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三品さんの本は「戦略不全の論理」「戦略不全の因果」でもそうですが、データに基づいた客観的な分析を出発点にしている点で、とても共感が持てます。さらにデータ分析だけでなく、戦略や経営者の資質など数字にあらわせない視点も取り上げているので、非常にバランスの取れた本という印象を受けますが、本書も同じ特徴を備えていました。 「戦略不全の・・・」と比べるとだいぶ軽い読み物に見えますが、中身はかなり深いところを突かれていると感じました。特に、多くの日本企業が「錦の御旗」にしているイノベーションやグローバル化について、単純にやればいいってわけじゃないよ、と警鐘を鳴らしている点には共感しました(中身が大事だということです)。
「世界でもっとも貧しい大統領」として昨今日本でも有名になったウルグアイのムヒカ前大統領が、国連で「我々は発展するために生まれてきているのではない、幸せになるために生まれてきているのだ」というスピーチをされましたが、これを三品さん流に企業に当てはめると「企業は成長するために生まれてきているのではない、人々を幸せにするために生まれてきているのだ」ということになるでしょうか。我々が当たり前と思っている前提が本当に正しいのか、少し立ち止まって再点検する意味でも本書は素晴らしいと思います。
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「心の叫び」を事業にする。
戦略不全シリーズは論理的に日本企業の問題点と処方箋を提示していたが、本書とそのアンサー本である「リ・インベンション」では、マインドや組織文化の部分にまで踏み込んで述べている点において、学びが大きい。
◻︎概要
日本企業が盲信的に正しいと信じ込んできた解「イノベーションと品質、多角化と国際化」に疑問を呈している(どうする?にあたる)。その根源にあるのが、成長戦略と言う不可思議なモデルであり、成長戦略に疑問を呈するところから本書はスタートする。バラ色の中期経営計画と悲惨な決算発表のコントラストを見ることで、成長戦略に終始する日本企業に異議を唱える。
◻︎所感
読者も、本書を読むまでは盲信的に「イノベーションや多角化」は絶対解だと信じてきたが、それらは時代と市場によって変わること、さらには「世の中を変えたい!」という卓越した個人の「心の叫び」抜きにしては、水泡に帰すると気づかされた。経営計画やそれに準ずる数値目標に合わせいくことでは、予測可能なものしか生まれない。
企業にとっては既存事業のオペレーションを行う以上、経営計画は不可欠であるが、企業全体を計画に縛り付けていては、個人の心の叫びは日の目を見ないだろう。筆者の言う様に、スピンアウトなどして、既存の枠組みと一線を画すことが求められる。
〜〜<各論>〜〜〜〜
■イノベーションと品質 (2章/3章)
・イノベーションはパンドラの箱
-いずれ自分の首を絞めることになる
-志とマーケティングなきイノベーションに長期の繁栄なし
・コンフォーマンス・クオリティが求められるフェーズなのか
■多角化と国際化(4章/5章)
・滲み出しの限界
これも志ある専業家や狙い打ちして進出してきた企業には勝てない
・国際化はレッドオーシャン+国家の壁
かつての日本も欧米企業に市場の門戸解放しなかった
今の新興国も同じだけでなく、日本企業の相手も増えた(アジア)
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本当に新興国ですか? - 国内は成長余力がないから新興国に打って出るというのは、理にかなっているようで、侵攻される側の視点がはいっておらず、日本企業の独りよがりにすぎない。日本が新興国だった戦後、侵攻してくる欧米企業に対し、日本政府はあの手この手で自国企業の防衛につとめた。日本の優秀な官僚が、外国為替法や外資法を駆使して外国企業の参入を制限した。その結果、富士写真vコダック、キリンvバドワイザー、トヨタvGM、雪印vクラフト、花王vP&G、カゴメvハインツいずれにおいても、日本市場では、外国の名門企業を圧倒している。外国企業で戦後日本への先行投資が実を結んだのは、石油、コンピュータ、化学、医薬の4業種だけである。日本政府は国益に直結するこれらの外資については例外的に参入を認めて保護主義政策の例外としたのである。
