あらすじ
付き合って初めて、わかること。
冬。彼女である菊池さんとすれ違ってしまった俺は、言葉を重ねてもう一度心の距離を近づけようとする。
そのなかで、俺は自分の業とも呼ぶべきものに向き合うことになる。
それは、今まで気付かなかった菊池さんの一面をも明らかにして――。
弱キャラのままでは絶対に気付かなかったこと。気付けなかったこと。
そして、俺にとっても菊池さんにとっても特別な、日南葵という存在。
俺は初めての彼女と、この難問をクリアすることができるのだろうか。
人生のバイブル的青春小説、待望の第9巻!
※「ガ報」付き!
※この作品は底本と同じクオリティのカラーイラスト、モノクロの挿絵イラストが収録されています。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
紆余曲折あったけど、友崎と菊池さんは無事お互いを選ぶことができたと同時に、日南の秘密がだんだんわかってきた巻だった。
友崎との会話を通して日南の本質を見抜いた菊池さんもすごいけど、全ての行動に理由があって、合理的に行動している日南の凄さにも驚いた。日南が今後どういう結末になるのか楽しみだな。
どんでん返し
9巻を読んでの感想として、「屋久ユウキって天才なんじゃない!?」というものがあります
11冊目9巻で前提条件をひっくり返しやがりました
今までの10冊あってこその展開で、キャラクターの描写を深くしているので、「天才か!?」と何度も思いながら読み進めていました
反転
180度このラノベの世界が回ったような感覚を受けた。もう言い表せる言葉がない。伏線がここまで綺麗で読んでいる読者に理解させながら、この小説の世界を反転させるのはもう完璧な芸術と言っても差し支えないと思う。そんな作者の凄さしかレビューに書けない9巻。
安定の
8巻での引きのラストから悶々としながら続きを待っていましたが、非常にスッキリし今巻もとてもおもしろかったです。
各キャラの考え、葛藤がきちんと描かれていて物語へのめり込むことができました。
次巻も楽しみにしております。
弱キャラ友崎くんLv9
待望の9巻!
菊池さんと友崎を中心に描かれる1冊。
それぞれが目標に対して大きく動いていきます
日南葵の深い部分にも近づいていきます
とにかくおもしろいです。ファンです。
Posted by ブクログ
【自ら抱える業に気付いた時、その関係は意味を変える】
アタファミのオフ会に参加し、初めての彼女である風香を嫉妬させてしまった友崎は、改めて取捨選択を行う物語。
風香との関係性にどう接したら良いか悩む友崎。
在るべき理想と己の裡に湧き出る矛盾。
それは今まで深く人と関わろうとしてこなかった友崎の業。
風香を大切にしたいし、本当にやりたい事もしたい。
しかし、友崎の時間も限られた物だから全ては選べない。だが、理由がなくとも変化出来る友崎は強い人間で。
弱キャラと揶揄していた己から脱する時、風香と正真正銘の関係を築けるのだ。
おもしろい
アニメの続きが知りたくて購入しました。アニメも楽しめたですが、原作はより以上に面白く次巻が読みたくてブックライブで「購入」をポッチと押下してしまいます。
Posted by ブクログ
8巻ラストにて一波乱呼びそうな終わり方をしたものだから、この巻では恋人なら有りがちな問題に対して友崎と風香がどのように向かい合っていくのかという点を描いていくのかと思っていたのだけど、9巻で描かれたのは深く内面をえぐり出し二人の関係に罅すら入れかねないものだったね
友崎と風香ってとても理屈っぽい所があって、その上で自分の世界や価値観を明確に持っている。
そもそも二人の馴れ初めは一歩引こうとした風香に友崎が魔法を掛けるかのように風香の認識を変えて自分達が付き合う事への納得を齎したためだった。一方でそれは言葉巧みに風香の認識を変える事で向き合わなければならない問題から目を逸らすものだったのかも知れない
付き合った状態になっても理由だとか形式ばかりを追い求めてしまう傾向が見えた友崎と風香
それは付き合い始めたばかりで擦れ違いもある初々しい二人にとって自然な在り方だったのだけど、でも付き合い始めたそもそもの理由に歪さがもし有ったのなら…。その歪さのせいで苦しみが生まれてしまうなら…
