし、ビッグテックが金融で圧勝するわけではないという点を理解する上でもいい本だと思う。