日本ですら、自由貿易に門戸を開放したのは、本格的には2000年代に入ってからであるといわれる。対して、今の中国やインド政府の立場は、戦後日本とそれほど変わらない。新興国政府の視点からみれば、日本企業が参入してきたからといって、そう簡単に門戸を広げるわけがなく、技術やノウハウを吸い上げられて、後に撤退を余儀なくされる。
本当にイノベーションか? セイコーが1969年に世界ではじめてクオーツ式の腕時計を開発した。スイス勢のゼンマイ式機械時計が1日20秒狂うのが当たり前だった時代に、1秒に3万回振動する水晶を利用して精度を5000倍に高めた。もっとも、クオーツの原理を発明したのは米ベル研だったので、セイコーの快挙はそれを腕時計サイズに小型化したプロセスイノベーションだった。
1970年代、スイス勢は壊滅的な打撃を受けたが、セイコーの快進撃は80年代に急ブレーキがかかる。80年代、香港勢が10ドルのクオーツ時計を世界に輸出し、70年代には3000ドルしたクオーツ時計の値段をわずか10年で50ドルまで下げてしまった。90年代にはカシオが100ドル前後のGショックで市場を席巻し、2000年になると、携帯電話が普及して、クオーツ腕時計を無用の長物にしてしまう。 皮肉にも、クオーツ革命が実用腕時計の頂点を極めることで、実用時計に幕を引いてしまう。
一方、セイコーの凋落にあわせるように、スイス勢が息を吹き返す。「腕時計は男性が身につけることを許される最高級の宝飾品」といわれ、50万円を超える高級機械式腕時計が富裕層の中国人などにも飛ぶように売れている。 戦略失敗に気づいたセイコーが、Grand Seikoで、高級機械式腕時計に再参入したが、一度傷ついたセイコーブランドはPatekPhilippeやロレックス、オメガ、Breitlingとは釣りあわない。
スタインウェイのピアノは一台2000万円もする工芸品だ。これに対してヤマハの川上源一は、木材を120度のオーブンで強制的に乾かしたうえで画一的な自動化ラインに流すことで、スタインウェイの100倍の規模でピアノを大量生産し、71年にはアメリカのグランドピアノ市場の半分までを占領する。ヤマハは、職人がつくる工芸品のピアノを自動車工場のようなラインにのせて工業品に仕立て、価格も150万円台~として、世界を震撼させた。ヤマハはスタインウェイを何十台も購入し、バラバラに分解して部品単位で素材の出所を突き止めるという作業を繰り返し、「スタインウェイを超えるスタインウェイ」をつくることを目指した。
しかし、80年代に入ると、韓国のユンチャン、サミックという2大メーカーが、60万円台のグランドピアノで市場を席巻しはじめ、ヤマハの凋落がはじまる。工業品としての品質を高めて価格を下げ、量を追う戦略は、短期的には成功しても、長期でみれば利益なき成長という壁に突き当たる。
高度経済成長が終わった60年代から今日まで、売上高は増加しているが、利益率は下降した。「利益なき成長」の図式は、日本企業が海の向うに活路を見出して、対米貿易黒字を積み上げた結果だが、利益という点では何のゲインもなかった。 失われた20年といわれるが、日本企業の利益でみれば、ニクソンショックの71年、石油ショックの73’年ごろから今日まで、半世紀の長期にわたり、「利益なき無理やり成長」を続けている。
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【ポイント】
18/いまだに日本は、「無理やり成長」のつけに苦しんでいるのに、相変わらず
「成長戦略の大合唱」でよいのでしょうか?
32/セイコーが開発競争を勝てたのは、主要部品を内製化できたからだ。
他社は試作品はできても、量産段階で足踏みした。
セイコーの快挙は、製造工程のプロセスイノベーションだったと見るべき。
44/セイコーは量をおって自滅した。
50/スイス スウォッチ(ハイエックCEO)の逆襲
ハイエックは、経営資源を普及帯に集中投下したセイコーに対して、全方位戦略
とした。
売上げと利益が単一のセグメントでは両立しないことを熟知していた。
スウォッチの戦略は、個性あふれるブランドのポートフォリオ
(ブレゲ→オメガ→ラドー→ロンジン→スウォッチ)
55/クォーツ革命とはなんだったのか?
