あらすじ
もっとも死ぬ確率が高い特殊部隊の創設者が語る究極の組織論。
新安保法制が施行され、「自衛隊員の戦死」が現実味をおびてきた。しかし、今の日本という国家に「死ね」と命じる資格はあるのだろうか。国のために死ねる人間を作るにはどうしたらいいのか――。
【著者プロフィール】
1964年生まれ。日本体育大学から海上自衛隊へ。防衛大学校指導教官、「たちかぜ」砲術長を経て、イージス艦「みょうこう」航海長に。在任中の1999年、能登半島沖で不審船と遭遇。この事件を契機に創設された海上自衛隊内初の特殊部隊「特別警備隊」に配属され、現場突入部隊の初代指揮者として足かけ8年間在籍。42歳で退官し、ミンダナオ島に拠点を移し、日本を含む各国の警察、軍隊を指導。現在は日本の警備会社のアドバイザーを務めるかたわら、私塾を開いて、みずからの知識、技術、経験を後進へ伝えている。
【おもな目次】
第一章 海上警備行動発令
北朝鮮戦闘員の目/初めての海上警備行動/警告射撃開始 など
第二章 特殊部隊創設
特別警備隊準備室/レンジャー訓練の実態/自衛隊は弱いのか など
第三章 戦いの本質
拉致被害者を奪還できるか/相手に勝つということ/平時と非常時/常識を捨てられない問題 など
第四章 この国のかたち
あなたの国は、おかしい/トロい奴は餌/危うい行動美学 など
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
レビュー評価高い書籍。
自衛隊特殊部隊創設時の隊長で、世界で様々なバトルサバイバル術を身に着けていく。
普通の人が知らない世界、筆者の個性が色濃い本。
Posted by ブクログ
日本で実務の現場を生きてこられた方の本。
拉致されている日本人が運ばれているかもしれない北朝鮮工作船との遭遇。
フィリピンミンダナオ島の女性兵士との話。
伊藤さんのお父様、お祖母様のお話。
太平洋沿岸数カ国の海軍の合同演習での、黒人とネイティブアメリカンとのお話。
有名なアメリカ銃器メーカーの社長とのお話。
韓国とラオスでの日本人のお話。
等々
色々と感じさせられて、考えさせられる内容の本でした。
私は日本のために少しでも優れた兵士になっていこうと思いました。
Posted by ブクログ
任務として「死を覚悟する」驚きを隠せないがよく考えると軍人の覚悟として必須
われわれは平和憲法ぼけしてしまっていて、自分の国家を守る意識すら失っている
現世利益の最大化に品性が堕してしまい、国家の勢いを失いつつある
根本の理念の構築が不可欠という指摘はその通り 問題はいかに達成するか
安倍政権の愛国心は頷けるが、利益誘導はあってはいけなかった 利権屋に墜ちる
愛国心は国家を形成する人間社会に不可欠なもの
戦後忌み嫌われているが再構築が必要
そのためには民主主義社会が確立していなければならない 天皇への愛国心から卒業
愛国心があり、国家意志のもと、死をも辞さぬ兵士を必要とするのが国家
公務と軍務の決定的な違い
部下を死地へ送る決断を背負う指揮官の責務は重い
「統御」をもっとシンプルに素直に受け止めるべき⇒「覚悟」だと思う
2-1 特殊部隊創設
海軍と陸軍の違い
(1)意思疎通の手法 通信システム 任務分析(権限委譲)
(2)意思決定のシステム 艦長ただ一人 一人ひとりの自己判断で引き金
特殊部隊は陸軍型 全体情報に関心を持ち、各々が判断して戦闘する
教育 難しいことをいかに簡単に理解させるか
3-1 戦いの本質 実践的であれ
訓練はともすれば形式を重視される 平時の思考
戦時の思考・判断・行動とは距離がある
ex頑張っていることが評価される
4-1 この国のかたち
「群のために自ら犠牲になる覚悟の個体が存在する」
情があっても、その時には対応できる
⇒この国にそれだけの価値があって欲しい
自分の命を捧げるに値する、崇高な理想を目指す国家であって欲しい
Posted by ブクログ
組織を守るのは本能。そういう本能を持った人がいる。
天皇はエンペラーではなく、部族長だった。
日本民族は変わったのか?変わったのだとしたら、それはなぜ?どのように?
