三品和広の作品一覧
「三品和広」の「リ・インベンション―概念のブレークスルーをどう生み出すか」「企業成長の仕込み方(経営戦略の実戦(2))」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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ビジネス・実用
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Posted by ブクログ
三品さんの本は「戦略不全の論理」「戦略不全の因果」でもそうですが、データに基づいた客観的な分析を出発点にしている点で、とても共感が持てます。さらにデータ分析だけでなく、戦略や経営者の資質など数字にあらわせない視点も取り上げているので、非常にバランスの取れた本という印象を受けますが、本書も同じ特徴を備えていました。 「戦略不全の・・・」と比べるとだいぶ軽い読み物に見えますが、中身はかなり深いところを突かれていると感じました。特に、多くの日本企業が「錦の御旗」にしているイノベーションやグローバル化について、単純にやればいいってわけじゃないよ、と警鐘を鳴らしている点には共感しました(中身が大事だということです)。
「世界でもっとも貧しい大統領」として昨今日本でも有名になったウルグアイのムヒカ前大統領が、国連で「我々は発展するために生まれてきているのではない、幸せになるために生まれてきているのだ」というスピーチをされましたが、これを三品さん流に企業に当てはめると「企業は成長するために生まれてきているのではない、人々を幸せにするために生まれてきているのだ」ということになるでしょうか。我々が当たり前と思っている前提が本当に正しいのか、少し立ち止まって再点検する意味でも本書は素晴らしいと思います。
Posted by ブクログ
本書は前著「戦略不全の論理」の続編的位置づけとして出版された本であるが、必ずしも前著を読んでいなくても全く問題ない(私自身前著は読んでいない)。本書の前半は日本の上場企業1000社強のうち、3つの指標を用いて戦略不全企業をあぶりだしている。3つの指標の細かい話は述べないが、それなりの納得性はある。それでは戦略不全とは何か?それを明らかにするために、著者は戦略不全企業の正反対にいる優良企業(彼は単純に「対照企業」と呼んでいる)も同様に3つの指標からあぶりだし、それとの比較分析において原因を明らかにせんとしている。他の経営本にありがちな、いかにも著者の恣意的な選定による優良企業ケーススタディではなく、客観的に導出された優良企業、不全企業の比較分析をしているところに大変共感した。
本書の素晴らしいところは、この手の泥臭い分析は下手をすると専門学会誌でしかとりあげにくいようなところを、がんばって一般読者にも理解可能なレベルまで「なんとか」噛み砕いているところである。ここは一般読者に対してもギリギリセーフという感じがある。本書では必要以上に図表を駆使し、読者にわかりやすくしようという努力が垣間見られることに共感を覚えた(ただしいくつかの図表はかなり見づらかったが)。
本書の前半は上述したようなデータハンドリングが紙面を占めている。そして後半が肝心の主題である、戦略不全企業の原因分析であるが、ここで著者は「事業立地」という企業の意思決定の中でも一番根っこにある部分にフォーカスを当て、経営者が肥沃な事業立地を選ぶかどうか、また事業立地が不毛になる前に肥沃なところに「転地できるか」が分かれ目だとしている。またさらにこれを深堀して、ではなぜ戦略不全企業の経営者はこれができないのか?という点についても4つの要因を掲げているなど、とにかく最後の最後まで綿密な分析を続けているという点で感服した。4つの要因のうち1つは精神論的な感もあり若干無理も感じたが、本書はぜひ日本企業の経営層の方々に読んでもらいたい本である。
余談であるが、本書を読んで「事業立地の選択と転地」という概念は企業だけでなく国家や個人にもあてはまると感じた。優れた人ならば仮に戦略不全企業に入社してしまって、その企業が一向に転地する気配がないならば、自分自身を「転地」させてしまうだろう。また国家を見ても、欧州で復興を遂げているような国々などはおしなべて不毛になってしまった自国の主要産業を「転地」させることに成功しているように思える。本書、読みとおすのは大変だが一読の価値は十分ある。