鈴木大拙のレビュー一覧
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読み終えるのに約半年もかかった難儀な本。
読み進めるのに時間が掛かったことが、問題だった訳では無く、
時間を要するほど難解だと分かりながら、
それでも放置できない吸引力をもつ困った本。
今から半世紀も前に、海外向けに英語で「禅」を紹介した著作を、
著者自身の手で翻訳された本だそうで、
そもそもの言葉遣いが現代とは違うことが、遅読の原因の一つだと思う。
それでも内容に沿って複数の項目にまとめられ、
順序立てて案内してくれているから、
ゆっくりでも読み進めれば、なんとか理解できそうなもの。
しかし、ある箇所では何度読み返しても、頭に入らないし、
滞りなく頭に入ったとしても、すぐ昇華して消えてし -
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引用メモ。
自分の主張は、まず日本的霊性のあるものを主体に置いて、その上に仏教を考えたいのである。仏教が外から来て、日本に植え付けられて、何百年も千年以上も経って、日本的風土化して、もはや外国渡来のものでなくなったと言うのではない。初めに日本民族の中に日本的霊性が存在していて、その霊性がたまたま仏教的なものに逢着して、自分のうちから、その本来具有底を顕現したということに考えたいのである。ここに日本的霊性の主体性を認識しておく必要が大いにあると思う。(p.65)
今までの日本的霊性は、伝教大師や弘法大師やそのほかの宗教的天才によりて幾分か動き始めていたことは確かであるが、まだ十分に大地との関 -
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2013.7記。
吉本隆明や梅原猛といった仏教と日本との関係を論じるひとたちがしばしば引用するいわば基本書である「日本的霊性」。いざ手にして見ると、議論は融通無礙(←仏教用語)にあちこち飛びまくるし、内容も「往生がすんで還相があるというのではなくて、往生がすなわち還相で」といった調子でわけが分からないから、適当に割り切って読み飛ばさないと手におえなかった。それでも、難解な仏教の教義がどう日本人の心のありようと関わっているのか、という部分でははっとさせられることが見出される。
平安末期は「末法思想」が広がった、と歴史の授業で習う。著者は、貴族が弱体化し武家が勃興するこの変革期における、「何と -
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先日読んだ『茶の本』に続き、私にとっては難解な本で、単語も調べつつ読んでいきました。
著者が外国人のために、禅が日本文化に与えた影響について書いた書籍を和訳したもの。
読んでも禅について明確に分かった!という気にはなれなくて、
禅と日本文化(美術、武士、剣道、茶道、俳句)とに共通する思想がぼんやりと分かったような。
あまり著者について詳しくないのですが、「集合的無意識」と何度か出てくるところは、ユング心理学の影響を受けているのでしょうか。
説明苦手なので、恒例の一部抜粋。
<印象に残った個所>
・禅は初唐即ち八世紀に中国に発達した仏教の一形態である。
・禅のモットーは「言葉に -
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鈴木大拙は、明治から昭和にかけて日本の禅文化を海外に広くしらしめた仏教学者・文学博士で、著書約100冊のうち23冊を英文で著している。
本書は、1935~36年に英米の大学でなされた講演を骨子として1938年に発行された原書“Zen Buddhism and its Influence on Japanese Culture”をベースにして、1940年に日本語訳されたもので、以来読み継がれている古典である。
本書は当時、従来の著者の作品にも増して、各国の宗教研究家や日本文化に関心を持つ人々から歓迎され、「恐らくこの書は単に日本に関するのみならず、英雄的精神の深奥にひそめる最も深遠なるものに関し -
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[ 内容 ]
禅は日本人の性格と文化にどのような影響をおよぼしているか。
そもそも禅とは何か。
本書は、著者が欧米人のためにおこなった講演をもとにして英文で著わされたものである。
一九四〇年翻訳刊行いらい今日まで、禅そのものへの比類なき入門書として、また日本の伝統文化理解への絶好の案内書として読みつがれている古典的名著。
[ 目次 ]
第1章 禅の予備知識
第2章 禅と美術
第3章 禅と武士
第4章 禅と剣道
第5章 禅と儒教
第6章 禅と茶道
第7章 禅と俳句
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