第一幕:セイコーは雲上帯市場に投入。
第ニ幕:普及帯市場の出現と中級帯から普及帯へ
第三幕:実用時計市場の喪失 (時計をみにつけなくてもよい)
56/セイコーはどうすればよかったか? →事業立地を移し変える「転地」
時計の副次的な要素(ファッションステートメント)が出現
セイコーは、旧来の事業立地の防衛に明け暮れ、主役の座からおちた。
70/日本人の品質信仰に異議を唱える
?信仰の起源に疑問 ←HPのDRAM品質の発表
おだてられて、舞い上がり、品質のなんたるかも考えないまま、
日本はずっと高品質の国だったのごとく自信を持ってしまった。
?品質信仰の根拠がゆらぐ。←日本が高品質を占有する時代はおわった。
?品質信仰の弊害
79/「品質の多様性」絶対的な定義はなく、いくつもの側面がある。
ジャガー:パフォーマンス・クオリティ ◆顧客の期待を上回る程度
カローラ:コンフォーマンス・クオリティ◆顧客の期待を裏切らない程度
パフォーマンス・Qは、顧客に見える素材や仕上げがかもし出すので原価が上がる
コンフォーマンス・Qは、製造工程からバラツキを排除するので、あげればあげるほど
材料・作業のムダがへり、原価が下がる →「品質を上げれば原価が下がる」
80/スタインウェイのピアノには個体差があり、はずれがある。
107/コンフォーマンス・Qを訴求すれば中国でも勝てるという決めつけは危うい。
米国が欧州を追い抜いた時、日本が米国を追い抜いた時も、新たに豊かになった国に
旺盛な内需があり、その内需が大量生産を支え、大量生産がコンフォーマンスQを鍛える
という図式があったが、次には中国に次のヤマハがでてくる。
113/日本の「地縁」信仰
ホンダは、総合エンジンメーカー、トヨタは、総合量産車メーカー、
麒麟麦酒は、総合飲料メーカ:「どこへ」多角化するかなく、ビールにちかければなんでも
一方、米国は、ビールのブッシュ、ワインのモンダビと自分のアイデンティティを鮮明化。
114/「滲み出し型」の日本、「狙い撃ち型」の米国企業、
独立した事業を買い集め、事業ポートフォリオを組む。
125/日本企業は良好な労使関係をを維持する代価として、人件費を固定費化した。
←余剰人員がでる局面で大きな支出を強要する。
127/手当たりしだいの多角化に走った。←雇用を守るため
139/そもそも余剰人員を抱えないように細心の注意をはらって採用を進めるべき
147/「国内は成長余力がないから、新興国に打って出る」は、そもそも日本企業の自己都合
でしかない。「侵攻」される側の視点が入っていないどうみても動機が不純。
173/日本で成功した外国企業(自由化以前に地歩を固めた)は、日本政府が政策を実現する上で
必要不可欠な製品を提供していた。しかも、固有の資源や技術を保有していて他社にかわれない。
→新興国に進出するにあたり、この「固有の資源や技術」をもつ会社はどれだけあるか。
182/しんこうこくでは、汎用品にてをださず特殊品(ニッチ)で勝負すべし。
192/ウェルチは事業の選択で、日本がやらないものを選んだ。テレビ、半導体などは切り捨て
日本のちからがおよばないジェットエンジン、医療用診断装置、ガスタービンなど。
日本を適にまわさないポリシー。
193/主戦論か不戦論か
194/日本の技術は世界一というが、それは日本の尺度で測った場合のこと。←砂漠での太陽電池
196/日本の得意戦法は、実行部隊を意思決定に関与させ、計画の推進力で勝負するもの
実行部隊の技能形成を促して、現場で判断をさせるようにするための工夫
しかし、この戦法が機能するには、推進力を発揮する場を定める指揮官が必須。
挑戦のしがいのある戦場を対極的な立場に立って「指揮官」が定めたこと
→ところが今は「集団経営」になっている。
199/創業経営者と操業経営者の区別が徹底的に必要。
203/ねらい目は、「さらなる拡散市場の先取り」
戦略ポイントは、「特定の顧客グループにフォーカスすること
207/リ・インベンション
技術的イノベーションは、最初の着想も大切だが、それに続く実作業の割合が高く、
組織戦や持久戦になりがち。
今後は、日本発の着想が韓国や中国で量産化される時代になる。
208/り・シンベンションでは、技術力以上に構想力を要求する。
技術力は組織に宿るが、構想力は秀でた個人に宿る。
216/成長は結果として実現するもので、目標は「事業活動を通じて世の中にもたらす
変化」という言葉で語るべき。
企業に期待される社会貢献は、
?すでにあるモノやサービスを今より安く提供する。
?いまだ世の中で買う事のできないモノやサービスを変えるようにする。
◆自分の「やりたい仕事」を精密に定めることこそ経営戦略の第一歩となる。
集団が、合議で決めることではない。卓越した個人の心の叫びに従うもの。
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現代の日本企業(主に製造業)の直面する問題を鋭く指摘した一冊。個人的に一番興味のある分野だけあって、非常にためになり興味深い内容だった。著者が母校で勤務するの教授というのも親しみの持てる点。
日本企業の抱える問題を総称すると、「成長至上主義」。不安定な時代においても中計は総じて売上増・益増の右肩上がり。リーダーが描いたビジョンを実行するための経営ではなく、やることを合議で決める手段としての集団経営の蔓延。高度成長期の終焉から20年余が経つこの時代においても、日本企業のDNAが悪い意味で根付いてしまっているのだと感じる。
窮地に陥った企業にありがちなイノベーション戦略、多角化戦略、新興国戦略が果たしていかほどの効果を持つものかということについても分析があり、今後の企業のあり方を考える上でとても勉強になった。
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素晴らしい。巷間に満ちる「通説」に対して、論理的で根拠に基づいた助言の数々。以前の著作に比べ、読みやすくかつ、実践に踏み込んだ内容。もう一度読みなおしたい。
以下内容のメモ。
第一章 本当に成長戦略ですか
売り上げ拡大を市場命題とする雰囲気への反論。豊作貧乏になるだけでは?企業としての社会的価値の追求とその結果としての利益追求を唱える。
第二章 本当にイノベーションですか?
