三品和広のレビュー一覧

  • 通史で読み解く自動車の未来―大局を見渡し、戦略を導く

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    非常に面白かった。産業の発展と衰退を通史として理解し、大局を見渡す。
    自動車産業が米国で始まったのは石油産業があったことと無縁ではないだろう。そして、トヨタやVWが台頭したのは、ごく最近になってからだと捉えるべきなのである。システムを作ったのは誰かを理解しておく必要。

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    2026年07月12日
  • 戦略不全の因果―1013社の明暗はどこでわかれたのか

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    安定の三品さん本。ミクロの要因ではなく、戦略によって企業の運命が別れることを調べあげています。戦略の観点を無視してマーケティングも語れない。

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    2025年08月28日
  • 企業成長の仕込み方(経営戦略の実戦(2))

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    ネタバレ

    企業成長について。
    めちゃめちゃ勉強になる良著

    メモ
    ・成長パターンのうちもっとも安定性が高いのは海外進攻を主軸に据えたもの
    ・最も安定性が低いのは新興事業を主軸に据えたもの。主業や副業とは異なる事業

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    2023年05月19日
  • どうする? 日本企業

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    三品さんの本は「戦略不全の論理」「戦略不全の因果」でもそうですが、データに基づいた客観的な分析を出発点にしている点で、とても共感が持てます。さらにデータ分析だけでなく、戦略や経営者の資質など数字にあらわせない視点も取り上げているので、非常にバランスの取れた本という印象を受けますが、本書も同じ特徴を備えていました。 「戦略不全の・・・」と比べるとだいぶ軽い読み物に見えますが、中身はかなり深いところを突かれていると感じました。特に、多くの日本企業が「錦の御旗」にしているイノベーションやグローバル化について、単純にやればいいってわけじゃないよ、と警鐘を鳴らしている点には共感しました(中身が大事だということです)。

     「世界でもっとも貧しい大統領」として昨今日本でも有名になったウルグアイのムヒカ前大統領が、国連で「我々は発展するために生まれてきているのではない、幸せになるために生まれてきているのだ」というスピーチをされましたが、これを三品さん流に企業に当てはめると「企業は成長するために生まれてきているのではない、人々を幸せにするために生まれてきているのだ」ということになるでしょうか。我々が当たり前と思っている前提が本当に正しいのか、少し立ち止まって再点検する意味でも本書は素晴らしいと思います。

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    2023年04月27日
  • 戦略不全の因果―1013社の明暗はどこでわかれたのか

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    本書は前著「戦略不全の論理」の続編的位置づけとして出版された本であるが、必ずしも前著を読んでいなくても全く問題ない(私自身前著は読んでいない)。本書の前半は日本の上場企業1000社強のうち、3つの指標を用いて戦略不全企業をあぶりだしている。3つの指標の細かい話は述べないが、それなりの納得性はある。それでは戦略不全とは何か?それを明らかにするために、著者は戦略不全企業の正反対にいる優良企業(彼は単純に「対照企業」と呼んでいる)も同様に3つの指標からあぶりだし、それとの比較分析において原因を明らかにせんとしている。他の経営本にありがちな、いかにも著者の恣意的な選定による優良企業ケーススタディではなく、客観的に導出された優良企業、不全企業の比較分析をしているところに大変共感した。
    本書の素晴らしいところは、この手の泥臭い分析は下手をすると専門学会誌でしかとりあげにくいようなところを、がんばって一般読者にも理解可能なレベルまで「なんとか」噛み砕いているところである。ここは一般読者に対してもギリギリセーフという感じがある。本書では必要以上に図表を駆使し、読者にわかりやすくしようという努力が垣間見られることに共感を覚えた(ただしいくつかの図表はかなり見づらかったが)。

    本書の前半は上述したようなデータハンドリングが紙面を占めている。そして後半が肝心の主題である、戦略不全企業の原因分析であるが、ここで著者は「事業立地」という企業の意思決定の中でも一番根っこにある部分にフォーカスを当て、経営者が肥沃な事業立地を選ぶかどうか、また事業立地が不毛になる前に肥沃なところに「転地できるか」が分かれ目だとしている。またさらにこれを深堀して、ではなぜ戦略不全企業の経営者はこれができないのか?という点についても4つの要因を掲げているなど、とにかく最後の最後まで綿密な分析を続けているという点で感服した。4つの要因のうち1つは精神論的な感もあり若干無理も感じたが、本書はぜひ日本企業の経営層の方々に読んでもらいたい本である。

