屋久ユウキのレビュー一覧
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『弱キャラ友崎くん Lv.11』
著者: 屋久ユウキ
イラスト: フライ
大阪旅行が思わぬ形で終わり、日南葵とほとんど話せないまま、友崎たちは3年生を迎えます。日南は特進クラスに進み、そこで驚きの姿を見せます。友崎は覚悟を決めて日南の家を訪れると、思いがけない人物と出会います。
「あの……もしかして」「は、はい」「……葵さんの妹さん、ですよね?」
友崎は日南のことを何も知らなかったことに気づきます。仮面の下に隠された本当の日南葵を、友崎は掬い上げることができるのでしょうか。人生攻略ラブコメ第11弾は、いよいよ最終ステージに突入します。
1〜10巻までは一気に聞きましたが、前巻から時間が経ってしまったため、ストーリーを取り戻すのに少し時間がかかりました。今回の巻は終盤に向けて一気に加速していく感じで、後半は気持ちが重く苦しい展開が続きます。しかし、最後には希望が見えて次巻へとつながる流れが見えてきます。
それにしても、このラノベのラブコメに登場する高校生たちは、内省しまくりで拗らせている感がすごいですね。これぞまさに高2病。次巻も楽しみにしています。 -
Posted by ブクログ
随分待たされた気がする新刊
誕生日パーティで家族からのビデオレターなんて感動の涙が巻き起こるのが普通な場面。だというのに日南が見せた反応は拒絶に等しい反発だなんて…
日南はパーソナルスペースに不用意に踏み込まれる事を嫌がるようなタイプだったからこそ、優鈴達がしたビデオレターはちょっと踏み込んだ行為で
だとしても、あの日南が自分をどう思われるか考えられない程の反発をするなんて想像もしなかったなぁ…
交友関係を壊す程の破滅的な自傷だから、その傷に触れるなんて容易い行いではなくて。あのメンバーの中では最も日南の心に近づいていた友崎ですら日南に掛ける言葉は慎重さが求められる
ただ、「これ以上なにも、話す気はないよ」と言いつつ友崎の前から逃げようとはしなかった振る舞いからは、友崎の言葉に期待するものがあったのだろうと感じられる。それだけに日南を信じた言葉を投げてもそれが届かなかった友崎の無念も見えてしまうが
誕生日パーティで日南が見せた空虚さは輝かしい日南を見てきた者達には理解できない領域。日南への見方を変えられた友崎ですら例外ではなかったという点は彼が思う程には日南の心踏み込めていなかった事実を示しているね
日南を取り巻く日常は壊れてしまった。でもそれで本当に何も無くなってしまう程に日南がこれまで築いてきたものはヤワじゃなくて
クラスが分かれてしまっても、日南の心に何が起きたか判らなくても。それでも日南の為に何か出来るのではないかと集まって話す大阪旅行メンバーは温かみに満ちているね
ただ、それで何か突破口が見えるわけが無い辺りに、結局は彼らとて日南の事を何も知らないのだと理解させられるものになってしまうのだけど
でも、それで諦めたりしないのが友崎なわけで
日南に近づくため思いもしない手段だって平然と採る…と判ってはいたけど、まさか待ち伏せした上で妹さんに話しかけるとは。あれ、共通の話題でどうにかなったけど、普通に不審者の行動だよ(笑)
それでも繋がれた日南へ通じる道。それがまさかあのような展開になるなんて……
友崎は日南の心にどう踏み込もうかずっと考えてきた人間。でも時には友崎以上に考えていたのが風香と言えるわけで
だとしても、遥の少ない言葉から日南の、それどころか日南家の根源にすら至ってしまう彼女の業は凄まじいものが有るね…
風香が見出した日南の根源は確かに心を閉ざした日南の心を解きほぐす鍵となるかもしれない。でも、それが人の心に土足で踏み込む行為である点は否定しようがなくて
自分を責める風香の様子は堪えるものがあったよ…
それだけにその後に描かれたゲーム大会のエピソードには色々と心休まるものがあったな
この巻は日南の謎に迫る為にメンタルを削る展開が多かったから、純粋にゲームを楽しむ様子が描かれたあの辺は気軽に読めたよ。風香の珍しいラブコメ発現も有ったしね(笑)
日南の失った何かを探して右往左往してようやく辿り着いた暗闇。日南葵によって語られる過去はこれまでの彼女のイメージとかけ離れた要素を持つもの
母親から全肯定される日々という点は今に通じる何かを感じさせるけど、渚の死によって崩れ去った直後の姿と現在のパーフェクトヒロインとなった姿は重ならない
でも、その違和感がその時からどれだけの努力を彼女にさせ、今の姿を作り上げたのかという点も見えてくる。
けれど、そうまでして手にした『何か』を信じられないなら日南は行き止まるしかない
そこで友崎が掛けた言葉がいいね。聞き方に拠っては酷い自惚れに聞こえる発言。けれど、日南と切磋琢磨しアタファミにおいては日南を上回る強キャラとして日南に無い要素を持つ友崎だからこそ力を持つ言葉
だというのに、あのような展開になってしまうのか……
あの日南の勝利って本当に何の意味もないのが虚しいんだよね。完璧な対策をして友崎に勝てるようになった。だけど、それが何だというのだろう?
