小森健太朗のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
くっそ面白い。アホすぎる。いわゆるバカミス(バカミステリー)ってジャンルに入るのかな。日本の小説史上、いちばん力士が死ぬと思う。死にすぎ笑
「しょうもない」ことを面白いと思える人はめっちゃハマるはず。リアリティは全然ないし、誰にも感情移入できないけど、ただただストーリーが面白い。あー笑った。
連続短編集で、各話のタイトルは「土俵爆殺事件」「頭のない前頭」「対戦力士連続殺害事件」「女人禁制の密室」「最強力士アゾート」「黒相撲館の殺人」。まずアメリカ人マークが、大学と間違えて相撲部屋に入門してくるシーンから始まる。
どれも面白いんだけど、「頭のない前頭」「最強力士アゾート」あたりは、めっちゃしっかりした本格ミステリーでもある。
お気に入りは「対戦力士連続殺害事件」。マークは幕の虎という四股名をもらって、幕内まで進出する。初めて十五戦を戦う夏場所。しかし当日の夕方になり、対戦相手が死亡したニュースが流れる。翌日も、その翌日も、なんと十四日連続でマークの対戦相手は他殺されてしまうのだった。何が起きている!? 十四連勝(全て不戦勝)となってしまったマークは、横綱との取り組みに挑むことになってしまった……。 -
Posted by ブクログ
本格ミステリの王道。初心者におすすめ!!そんなことはありません。
バカミスだということ以外、いまいち的を得ない噂が出回る本作。なるほど。これはバカミス最高峰だ笑
マークという青年がこの物語のメインキーパーソンである。とんだ爆笑もんのひょんなことから、相撲部屋に入門することになる。
さて彼がみた力士とは…土俵で爆破された力士笑。首を切断された力士笑。女人禁制の土俵密室笑。連続力士殺人事件が多発笑。黒相撲笑笑。
しかも名探偵マーク笑。聡子と御前山の無能爆笑コンビときた。もう無茶苦茶である。だがしかし。大傑作である。
まったくもって本格ミステリである。(いや、正確にはコメディミステリ…
ページをめくるたびに、力士が死ぬことに気を取られてしまいがちですが、しっかり不可解な謎があり、トリックがあり、きちんと解決がある…文句のつけようがない!!(いや、あるんだけどさ笑
もう愛しかない。絶対布教するわ。
ここで名シーン↓
「一年前に幕内にいた力士も、この一年で四十パーセントくらいいなくなっちゃったわねぇ」 -
Posted by ブクログ
平成の時代に起きた出来事をテーマとしたアンソロジー小説。
巻末に平成30年史が載っていて、それを見ると、短いようで本当に色々なことがあったんだな。と感慨深くなる。
収録作品としては、どれも面白かったけど、千澤のりこさんの『半分オトナ』が特に良かった。キーワードは二分の一成人式、児童虐待。
貫井徳郎さんの『他人の不幸は蜜の味』も印象的。
女子高生コンクリート詰め殺人事件、スマイリーキクチさんへの誹謗中傷。
どちらも自分の中で強烈な印象を受けた事件なので、胸が痛かった。
他人を誹謗中傷してしまう人は、間違いなくSNS辞めたほうが良い。
白井智之さんの作品は今回初めて読んだけれど、白井さん作品によく言われる言葉たちが改めて理解出来た。
本当、面白いけど気持ち悪すぎる 笑。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ相撲縛りでマダミスやってみました、ってここまで書けるのは凄い。全話相撲ならではのトリックだったり、縛りがある。
割と猟奇的な殺人がありつつも、子供が読んでも問題ない(推理系の児童書)くらいの雰囲気。
海外から大学と間違えてうっかり相撲部屋に案内されてしまった留学生マークが、アンジャッシュのコントのようなすれ違いで力士見習として活躍する、と思いきや名推理で犯人を見つけ出すという、相撲版名探偵コナンみたいな小説。マークのポテンシャルが凄すぎる。推理の時、拙い日本語でそれを伝えるのが面白い。
物凄い謎解きやトリックがある訳では無いし、推理も少なく結構直ぐに犯人が割り出されてしまうのが勿体ない気もするが、逆に読みやすい。ただかなり殺人事件が多いので物騒ながら『トリック』のようなコメディチックな感じが良い。癖のある御前山とツッコミの聡子。そして、出てくる度ほぼ推理ばかりのマーク。
ラストはなかなか特殊なトリックだったが、やはり最後まで鋭いマークの推理。的はずれな見解の中に割と良い指摘をする御前山。ツッコミの聡子。シリーズ化しても良いくらい、読みやすくて面白い。続きがあれば、マークの今後、千代楽部屋の今後が気になる。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ相撲を題材にした本格ミステリ。と、言ってもジャンルとしてはバカミスであり、肩肘の凝らないユーモア感覚に満ち溢れた作品で、突拍子もない展開を成立させるだけの無駄のない文章力に驚いてしまう。読後感としてはややあっさりしてはいるものの、まさにがぶり寄りのごとき勢いで押し切った感じがあり、このテンポの良さこそ本作の最大の魅力だろう。加えて、非常に読みやすいため、人を選ばずにオススメできる作品であり、キャッチーでもあるため、Twitterでバズったのも理解できる。
立ち会いとともに爆死する力士を皮切りに、密室となった女人禁制の土俵上など、相撲であるという設定を活かした異形異様の事件のオンパレード。力士の殺し方にも躊躇は一切なく、一年で40%の力士がいなくなったという説明には笑い転げてしまった。災難で済ませられるレベルじゃない。はては黒相撲や黒力士などの歴史改変ネタをぶっこんできたわけだが、これは昨今の江戸しぐさに¥などに代表される「もっともらしいウソ」への皮肉なのだろうか?
陰惨な事件が多いのに展開に歯止めが効かず、作者の手加減も一切ない。また全体的な雰囲気が妙に明るいのもツボで、いい意味で狂っている作品。単なるネタには終わらず、本格魂の息吹を随所に感じ、事件としては一番面白かったのは「頭のない前頭」でタイトルの洒落っ気もさることながら、仕掛けたトリックも面白い。インパクトが大きいのはやはり「対戦力士連続殺害事件」で、夏場所で一人ずつ取り組みの相手が殺されていくという、考えついても普通はやらない事件を描いている。背景もなく、箇条書きで淡々と殺された力士の説明をするのは本格の無慈悲さが伝わると同時に、それによる世間の反応などを思うとそれだけでおかしみがこみ上げてくる。
次作は黒相撲、黒力士などの所謂「黒歴史」が明らかになったところで一旦終わったわけだが、次作の中相撲殺人事件や小相撲殺人事件も楽しみである。余談だが、本作の探偵ポジションである金髪と黒髪のまだら髷の外国人力士マークの存在感は素晴らしく、彼がいるだけで異物感があるのが凄いと思った。キャラとして面白いのは御前山で、キャラクターとして動かしやすそうな上、ああいうネタキャラがいたおかげで作風が陰惨にならず明るくなったんだろうと思う。次作も読みます。