【感想・ネタバレ】リ・インベンション―概念のブレークスルーをどう生み出すかのレビュー

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Posted by ブクログ 2021年05月23日

笑う消費者、泣く企業。

■再読の背景
最近読んだ「武器としての資本論」にあったイノベーションに対する考察が興味深かったで、あらためて本書を読み返した。資本論には"笑う消費者"の考察はないものの、イノベーションに成功しても労働者(ひいては生産者)がなぜ幸せになれないのか、報われな...続きを読むいのかという視点があり、本書と共通している点が興味深い。
相対的な生産手段の獲得(絶対的な手段=労働力の増加ではない、すなわちイノベーションによる高機能化、コストダウン)は消耗戦である…と。

■概要/感想
では結論、イノベーションへの解は何か?
それは「リ・インベンション〜前衛への挑戦〜」であると筆者は言う。
私の中では「資本主義そのものや、その緩衝地帯であったフォーディズムが終焉を迎える世界で、資本vs労働者の階級闘争にケリをつけ、全ての人が生産者になる世界を実現させる」ことだと解釈する。そのための一つのアプローチとして、本書「リ・インベンション」が有益な示唆に富むことは間違いない。
特にフォーディズムから抜け出せない日系企業、慌てて舵を切りネオリベ化した大企業に対して、経済学の視点でなく、経営学(特に経営戦略)の視点で痛烈なメッセージを与えてくれており、規格大量生産から抜け出す必要に迫られた企業にとっては必読である。

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Posted by ブクログ 2014年01月07日

イノベーションとリインベンションの違いから、リインベンションの実例紹介。そして、リインベンションのやり方。日本企業への提言。

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Posted by ブクログ 2013年07月28日

いくつかの具体的なケースから学べるイノベーションの数々。日本のモノつくりのきっかけのように思います。

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Posted by ブクログ 2013年06月24日

実例豊富で大変わかりやすい。
皆、うすうす感じている企業競争への恐れを、説得力をもって解説、転換を促している。

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Posted by ブクログ 2014年01月04日

今年読んだ本の中でもかなりのヒット!でした(*^-^*)

『リ・インベンション』とは、今ある製品(特に成熟期や衰退期にあるすでに消費者が見慣れた製品)を、最新の技術やニーズの変化に対応して、一からやり直そうとすることです。

その時に大事なことは、
製品のコンセプト「誰に、何を、どのように提供する...続きを読むモノなのか?」を見直してみること。

例えば、iPhoneはイノベーションだったのでしょうか?
斬新な技術を新発明したわけではありません。Appleが掲げた新たな視点のコンセプトから、既存の技術を結集して生まれた製品です。
これは、イノベーションではなく、『リ・インベンション』と言えるのかもしれません。

本書には、非常に魅力的であり、「これこそ現状に不満があって、求めていたモノだ!」という製品が多数紹介されています。

「サイクリング用ヘルメットを見えない化した『ホヴディング』」
「自転車のライトを一から創り直した『レボライツ』」
「キッチン用品を欠点探しから始めて一から創り直す『OXO』」
「扇風機の欠点を解消した『ダイソン』」
「家庭に本格エスプレッソの楽しみを運んでくれた『ネスプレッソ』」

中には存在すら知らなかったこともあり、どの製品もコンセプトも非常に目から鱗でした。
さらに、その製品のストーリーも深く知ることができて、より製品に対する愛情が湧いてきます。

ものづくりに関わる方だけでなく、皆に読んでみてもらいたい一冊です。
普段何気なく使っていた、身の回りの製品を見る目が変わります!

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2023年06月19日

■ひとことで言うと?
リ・インベンションの鍵は「こだわり」「顧客洞察」「少数精鋭チーム」

■キーポイント
- リ・インベンションとは
- 既存製品の再発明
- 暗黙の不合理の解消、新技術による革新的な性能向上
- 既存のコンセプト(評価軸)を疑う
-...続きを読む 誰に(Who)、何を(What)、どうやって(How)届けるか?
- リ・インベンションに必要なこと
- 強いこだわり:「やりたいこと」を中心に据える
- 深い顧客洞察:ユーザーの潜在的な需要を発見・創出する
- 自由な少数精鋭チーム:既存組織のしがらみに囚われずに活動する

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Posted by ブクログ 2014年04月11日

9つの事例をもとに、「あたりまえと思っているものについて、ターゲットや進化の方向を変えて革新を行う」というリ・インベンションを説明。前半は事例の解説、後半はそれら事例を基した経営・組織論。9つの事例以外にも、日本の失敗事例などもあり。