    余談であるが、本書を読んで「事業立地の選択と転地」という概念は企業だけでなく国家や個人にもあてはまると感じた。優れた人ならば仮に戦略不全企業に入社してしまって、その企業が一向に転地する気配がないならば、自分自身を「転地」させてしまうだろう。また国家を見ても、欧州で復興を遂げているような国々などはおしなべて不毛になってしまった自国の主要産業を「転地」させることに成功しているように思える。本書、読みとおすのは大変だが一読の価値は十分ある。

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    2023年04月24日
  • どうする? 日本企業

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    「心の叫び」を事業にする。

    戦略不全シリーズは論理的に日本企業の問題点と処方箋を提示していたが、本書とそのアンサー本である「リ・インベンション」では、マインドや組織文化の部分にまで踏み込んで述べている点において、学びが大きい。

    ◻︎概要
    日本企業が盲信的に正しいと信じ込んできた解「イノベーションと品質、多角化と国際化」に疑問を呈している(どうする?にあたる)。その根源にあるのが、成長戦略と言う不可思議なモデルであり、成長戦略に疑問を呈するところから本書はスタートする。バラ色の中期経営計画と悲惨な決算発表のコントラストを見ることで、成長戦略に終始する日本企業に異議を唱える。

    ◻︎所感
    読者も、本書を読むまでは盲信的に「イノベーションや多角化」は絶対解だと信じてきたが、それらは時代と市場によって変わること、さらには「世の中を変えたい!」という卓越した個人の「心の叫び」抜きにしては、水泡に帰すると気づかされた。経営計画やそれに準ずる数値目標に合わせいくことでは、予測可能なものしか生まれない。
    企業にとっては既存事業のオペレーションを行う以上、経営計画は不可欠であるが、企業全体を計画に縛り付けていては、個人の心の叫びは日の目を見ないだろう。筆者の言う様に、スピンアウトなどして、既存の枠組みと一線を画すことが求められる。


    〜〜<各論>〜〜〜〜
    ■イノベーションと品質 (2章/3章)
    ・イノベーションはパンドラの箱
     -いずれ自分の首を絞めることになる
     -志とマーケティングなきイノベーションに長期の繁栄なし
    ・コンフォーマンス・クオリティが求められるフェーズなのか

    ■多角化と国際化(4章/5章)
    ・滲み出しの限界
     これも志ある専業家や狙い打ちして進出してきた企業には勝てない
    ・国際化はレッドオーシャン+国家の壁
     かつての日本も欧米企業に市場の門戸解放しなかった
     今の新興国も同じだけでなく、日本企業の相手も増えた(アジア)

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    2021年07月26日
  • リ・インベンション―概念のブレークスルーをどう生み出すか

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    笑う消費者、泣く企業。

    ■再読の背景
    最近読んだ「武器としての資本論」にあったイノベーションに対する考察が興味深かったで、あらためて本書を読み返した。資本論には"笑う消費者"の考察はないものの、イノベーションに成功しても労働者(ひいては生産者)がなぜ幸せになれないのか、報われないのかという視点があり、本書と共通している点が興味深い。
    相対的な生産手段の獲得(絶対的な手段=労働力の増加ではない、すなわちイノベーションによる高機能化、コストダウン)は消耗戦である…と。

    ■概要/感想
    では結論、イノベーションへの解は何か?
    それは「リ・インベンション〜前衛への挑戦〜」であると筆者は言う。
    私の中では「資本主義そのものや、その緩衝地帯であったフォーディズムが終焉を迎える世界で、資本vs労働者の階級闘争にケリをつけ、全ての人が生産者になる世界を実現させる」ことだと解釈する。そのための一つのアプローチとして、本書「リ・インベンション」が有益な示唆に富むことは間違いない。
    特にフォーディズムから抜け出せない日系企業、慌てて舵を切りネオリベ化した大企業に対して、経済学の視点でなく、経営学(特に経営戦略)の視点で痛烈なメッセージを与えてくれており、規格大量生産から抜け出す必要に迫られた企業にとっては必読である。

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    2021年05月23日
  • 戦略不全の論理―慢性的な低収益の病からどう抜け出すか

