せきしろのレビュー一覧
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私自身落とし物や、人の買い物かごの中、服装などからあらゆることを想像してニヤニヤしながら生活をしているのでこの本はとても私に寄り添ってくれた。なんでか分からないけどしんどいこともほどほどに頑張ろうとも思わせてくれてこれから初めての夜勤に行くんだけどなんとか重い腰も上がりそうだ。ありがとうせきしろさん。
私は珍しくチャリ通をしており、職場の皆様方からすげえなあとか、大変だねえと温かいお言葉をいただくのだけどチャリ通はよくはないけどキョロキョロしながらのんびり走れるし、小さなことに気づきやすいので気に入っている。
このチャリ通で出会ったものの私の想像を言葉に残そうと思った。こうやって残すことは誰か -
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迂回したら満月
沢山の自由律俳句の中で一番好きだったこの一句。いつもと違う道に訪れる素敵な出会い。二人が見ている風景、歩んで来た人生の一部分を切り取って、少しだけ見せて貰った様な感覚。コミカルに、でも情緒的に。読んでいる間に流れる時間がとても温かかった。
個人的に綾部さんがNYへ行く決意を、又吉さんに表明するエピソードがとても好きでした。二人の遣り取りが自動的に脳内再生されて、その様子が凄く微笑ましくて。「ええんちゃう」なんとなくなんの関心も無さそうに聞こえるこの一言が、又吉さんのあの声音が乗っかると、それだけで重みが出るような気がした。口数はまるで少ないけど、相方への愛が真っ直ぐに伝わる -
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ブク友の5552のレビューを読んで気になって購入した。
ウィキペディアの文章の中から、偶然57577になっているものを「短歌」とみなしたものを「偶然短歌」と呼んでいる。
凄く面白かった。時として、偶然は必然を越えてくる。少し紹介したい。
“演習は前者にあたり、作文や感想文は後者にあたる”
ちょっと何言ってるかわからない、そんな短歌。
“泣き言や空想ばかり書いているジャーナリストの連中が何”
この偶然短歌は「リシャルト・カプシチンスキ」について書かれた文章から切り取られているが、リシャルト・カプシチンスキって何?
“ギタリスト二人のうちのどちらかがリードギターの役割となる”
意味深い事 -
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せきしろさんと又吉さんの共著。
自由律俳句の合間に2ページの短い随筆が、そしてどこかで見たことありそうな普遍的な写真が挟まる。
随筆は日常にある些細ながらも人生のうち3回くらいしか起こらなそうな出来事を拾い上げているのがとてもいい。
わたしは小さいが「あるな」という事象をきちんと言語化できる人への憧れがある。
せきしろさんの「町の変わったおじさんを認知しているつもりが自分もおじさんから認知されていた」という話、何気ないんだけど何気なく考え方を変えられそうだ…。
第三者視点の観察者だと思ってたのにいきなり一対一の関係に持ち込まれる恥ずかしさ、あるよね。
最後にあとがきの類がないのが良かった -
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ネタバレこんな例えを日常の中でさっと言いたくなる本
お湯が沸く寸前の電気ケトルの中のように
「この犬、他の人に懐くこと滅多にないのよ」と言われた時のように嬉しい
地面を行き交う死ぬ間際の蝉のよう
→動きが予測不能
部活のOBが言う「俺らの頃の練習」と「お前らの練習」くらい違う
転校生の習字セットくらい見たことない
あいつはコンビニのトイレを借りる為にガムを買うような気遣いのできる男だ
おじいちゃんが来ていた紳士用ポロシャツのように灰色の雲
起きてから必死に思い出そうとする夢のように灰色の雲
コンクリート打ちっ放しのデザイナーズマンションのように灰色の雲
プレパラートの上のカバーガラ -
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ネタバレ○○のように、と「たとえ」るだけで、“水で戻した乾燥ワカメのように”文章が拡がります。
例えば
「シャア専用のような赤いもみじ」
「メロスはナマハゲのように激怒した」
…「悪い子はいねがぁ」と入ってくるメロスにおびえて泣き出す邪知暴虐の王
「メロスはこち亀の大原部長のように激怒した」
…ラストのコマで「邪知暴虐の王はどこだ!」と乗り込んでくるメロス
「たとえ」を使えば会話も広がり、互いの感情を共有することも容易になる。
また、「たとえ」を考えることは連想を続けることで時間つぶしにもなるし、想像力の訓練にもなる。
細かい技術論というよりも、エッセイ的にスラスラ読める、楽しい一冊。