といった筆者の心情が書いてある。
エピソードが全部ぶっ飛んでいて全然共感できる内容ではないが、すごい人もいるもんだと思って読んだ。
国家というものがもつ最後の手段としての暴力を、その最前線で犠牲になる人がどう見ているのか、というのの一端が垣間見れた。
Posted by ブクログ
元自衛官の自伝。
体育教師予定から自衛隊幹部になり、特殊部隊創設に関わった後、退役しフィリピンへ。
かなり熱い方なのだろうと思われます。
本番を想定した訓練の難しさを感じました。
Posted by ブクログ
すごくおもしろかった。読んでて夢中になりました。
伊藤さんの思想にはとても共感するけれど、「右でもなければ、左でもない」と帯にもあるように、その思想や信条を読む人に押し付けていないのがいい。
多くの人に読んでほしいですね。
Posted by ブクログ
能登半島沖不審船事案をきっかけに創設された特警隊。その創設者の一人による、普通に生きている私たちにとってはあまりにも壮絶な問いかけ。
冒頭が、不審船を追跡するみょうこうの場面から始まって、最初からクライマックス状態。読み物として非常に面白い。著者のお父さんの話とか、ミンダナオ島で出会った弟子の話なんかはフィクション入りまくってる気はするが、いちから特殊部隊作っちゃう人のことだから、本当のところはわからないね。
憲法がどうとか、思想的な話も若干無いではないが、この本の本質は、自分が理想とする生き方をどんな代償を払っても貫きたいか、という、右とか左とかとは無関係の、人間の生き方についての問いかけである。
自分自身、公共心が高い人種とは思わないが、それでも多くの人が小さく憧れのように持っている「人の役に立ちたい」という気持ちを、偽善と貶す訳でもなく、偉いと褒めるわけでもなく、そういうものだと肯定してくれる本にあまり出会ったことがなかったので、とても新鮮だったし、この部分はすっと心に入ってきた。
Posted by ブクログ
命を賭してでも、やり抜かなければならないことがある。守り抜かなければならないことがある。確かにあるはずだと思う。そのためには高尚な理念が必要だ。全くその通りだと思った。でも何を守るのだ?
私はただの技術者だが、絶対に譲れないことはなんだ?そのために命を賭して立ち向かっているのか?そう問われている気がした。
今の日本は守り抜かなければならないものなのか?確かに日本は守っていく必要があると思うが、もっと広い視点で守っていくべきものがあるような気がした。
Posted by ブクログ
共感する箇所もあれば、しない箇所もあります。
でも、問われているテーマそのものは、今の日本で生きている国民全員が、それぞれの立場で考えなければならないテーマだと思います。
Posted by ブクログ
ラジオ出演した方の著作を読むということが多いが、本書もその一つ。著者は60年代生まれの同世代だが、陸軍中野学校出身の父に育てられた稀有な経歴を持つ。本書を読み進める中、『兵士に聞け』を読み始めたが、自衛隊、自衛官を見る目線はやはり違った。海自特殊部隊創設に携わったが、その完成を見る前に艦船勤務に戻され、退官を決意。「平時と非常時」に対する見解は同感だ。しかし、常に非常時で生きるミンダナオ島での弟子である女性の話は、殺すか殺されるかという極限では野生の本能剥き出しでなければ生きられない悲しさを感じた。
Posted by ブクログ
元々軍隊ものが好きだったが、組織を作った人の作品を読んだのは初めて。
書名がとてもインパクトがあるため、なかなか手に取りづらいかとは思うが、現代日本に生きる概ね高校生くらいからであれば読んでおいて一つの価値判断の基準と出来るのかと思う。
太平洋戦争と言うとよく知りもしないで拒否反応を示す人が多いかとは思うし、自分もまだまだ勉強不足ではあるけれども何故当時の人達があそこまで滅私奉公をし、国に殉ずる事が出来たのか、そして現代の私たちが何故国と言うものに対していまいち「愛国心」を持てていないのかなどが理解できた。
使命感とは何か、について考える一助にもなるだろう。
Posted by ブクログ
これはすごいな。
タイトルがあんまり良くないんだけど。
戦うこととはどういうことか。
生きることとはどういうことか。
軍人はなぜ戦うのか。
国とは何か。
色んなことに著者自身も迷いながら、多分完全な答えはないが、一つ一つの少なくともその場での納得を見せている。
軍が必要悪というなら少なくとも、悪だという自覚を持てと言った、大学時代の後輩がいる。
そんな奴には生涯何に守られているか理解できないだろう。
つか、立憲民主党、これ読め。
Posted by ブクログ
先日読んだ著者の小説『邦人奪還』がリアル過ぎてある種衝撃を受けたため、本書を手にした次第。
海上自衛隊に特殊部隊を創設した張本人の体験談、自衛隊退職した後のお話、何れも凄すぎるエピソード。センセーショナルなタイトルだけど、帯にあるように右でもなければ左でもない、危険な政治思想とも関係ない。
著者のストイックな思想とそれを実現した生き方が抑えられた文体で語られる。
だからなのか心の奥深くを抉られるような衝撃を今回も受けてしまった。
Posted by ブクログ
実は今年の1冊目に読んだのが、この本だった。
めちゃくちゃ過激なタイトルなんだけど、自衛隊の「特殊部隊」創設のことが知りたくて。
帯に「右でも左でもない」ってあるんだけど、私もそうです。と最初に言っておきますw
最近では映画でもドラマでも、警察や自衛隊の「特殊部隊」が普通に登場してくるけど、どんな理由でできたのか、そもそもいつからあったの?って思ってた。