イノベーションだけでは、勝ち残れない。マーケティングが必要である。
第三章 本当に品質ですか?
品質もコンフォーマンスクオリティではなく、パフォーマンスクオリティを重視すべき。意味のない品質追求に陥っていないか?
第4省 本当に浸みだしですか?
既存事業との類似性や応用可能性を根拠にリスクを低いと判断して実施した多角化は、成功例がほとんどない。むしろ、利益率とシャープな目的意識が必要。
第五省 本当に新興国ですか?
猫も杓子も新興国に進出を試みるが、成功パターンはなにか?日本が新興国だった時代を例に以下に外資を排除・受容してきたかを論じ、効果的な事業領域を探る。
第六章 本当に集団経営ですか?
集団的サラリーマン的リスク回避的経営への警鐘。
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最近、外資系勤務の人の本ばっかり読んでたせいか、大学教授からみた企業論は違った視点でとても面白かった。実例を上げて、企業の方向性をどのうにもっていくのがいいか、読者に考えさせるようになっており、非常に読み応えがある。押しつけるような回答がなく、問題提起、事実に基づいた検証のみで終わっているところが、この本のいいところではないかと思う。
今の日本企業が置かれている立場、「成長」の意味、ぜひ就職活動をしている学生に読んでもらいたいと思う。
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日本企業のたたされる厳しい現状とその原因を構造的に分析した本。経済の知識がなくても読めるようにはなっているが、見慣れないグラフが出てくることもある。
筆者の主張は一言で言えば「日本企業は今までのように商売を続けては儲けられない」ということかと。
それに対して人々が解決策として考えている"イノベーション""新興国市場""技術の卓越性"などのウソを暴いていく。
しかし筆者のいう解決策は非常に短い分量しか割かれていない。
日本企業の現状とその未来を考え始めるのにはとてもよい本だと思う。
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日本企業の成長至上主義に対して警鐘を鳴らす良書。今起きている世界的な変化を無視して、安易に成長戦略を描いてもうまくいかない。図に出てくる過去の出荷数量と出荷額推移のグラフや売上高と利益率のプロットを使った分析が実にわかりやすい。「体を入れ替える」「リ・インベンション」。常識を創りに行かねば、埋没するのみ。
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「戦略不全の・・・」で有名な三品先生の著書。読み物になっていて、読みやすい。が、中身は結構濃い。「成長戦略」に対しての強烈なアンチテーゼから入るが、なるほど正しい。経営にとって、やはり重要なのは、「志」と「撤退する勇気」だと思った。
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成長拡大戦略に異議、成長を追いかけると筋の良いビジネスと筋の悪いビジネスの見極めが甘くなり、筋の悪いビジネスに突き進んでいることが多い。
まさに自分たちがやっている事だと。
特定の顧客グループにフォーカスして集中的に攻め込まねば経営資源を散らしてしまうって事。
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経営とは立地と構えと均整である、と喝破した著者の日本企業論。立地と構えが悪化しているのに、それにしがみついて小手先の商品改良や事業の幅だしをしても利益率を回復することはできない、ということをいくつかのデータで示しており、それなりに説得力はある。特に戦後日本と現在の中国のアナロジーはその通りだと思われる。
