三品和広のレビュー一覧
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第1章からの学び
成長とは、結果として実現するもの。成長を必達に掲げるのは本末転倒。
“ 仕事の醍醐味は、事業を通して世界を変えるところにあるはずです。”
→耳の痛いご指摘です。
第2章からの学び
セイコーの事例をもとに、イノベーションについて批判的に検証。
セイコーの衰退とスイス勢のけん引については、興味深く、ハイエックの熟慮しつくしたポートフォリオが光っています。
そして、セイコーがなぜ衰退したのか。これも、明快に述べられています。問題をどこでとらえ、イノベーションを行ったか。負の遺産のうえには、努力は実らないことが、示されています。
“ 要するにマーケティングのジッパーです -
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ネタバレ「成長ありきの経営はもう止めよう」の帯の通り、現在の日本企業の(と言っていいか分からんが、自分の会社を思うと「そうかも…」と思ってしまった)成長ありきで、何がしたいのか見失っている様に一石を投じる本。
具体的には、目的もなく、イノベーションを目指し、品質を大事にし、海外に出ていくことに疑問を投げかけている。
この「目的もなく」というのが大事なところで、別にイノベーションも品質も海外進出も否定しているわけではないというのが俺の理解。
最後に日本企業の生きる道として提示されている「リインベンション」(=もうここまで来たら新商品もなかなか難しいから、工法やら構造やらを抜本的に変えて「再発明」を -
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神戸大学大学院の三品教授の著。
自身が抱いている日本企業の現状(本書では成長市場主義と記述)に
対して、マクロ的視点から警鐘を鳴らし、どうすべきかを述べている。
イノベーション・品質・多角化・グローバル化という4つの視点から、
これまでの日本企業の失敗について詳しく見ていき、
その中でどうすべきかを述べる構成となっているが、ややこの失敗事例が古い。
そのため、納得感の醸成はやや弱い。
しかし、言わんとするところはよく分かる本だったと思う。
個人的には、品質の章が特に印象に残った。
自社も含め、品質が良ければ価格は高くてもという風潮。
しかし、この品質の定義を改めて見直す必要性を感じた。
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戦略不全の因果で、三品氏が指摘したのは、「驚くほどの多くの日本企業が、インフレーションの効果をのぞいた実質利益額の漸減が露呈した」という分析結果であった。
しかも、利益漸減に苦しむ戦略不全企業は、特定業種に固まる傾向が異様に目立つことも明らかになっている。これは、戦略不全症の第一義的な原因が主力事業の衰退にあることを物語っている。
地盤沈下し始めた事業立地にいつまでもしがみつくのは経営陣に他ならない。持続的な利益成長を達成する企業のなかには、沈下の兆候が見える立地を見限って、興隆する立地に転身したところが散見される。問題の核心は、経営体制の変容が事業立地の転換を妨げるところに潜んでいる。
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戦略は社長の才覚だ、おしまい。という本だ。要は「事業観」(p.155)とある。「完成度の高い事業観、その一点である」(p.276)。
「それじゃあ、自分は社長じゃないしなあ。しょうがないよなあ」、となってはつまらない。実は面白い本だ。著者の文章、言葉使いが魅力的だ。
文章スタイルとしては、先にまとめを書いて、それから説明するというスタイルです。この順番の妙が好きです。
言葉は実に達者だ。「人は決して馬鹿でない。しかし、分業が人を馬鹿にする」(p.210)なんてにくいですよね。
「事業システム」(p.188)という言葉が出てきます。これは「意外と模倣されにくい」(p.188)し -
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受講している研修で、一読を薦められた「推奨本」。筆者は、神戸大学大学院経営学研究科での経営学の教授である。世の中には、経営戦略と呼ばれるものを解説するビジネス書があふれている。この本も、大きな意味では経営戦略・企業戦略を扱う本であるが、その内容は非常にユニークだ。一般の戦略書は、経営の指針となる戦略をどう設計すれば良いのか、という戦略設計の方法論を解説するのが一般的なのであるが、この本はそういうことを扱わない。むしろ、そういうものがあったとしても、それはなかなか明示的・事前的に設計できるものではなく、むしろ、経営者がひとつひとつの経営判断やアクションを通じて実現すべきものであり、それは事後的に
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ネタバレ三品教授の章は、出口治明氏が言うような「たて・よこ・算数」で産業革命を見直す議論で、そうするとまたちょっとこれまでと違った世の中の見方ができた。
山口氏の章は、デジタル化を4つの要素で分解して議論しておりわかりやすい。デジタル化の本質とは何だろう?と考えつつ、実務的にはどの部分の議論につながるかを理解できた。
最終的にはデータを「読む」ことの重要性が語られる。ここはAIにはできない、人間にしかできないことだと。データは過去のものであり、それを基に未来の筋を読むのは人間の仕事。ただ、それも含めて、パーソナライズだったり、求められるものは一にも二にも「勉強」だったり、まあ、それはそうなんだけど、で -
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三品先生の提唱するビジネスモデルと言うことで期待したのだが、あまりにありきたりな結論で拍子抜けした。
センサーをインターネットに接続しない必然性に疑問が残る。データの不正な改竄を防ぐためにプライベートネットワーク化するならまだ解る(それも技術的には対応可能だろうが)。が、センサーが集めた情報に個人情報を乗せないことは制度設計次第で可能だ。そもそも街角に置かれた近接センサーの信号に一体どんな個人情報があると言うのか?