nanashiに憧れて彼のように成りたいと研究を重ねたのに、それを完全に捨てて勝利だけを得て。その勝利だって、友崎を上回ったという価値は手に入らず、精々が友崎の言葉を跳ね除けるという程度の意味しかない。本当に意味の薄い勝利
誕生日パーティ以上の拒絶がそこにあったわけだ
友崎と日南による人生攻略が終わるに留まらず、繋がりすら途切れてしまった状態は友崎の心を今度こそ折ってしまったようで
自分は日南の為に出来る事が有るのではないかと思えていたのに、そこにあったのは完全な拒絶と敗北
そんな友崎を再起させるのはやっぱり風香の役目なんだねぇ……
風香だって友崎が日南の為に心砕く様子に思う処なんて納得できないものも有るだろうに、それでも友崎が日南に関わり続けられるようにしている
そこには友崎の望みを叶えたい彼女としての願いと日南の動機を解き明かし物語を完成させたいという小説家の業が同居しているね
だから友崎の行動は風香の進む理由になって、だから風香の行動は友崎の進む力になる
そうして再び始まるのは魔王日南葵を討伐する物語。人生をクソゲーと吐き捨てた彼女に「人生とは神ゲー」であると諭す為の武器となる物語を皆で探す冒険
遂に終幕へと近づいた本作は読者にどのような物語を、そして神ゲーを見せてくれるのだろうね? -
Posted by ブクログ
インスタでのフォロワー数増加、モデル業による学生らしからぬ収入。それらの魔力はみみみを侵食しているようで
言動だけでなく服やアクセ選びにも影響が出始めてしまうと、アイデンティティの危機ではないかと思えてしまうが…
前巻にてみみみのブレーンに就任した友崎、この巻では冒頭からみみみと絡むシーンが多いね。おまけにみみみにとって有益なアドバイスを幾度も授けてくれるから、みみみも友崎を頼りにする
特に9話ではみみみがモデルをやっていく上で役立つ場所へ連れて行ってくれるものだから、友崎の導く先がみみみの進むべき道であるように思えてしまう
でも、本編における魔王の存在を知っていれば友崎の行動やインスタでの日南の反応に不安を覚えてしまうのだけどね……
友崎は自分の望む道を意識しつつ、みみみに関わる。考えてみればこの頃の友崎は日南の影響がかなり色濃い時期のはずで
ならそのような友崎のアドバイスを基に行動するみみみのアカウントが日南っぽくなっていくのは当然の帰結だったのかもしれない
でもみみみは日南の輝きから離れる為にモデルの道を選んだわけだから、日南っぽくなるのは本末転倒。ショックを受けるのは当たり前
ここで友崎が選挙の応援演説を利用して、みみみを励ますとは思わなかったなぁ
友崎が最近変わり始めたポイントの本質、その中で見失ってはいけない大切さ。それらは存分にみみみに届いたようで
……まさかその流れでデートに誘うとは思わなかったけど
読んでいる最中は二人の雰囲気に当てられてニヤニヤしてしまったものだけど、落ち着いて考えてみればこれって本編にて風香相手に行われた花火デートの再現なんだよね…
ならその裏に潜んでいる魔王の指示は当然アレになってくるわけで