ただ本当に飛び地へのリインベンションしか手がないのかは、甚だ疑問である。滲みだしの悪い例として新日鐵を挙げているが、これは出向先確保のためにでたらめな多角化を進めた特殊な例であり、これを以て滲みだしがすべて成功しないと言い切るのはやや乱暴と思われる。むしろ飛び地に手を出して成功する企業の方が少ないのではないか?経済学者にはこのあたりをデータで定量的に示してもらいたいものだ。肝心なところが定性的になるから社会科学は信用できない。所詮後知恵と言われても仕方がないだろう。
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結果からの分析は明快だが、それでもそうなのかな・・・と思ってしまう。やりたいことが先にあり・・・というのは創業当時は皆そうで、何十年とたった会社が衰退・あるいは一時衰退後の再浮上を繰り返すのは自然な流れなような気も・・・。
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著者には意表を突く内田樹的快感を感じる。しかも実証が丁寧。成長は結果として実現するもので、目標は「事業活動を通して世の中にもたらす変化」という言語で語れ、と提言。企業が期待される貢献は「安く提供する」か「今まで無いものを買えるようにするか」のいずれか。戦略は卓越した個人の心の叫び=やりたい仕事を定めることが第一歩、と。
Posted by ブクログ
今日本に必要な企業は何なのか。
イノベーションという簡単な解ではなく、
イノベーションを疑ったうえで、どういうことを考えるべきなのか
模索している。
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「経営戦略を問いなおす」や「戦略不全の論理」などで有名な三品先生の最新刊。
現状の不景気、不幸のなかになにがある?
どうするんだ、日本企業?
やれるのか、日本企業?
著者の熱い想いが終始一貫して伝わります。
「リ・イノベンション」が今後の活路だと著者は論じてます。
歴史に残る発明を取り上げて、一からやりなおそうとするものです。
ここで言いたいのは、技術力以上に構想力やデザインが必要だということ。優れた人材がこのリ・イノベンションを実践し、新事業を立ち上げることができたのであれば、経営を束ねることくらいはやってもよいというのことです。
ヤマハやセイコーなどの事例を取り上げ、事業の興亡を説明してます。事業を成功した例から、その事業が衰退したまでの流れが把握することができます。製品にも事業にもライフサイクルがあるとはいえ、絶えずダイナミックな成長が必要であると感じました。
個々人が頭、体を入れ替える。一種のパラダイムシフトをし、経営という目線から高いパフォーマンスをしていくということが必要であります。
「個人の心の叫びに従う」と言っていますが、個々人がイノベーターにならないとダメなんだと思います。
「どのように現状を思うのか?」、「どう挑戦していくのか?」
己に問いかけ、上へ突き進む。
それがまさに必要なことなんだということを気づかせてくれる本書です。
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過去の栄光を想起させる成長至上主義ではこの先は見えず、利益なき繁忙はもう何十年にも日本の企業群に染み付いてしまっている…もっと基本に立ち返り、大きな見方の転換が必要との主張。
個々のケースについては興味深く読めましたが、いったいどれくらいの会社が日本の中で本質的に自立していけるのかなぁと疑問でもあります。
Posted by ブクログ
本書は、日本企業に対して、徹底的に否定論を貫いています。
とても面白かったです!
筆者は、成長、成長と成長を目標に企業活動を行う日本企業が多く(筆者は成長至上主義と呼んでいる)、本当に大切な「事業活動を通して世の中に変化をもたらす」ということを忘れてしまっていると主張しています。
全体的に僕自身と考えが似ている部分が多く、共感するところがたくさんありました。
「日本≒ものつくり」と考えている人にこそ、ぜひ、読んでいただきたいですね!
