結月さくらのレビュー一覧
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購入済み
あの娘が笑ってくれるのは
トアちゃんへの愛おしさが増す一話。
再登場写真屋のジェンさんにより、トアちゃんのこころの柔らかいところが、ウィンドチャイムのようにゆるやかな風で音を立てるさまが、見ていてドキリとする悲哀と愛おしさ。
だからこそ音の余韻が美しくて、そのかんばせにグッと込み上げるものがあります。
舌の上に残る甘さ。
さっと溶けるけど、その余韻に温かい心地になる。
手のひらにコロンと転がる愛おしさ。
透明ではないけれど、だからこそ人は引き結んだ口を綻ばせる。
三角コーンに白いメレンゲが詰まった砂糖駄菓子、メレンゲコーンみたいな一話です。 -
匿名
ネタバレ 購入済みトアちゃーん!!!
トアちゃんが賢くて健気で切ない~と思っていたら....!
ジェンさんとても良い人ですね。
終端街の駄菓子、面白そうです。
トウカさんの無自覚なとこ最高です。
思わず「結月先生の作品でこんなキュンとしたことあったかな!?」と思ってしまいました(笑)
最後のナガツキくんとジェンさんの会話に私も交じりたいです。 -
匿名
購入済みトウカさんが優しすぎるのですが!
カタヌマさん鋭い。でもそれについてどうとも思っていないというところも、それで問題ないナギサ君も、「それでいいんかい!」と思いつつ、ものすごく彼ららしくて良きです。 -
ネタバレ 購入済み
優しい神話
この頃からトウカさんは感受性が豊かで繊細で、優しい人だったんですね
スープを食べ損ねた事が未練なのも、一人で食べるのは味気ないと二人分のスープが出て来るのも、一緒に食べようと友人さん(この時点では「男」「渡し守」という扱いかもしれませんが)を誘うのも、今の、トアさんやナガツキさん、終端街の人達と過ごすトウカさんに繋がる優しさを感じて、トウカさんのオリジンに触れるお話を読む度にトウカさんが好きになります
掘り下げれば掘り下げるほど、他人の辛さや寂しさに寄り添うことのできる優しい人で、他人のためにその身を尽くしてしまえる人がトウカさんなのだ、と……
トアさんがトウカさんに案内されたように、トウカさんも友人さん(黒いフードの男)に案内された過去があったのだと知って、そこで大多数の死者と同じように終端街に進んだり、あるいは虚の水路で終わることを選んだりもせず、「あなたの友人になりたい」で虚の水路に残ることを選ぶところが、トウカさんの他人とは一線を画す部分で、だからこそトウカさんはトウカさんなのでしょうね
多くの人とは何処か感性が異なり、大抵の人なら選ばない方法を選んでしまえる……これを「特別」というべきか、「異常」というべきか……表現に悩むところですが、トウカさんがこういう唯一無二の人だから渡し守さんと一緒に居られたんだろうな、と思います
そんなトウカさんと同じくらい、あるいはトウカさんとは別種の優しさを持っているのがこの渡し守の男さんで、終端街が作られるまでどれだけの優しさが注がれたのかと思うと、渡し守さんのことも好きになってしまうのですが……!?
この過去からどうして今の終端街になってしまったのか……!
「終端街に行かないことを選択してもいい」と言っていたのに、今の終端街――虚の水路ではなく昇降機で辿り着く仕様になった終端街――では、昇降機に乗れなければ、執着や後悔に足を止めてしまえば、「人ではなくなる」というシステムになっていて……色々と気になって、1話から読み返しては唸っています。
つい、つらつらと物語のことを書いてしまいましたが、背景の「黒」の静けさや、黒と白だけで描かれる水面の表現が美しくて好きです
精巧な版画を見ているみたいで、一コマ一コマが一枚の絵として完成度が高くてすごいです
紙の単行本で欲しい……!!物理で欲しい……!!という欲が出ます -
ネタバレ 購入済み
トウカは結月先生の描く善性の人間だなあと再認識する一話でした。
善性の人間がすべてを擲って身を投じること、それは自己犠牲ではなくて献身か、はたまた。数百年の月日が突然なかったことになって街に産み落とされた意味とは。
トウカの生前観てきた死の淵に立った人々の怯えや恐れのない世界、終端街。
トウカとは違う視点から世界を覗きこんだふたりが、ニーチェの言う「深淵を覗くとき」にならないことを願ってしまう。
「この世界」が想定する最悪とは何か。
昇降機など、この世界のギミックや仕組みに意思は介在しているのか。
だれのたなごころの上に、彼らは立っているのか。
作品の深度が広がり、奥ゆきが深まるさまは、
ざらりとした舌触りのマッシュポテトの下にハーブやワインで味付けされた挽肉がみっしりとしているシェパーズパイに似ています。
かつかつと硬く香ばしい表面に匙を割り入れるとその層を知り、口に含んだとき層が混ざり合って、丹田に熱が落ちたとき、あなたが知るものは何か。
きっと、「終端街の昇降機守」を改めて読み返したくなるはずです。 -
購入済み
異質な世界へ誘う青い昇降機。
見通せない朧のような世界に、異質な存在へと飛び込んでいくトウカとナガツキ。
一巻から登場していた青年アカツキは何を識っているのか?
