黒木亮のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
作品中ではマーシャルズと言われているが、要はムーディーズがどのように業容を拡大していき、その過程でいかに格付が歪み、サブプライムを集めたCDOや更にそれを集めたCDOスクウェアードのような商品にAAAが連発されたか、格付モデルの変更によりいかに日本の格付が歪んだか、が描かれている。
作中では格付は投資家のためにあるべき、という理想論が何度も暗に主張されているものの、発行体から手数料を取るビジネスモデルである限りは発行体にもいい格好をしないといけない格付会社のジレンマが様々な形で描かれ、それに翻弄される正義感溢れる登場人物達の苦悩を通して、歪みが手に取るように分かる。
格付会社の格付やモデルには -
Posted by ブクログ
小説仕立てだけど専門的で、バブル~リーマンショックへの系譜が格付け会社の功罪、日系企業や銀行の放蕩傲慢、その時代を生きる主人公を通じて描かれている。時代をつくるのはその時代を生きる人。誰もが皆主人公である。知らず知らず大なり小なりの影響力を持つ。
リスクを負う投資家を守るべしとは一貫した著者の立場。人材紹介や不動産仲介もモノを持たないビジネス。他人のふんどしで相撲をとるアドバイザリー、コンサルティング。
真摯な姿勢で臨まないと。
やっと読み終わった。不動産屋時代を思い出した。
格付けも性質的には不動産の査定にも似てる。査定価格で売れなきゃ査定が間違ってたことになるし。
ちょうどリーマンショ -
Posted by ブクログ
相変わらず経済小説として完成度が高い。
3つの題材が繋がっている。
まさに今年、日本の液晶が韓国の有機ELに取って代わられたニュース。水素トラックについてもこれからの新しいエネルギーを題材にして市場を操る「詐欺師」。そして地銀の借り手を騙しても金儲けに走る経営者と支店長。
カラ売り屋はこれらの課題を市場より先に情報を掴んでカラ売りし、更にレポートを出して市場を煽る。
いずれもそう簡単には利益を出し切らないが、時間をかけて株を紙屑のように下げて莫大な利益を得る。
合間に美味しいレストランの描写、国技館での相撲力士を眺めたり、朝の山の挫折と成功を織り交ぜて。