Posted by ブクログ
セイコーの話から面白く読み、楽しんでいるうちにヤマハで考え、ため息をついた。そしてあら、かのスペースワールドまで登場している…。日本企業が苦しんでいるのは成長至上主義をいまも続けているから。ただ売り上げを伸ばせばよいというわけではないんだなぁ。企業経営とか経済とかといった方面に疎いので、時々こういう本を読むと、本って本当にありがたいな~と感じる。
Posted by ブクログ
第1章からの学び
成長とは、結果として実現するもの。成長を必達に掲げるのは本末転倒。
“ 仕事の醍醐味は、事業を通して世界を変えるところにあるはずです。”
→耳の痛いご指摘です。
第2章からの学び
セイコーの事例をもとに、イノベーションについて批判的に検証。
セイコーの衰退とスイス勢のけん引については、興味深く、ハイエックの熟慮しつくしたポートフォリオが光っています。
そして、セイコーがなぜ衰退したのか。これも、明快に述べられています。問題をどこでとらえ、イノベーションを行ったか。負の遺産のうえには、努力は実らないことが、示されています。
“ 要するにマーケティングのジッパーです。個々の製品を売ることだけ追い求め、販売数量に一喜一憂していると、いつのまにか経営の戦略性が失われてしまう”
第3章からの学び
ここでは、品質神話を批判的に検証。
ヤマハが事例です。
ここでも、ヤマハか自滅の道を辿りますが、販売量を追って自滅しています。。。
ヤマハは、コストパフォーマンスクオリティーを訴求していたようです。
でもそれでは、世界から存在感意義は認められないと、厳しい現実味が立ちはだかります。
“志のない事業には限界がある”
第4章からの学び
冒頭には、麒麟麦酒とアンハイザー・ブッシュなどを事例があり、本論では、鉄鋼業界の事例があり、多角化について、批判的に検証します。
多角化の二類型は、わかりやすいです。
“ ポーター教授によると、競争優位は地縁に頼って得るものではなく、他社に先駆けて有望な事業を見出すところから生まれる”
事業をみつけ、挑戦する、
これがなかなか日本企業には難しいようです。。。…
第5章からの学び
イマジネーションを働かせて、戦後の日本を新興国と捉えなおして、とわかりやすいやり方で、説明が展開します。
その当時、日本に来て期待どおりの成果をあげた外国企業など数えるほどしかなかった。現実を見つめ直そう、というのが、著者の提言。
先行投資とするか、後発参入とするか、いまうまくいっていても、それでもなお、余談を許さず、熟慮に、熟慮が必要だと警鐘を鳴らします。
第6章からの学び
飛び地へのリ・インベント、
これが、著者の提言。
アップルの事例を取り上げていますので、よく分かります。
“ 自社の「やりたい仕事」を精密にさだめることこそ、経営戦略の第一回となるのです。それは、集合で合議で決めることではありません。卓越した個人の心の叫びに従うものなのです。”
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「成長ありきの経営はもう止めよう」の帯の通り、現在の日本企業の(と言っていいか分からんが、自分の会社を思うと「そうかも…」と思ってしまった)成長ありきで、何がしたいのか見失っている様に一石を投じる本。
具体的には、目的もなく、イノベーションを目指し、品質を大事にし、海外に出ていくことに疑問を投げかけている。
この「目的もなく」というのが大事なところで、別にイノベーションも品質も海外進出も否定しているわけではないというのが俺の理解。
最後に日本企業の生きる道として提示されている「リインベンション」(=もうここまで来たら新商品もなかなか難しいから、工法やら構造やらを抜本的に変えて「再発明」を目指したら?)は一つの手段だとは思うけど、それだけでは日本の雇用は守れないと思うし、海外企業に勝つのは厳しいかなとも思う。
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神戸大学大学院の三品教授の著。
自身が抱いている日本企業の現状(本書では成長市場主義と記述)に
対して、マクロ的視点から警鐘を鳴らし、どうすべきかを述べている。
イノベーション・品質・多角化・グローバル化という4つの視点から、
これまでの日本企業の失敗について詳しく見ていき、
その中でどうすべきかを述べる構成となっているが、ややこの失敗事例が古い。
そのため、納得感の醸成はやや弱い。
しかし、言わんとするところはよく分かる本だったと思う。
個人的には、品質の章が特に印象に残った。
自社も含め、品質が良ければ価格は高くてもという風潮。
しかし、この品質の定義を改めて見直す必要性を感じた。
本書で述べられている「コンフォーマンス・クオリティ」と、
「パフォーマンス・クオリティ」は往々にして混同されていると思う。
Posted by ブクログ
日本企業の問題点をケースを挙げて説明している。成長戦略や多角化経営への疑問を呈している。
日本が今敵視する中国や韓国も以前の欧米にとっての日本にすぎないと実感した。
実際のデータや図が多いが、それによってわかりやすくなっているとはいえない気がした。
Posted by ブクログ
戦後の保護された時代には政策が機能していたものと理解した。
現在は、政策が機能しているように見えないし(その存在も疑われるが)、通貨政策などは方針も無いように思える。
企業の力も経営者の個性が喪失しているように思える昨今、疑わしい状況である。サラリーマンとしてもひとりひとりの起業家精神が求められる時代であると考えるが、それが社会科学的分析を拠りどころとしているようでは実効的に機能することはないのではないかと感じている。