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Posted by ブクログ 2013年09月26日

引き算の美学。
・ラジカセ - 録音機能、スピーカー =ウォークマン
・パソコン - キーボード、マウス、USB =iPAD
・扇風機 - 羽根 =ダイソン・エアマルチプライヤー
大量生産、大量消費を前提とした製造業の時代は終わった。物質的な豊かさから、精神的な豊かさへ。テレビの画面サイズ、画素数、...続きを読む太陽電池の変換効率。車の燃費競争も危ない。数値的なパラメーター、価値観はすぐに模倣され、過当競争になる。
モノが溢れた今、人々が求めるのはより充実した時間の過ごし方とか体験だ。評価軸自体をつくり替える必要がある。質感、操縦感、乗り心地など数値化できない価値は模倣できない。

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Posted by ブクログ 2013年08月28日

戦略論では旬な三品先生の最新本、相変わらず鋭いツッコミです。日本企業はブルーカラーをホワイト化したが、どうじにホワイトカラーをブルー化してしまった、というのは思わず笑ってしまいました。当たらずといえども遠からず。

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Posted by ブクログ 2013年08月13日

戦略不全の論理を読んで以来、その鋭い指摘に共感できるところが多く、気になる存在になった三品先生の最新刊。
さまざまな事例紹介も興味深い。
リ・インベンションではやりたいことを持った個人が先にいて、あとからプロジェクトが立ち上がるのが普通であって、安易な社内公募に走ると、顧客にそっぽを向かれるだけとい...続きを読むう指摘に、思わず苦笑い。事業が厳しくなると、新規事業を検討するワーキンググループが各地で立ち上がるが、一過性で終わることが多く、本当に真剣に考えている人は一体どれだけいるだろうと首を傾げることが多い。
一通り読み終えると、大企業が大企業として生き続けることが厳しいと思わざるを得ない。特に日本の大企業は反面教師になりこそすれ、決して引きずるものではないというのは手厳しい。「訣別」なんて、簡単にできやしないし、それは大学の先生だから言えることであって、現場で働いている人間からすれば、訣別はすなわち自分の今までの生活との訣別にも繋がり、おいそれとは言えない。
そこを一歩踏み出して、新しい価値観で新しいことに取り組むことが必要なのだと、分かってはいるが。。。現場は本当に大変だ。

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Posted by ブクログ 2014年06月30日

P:285 推定文字数:203490(17行×42字×P) 抜き書き:2541字 感想:355字 付箋数:8
(対ページ付箋:2.80%、対文字抜き書き:1.24%、対抜き書き感想:13.97%) 

※付随して読みたい本
どうする? 日本企業(東洋経済新報社) 三品和広 

話題は広くて、少し古い...続きを読む音楽や絵画でのイノベーション的限界により日の目を見なかった作品群の話など、とても惹きつけられて一気に読める。

・織機で布を織るには開口、よこ入れ、打ちの三つの動作が必要。たて糸の偶数群と奇数群を上下に分け(開口)、その間を杼(ヒ)という道具でよこ糸を通す(よこ入れ)。通したよこ糸を筬(オサ)で手前に打ち、たて糸に組み込む。
1733年、イギリスのジョン・ケイによる飛び杼の発明(手前のレバーを片手で引くと杼が飛ぶ)で生産性が格段に向上した。
1950頃からウォータージェットやエアジェットでよこ糸を飛ばす無杼織機が登場。
明治初期までの手動の有杼織機では1分間にせいぜい40回のよこ入れしかできなかったが、現在のジェット織機は1分に1900回よこ入れ可能。一反織るのに16時間かかったものが1分程度しか必要無くなった。単純計算で約1000倍。まさに正真正銘のイノベーションである。
その立役者となったのが日本のメーカー(津田駒)だが…革新織機の効果は5年も持続しません。1980年をピークにグラフは下降を始めます。一時は15%に届こうとしていた営業利益率も、1994年にはマイナスに転じてしまいます。それ以降は現在まで大きく上下動を繰り返すだけです。技術者たちの懸命の努力を、利益は反映していないのです。
>>/> 技術の進歩の凄まじさ。昔は服が税金だったのに。

・私たちはリ・インベンションを「ある製品について、いまとなっては解消できるようになったにもかかわらず放置されている不合理や、かつては合理だったもののなかに新たに芽生えた不合理を解消すべく、当該製品を特徴づけると長らく考えられてきた特性パラメーターを無視して、誰に、何を、どのように提供すべきものなのかにまで立ち返り、評価軸自体を作り替えること」と定義しています。この定義からは、イノベーションとリ・インベンションの違いを次の三点に集約できます。

