loundrawのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ3人の死にたい高校生が夏にだけ現れる「サマーゴースト」に会いに行き、遺体を探す話。
登場人物の命や恋愛模様、線香花火や夏といったパーツにいたるまで、すべてがどこか儚い美しさを抽出して書かれています。
そうした儚く脆いものが生きていくための「つながり」につながっていくというところがキャラクターのあたたかみにも、作品の土台のようなものにもなっていると感じました。
ラストも見たいところがきちんと見られて、起こり得ない奇跡とあるかもしれない事象のバランスが絶妙で、夏や幽霊といった言葉を本当に大事にして書かれた物語でした。
短い作品であるため生や死について深く掘り下げられてはいませんが、だからこそ思春期などに訪れやすい「自ら望む死」の上澄みのような美しい部分だけが描かれているのだと思います。
著者の他作品には死を扱ったものが多くあるので、深く掘り下げられた著者の死生観の物語を読みたいなら別タイトルの長編小説を読むほうが良いです。 -
Posted by ブクログ
生きる意欲を失った全ての人たちへの応援歌
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以下、ネタバレを含みます。
個人的雑記となります。
時間の許す方のみ、お付き合いください。
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キリスト教と無神論の間に生まれた少年
乙一さんと言えば、おそらくはウルトラマンジードの脚本をされたことで広く知られるようになった方。今回のこの主役の立ち位置は、まさに、円谷さんの原点を見ているかのように思えました。
飛行場跡というのも、飛行士になる夢を諦めた代わりに、特撮の神様になった円谷英二さんの面影を感じます。
光が遮断されているはずの時間停止の中でも、世界が見えている・・・その時点で、私たちが見ている景色は、五感で再現するもの以外の、何か不思議なものに影響されていると思えてきます。実際、私たちも時間停止したら、止まった時間の中で「〜秒」という概念に意味はありませんが、せめて目安は、私たちの呼吸と心臓の鼓動の回数になるでしょうか。それを言い出したら、そもそも止まった時間の中でなぜ動けるのか。心臓は鳴り続けているのか、声を出して音が響くのだろうか・・・不思議なことだらけです。それでも成り立ってしまうのがこの世界観であり、そういう不思議に、実は私たちの実在の世界も関わっているのではないかという、奇妙な高揚感が、物語を楽しませてくれる味わい深さとなっています。
まさに、主人公の少年が愛してやまない美術を、暗闇の中でもはっきりと見つめることが出来るのは、人は、光や美しさを認めるのは、ただの科学的な演算の結果のみではなく、もっと不思議な、魂に似た何かによって影響されているからなのではないかと___幻想的なシーンを交えて、伝えてくれているように思えます。
象形学-フォルモロジー-と心の美しさに見られる相似性も面白かったです。
留まることも向かうことも
魂と心が決めているのなら
見たい景色も愛しい姿も
この魂とこの心が望んでいること
であるならば
夢で聴いた言葉も夢で見た笑顔も
自分が望んだ都合のいい願望であると同時に
本当にそこにあるものだと———
そう思っても、いいのではないだろうかと、そんなことをふと考えました。
年上になってから逢いに来て
時間が止まった美しい女性に恋をした少年は
その迂遠な告白に応えるため
今この瞬間を生きていく
衰え 老いていくことは恥ではない
むしろ
昨日まで出来たことが出来なくなっていくことを
受け入れ それでも生きていく姿は
どうしようもなく格好いいものだから
苦しくて逃げたくなるときでも
自分が心から慕う人が
痛みや悲しみに誠実に向き合う姿を見せてくれるなら
もう少しだけ もう少しだけ と信じて生きていける
それは誰かに隷属することのない
自分自身の魂の自由であると同時に、
人は、他の誰かを愛し、慕い、絆を守り、
育てていこうとする「共同体」の中でこそ、
生きていく勇気を得られる証なのかもしれない
ウルトラマンジードを記した乙一さんが観る死生観とは、まさしく、「ぼくたちみんなでウルトラマンなんだッ!」に込められている気がしました。 -
無料版購入済み
読み始めると一瞬で思春期の空気を思い出せるマンガだった。漫画と原案と映画脚本、3人の名前が載っているけれど、原作は誰ということになるのだろう。気になります。
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購入済み
これぞ三秋縋作品
三秋縋さんが好きで購入しました
メインキャラクターの後ろ向きな生き方とか、不幸な中で見つける幸せとかが好きな人にはぜひおすすめです
はぁ…もっと三秋作品を読みたい…
追記
「#バトル 格闘 アクション」とありますが、そういった作品ではありません
殺人シーンはありますが、グロくなく、そういった場面をメインにしてはいないです -
Posted by ブクログ
『君の膵臓をたべたい』や『君は月夜に光り輝く』などの表紙カバーイラストが代表作の新進気鋭のクリエーター・loundrawの初小説。
丁寧な文体・文章、考え抜かれたストーリー構成、登場する各キャラクターの生き生きとした描写、絶妙に張り巡らされた伏線、文中に挿入されている素敵なイラスト、そして想像の斜め上を行く壮大なラストへの物語の展開。
感動しました。
小説のジャンルとしては、大きく分ければやっぱりラブストーリーになるのかな。
「旅するカメラマン」を自称する謎の美少女・伊藤チナミと主人公・山浦大志の成長物語でもあり、命のはかなさや人間関係を描くヒューマンドラマでもあり、伊藤チナミとは誰なのかという謎を解明するミステリーでもあり、そしてSFでもあり・・・と盛りだくさんです。
それぞれの登場人物をテーマに、時系列を無視したオムニバス方式のストーリーがラストに向かって鮮やかに、そして見事に紡がれ、読者は知らず知らずのうち、著者の描くイラストと同じような、美しく、そして透明感のある独特な世界観に引き込まれていきます。
『伊藤チナミ』の名前の真の意味を知り、この本の題名の意味を理解した時に僕の心に訪れた感動は、言い表しがたいですね。読み終わって、すぐにもう一度最初から読みたくなった本は久しぶりです。
切ないなかにも、何か暖かいものが心に残るこの物語、loundrawのイラストを知らない人でも十分に楽しめる小説です。
P.S.
こういう終わり方なので続編は難しいのかも。でも、個人的にはチナミの「おじさん」を主人公にした本書の前日譚をぜひ読みたいですね。この「おじさん」もチナミに負けず劣らずのドラマチックな人生を歩んできたようですから。