三品和広のレビュー一覧
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三品さんの本は「戦略不全の論理」「戦略不全の因果」でもそうですが、データに基づいた客観的な分析を出発点にしている点で、とても共感が持てます。さらにデータ分析だけでなく、戦略や経営者の資質など数字にあらわせない視点も取り上げているので、非常にバランスの取れた本という印象を受けますが、本書も同じ特徴を備えていました。 「戦略不全の・・・」と比べるとだいぶ軽い読み物に見えますが、中身はかなり深いところを突かれていると感じました。特に、多くの日本企業が「錦の御旗」にしているイノベーションやグローバル化について、単純にやればいいってわけじゃないよ、と警鐘を鳴らしている点には共感しました(中身が大事だとい
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本書は前著「戦略不全の論理」の続編的位置づけとして出版された本であるが、必ずしも前著を読んでいなくても全く問題ない(私自身前著は読んでいない)。本書の前半は日本の上場企業1000社強のうち、3つの指標を用いて戦略不全企業をあぶりだしている。3つの指標の細かい話は述べないが、それなりの納得性はある。それでは戦略不全とは何か?それを明らかにするために、著者は戦略不全企業の正反対にいる優良企業(彼は単純に「対照企業」と呼んでいる)も同様に3つの指標からあぶりだし、それとの比較分析において原因を明らかにせんとしている。他の経営本にありがちな、いかにも著者の恣意的な選定による優良企業ケーススタディではな
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「心の叫び」を事業にする。
戦略不全シリーズは論理的に日本企業の問題点と処方箋を提示していたが、本書とそのアンサー本である「リ・インベンション」では、マインドや組織文化の部分にまで踏み込んで述べている点において、学びが大きい。
◻︎概要
日本企業が盲信的に正しいと信じ込んできた解「イノベーションと品質、多角化と国際化」に疑問を呈している(どうする?にあたる)。その根源にあるのが、成長戦略と言う不可思議なモデルであり、成長戦略に疑問を呈するところから本書はスタートする。バラ色の中期経営計画と悲惨な決算発表のコントラストを見ることで、成長戦略に終始する日本企業に異議を唱える。
◻︎所感
読者 -
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笑う消費者、泣く企業。
■再読の背景
最近読んだ「武器としての資本論」にあったイノベーションに対する考察が興味深かったで、あらためて本書を読み返した。資本論には"笑う消費者"の考察はないものの、イノベーションに成功しても労働者(ひいては生産者)がなぜ幸せになれないのか、報われないのかという視点があり、本書と共通している点が興味深い。
相対的な生産手段の獲得(絶対的な手段=労働力の増加ではない、すなわちイノベーションによる高機能化、コストダウン)は消耗戦である…と。
■概要/感想
では結論、イノベーションへの解は何か?
それは「リ・インベンション〜前衛への挑戦〜」であると -
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今年読んだ本の中でもかなりのヒット!でした(*^-^*)
『リ・インベンション』とは、今ある製品(特に成熟期や衰退期にあるすでに消費者が見慣れた製品)を、最新の技術やニーズの変化に対応して、一からやり直そうとすることです。
その時に大事なことは、
製品のコンセプト「誰に、何を、どのように提供するモノなのか?」を見直してみること。
例えば、iPhoneはイノベーションだったのでしょうか?
斬新な技術を新発明したわけではありません。Appleが掲げた新たな視点のコンセプトから、既存の技術を結集して生まれた製品です。
これは、イノベーションではなく、『リ・インベンション』と言えるのかもしれませ -
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2004年に書かれた経営戦略の本だが、2013年の今読んでも十分勉強になる良書。
数々の企業の事例や、綿密な調査に基づいた分析・考察がなされており、2004年当時に読んで皆が対策を講じていれば、現状の電機業界の危機的な状況は少しでも回避できていたのではないか思う。そんな簡単なものではないかもしれないが。
日本の電機業界には、円高とそこから派生するグローバリゼーションが鬼門となっているという下りがあったので、試しに一社の売上高と営業利益率の推移を確認してみた。確かに、1985年のプラザ合意を機に、売上高は拡大しているものの、利益率は下降の一途をたどっている。本書の指摘のとおり、規模の拡大が利益 -
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本当に新興国ですか? - 国内は成長余力がないから新興国に打って出るというのは、理にかなっているようで、侵攻される側の視点がはいっておらず、日本企業の独りよがりにすぎない。日本が新興国だった戦後、侵攻してくる欧米企業に対し、日本政府はあの手この手で自国企業の防衛につとめた。日本の優秀な官僚が、外国為替法や外資法を駆使して外国企業の参入を制限した。その結果、富士写真vコダック、キリンvバドワイザー、トヨタvGM、雪印vクラフト、花王vP&G、カゴメvハインツいずれにおいても、日本市場では、外国の名門企業を圧倒している。外国企業で戦後日本への先行投資が実を結んだのは、石油、コンピュータ、化学、
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【ポイント】
18/いまだに日本は、「無理やり成長」のつけに苦しんでいるのに、相変わらず
「成長戦略の大合唱」でよいのでしょうか?
32/セイコーが開発競争を勝てたのは、主要部品を内製化できたからだ。
他社は試作品はできても、量産段階で足踏みした。
セイコーの快挙は、製造工程のプロセスイノベーションだったと見るべき。
44/セイコーは量をおって自滅した。
50/スイス スウォッチ(ハイエックCEO)の逆襲
ハイエックは、経営資源を普及帯に集中投下したセイコーに対して、全方位戦略
とした。
売上げと利益が単一のセグメントでは両立しないことを熟知していた -
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現代の日本企業(主に製造業)の直面する問題を鋭く指摘した一冊。個人的に一番興味のある分野だけあって、非常にためになり興味深い内容だった。著者が母校で勤務するの教授というのも親しみの持てる点。
日本企業の抱える問題を総称すると、「成長至上主義」。不安定な時代においても中計は総じて売上増・益増の右肩上がり。リーダーが描いたビジョンを実行するための経営ではなく、やることを合議で決める手段としての集団経営の蔓延。高度成長期の終焉から20年余が経つこの時代においても、日本企業のDNAが悪い意味で根付いてしまっているのだと感じる。
窮地に陥った企業にありがちなイノベーション戦略、多角化戦略、新興国戦略 -
Posted by ブクログ
ネタバレ素晴らしい。巷間に満ちる「通説」に対して、論理的で根拠に基づいた助言の数々。以前の著作に比べ、読みやすくかつ、実践に踏み込んだ内容。もう一度読みなおしたい。
以下内容のメモ。
第一章 本当に成長戦略ですか
売り上げ拡大を市場命題とする雰囲気への反論。豊作貧乏になるだけでは?企業としての社会的価値の追求とその結果としての利益追求を唱える。
第二章 本当にイノベーションですか?
イノベーションだけでは、勝ち残れない。マーケティングが必要である。
第三章 本当に品質ですか?
品質もコンフォーマンスクオリティではなく、パフォーマンスクオリティを重視すべき。意味のない品質追求に陥っていないか?