①狙いの違い。
イノベーションは表面的には高付加価値化を狙いますが、その基準点は競合製品に置かれます。それに対してリ・インベンションは、従来製品では満たされていなかったニーズに応えることに狙いがあります。
②従来のパラメーターに対する態度の違い。
イノベーションは競合製品との差異化を狙うので、従来のパラメーターを肯定的に捉えます。肯定したうえで競わないと、競合製品より優れていることを証明できないためです。それに対してリ・インベンションは、従来のパラメーターを否定します。従来のパラメーターでは捉え切れていない不合理の解消に狙いがあるためです。
③必要とされる力の違い。
イノベーションの成否は技術的なブレークスルーを生み出せるかどうかにかかっています。そこでは組織的な技術力が問われます。一方、リ・インベンションの成否は誰に、何を、どのように提供するものなのかというコンセプトにかかっています。そこでは必ずしも技術力は必要なく、構想力が問われます。
>>/> 存在する商品をこの二つに分けるのは中々難しいけれど、このユーザー志向はいつも頭に有ってよいと思う。

・模倣できないマインドの違いは、消費者には丸見えになります。恐ろしいことに、製品の細部が作り手のマインドを映し出してしまうからです。使い勝手の悪いデザイン、安いと叫ぶパーツ、形ばかりの警告シール、心地悪い操作音、無愛想なエラーメッセージなどは、誰かが妥協をした証です。
>>/> 耳が痛い。。

・アイパッドのソフトウェアキーボードのキーは四角形として画面上に表示されますが、タッチを感知する領域は六角形になっています。これで間隔のズレを許容するわけです。ただし、感知領域を拡大すると、オーバーラップができてしまい、キーの判別に困ってしまいます。この問題を、アイパッドはユーザーが次にタッチするキーを予測して、そのキーの感知領域を瞬時に広げることで解決しています。ユーザーは気持ちよくアイパッドを使いこなしていると感じるはずですが、その裏方でアイパッドは涙ぐましい努力をしてくれているのです。
>>/> 複雑な現実は複雑な方法でしか解決できないけれど、何とかなってしまうのがテクノロジー。

・1979年7月、ソニーはウォークマンを世に問いました。しかし、発売から一ヶ月経った時点での売り上げ実績は、目標に遠く及ばず、わずか3000台にとどまりました。売れるはずがないと悲観論を唱えた人たちは、密かにほくそ笑んだに違いありません。
ここでソニーは学生を集め、ウォークマンを手渡して、自由に使ってもらう活動を繰り返しました。…常識に挑戦するウォークマン(ラジオからお気に入りの曲を録音するエアチェックが大流行していて録音機能を取り去ることは考えられなかった)は、単に知名度を上げるだけでは購買につながりません。使用体験や、使っている人を見る疑似体験が不可欠だったのです。
>>/> ウォークマンの斬新さは今では伝説だけれど、当初はやはり非常識だったのか。その時には体験をショウアップする必要があるんだ!

・トランジスタラジオが価格破壊を免れなかったのに、なぜウォークマンは20年もの長きにわたって市場に君臨することができたのでしょうか。面白いことに、TR-55の追随品は発売翌日に登場しましたが、ウォークマンの追随品が出るには13ヶ月を要しています。
>>/> 誰もやろうとしないし、していないから追随できない。

・フォー・ザ・レスト・オブ・アス、先端から取り残された普通の人たちのために。技術だけではダメなんだ、人文科学と結びつけないと。―スティーブ・ジョブズ
>>/> ギークなテクノロジーおたくだったはずなのに、何故これが大事だと信じられたんだろう。

・テイラーの教えとは、不合理な自己流に走りがちな従業員を、専門化が合理的に作成する作業標準に従わせなさいというものです。科学的経営は、大量生産方式を確立したヘンリー・フォードが大規模自動車工場に適用して大成功を収めたのみならず、太平洋戦争でアメリカに挑んだ日本を完膚無きまで打ちのめす原動力となったことで、誰もが正しいと信じていました。
それなのに、よりによって敗戦国の日本が、彼我の生産力の差を嫌というほど思い知らされたにもかかわらず、戦後は科学的経営の教えに反して全員経営に走ったのです。そして、終戦から30年も経つと、日本はテレビや自動車のモノ造りでアメリカを凌駕し始めました。このように説明を加えると「驚嘆」の意味が伝わるかと思います。
>>/> その組織の傾向は泥臭いイノベーション、技術進歩、ガラパゴスに向いているというわけですね。

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Posted by ブクログ 2014年05月19日

「どうする?日本企業」や、「戦略不全の論理」で有名な三品先生の本であり、ゼミ生の成果発表的な本でもあります。

「リ・インベンション」という概念を用いて、日本企業に成長して欲しいというメッセージが含まれています。

本書で言うイノベーションは技術革新や技術改善として使われており、既存の技術やビジネス...続きを読むの延長線上にあるものを指しています。このイノベーションが救世主の役割を期待された概念であるのですが、機能していませんということなんです。理由として、消費者に受けいられなかったり、利益に結びつかなかったりと。イノベーションが起きても、時代にあわないということで、開発者の努力が水の泡になってしまうケースが多いということが事例からも読み取れます。

