結月さくらのレビュー一覧
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匿名
購入済み背景の旨味がすごい
寂しそうに笑うトウカさん、あまりにも顔が良い。こんな男、秒で好きになってしまう。
冷めた表情の皮肉げな死神かと思いきや、優しさとぬくもりを内包した情の深い行き先案内人で、こんな人(※見た目は人だけど実は人じゃないかもしれない…?)に見送ってもらえる世界なら死ぬのも悪くない――と思ってしまうようなお話でした。読後には気持ちが穏やかになります。1話の完成度だけでもすごいのに、このお話、まだ続くんですか? 最高じゃないですか。ありがとうございます。
過去作で「死さえも歪める魔法使いたちの物語」「生きているからこそ苦悩や絶望がある、しかし優しさも共に在る世界の物語」を描いてきた結月さくら先生の新作が「死者たちの世界」と聴いて、わくわくが止まりません。
また、精緻でアナログらしいざらつきを感じる筆遣いが美しいです。
具現化した記憶が降って来るシーンは恐ろしく。
人物の髪はどこまでも繊細で。
(髪が頬や肩にあたってたわんだり、ほつれたり、襟に当たって跳ねたり。髪の動きにフェチを感じます。すごい)
古びた路地裏は、埃や油、錆びの匂い、砂利が足に当たる感触までも想像できそうで、背景美術としても素晴らしいです。
お気に入りポイントは扉絵です。
3人の登場人物が並んでいる→次のページでは誰もいなくなり、赤いランプが煌々と光っている……という、不穏な空気がぞわぞわして好きです。
まだまだ謎が沢山ありそうな終端街、次回も楽しみにしています。 -
購入済み
仄暗いようで暖かな世界
突然の事故で死んだトアは、気付けばエレベーター(昇降機)の中にいた。これは夢かと思うトアだが、そのエレベーターが止まった階で青年トウカに果ての見えない真っ直ぐ伸びた通路へ案内される。トウカはそこを死者の国へ行くための通過地点と話す。
通過地点で直面するのは、自分の中に佇む目を背けてきたものたち。それを乗り越えると、次の世界に行けると言うがーーー。
22-23ページのトアちゃんの歩く速度と同じように心に忍び寄る描写と、24ページでそれが堰を切ったように爆ぜる瞬間が最高に素敵!
トアちゃんの心の柔らかい部分に触れながら、それを昇華させる運びが美しくて……本当に読んでほしい……彼女の願いがそこにあったから…。
暗がりの通過地点のようにほんのり冷たく、口に含むと酸味が爆ぜて、でもどこか懐かしい甘く柔らかな卵の香り。銀色のフォークを差し込んでいただいたそれは生クリームと蜜柑を挟んだシフォンケーキのような、幸せな気持ちになる1話でした。 -
Posted by ブクログ
口の中でほろりと溶け、柔らかい甘さを広げ、それでいて、嫌なくどさを全く残していない、良質のざらめ糖から作る綿飴を連想させる画、物静かで淡々としているけど、決して停滞してはいなくて、人も時間も着実に僅かでも前に進んでいると伝わってくるストーリーが、読み手を自然に作品に引き込む
廃れようとも、決して書き手がいなくならないであろう“手紙”がテーマってのが好いよな、と一巻を読んだ時よりも強く感じた
五番街の存在理由、黒やぎ・黒崎の登場により、白やぎ・白山さんの過去が明らかになり、同時に托の他人も自分も今だに直せないズレが語られたり、と先に述べたように、ほんの少しだが、隠れていた謎も見えだした
ドジ属性があって危なっかしいのは白やぎさんだが、托の場合、危うい。しかも、自分がいつか、崩壊してしまうって事を自覚があるから余計にハラハラするのだ
白やぎさんも、托もいつか、引っ掛かったままの小骨が取れるとイイ
また、そんな托にどうしようもなく惹かれてしまっている音子先ぱいの不器用な恋路の行く末も、この『五番街の白やぎさん』を、私が楽しく読める理由
初めて知る嫉妬、独占衝動、残酷なほどに優しい托を自分がどれだけ好いているか、を自覚した音子先ぱいの心は一先ず、落ち着きを取り戻したようだけど、これから、まだまだ荒らされそうだ
オマケ漫画が、じんわりと読み手を笑わせてくるのも好きだ -
Posted by ブクログ
口に含むと、じんわりと優しく淡く溶けてゆくマシュマロのような、ほのかな温かい余韻のある甘みの強い漫画
主役の洋子さんの、手紙を“食べる”、書き手に悩みがあると“小骨”が引っかかる、手紙の中に“潜れる”って設定が実に斬新で面白く、“幻想的”と“リアリティ”の中間に腰掛けるストーリーに更に引き込まれる
しかし、この『五番街の白やぎさん』を魅力的にしているのは、そんな謎多き女性である洋子さんを、さりげなくフォローする託さんがいてこそ
名コンビである
洋子さんは小骨を除去する事でスッキリできる訳だが、結果的に人助けもしている。しかし、同時に、欠けている部分が多い自分も救っているのではないだろうか?
未来の自分に初心を思い出させるために書く日記や、不特定多数の読み手に自分の主張を叫ぶために書く小説とは違い、一人のためだけに感情や思惑を込めてペンを走らせる手紙の特異性を、存分に表現している
個人的に一推しの話は、5通目『秘密の矛先』
他者の秘密を暴くスキルが異様に高く、なおかつ、情報を巧妙に利用できる魔女めいた浅間音子嬢の初登場も印象に残るも、託さんの洋子さん以上に屈折し、澱が溜まり、修復する術が見いだせず、彼自身を苦しめている『何か』が垣間見える点がイイ。加えて、音子嬢の乙女な一面が見え、託さんに彼女が太い矢印の先を向ける雰囲気もあり、ニマニマできる
一体、彼は何を抱え込み、どんな理由で、洋子さんの傍らにいるんだろう
その謎が明かされていく過程にも期待
今度、手紙を書く時は、洋子さんの喉に小骨が刺さらないように気を付けなきゃ
とりあえず、オマケ漫画の洋子さんの「?」顔は可愛く、カバー裏の洋子さんはセクシーって事だけは忘れずに言っておきたい