ペストマスクの男は一体「何」か?
日常の話が挟まれながらも、トウカとナガツキそれぞれに芽生えた感情、明かされていくトウカの過去。
突如水面に落ちた重い雫。
その色はじわりと広がって密度を増していく。
背筋をなぞるゆるりとした温度。
四角でも丸でもない。
たくさんのトマトも野菜もすりつぶし、混ざり混ざった不透明な世界の先にあるのはなにか。
ガスパチョのような三巻です。 -
購入済み
その感情を教えてくれたのは
トウカがこれまでに出会ったことのないイレギュラーな昇降機たち。
水の蛇、終端街に現れる杭を対処する女性マクラギ、昇降機の先で出逢ったマクラギの描いたスケッチによく似た少女。
激しく動く時の中に挟まれた日常もいとおしい。
描き下ろしの髪を下ろしたナガツキのさまや、各話のあとがきにも注目です。
四角より丸。
輝かしい、淡いこがねいろ。
舌先にぴりりと残るジンジャー。
香辛料と煮詰めたジンジャーの刺激を心地よく喉を通らせる、冷やっこさのある炭酸水。
まるいレモンの薄切り越しの景色。
クラフトレモンのジンジャエールのような、眩暈がしそうなくらい魅惑的な香りの第二巻です。 -
購入済み
あなたは「終端」に何を見るか
死した者が辿り着き生きる街、終端街。
辿り着くために通る道程を案内するのが、街へ行く昇降機からの脅威を斬り伏せるトウカである。
生前の記憶も道程の記憶も終端街には持っていけない。それはトウカのことも。
しかし終端街にも一線を引いているトウカに、新たな出会いが生じる。
トウカの昇降機守とは?
トウカという存在とは。
トウカの後輩を自称するナガツキの思惑とは。
外套を被った男とトウカの関係とは。
単話版にはない、各話のあとがきにも注目です。
手に取ると無機質なようで熱がある。
カリカリに火を通したベーコン。
自然由来の水のあまみ。
新鮮な瑞々しい野菜の歯触り。
丸ではなく四角。
平らに焼き目が付いた真四角のトースト。
新しい出会いの粒マスタード。
ベーコンレタスサンドのような一巻。 -
ネタバレ 購入済み
世界にはまず黒があった。
トウカの語られる過去は、真っ暗な水路の世界。でもその旅路はこれまでの彼を肯定してくれて、これからの彼を肯定しようとする道のりだった。
真っ暗世界でも水の音や船の音、人の声がして、温度がして、恐ろしさはなく、寂しさもなく。そのなかで温かいスープを一緒に飲むことのよろこび。会話を交わすことの楽しさ。トウカがスープを提案してその味を共有した流れは造られた体験だったけれど、渡し守の去り行く者への想いの在り方があったから二人で出来た行為だったんだなと思う。
世界にはまず黒があった。空の色だ。影の色だ。墨の色だ。君の色だ。
古代エジプトでは、黒はナイル川から湧き出る黒土から連想される、豊穣と再生の色だ。
黒と白の世界が温かいことに気付く一話。
はじまりのスープの味以外で例えるなら、グラオン豆(ひよこ豆)を使った小さなタルト、パステイシュ デ グラオン。
熱を通したあまい香り。手のひらに灯る熱のかたち。臓腑に染み入る素朴な味。
思い出を指折り数えたくなる味。 -
匿名
ネタバレ 購入済みこれまた濃い新キャラ登場(笑)
私が思っていた以上に、ナガツキくんにとってトウカさんは大事な人なんだなぁ、と思うと同時に、ナガツキくんは大事な人を失うことをとても恐れているのだとひしひしと感じました。
そしてトウカさん、彼が「何者だったか」の答えがそうきましたか!一体なぜそうなったのか気になります。