能登半島沖不審船事件をきっかけに、海上自衛隊に設立された「特別警備隊」。
冒頭は不審船事件の模様が、その現場にいた筆者の目線で描かれていて、その臨場感たるやいきなりクライマックスのよう。
手に汗握り心震わせながらページをめくった。
その時その場所にその人がいてくれてよかった。
その後、「特殊部隊」創設にあたっては、いろいろなしがらみもあり、紆余曲折がある。どこにでもそれはあるのだが、レベルがちがうんだろうなと思う。
後半は著者の自衛隊を退役してからのお話。
この方は本当にストイックだし、信念をもって生きているのだなって思う。
~作品紹介・あらすじ~
これは愛国心か、それとも危険思想か――。 自衛隊初の特殊部隊、海上自衛隊「特別警備隊」の創設者が語る「国のために死ぬ」ことの意味。 新安保法制が施行され、自衛官の「戦死」が現実味を帯びてきた。とくに特殊部隊員は明日にでも国のために死ななくてはならない。 だから、「他国とのお付き合い」で戦争するなんてまっぴら御免。 この国には命を捧げる価値があってほしい。 死と背中合わせで生きてきた男の誓いと祈りがここにある。
彼らは命令があれば命をもかける。
命令をするのは国である。
国とは、私たち国民ひとりひとりのはずなのだ。
「なぜ先祖が子孫のために残した掟を捨てて、他人が作った掟を大切にしているの?」
日本人ではない弟子の言葉が響いた。
Posted by ブクログ
平和な国に暮らす一般市民が持ち合わせないような経験や感覚が語られており、一読に値すると思う
日本という国家そのものの意志や方向性はどうなっているのか、国民の意識にも一石を投じる主張であるが、これはプーチン大統領をはじめ、国内外の各方面から指摘されている内容だと感じた。
あらゆる暴力が否定され、電子化された情報で瞬く間に拡散・共有される今の時代には、ミンダナオの戦士は古典的な騎士道に近いものを感じたが、世の中で一国だけが平和憲法をうたったところで世界平和が訪れるわけでないのは人類の低俗性を象徴しているかもしれない
ただ筆者のような人物がいなければ国も民族も消え去ってしまうこともあるだろうし、尊敬されるべきだと思う
Posted by ブクログ
前半は自衛隊の組織の話で、そういうのに興味のない私は少々退屈だったけど、後半はおもしろかった!
自分やその仲間たちを守るために戦うということがどういうことなのか、本気で考えてきた人だから非常に説得力がる。
日本がいかに自立していないかがよくわかった。
改憲を望む立場の人たちの気持ちもわかった。
Posted by ブクログ
元海上自衛隊の自衛官で、特殊部隊の創設チームだった、伊藤氏による硬派な本。著者は、目の前で北朝鮮の不審船に何もできなかった後悔から、また心の準備ができていない自衛隊員に命の危険を冒させることへの疑問から、非常時の戦闘を目的とした特殊部隊を海上自衛隊の中に作ろうとした。
理路整然と書いてあるので、一般人にもわかりやすい。自衛隊という特殊な組織の強みや弱みも見つめている。
自分の命と引き換えにしても守りたいものがある。それが日本という国である人が特殊部隊の隊員である。死にたいわけではない。著者は、日本という国が、命を懸けて守に値する国であってほしいと願っている。「国のために死ねるか」というタイトルは彼が答えを追い求める、人生をかけた問いである。
自衛隊に入る人は正義感が強いだけでなく、純粋で、筋を通すことを好む人たちだと思った。著者は、特殊部隊員はたまたまそういう資質を持って生まれただけなので感謝する必要はないというが、一般の日本人は、こういう人たちに日々の安全を守られているのだと感じた。
Posted by ブクログ
日本初の自衛隊特殊部隊の創立メンバーである伊藤祐靖氏の著書。
特殊部隊創立のきっかけとなったのは、1999年に起きた北朝鮮による能登半島沖不審船事件なのである。なんとなく大昔から自衛隊には特殊部隊があるものだと、勝手に勘違いしていた自分には少し意外だった。作品の中では、伊藤氏が創立メンバーとして経験した厳しい訓練の様子や、退官後に渡航したミンダナオ島でのエピソードなどが紹介されている。
伊藤氏によると特殊部隊の隊員になるためには、生まれ持った資質のようなものが必要なのだそうだ。体が丈夫なのはもちろんだが、その資質とは相手の心情を察する能力であり、いざという時には自分が犠牲になるという、伊藤氏の言葉を借りれば「特異な本能」なのである。
自分には特異な本能もなく全く別世界のお話しなのだが、せめて特殊部隊の隊員が命を賭して助けるにふさわしい人間でありたいなと思った。
Posted by ブクログ
不審船追跡をきっかけに自衛隊の特殊部隊創設に関わった人の本。
練習のための練習ではダメで、本番を想定したトレーニングをしなさい、というのは一般的な事柄にも通用する。
とは言え、明らかに支持にはないような指導を防大生にするのは、気持ちわかるが、ちょっとやり過ぎかなぁと思った。
個人でできることはいっぱいいっぱいには取り組まれた人だと思う。それ以上やるには、組織の上から動かすような政治力いるんだろうなぁ。
Posted by ブクログ
内容(「BOOK」データベースより)
新安保法制が施行され、「自衛隊員の戦死」が現実味を帯びてきた。しかし、今の日本という国家に、「死ね」と命じる資格はあるのだろうか。自衛隊でも、もっとも死ぬ確率が高い特殊部隊の創設者が、自分の経験をもとに「国のために死ぬ」ことを、とことん突き詰めて考えた衝撃の手記!
