伊藤祐靖のレビュー一覧
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海上自衛隊の特殊部隊創設者という、極限の現場を知る著者が放つ言葉には、机上の空論を排した圧倒的なリアリティがある。
自衛隊および自衛官の憲法上の位置づけが急がれる。日本以外の国が、軍隊と見なしている組織を軍隊ではないと言い張る理由が分からない。解釈の余地がない組織に規定しなければ、自衛官も国のために生命を差し出す気持ちになれないだろう。
※入隊時全隊員に、「私は、我が国の平和と独立を守る自衛隊の使命を自覚し、日本国憲法及び法令を遵守し、一致団結、厳正な規律を保持し、常に徳操を養い、人格を尊重し、心身を鍛え、知識を養い、政治的活動に関与せず、事に臨んでは危険を顧みず、身をもって責務の完遂に努め、もって国民の負託に応えることを誓います」と宣誓させている。
他罰的で、「公」よりも「私」を上位におく国民は多いが、有事の際、国全体の利益に反する行動に走る危険性がある。日頃から、上意下達がなされる局面があることを理解させておく必要がある。それは単なる服従ではなく、公の秩序を守るために必要な倫理観に基づくものだ。
戦後、「修身」は軍国主義と直結していると見なされ、GHQの指導の下、教科から外されたが、全否定するには余りに多くの大切な価値を含んでいた。
例えば、昨今のひき逃げ事件のニュースなどを聞くと、救急車を呼ばず、立ち去る者が後を絶たない。現場に残り救護義務を果たすことが、人の道であることが分かっていない。成人する前に、親であれ、地域であれ、学校であれ、どこかで教えておかなければならない、日本人が受け継ぐべき根源的な倫理だ。
著者は、海自の特殊部隊創設に携わった後、ミンダナオ島に渡り、各国軍・警察への実践的な戦闘技術や生存術(サバイバル)の指導を行った。その日々の中で出会った海洋民族の弟子であり師匠のラレイン(20代の女性兵士)が発したことばが、心に突き刺さる。
ラレイン:「あなたの国はおかしい」「あなたの国に原爆を2発も落としたやつにしてもらいたいことって一体何なの?」
日本の戦後は、まだ終わっていない。
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ネタバレ海自の特殊部隊である特別警備隊の第3小隊長、藤井3佐は隊長の久遠から「尖閣諸島の魚釣島に上陸した不法潜入者の処理」を命じられた。何者かに日本の国旗を中国国旗にすり替えられたのを海保が発見した為である。
極秘裏に処理せよとの指示に基づき、藤井以下3名の隊員は任務を遂行する。
その後、平壌での軍事パレードが爆破され、クーデターが推測される中、ムスダンリに拉致被害者6名が人間の盾とされ、米軍のピンポイント爆撃の情報がもたらされた。これに対し手代木官房長官の思惑により、葛田総理はこの拉致被害者の救出を決断し、陸自特殊作戦群及び海自特別警備隊を主力とした奪還作戦を立案した。
日本の特殊部隊の高い能力と問題点を示し、平和ボケした政治家による無責任な政治決断、そして各国のウラの思惑が入り乱れる国際情勢を描いた近未来のシナリオである。 -
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まず、狙われないためにどうすればいいか、という部分を詳しく説明してくれているのが素晴らしいと思いました。内容も説得力あり、勉強になります。具体的な護身術も写真入りで解説がありますが、もう少し細かなところが大きく見えるともっとよいと思いました。護身術の考え方+基本的な守り方をいくつか知りたい方にはピッタリだと思います。
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ともかく、おもしろいの一言。一人の武人の一代記として出色だ。軽妙を基調に、ときに重い話を冷静な見方で語ってくれる。多少話をおもろしくするため盛ってある気もするが、そこは著者が天性の語り屋、ストーリーテラーだからなんだろう。おそらく地頭のそうとうによい人であり、要所をつかむのがうまい。
