Posted by ブクログ
2022年02月11日
真相を言い当てられた為に友崎から逃げ出した日南。彼女が抱える闇に手を突っ込むにしろ他の方法を探すにせよ、かなり重たい展開になるのだろうなと想像していただけに今巻の展開は良い意味で予想外だったかな
友崎も日南もゲーマーだからか整然とした論理を求めてしまう。物事を難しく捉えてしまう。でも、この巻で優鈴達...続きを読むがしたように難しく考えるよりも自分のやりたい事をポジティブに突き詰める方がより良い結果を導くんだよね。そういった点を思い知らされる内容だった
前巻のあれで友崎と日南の交流は壊れてしまった。それを引き摺る二人の関係は友崎と風香の恋人関係が温かく描かれるだけに冷たく感じてしまう
友崎は日南に教えられたこと、自分のやりたいことを下地に風香との仲を深めていく。友崎としては今の風香との関係に満足しつつゆっくりと先に進めたいと思っている。それが日南の主義に反する事を考慮すれば、このまま日南との人生攻略が終わってしまっても今の友崎にとって大きく失うものはないはず
それでも友崎が日南にこだわり続けるのは、日南の世界を変えたいと思うのは自分が日南によって世界を変えられたから?アタファミの好敵手だから?友崎自身も分析しきれない曖昧な心境。ここには一体何が有るのだろう?
今巻のメインイベントとなるのは日南の誕生日祝いだね。
友達グループの中心人物を祝う。ついでに旅行もできたら良いね、なんて気持ちで始まったサプライズパーティ。水沢や友崎の思惑が絡んだことで随分思い切ったイベントになったようで。というか、日南がゲーム好きだからってオリジナルゲームを渡すとか凄いこと考えるな……。これ本当に友達の誕生日を祝うイベントだよね……?
そうして始まった旅行は場所も相まって日南の隠そうとしていたものを露わにしつつ、その流れを日南にとって不快なものとしない状況となっていくね
現実なのだけれど、ゲームみたいなテーマパーク。日南の好きな要素が詰まりつつ、苦手な要素もあったりする。それは誕生日シールも相まって日南の感情を容赦なく振り回していくものになるね。学校空間などではどんな状況だろうと順応してみせた日南葵。けど、非日常的な空間には自分の好きなものが一杯有って、自分を祝ってくれる人もたくさん居て
それは空気の支配などを超越した感情の爆走を齎すものになるわけだ
散々に感情を振り回された後の友崎と日南による会話。これは友崎が以前のように日南の心情をどうやったら理解できるか、という点ばかり考えていたらあり得なかっただろう会話。日南がどうしたら喜ぶか?そうした純粋な感情を積み上げたから、あの二人っきりになって話せるタイミングが有って、友崎も日南の在り方を認められたのだろうね
そうして友崎が心開いた後に日南が明かしたのは底が見えない話だったな…。友崎が言及したように居なくなった事を辛いと思うだけで済めばそれで終わったのかもしれない。でも日南はそこから感じ取ってしまったのか、答えの出しようのない難題を。
どうやらパーフェクトヒロイン日南の原点に繋がる事故なのだろうけど、まだ読み取れるものは少ないな。妹の事故死がどうやったら今の日南に繋がっていったのだろう?
終盤で行われるサプライズパーティ。誰も彼も日南を祝うために全力を出しすぎだね。でもそれだけそれぞれが日南から受け取ったものが大きかったということなのだろうけど
日南は人生のルールを究明して攻略を進めているだけのつもりだった。それは人に自慢できるようなものではないと思っていたからこそ、後ろめたさが有った。だと言うのに、そんな日南から受け取ったものを全力で温かく返そうとする者達があんなにたくさん居たのか……
今回の旅行は日南の認識を変えるものになるんじゃなかろうかと期待してしまう
だからこそ、家族からのビデオメッセージは明るい展開と考えたいのだけど……。ここから日南を絶望に突き落とすような何かが現れたりしないよね……?