Posted by ブクログ
自衛隊を辞めてからの訓練が激しすぎて、別の世界の出来事としか思えない。
そこでのトレーニングパートナーから発せられた我が国を守ること、国民のあり方についての根本的な疑問に、著者は答えられるのか。
我々も国としての答えを持てるのか。
Posted by ブクログ
著者は元自衛官で民間の軍事関連アドバイザー 多少バイアス(盛っている?)はあるものの、自衛隊の状況や、世界の中でみた軍事面での日本の状況が伺えて興味深い
Posted by ブクログ
新書っぽくない内容。この人の考えに共感できる部分は少ないが、一人の男の生き様を書いた本としては興味深く読んだ。自衛隊に対する考え方もすこし改めなければならないだろう。
Posted by ブクログ
自衛隊特殊部隊を創設し、海外での実践もあるとのことで、気構えや考え方などなるほどと思うところが多々ありいの、でも文書は変な誇張や脚色がなく、タイトな感じで読みやすい。平成の葉隠とレビューしてる人がいたが言い得て妙です。
Posted by ブクログ
●→本文引用
●普通の人生観を持つ者でも突入だけならできるが、特別な人生観の持ち主でなければ、その任務を完遂することはできない。特殊部隊員に必要なのは、覚悟でも犠牲的精神でもない。任務完遂に己の命より大切なものを感じ、そこに喜びを見いだせる人生観だ。
●私に欠落していたのは、リアリズムの追及であった。(略)いつの間にか、実際に遭遇する環境よりも、訓練しやすい環境を優先していた。無意識のうちにである。(略)実戦経験の有無によるものではないかと言う人もいるがあまり関係ないと思う。(略)経験があるというだけで自然にリアリズムを追求できるわけではないし、経験がなくても、周到な準備をすればできないことではない。(略)要は訓練への向き合い方の問題なのである。
●戦いとは、戦闘能力の競技会ではない。(略)自分が能力を発揮できる環境ではなく、自分も発揮しにくいが、相手がさらに発揮しにくい環境を創出すべきなのである。なぜなら、相手の方が戦闘能力が高くとも、それを発揮しづらい状況に引きずり込んでしまえば勝てるからだ。
Posted by ブクログ
能登沖に北朝鮮の不審船が現れ、当時海上自衛官である、後に自衛隊初の特殊部隊を創設する事になった方の著書。
読んでいると、この国に対してまた考え直すきっかけになった本であった。
今の日本は命を賭けてでも守るべき国なのか、他国に決められた憲法を未だに守り続けている国。
ぜひ若い世代に読んで欲しい本
Posted by ブクログ
1999年の能登沖不審船事件をきっかけに創設された自衛隊初めての特殊部隊「特別警備隊」の先任小隊長として、足掛け8年にわたって部隊を率い、国防のまさに最前線にいた筆者が、「国のために死ぬこと」の意味をとことん突きつめた一冊。
なかなかに衝撃的かつ大胆な本です。日本の防衛最前線にいた筆者の迷いや信念が伝わってきて、生半可な気持ちで見て見ぬふりをする自分を含めた日本人って情けないなと思う。第9条云々が話題となっている近年ですが、現実を目の前にしてどれだけ本気で国を愛している国民がいるのだろう、と考えさせられる。ラレインという女性の話、生き方は自分が生涯出会うことのないものでひたすらすごいなとしか言えない。どれだけのんきに自分が生きているか、そしてそれは誰かの覚悟や思いで成り立つ平和であることを心に刻む。