そこで、リ・インベンションという新しい概念の登場です。こちらは、コンセプト中心で、過去のパラメータ情報を否定し、新たなニーズを創造するということだそうです。
リ・インベンションの事例として、iPadやウォークマン、ベイブレードなどが紹介されています。

個人的には、リ・インベンションがイノベーションの本来の意味だと思うんだけどなぁ。イノベーションって技術革新と訳されてしまうから、既存のレールから外れないようなものになってしまうんだと思います。

最後にリ・インベンションに築くための組織の作り方について説明されています。ここが重要だと思います。
副次的機能の重要性やインテグリティの話が興味深かったです。

ですが、あまり新鮮味のある話ではなかったです。どこかで聞いたような内容を焼きまわししたような形で、目から鱗というわけではなかったです。

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Posted by ブクログ 2013年05月08日

■リ・インベンション

A.イノベーションが有効ではない理由は、次の通りである。
・イノベーションの背後には汎用部材技術の進歩がある。よって、新製品を生み出しても競合他社が容易に追随できる。
・メーカーは「いいものを作れば売れる」と、技術の向上に励んできた。だが、「いいもの」かどうかは市場によって異...続きを読むなるため、向上した技術が評価されないことがある。
・消費者の製品を評価する目が肥え、単純に性能向上や多機能化を謳っても、容易に飛びついてくれなくなった。

B.従来の製品のコンセプトを見直し、「誰に」「何を」「どのように提供するか」、この3 つのいずれかを大きく変えて、新しい価値基準を打ち立てることを「リ・インベンション」という。日本企業は今後、これに力を入れるのが望ましい。

C.リ・インベンションによって、消費者の共感を呼ぶ、他社の追随を許さない製品をつくることができる。そうした製品を企画するためのポイントは、次の3 つである。
1.標的探索:成熟期か衰退期にある製品で、最新の技術により使い勝手が格段に良くなるものをターゲットにする。
2.創意工夫:標的とする製品を定めたら、従来のコアユーザーではない層に焦点を当て、基本コンセプトを煮詰める。
3.十分条件:製品を梱包するパッケージに至るまで、製品の隅から隅まで理想を貫く。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2013年05月03日

好例として羽根のない扇風機。技術革新が進むなか、消費者の目は肥え、競合企業の追随は容易に。製造業のなかで生き残るには。

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Posted by ブクログ 2013年04月29日

リインベンションとは直訳すると「ゼロから事物を再発名する」。ドラッカーはポスト工業社会のキーワードを知識に求めたけどそれでは安易すぎると著者は指摘。知識は資本と同様に蓄積できるけどもっと希少性が高いのは前衛への挑戦、起業家精神。5
改善、イノベーションは供給過剰でイノベーションしたけど儲からずな状況...続きを読むに。イノベーションのコモディティ化。市場が移ろうとするときは従来市場の枠内でイノベーションを重ねてもまったく報いられない。35
ジャズは怒濤の勢いでイノベーションを起こした。しかしロックの登場で危機に。マイルスのみビッチェズブリューでジャズからリインベンションした音楽で自己革新して生き残ったが多くのジャズミュージシャンは既存のジャズ内のイノベーションにとどまり衰退55
ノートPC、デジカメ、液晶テレビ。これらの世界ではいくらイノベーションしてももうからない。68
イノベーションの背後には汎用部材、生産設備があるので同業他社も簡単胃イノベーションの源泉にアクセスできてしまう。68
リインベンションのためには新しいパラメーター、KPIが必要。従来のパラメータを追加する程度ではだめで捨てて新しいパラメータを打ち立てなければ行けない74
★従来のコンセプトの枠内でのイノベーションとコンセプト自体を改訂し打ち立てるリインベンション。改訂に際しては「誰に」「何を」「どのように」が軸。誰には製品を購入する顧客、何をは顧客に提供する価値、どのようには勝ち提供するための製品および事業設計75
イノベーションとりインベンションの違いは3つ。イノベーションは競合製品に対して勝つが狙い、インベンションは従来製品にはない何かを産み出すこと、二つ目はイノベーションは競合に勝つなので従来のKPIが有効、リインベンションは無効、三店目は必要とされる力の違い。イノベーションは技術、リインベンションはコンセプト、構想力77
日本企業のリインベンションが苦手なのは「障害は会議だらけの全員経営」にある。

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