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    名著です。
    戦略というありふれた言葉を定義しなおし、経営戦略とは何かとその要諦を世に示す内容。
    膨大なデータ調査と分析、事例考察と教養全てを動員して、日本企業の戦略不全の原因(論理)と処方箋(どうすべきか)を導き出した模様。
    経営者、役員クラス、またその人達と接する層、目指す人は絶対読んでほしいです。

    実務家の方では三枝匠さんというプロフェッショナル経営者の「会社改造」が名著ですが、アカデミック(入門〜中級)分野ではこの本の右に出るものはありません。

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    2020年04月27日
  • 戦略不全の論理―慢性的な低収益の病からどう抜け出すか

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    戦略がなぜうまく実行できないのか?
    それを数値データから読み解く本。戦略とは何かということを考えさせる本。経営戦略の論理と実行のプロセスの整理。

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    2015年01月15日
  • リ・インベンション―概念のブレークスルーをどう生み出すか

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    イノベーションとリインベンションの違いから、リインベンションの実例紹介。そして、リインベンションのやり方。日本企業への提言。

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    2014年01月07日
  • リ・インベンション―概念のブレークスルーをどう生み出すか

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    いくつかの具体的なケースから学べるイノベーションの数々。日本のモノつくりのきっかけのように思います。

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    2013年07月28日
  • リ・インベンション―概念のブレークスルーをどう生み出すか

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    実例豊富で大変わかりやすい。
    皆、うすうす感じている企業競争への恐れを、説得力をもって解説、転換を促している。

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    2013年06月24日
  • リ・インベンション―概念のブレークスルーをどう生み出すか

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    今年読んだ本の中でもかなりのヒット!でした(*^-^*)

    『リ・インベンション』とは、今ある製品(特に成熟期や衰退期にあるすでに消費者が見慣れた製品)を、最新の技術やニーズの変化に対応して、一からやり直そうとすることです。

    その時に大事なことは、
    製品のコンセプト「誰に、何を、どのように提供するモノなのか?」を見直してみること。

    例えば、iPhoneはイノベーションだったのでしょうか?
    斬新な技術を新発明したわけではありません。Appleが掲げた新たな視点のコンセプトから、既存の技術を結集して生まれた製品です。
    これは、イノベーションではなく、『リ・インベンション』と言えるのかもしれません。

    本書には、非常に魅力的であり、「これこそ現状に不満があって、求めていたモノだ!」という製品が多数紹介されています。

    「サイクリング用ヘルメットを見えない化した『ホヴディング』」
    「自転車のライトを一から創り直した『レボライツ』」
    「キッチン用品を欠点探しから始めて一から創り直す『OXO』」
    「扇風機の欠点を解消した『ダイソン』」
    「家庭に本格エスプレッソの楽しみを運んでくれた『ネスプレッソ』」

    中には存在すら知らなかったこともあり、どの製品もコンセプトも非常に目から鱗でした。
    さらに、その製品のストーリーも深く知ることができて、より製品に対する愛情が湧いてきます。

    ものづくりに関わる方だけでなく、皆に読んでみてもらいたい一冊です。
    普段何気なく使っていた、身の回りの製品を見る目が変わります!

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    2014年01月04日
  • 戦略不全の論理―慢性的な低収益の病からどう抜け出すか

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    2004年に書かれた経営戦略の本だが、2013年の今読んでも十分勉強になる良書。
    数々の企業の事例や、綿密な調査に基づいた分析・考察がなされており、2004年当時に読んで皆が対策を講じていれば、現状の電機業界の危機的な状況は少しでも回避できていたのではないか思う。そんな簡単なものではないかもしれないが。

    日本の電機業界には、円高とそこから派生するグローバリゼーションが鬼門となっているという下りがあったので、試しに一社の売上高と営業利益率の推移を確認してみた。確かに、1985年のプラザ合意を機に、売上高は拡大しているものの、利益率は下降の一途をたどっている。本書の指摘のとおり、規模の拡大が利益の犠牲を伴っていることに驚きを隠せない。

    2013年も電機業界にとっては試練の年である。もうすぐ始まるCESも、自動走行を実現する自動車メーカーに注目を攫われそうだ。電機メーカーには、完成度の高い戦略策定と、着実な実行力が試されていると痛感した。

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    2013年01月06日
  • どうする? 日本企業