それはきっと理屈っぽい二人にとって耐え難い状態になってしまったのだろうとそう感じられた
友崎は自分の世界を広げる為に人付き合いを増やしていた。風香は小説を書き進める為に人間観察を深めていた。ポポルと炎人のように本来は異なる世界に住む二人
友崎が風香の隣に寄り添った事で二人の関係は始まったけど、友崎は風香の隣にだけ居たい訳ではないからどうしても風香を置いてけぼりにしてしまう場面が生じてしまう。それは風香に寂しさを覚えさせてしまうし、その時に友崎の隣にいるのが日南であるならば、付き合い始める前に懸念した風香が考える『世界の理想』に近い光景が展開されてしまう
ここで厄介なのは友崎にとって捨てようがない大事なものが幾つもあった点
風香の事はとても大切だけど、アタファミはもっと大切だし、日南との人生攻略も捨て難い。そんなに大切なものが幾つも有るなんて欲張りであるように思えてしまうけど、風香は世界を広げていこうとするそんな友崎を好きになった
だから風香の前で友崎は自分の思うようにこそ行動するのが正しいのかも知れない。それは一方で友崎が日南とより深く向き合っていくという事であり、風香に苦しい想いをさせてしまうという事であり…
ゲーマーとしての業、人生攻略の中で日南から与えられた沢山の価値。それらは風香ではなく、日南へ向かってしまう友崎の本心であるという点が友崎と風香の関係性を一層痛々しいものに見せてしまう
だからそれらの問題を解決して風香と円満になる為には何かを本質から変える必要があって
それがまさか人生攻略の中断、ひいては友人関係の消滅へ向かうとは思わなかった!友崎はここまで風香の事を大切に想っているんだね……
取捨選択と言う意味では正しい選択。けれど、それは前述した『風香が好きな友崎』から外れてしまう行為。この選択すら否定されると友崎に取れる方法なんて無いように思えていただけに、ここで風香が一歩踏み出してくるとは思わなかった!
理屈や理想を抜きにして恋人でありたいなら、友崎だけが決断する関係なんて間違っている。二人の関係は風香が選んだって良い
そして『世界の理想』ではなく意志によって二人の関係を決めようとするなら、そこに理屈や理想なんて要らない。ただ「自分はどうしたいか?」という一点だけで考えればいい
それに納得できたから二人は無事に恋仲に収まり、恋人としてのステージを一段上げる事が出来たんだろうね
友崎と風香の問題が解決された後に提示された一つの真実。日南が友崎を指南し続ける理由
その点については個人的にアタファミと『人生』を同列のゲームとして扱う事である程度説明は出来ると解釈してきたのだけど、まさかあのような思惑が隠されていたとは……
何処までも正しさを追い求め魔王の如き存在になった日南葵。けれど、この巻にて日南葵は強キャラではなく弱キャラではないかとの疑義が呈された。そして友崎こそが強キャラではないかと
立場が逆転し始めた二人の在り方。逃げた日南に対して友崎はどう向き合って、彼女に「本当にやりたいこと」を教えられるのだろうか?
レナちゃんの恋愛論好き
初めての恋愛での上手くいかない感情の行き違いを徹底的に考察し言語化していく展開はとても面白い。ただ菊池さんの小説家としての業があるのならまず目を向けるのは自身の感情の矛盾のはずでそれを最後まで引っ張るのは作者の都合を感じてしまった。
智に働けば角が立つ
本文中に「理屈で気持ちを優先させて」といった一節があるが、この作品の特徴を端的に表していると思う。
友崎のモノローグでの分析が過剰なせいもあり、こうだからこう、こうだからこう、といった具合に物語が理詰めで構成されている印象が強く、破壊力抜群のはずの菊池さんの2つのセリフにも、背後に作者の演出が感じられてしまう。
友崎の気付きについても、そのきっかけとなる原因・理由がなければならないというルールに基づいた結果、足軽、レナ、水沢を始め、みみみすらも主人公にヒントを与えるためのNPC的存在になってしまっているのがとても残念。
今後のメインストーリーとなるであろう日南の「攻略」において、理屈と気持ちの矛盾が止揚されることに期待したい。