もしGoogleなどの既存IT巨人の参入障壁がこれだけなら、非常に脆い計画と言わざるを得ない。
国の規制等でこの問題が解決されたとしても、次なる問題は誰がイニシアチブを取ってイン -
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P:285 推定文字数:203490(17行×42字×P) 抜き書き:2541字 感想:355字 付箋数:8
(対ページ付箋:2.80%、対文字抜き書き:1.24%、対抜き書き感想:13.97%)
※付随して読みたい本
どうする? 日本企業(東洋経済新報社) 三品和広
話題は広くて、少し古い音楽や絵画でのイノベーション的限界により日の目を見なかった作品群の話など、とても惹きつけられて一気に読める。
・織機で布を織るには開口、よこ入れ、打ちの三つの動作が必要。たて糸の偶数群と奇数群を上下に分け(開口)、その間を杼(ヒ)という道具でよこ糸を通す(よこ入れ)。通したよこ糸を筬(オサ)で手前 -
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「どうする?日本企業」や、「戦略不全の論理」で有名な三品先生の本であり、ゼミ生の成果発表的な本でもあります。
「リ・インベンション」という概念を用いて、日本企業に成長して欲しいというメッセージが含まれています。
本書で言うイノベーションは技術革新や技術改善として使われており、既存の技術やビジネスの延長線上にあるものを指しています。このイノベーションが救世主の役割を期待された概念であるのですが、機能していませんということなんです。理由として、消費者に受けいられなかったり、利益に結びつかなかったりと。イノベーションが起きても、時代にあわないということで、開発者の努力が水の泡になってしまうケース -
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■リ・インベンション
A.イノベーションが有効ではない理由は、次の通りである。
・イノベーションの背後には汎用部材技術の進歩がある。よって、新製品を生み出しても競合他社が容易に追随できる。
・メーカーは「いいものを作れば売れる」と、技術の向上に励んできた。だが、「いいもの」かどうかは市場によって異なるため、向上した技術が評価されないことがある。
・消費者の製品を評価する目が肥え、単純に性能向上や多機能化を謳っても、容易に飛びついてくれなくなった。
B.従来の製品のコンセプトを見直し、「誰に」「何を」「どのように提供するか」、この3 つのいずれかを大きく変えて、新しい価値基準を打ち立てること -
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リインベンションとは直訳すると「ゼロから事物を再発名する」。ドラッカーはポスト工業社会のキーワードを知識に求めたけどそれでは安易すぎると著者は指摘。知識は資本と同様に蓄積できるけどもっと希少性が高いのは前衛への挑戦、起業家精神。5
改善、イノベーションは供給過剰でイノベーションしたけど儲からずな状況に。イノベーションのコモディティ化。市場が移ろうとするときは従来市場の枠内でイノベーションを重ねてもまったく報いられない。35
ジャズは怒濤の勢いでイノベーションを起こした。しかしロックの登場で危機に。マイルスのみビッチェズブリューでジャズからリインベンションした音楽で自己革新して生き残ったが多くの