本編で友崎は日南の指示を破り何もしなかった。こちらでは正直に全てを話す道を選んだのか…
流石にみみみの心の中の問題まで友崎には解決できない。ここでたまや日南がフォローに回り、更には瑠美の実感を聞く事でみみみの認識がやわらいでいくのは良い展開。…まあ、日南の場合、自分で火消しに動いているようにも見えるけど(笑)
誰も彼も皆から良く思われたくて動く事は有る。自分を着飾るのは悪い事じゃない
それらに気付ければ、残りの必要なピースも見えてくるわけで
みみみは日南の輝きから逃れ、自分の輝きを手にする為にモデル業を始めたから、モデル業の先でどうなりたいかという目標がなかった
だからそれを知る為には友崎が「嘘の自分」で自分と話していたかもしれないという事実と整理をつけなくちゃいけない
友崎が捻り出したのは不器用過ぎで好意も曖昧な言葉。でもその不器用さが逆に友崎の本心を証明している
その中にみみみが本当は欲しかった雑貨を含んでいるとなれば友崎はみみみの「大切」を守ってくれる存在かもしれないとも思えてくるね
結局、みみみは友崎と決定的な関係になったわけではないし、自分だけの輝きを明確に手にしたわけじゃない
でも自分の輝きを手にする為に前向きになれたなら、それは一つの物語の終わりとして良いものとなったのかもしれないね -
Posted by ブクログ
真相を言い当てられた為に友崎から逃げ出した日南。彼女が抱える闇に手を突っ込むにしろ他の方法を探すにせよ、かなり重たい展開になるのだろうなと想像していただけに今巻の展開は良い意味で予想外だったかな
友崎も日南もゲーマーだからか整然とした論理を求めてしまう。物事を難しく捉えてしまう。でも、この巻で優鈴達がしたように難しく考えるよりも自分のやりたい事をポジティブに突き詰める方がより良い結果を導くんだよね。そういった点を思い知らされる内容だった
前巻のあれで友崎と日南の交流は壊れてしまった。それを引き摺る二人の関係は友崎と風香の恋人関係が温かく描かれるだけに冷たく感じてしまう
友崎は日南に教えられた事、自分のやりたい事を下地に風香との仲を深めていく。友崎としては今の風香との関係に満足しつつゆっくりと先に進めたいと思っている。それが日南の主義に反する点を考慮すれば、このまま日南との人生攻略が終わってしまっても今の友崎にとって大きく失うものはない筈
それでも友崎が日南にこだわり続けるのは、日南の世界を変えたいと思うのは自分が日南によって世界を変えられたから?アタファミの好敵手だから?友崎自身も分析しきれない曖昧な心境。ここには一体何が有るのだろう?
今巻のメインイベントとなるのは日南の誕生日祝いだね。
友達グループの中心人物を祝うついでに旅行もできたら良いね、なんて気持ちで始まったサプライズパーティ。水沢や友崎の思惑が絡んだ事で随分思い切ったイベントになったようで。というか、日南がゲーム好きだからってオリジナルゲームを渡すとか凄いこと考えるな……。これ本当に友達の誕生日を祝うイベントだよね……?