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    本当に新興国ですか?  -  国内は成長余力がないから新興国に打って出るというのは、理にかなっているようで、侵攻される側の視点がはいっておらず、日本企業の独りよがりにすぎない。日本が新興国だった戦後、侵攻してくる欧米企業に対し、日本政府はあの手この手で自国企業の防衛につとめた。日本の優秀な官僚が、外国為替法や外資法を駆使して外国企業の参入を制限した。その結果、富士写真vコダック、キリンvバドワイザー、トヨタvGM、雪印vクラフト、花王vP&G、カゴメvハインツいずれにおいても、日本市場では、外国の名門企業を圧倒している。外国企業で戦後日本への先行投資が実を結んだのは、石油、コンピュータ、化学、医薬の4業種だけである。日本政府は国益に直結するこれらの外資については例外的に参入を認めて保護主義政策の例外としたのである。
    日本ですら、自由貿易に門戸を開放したのは、本格的には2000年代に入ってからであるといわれる。対して、今の中国やインド政府の立場は、戦後日本とそれほど変わらない。新興国政府の視点からみれば、日本企業が参入してきたからといって、そう簡単に門戸を広げるわけがなく、技術やノウハウを吸い上げられて、後に撤退を余儀なくされる。

    本当にイノベーションか? セイコーが1969年に世界ではじめてクオーツ式の腕時計を開発した。スイス勢のゼンマイ式機械時計が1日20秒狂うのが当たり前だった時代に、1秒に3万回振動する水晶を利用して精度を5000倍に高めた。もっとも、クオーツの原理を発明したのは米ベル研だったので、セイコーの快挙はそれを腕時計サイズに小型化したプロセスイノベーションだった。 
    1970年代、スイス勢は壊滅的な打撃を受けたが、セイコーの快進撃は80年代に急ブレーキがかかる。80年代、香港勢が10ドルのクオーツ時計を世界に輸出し、70年代には3000ドルしたクオーツ時計の値段をわずか10年で50ドルまで下げてしまった。90年代にはカシオが100ドル前後のGショックで市場を席巻し、2000年になると、携帯電話が普及して、クオーツ腕時計を無用の長物にしてしまう。 皮肉にも、クオーツ革命が実用腕時計の頂点を極めることで、実用時計に幕を引いてしまう。
    一方、セイコーの凋落にあわせるように、スイス勢が息を吹き返す。「腕時計は男性が身につけることを許される最高級の宝飾品」といわれ、50万円を超える高級機械式腕時計が富裕層の中国人などにも飛ぶように売れている。 戦略失敗に気づいたセイコーが、Grand Seikoで、高級機械式腕時計に再参入したが、一度傷ついたセイコーブランドはPatekPhilippeやロレックス、オメガ、Breitlingとは釣りあわない。

    スタインウェイのピアノは一台2000万円もする工芸品だ。これに対してヤマハの川上源一は、木材を120度のオーブンで強制的に乾かしたうえで画一的な自動化ラインに流すことで、スタインウェイの100倍の規模でピアノを大量生産し、71年にはアメリカのグランドピアノ市場の半分までを占領する。ヤマハは、職人がつくる工芸品のピアノを自動車工場のようなラインにのせて工業品に仕立て、価格も150万円台~として、世界を震撼させた。ヤマハはスタインウェイを何十台も購入し、バラバラに分解して部品単位で素材の出所を突き止めるという作業を繰り返し、「スタインウェイを超えるスタインウェイ」をつくることを目指した。
    しかし、80年代に入ると、韓国のユンチャン、サミックという2大メーカーが、60万円台のグランドピアノで市場を席巻しはじめ、ヤマハの凋落がはじまる。工業品としての品質を高めて価格を下げ、量を追う戦略は、短期的には成功しても、長期でみれば利益なき成長という壁に突き当たる。

    高度経済成長が終わった60年代から今日まで、売上高は増加しているが、利益率は下降した。「利益なき成長」の図式は、日本企業が海の向うに活路を見出して、対米貿易黒字を積み上げた結果だが、利益という点では何のゲインもなかった。 失われた20年といわれるが、日本企業の利益でみれば、ニクソンショックの71年、石油ショックの73’年ごろから今日まで、半世紀の長期にわたり、「利益なき無理やり成長」を続けている。

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    2012年09月02日
  • どうする? 日本企業

