森恒二のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
日本近海の孤島を舞台に、政府によってこの島に送り込まれた自殺未遂の常習者たちが、命の意味と向き合いながら生きていく物語。作中では、食料を確保するために登場人物たちが狩猟・採集や農耕に取り組む姿が描かれており、『ホーリーランド』と同様、作者自身の経験を踏まえたサバイバルに関する知識が、図解を交えながら紹介されている。
森恒二の作品は、どれも何の取り柄もない主人公が覚醒して活躍するというてんで作風が似ている感は否めない。ただ、個人的には『創世のタイガ』と本作は面白いと思う。
現実世界では何もできず生きる意味を失った人物が、いきなり鹿を狩って大活躍したり、さらに平凡な帽子と呼ばれる人物が異様に手先が器用で、次々と道具を作り出したりと、設定や展開にはかなりツッコミどころも多い。サバイバル描写も、実際にそのまま参考にできるほどリアルというわけではない。
それでも、それぞれが人生に悩み、一度は自殺を試みた人間たちが、島で自給自足を強いられ、さらには外敵である隣の集落の輩から身を守りながら生きていく中で、少しずつ「生きる意味」を見つけていく姿には、素直に心を動かされる。最初は何もできなかった人物たちが、役割を見つけ、他者との関係を築きながら成長していく過程も清々しい。途中では同作者の作品である無法島での生き残りが出てきたりと同じ島であることが伺える。
現実離れした展開も多く、サバイバル漫画としてのリアリティには疑問が残るものの、作者が実際に無人島で生活した経験などをもとにした知識が随所に盛り込まれており、単なるサバイバル漫画ではなく、「人は何のために生きるのか」というテーマを真正面から描いた作品になっている。
全17巻とそれなりの巻数はあるものの、ストーリーのテンポがよく、比較的サクッと読める。細かいところにツッコミを入れながら読むくらいがちょうどよく、エンターテインメントとして楽しみつつ、最後には生きることについて少し考えさせられる作品。