そうして始まった旅行は場所も相まって日南の隠そうとしていたものを露わにしつつ、その流れを日南にとって不快なものとしない状況となっていくね
現実なのだけれど、ゲームみたいなテーマパーク。日南の好きな要素が詰まりつつ、苦手な要素もあったりする。それは誕生日シールも相まって日南の感情を容赦なく振り回していくものになるね。学校空間等ではどんな状況だろうと順応してみせた日南葵。けど、非日常的な空間には自分の好きなものが一杯有って、自分を祝ってくれる人もたくさん居て
それは空気の支配を超越した感情の爆走を齎すものになるわけだ
散々に感情を振り回された後の友崎と日南による会話。これは友崎が以前のように日南の心情をどうやったら理解できるか、という点ばかり考えていたらあり得なかっただろう会話。日南がどうしたら喜ぶか?そうした純粋な感情を積み上げたから、あの二人っきりになって話せるタイミングが有って、友崎も日南の在り方を認められたのだろうね
そうして友崎が心開いた後に日南が明かしたのは底が見えない話だったな…。友崎が言及したように居なくなった事を辛いと思うだけで済めばそれで終わったのかもしれない。でも日南はそこから感じ取ってしまったのか、答えの出しようのない難題を。
どうやらパーフェクトヒロイン日南の原点に繋がる事故なのだろうけど、まだ読み取れるものは少ないな。妹の事故死がどうやったら今の日南に繋がっていったのだろう?
終盤のサプライズパーティでは誰も彼も日南を祝う為に全力を出し過ぎだね。でもそれだけそれぞれが日南から受け取ったものが大きかったという事なのだろうけど
日南は人生のルールを究明して攻略を進めているだけのつもりだった。それは人に自慢できるようなものでは無いと思っていたからこそ後ろめたさが有った。だと言うのに、そんな日南から受け取ったものを全力で温かく返そうとする者達があれほど居たのか……
今回の旅行は日南の認識を変えるものになるんじゃなかろうかと期待してしまった
だからこそ、家族からのビデオメッセージは明るい展開と考えたいのだけど……。ここから日南を絶望に突き落とすような何かが現れたりしないよね……? -
ネタバレ 購入済み
元は友崎の成長物語として始まったこの作品、今はラスボスの日南をどうやって攻略するかがメインになっているわけだが、わりと順調に進んでいる感じなのが意外だった。
おめでとうメッセージ動画はアニメならかなり感動的な見せ場になりそう。 -
Posted by ブクログ
自分だけの輝きを求めてモデル業に飛び込んだみみみ
当分は人気モデルの瑠美がモデル業におけるライバルとなっていくのかな?
でも、その瑠美だってみみみを全てにおいて上回っているわけではなく、持たざる者としての劣等感を垣間見せたのは面白いね
既に輝きを持っている者、特別な者。そういったキラキラに引き寄せられるようにしてモデルへの道を志し始めるみみみの姿は良い意味で等身大の悩みに満ちているね
輝きを求めてはいるが、すぐにはそれを口に出せないし、可愛い服を勧められても「恥ずかしい」なんて引き下がってしまう。自分をグサッと指すような一言を向けられても場を和ませる事を優先してしまう
それでも今のみみみがキラキラした存在への憧れを持ってモデルの道に飛び込んだのは事実なわけで
ここで同じように少しずつ変わり始めた友崎の存在が活きてくるのは本編の展開を思い起こせるね
まだ不器用で不慣れな部分が多く見える友崎の言動。でも、友崎はキャラを変えるべく挑戦し続けている
それは新しい分野への挑戦を始めようとしているみみみにとって親近感の湧く存在。一人では怖さがある挑戦も二人なら怖くないかもしれない
そうして本編と同じようにブレーンの立場に友崎が収まる事になるのだから面白い。2人の関係性ってこういう形が最もスッキリ収まるのだろうなぁ
ただ、本編では生徒会長選挙が有ったから友崎に助言できる場が有ったけれど、みみみが目指しているのはモデル業
リア充度で遥かに低い位置にいる友崎に出来る助言なんて有るのかと思いきや、当面はインスタの活用法を一緒に悩んでいく感じになるのかな?
本気の輝きを求めてインスタを活用し始めたみみみだけど、早速SNSの魔力に取り憑かれてしまったようで
夢と優越感の折り合いをどう付けるかが課題となっていきそうだ
それにしてもインスタのフォロワー数がモデルよりもナチュラルに多い日南ってやっぱりヤバいなぁ(笑)
おまけに巻後半の友崎によるみみみ接近の裏には日南の陰が垣間見えるし、本編とは違った角度から日南の人外っぷりが楽しめそうだ