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    【ポイント】
    18/いまだに日本は、「無理やり成長」のつけに苦しんでいるのに、相変わらず
      「成長戦略の大合唱」でよいのでしょうか?
    32/セイコーが開発競争を勝てたのは、主要部品を内製化できたからだ。
      他社は試作品はできても、量産段階で足踏みした。
      セイコーの快挙は、製造工程のプロセスイノベーションだったと見るべき。
    44/セイコーは量をおって自滅した。
    50/スイス スウォッチ(ハイエックCEO)の逆襲
      ハイエックは、経営資源を普及帯に集中投下したセイコーに対して、全方位戦略
      とした。
      売上げと利益が単一のセグメントでは両立しないことを熟知していた。
      スウォッチの戦略は、個性あふれるブランドのポートフォリオ
      (ブレゲ→オメガ→ラドー→ロンジン→スウォッチ)
    55/クォーツ革命とはなんだったのか?
    第一幕:セイコーは雲上帯市場に投入。
     第ニ幕:普及帯市場の出現と中級帯から普及帯へ
     第三幕:実用時計市場の喪失 (時計をみにつけなくてもよい)
    56/セイコーはどうすればよかったか? →事業立地を移し変える「転地」
      時計の副次的な要素(ファッションステートメント)が出現
      セイコーは、旧来の事業立地の防衛に明け暮れ、主役の座からおちた。
    70/日本人の品質信仰に異議を唱える
      ?信仰の起源に疑問 ←HPのDRAM品質の発表 
        おだてられて、舞い上がり、品質のなんたるかも考えないまま、
        日本はずっと高品質の国だったのごとく自信を持ってしまった。
      ?品質信仰の根拠がゆらぐ。←日本が高品質を占有する時代はおわった。
      ?品質信仰の弊害 
    79/「品質の多様性」絶対的な定義はなく、いくつもの側面がある。
      ジャガー:パフォーマンス・クオリティ ◆顧客の期待を上回る程度
      カローラ:コンフォーマンス・クオリティ◆顧客の期待を裏切らない程度
     
      パフォーマンス・Qは、顧客に見える素材や仕上げがかもし出すので原価が上がる
      コンフォーマンス・Qは、製造工程からバラツキを排除するので、あげればあげるほど
      材料・作業のムダがへり、原価が下がる →「品質を上げれば原価が下がる」
    80/スタインウェイのピアノには個体差があり、はずれがある。
    107/コンフォーマンス・Qを訴求すれば中国でも勝てるという決めつけは危うい。
      米国が欧州を追い抜いた時、日本が米国を追い抜いた時も、新たに豊かになった国に
      旺盛な内需があり、その内需が大量生産を支え、大量生産がコンフォーマンスQを鍛える
      という図式があったが、次には中国に次のヤマハがでてくる。

    113/日本の「地縁」信仰
      ホンダは、総合エンジンメーカー、トヨタは、総合量産車メーカー、
      麒麟麦酒は、総合飲料メーカ:「どこへ」多角化するかなく、ビールにちかければなんでも
      一方、米国は、ビールのブッシュ、ワインのモンダビと自分のアイデンティティを鮮明化。
    114/「滲み出し型」の日本、「狙い撃ち型」の米国企業、
       独立した事業を買い集め、事業ポートフォリオを組む。
    125/日本企業は良好な労使関係をを維持する代価として、人件費を固定費化した。
      ←余剰人員がでる局面で大きな支出を強要する。
    127/手当たりしだいの多角化に走った。←雇用を守るため
    139/そもそも余剰人員を抱えないように細心の注意をはらって採用を進めるべき
    147/「国内は成長余力がないから、新興国に打って出る」は、そもそも日本企業の自己都合
      でしかない。「侵攻」される側の視点が入っていないどうみても動機が不純。
    173/日本で成功した外国企業(自由化以前に地歩を固めた)は、日本政府が政策を実現する上で
      必要不可欠な製品を提供していた。しかも、固有の資源や技術を保有していて他社にかわれない。
      →新興国に進出するにあたり、この「固有の資源や技術」をもつ会社はどれだけあるか。
    182/しんこうこくでは、汎用品にてをださず特殊品(ニッチ)で勝負すべし。
    192/ウェルチは事業の選択で、日本がやらないものを選んだ。テレビ、半導体などは切り捨て
      日本のちからがおよばないジェットエンジン、医療用診断装置、ガスタービンなど。
      日本を適にまわさないポリシー。
    193/主戦論か不戦論か
    194/日本の技術は世界一というが、それは日本の尺度で測った場合のこと。←砂漠での太陽電池
    196/日本の得意戦法は、実行部隊を意思決定に関与させ、計画の推進力で勝負するもの
      実行部隊の技能形成を促して、現場で判断をさせるようにするための工夫
      しかし、この戦法が機能するには、推進力を発揮する場を定める指揮官が必須。
      挑戦のしがいのある戦場を対極的な立場に立って「指揮官」が定めたこと
      →ところが今は「集団経営」になっている。
    199/創業経営者と操業経営者の区別が徹底的に必要。
    203/ねらい目は、「さらなる拡散市場の先取り」
      戦略ポイントは、「特定の顧客グループにフォーカスすること
    207/リ・インベンション
      技術的イノベーションは、最初の着想も大切だが、それに続く実作業の割合が高く、
      組織戦や持久戦になりがち。
      今後は、日本発の着想が韓国や中国で量産化される時代になる。
    208/り・シンベンションでは、技術力以上に構想力を要求する。
      技術力は組織に宿るが、構想力は秀でた個人に宿る。
    216/成長は結果として実現するもので、目標は「事業活動を通じて世の中にもたらす
      変化」という言葉で語るべき。
      企業に期待される社会貢献は、
      ?すでにあるモノやサービスを今より安く提供する。
      ?いまだ世の中で買う事のできないモノやサービスを変えるようにする。

