三品和広のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
開始:20070417、完了:20070417
神戸大学の三品和広教授による日本の電機・精密機器メーカーの
戦略不全の様相を説明した本。
日本企業の戦略がいかに機能していないかを示している。
もっとも端的に表している指標が売上高営業利益率の推移で、
それをみれば日本企業は一貫して利益なき拡大を続けている
ということが理解できる。
しかし、一方で他国のそれはどうなのだろうかという疑問が
起こる。アメリカやドイツ、フランスなどではそうした傾向はないのだろう
か。そういうデータがあって初めて、"日本企業は"という
ことができるような気がする。もしかしたら、"グローバル -
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ネタバレ骨太な経営戦略本。
いろんなケースがのっていて非常に興味深い一冊。
大変興味深い一冊ではあるが、メーカー系企業が中心であり、もう少しインフラ・不動産・サービス系の事業会社の事例の掲載もあると個人的には嬉しかった部分
memo
・優良という曖昧な表現でなく戦略の標的を利益率、成長率、占有率に
・戦略は利益の最大値を決定する。実績値を決めるのは管理
・高収益への正攻法
売上高営業利益率は事業の立地で決まる(同じ会社でも事業で利益率は変わる)
立地を規模感や成長性で選んではいけない(規模成長は時に利益を犠牲に)
立地はミッションクリティカルであることが望ましい(必須性)
立地はアン -
Posted by ブクログ
ネタバレ戦略不全の論理
■事業領域の明確
・明快な得意技を持ち、それによって帰還事業を深耕することで、安易な多角化に走ることなく成長を遂げる。
・創業以来時が経過するとともに、規模は拡大すれども利益率は低下する。
・傾向に打ち勝つことこそ戦略の本質。
・伝統ある大企業が、慢性的な低収益に甘んじるとすれば、それは戦略不全の反映に他ならない。
■経営戦略の3要件
・戦略不全を回避するための非合理性・非可分性・非可逆性
①非合理性
・業界の常識を破りながら、新たな経営の合理性を打ち立てる
②非可分性
・戦略はオペレーションのパッケージ
・部分最適化は効率化の罠であり、そうならないようジャストインタイムの -
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Enabler of Platform
産業革命の裏には黒子となり牽引した産業がある。
今はGAFA初めプラットフォーマー全盛の時代だが、その黒子になるものこそ勝者になると言える。
■概要
今は第4次産業革命が始まったばかりで、どのような技術がどう転生し、どう帰結するかは全くわからない。結果をみるのは50-100年後だと三品教授は説く。実は第3次産業革命(制御革命)の勝者もGAFAらプラットフォーマーと思われがちだが、そうではなく、プラットフォーマーが提供する情報の「信用性」を担保できる黒子のプレーヤーが鍵となる。情報の信用性を担保するには情報を「読む力」=wisdomが必要であり、常に学 -
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良書。前作の増強版である。
研究成果「母集団選定〜定義〜示唆まで」は頭が上がらない。事業立地の定義方法がやや謎と強引な気がする点がマイナスか。アカデミズムの世界、もしくは頭の良い人たちには分かるのかもしれないが、実務人間になってしまった私のような凡人には理解が難しかった。
それでも経営の逆三角形という概念は21世紀の経営理論としては最大級のものだと思う。伊丹氏に師事し、ポーターや加護野氏と協働してきた中で培われた視点と大量データ分析、それに自身の人間観や事業観か合わさり生まれた傑作である。
複雑さゆえ、経営戦略の次元を並列に扱ってしまいがちなところに、事業立地→事業デザインと不可逆性を見出