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任務として「死を覚悟する」驚きを隠せないがよく考えると軍人の覚悟として必須
われわれは平和憲法ぼけしてしまっていて、自分の国家を守る意識すら失っている
現世利益の最大化に品性が堕してしまい、国家の勢いを失いつつある
根本の理念の構築が不可欠という指摘はその通り 問題はいかに達成するか
安倍政権の愛国心は頷けるが、利益誘導はあってはいけなかった 利権屋に墜ちる
愛国心は国家を形成する人間社会に不可欠なもの
戦後忌み嫌われているが再構築が必要
そのためには民主主義社会が確立していなければならない 天皇への愛国心から卒業
愛国心があり、国家意志のもと、死をも辞さぬ兵士を必要とするのが国家
公務と軍務の決定的な違い
部下を死地へ送る決断を背負う指揮官の責務は重い
「統御」をもっとシンプルに素直に受け止めるべき⇒「覚悟」だと思う
2-1 特殊部隊創設
海軍と陸軍の違い
(1)意思疎通の手法 通信システム 任務分析(権限委譲)
(2)意思決定のシステム 艦長ただ一人 一人ひとりの自己判断で引き金
特殊部隊は陸軍型 全体情報に関心を持ち、各々が判断して戦闘する
教育 難しいことをいかに簡単に理解させるか
3-1 戦いの本質 実践的であれ
訓練はともすれば形式を重視される 平時の思考
戦時の思考・判断・行動とは距離がある
ex頑張っていることが評価される
4-1 この国のかたち
「群のために自ら犠牲になる覚悟の個体が存在する」
情があっても、その時には対応できる
⇒この国にそれだけの価値があって欲しい
自分の命を捧げるに値する、崇高な理想を目指す国家であって欲しい -
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能登半島沖不審船事案をきっかけに創設された特警隊。その創設者の一人による、普通に生きている私たちにとってはあまりにも壮絶な問いかけ。
冒頭が、不審船を追跡するみょうこうの場面から始まって、最初からクライマックス状態。読み物として非常に面白い。著者のお父さんの話とか、ミンダナオ島で出会った弟子の話なんかはフィクション入りまくってる気はするが、いちから特殊部隊作っちゃう人のことだから、本当のところはわからないね。
憲法がどうとか、思想的な話も若干無いではないが、この本の本質は、自分が理想とする生き方をどんな代償を払っても貫きたいか、という、右とか左とかとは無関係の、人間の生き方についての問いかけである。
自分自身、公共心が高い人種とは思わないが、それでも多くの人が小さく憧れのように持っている「人の役に立ちたい」という気持ちを、偽善と貶す訳でもなく、偉いと褒めるわけでもなく、そういうものだと肯定してくれる本にあまり出会ったことがなかったので、とても新鮮だったし、この部分はすっと心に入ってきた。 -
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陸自「特殊作戦群」初代群長の荒谷卓氏と、海自「特別警備隊」元先任小隊長の伊藤祐靖氏の対談集。
死と隣り合わせの現場を経験した2人が語る、特殊部隊創設の想い、特殊部隊の部隊員の特性、特殊部隊と通常の部隊の違い、入隊・退官経緯、死生観、国家観、憲法等貴重な体験や思想に触れることができる。
国を想い、特殊部隊を創設し、時に死も身近に感じながら生きてきたからこその言葉が語られている。
印象に残った箇所としては以下。
①日本の戦略的思考の欠如
「日本では、現状の政策、現状のトレンド以外の国際環境を真剣に検討するという戦略的作業をほとんどやっていない」(荒谷氏)
『「日米安保、日米関係の堅持深化」「グローバル化の中でどうやって生き残るか」という大前提でしか政策を決められない』(荒谷氏)
②国をつないでいくこと
「国が継続していくなかで、欠かせないのが「物語」です。どの国にも勝った歴史と負けた歴史があり、それを残った者たちに語り継いでいきます。」(荒谷氏)
いずれも生死をかけて国を守り受け継いでいくことを真剣に考えたからこそ出てくる言葉だと感じた。