      ◆自分の「やりたい仕事」を精密に定めることこそ経営戦略の第一歩となる。
       集団が、合議で決めることではない。卓越した個人の心の叫びに従うもの。

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    2019年01月06日
  • どうする? 日本企業

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    現代の日本企業(主に製造業)の直面する問題を鋭く指摘した一冊。個人的に一番興味のある分野だけあって、非常にためになり興味深い内容だった。著者が母校で勤務するの教授というのも親しみの持てる点。

    日本企業の抱える問題を総称すると、「成長至上主義」。不安定な時代においても中計は総じて売上増・益増の右肩上がり。リーダーが描いたビジョンを実行するための経営ではなく、やることを合議で決める手段としての集団経営の蔓延。高度成長期の終焉から20年余が経つこの時代においても、日本企業のDNAが悪い意味で根付いてしまっているのだと感じる。

    窮地に陥った企業にありがちなイノベーション戦略、多角化戦略、新興国戦略が果たしていかほどの効果を持つものかということについても分析があり、今後の企業のあり方を考える上でとても勉強になった。

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    2011年12月04日
  • どうする? 日本企業

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    ネタバレ

    素晴らしい。巷間に満ちる「通説」に対して、論理的で根拠に基づいた助言の数々。以前の著作に比べ、読みやすくかつ、実践に踏み込んだ内容。もう一度読みなおしたい。

    以下内容のメモ。

    第一章 本当に成長戦略ですか
    売り上げ拡大を市場命題とする雰囲気への反論。豊作貧乏になるだけでは?企業としての社会的価値の追求とその結果としての利益追求を唱える。
    第二章 本当にイノベーションですか?
    イノベーションだけでは、勝ち残れない。マーケティングが必要である。

    第三章 本当に品質ですか?
    品質もコンフォーマンスクオリティではなく、パフォーマンスクオリティを重視すべき。意味のない品質追求に陥っていないか?

    第4省 本当に浸みだしですか?
    既存事業との類似性や応用可能性を根拠にリスクを低いと判断して実施した多角化は、成功例がほとんどない。むしろ、利益率とシャープな目的意識が必要。

    第五省 本当に新興国ですか?
    猫も杓子も新興国に進出を試みるが、成功パターンはなにか?日本が新興国だった時代を例に以下に外資を排除・受容してきたかを論じ、効果的な事業領域を探る。

    第六章 本当に集団経営ですか?
    集団的サラリーマン的リスク回避的経営への警鐘。

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    2011年11月19日
  • どうする? 日本企業

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    成長の奴隷になっている日本企業。本来は事業を通して「やりたいこと」を実現するのが企業なのに、そうなっているか。成長は結果として実現するもの。

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    2011年10月28日
  • どうする? 日本企業

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    最近、外資系勤務の人の本ばっかり読んでたせいか、大学教授からみた企業論は違った視点でとても面白かった。実例を上げて、企業の方向性をどのうにもっていくのがいいか、読者に考えさせるようになっており、非常に読み応えがある。押しつけるような回答がなく、問題提起、事実に基づいた検証のみで終わっているところが、この本のいいところではないかと思う。
    今の日本企業が置かれている立場、「成長」の意味、ぜひ就職活動をしている学生に読んでもらいたいと思う。

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    2011年10月26日