せきしろのレビュー一覧

  • 蕎麦湯が来ない
    迂回したら満月

    沢山の自由律俳句の中で一番好きだったこの一句。いつもと違う道に訪れる素敵な出会い。二人が見ている風景、歩んで来た人生の一部分を切り取って、少しだけ見せて貰った様な感覚。コミカルに、でも情緒的に。読んでいる間に流れる時間がとても温かかった。

    個人的に綾部さんがNYへ行く決意を、又吉...続きを読む
  • バスは北を進む
    故郷北海道で過ごした日々をぽつりぽつりと思い出すエッセイ。『去年ルノアールで』と自由律俳句のとぼけたユーモアセンスが好きで、久しぶりに手にとってみた。

    訥々とした語り口にまじる独特なユーモアと妄想過多な感じがやはり面白い。檸檬爆弾のくだりは声を出して笑ってしまった。さんざん盛り上がっておいて『ゴリ...続きを読む
  • たとえる技術
    季節の挨拶なんかも載っている。
    さるかに合戦で飛び出してくる栗のように盛り上がってますかー?
    お湯が沸く寸前の電気ケトルの中のように盛り上がってますかー?
    エアー抽選器の中で回っている三角くじのように盛り上がってますかー?
    大浴場の使用済みタオル入れのように盛り上がってますかー?
    マジシャンに1万円...続きを読む
  • 偶然短歌
    ブク友の5552のレビューを読んで気になって購入した。

    ウィキペディアの文章の中から、偶然57577になっているものを「短歌」とみなしたものを「偶然短歌」と呼んでいる。

    凄く面白かった。時として、偶然は必然を越えてくる。少し紹介したい。

    “演習は前者にあたり、作文や感想文は後者にあたる”
    ちょ...続きを読む
  • 蕎麦湯が来ない
    毎日寝る前にちょっとずつ読んだ、ちょうどよかった
    めっちゃわかるやつも、気にしすぎやろ、って思うのもあって楽しかった
    他のも買お
  • 蕎麦湯が来ない
    せきしろさんと又吉さんの自由律俳句シリーズが好きすぎる。日常に起こり得るシュールないち場面の切り取り方が最高。
  • 蕎麦湯が来ない
    せきしろさんと又吉さんの共著。
    自由律俳句の合間に2ページの短い随筆が、そしてどこかで見たことありそうな普遍的な写真が挟まる。

    随筆は日常にある些細ながらも人生のうち3回くらいしか起こらなそうな出来事を拾い上げているのがとてもいい。
    わたしは小さいが「あるな」という事象をきちんと言語化できる人への...続きを読む
  • 蕎麦湯が来ない
    ダヴィンチか何かの雑誌で紹介されていて買ったエッセイ
    又吉さんとせきしろさんのエッセイ
    面白い文章がいっぱいだった
    「文庫本で席を取られていた」や「ラを唄う人だった」などなど
    時々写真も載っていたけど、どの写真も僕には寂しく怖く感じた。だからあまり見ることができなかった。
  • 蕎麦湯が来ない
    このシリーズはどれも好きです。軽い気持ちでクスクス読んで油断していると、ふとした一句に心の奥を掴まれて奪いとられてしまいます。
  • 蕎麦湯が来ない
    シリーズの中で一番好きかも。
    ちょっとした小石につまずいて、そのことをいつまでも忘れない、かといって恨んだりもしない、ちょうどよい根の持ち方だと思った。
  • 蕎麦湯が来ない
    せきしろさんの「もう一度数を数える」と
    又吉の「「カウンターにしてください」と怒られた」
    が特に好きだった。
    又吉のたまにくる関西弁のツッコミがおもしろい。ツッコミがおもしろい人はボケもおもしろい。

    このシリーズは全て購入してるし、このシリーズのお陰でせきしろさんのことをすごく好きになった。いい出...続きを読む
  • バスは北を進む
    エッセイ集ということになってるけど、僕は小説だと思った。電車で読んでいるとそのまま実家に帰りたくなるのが困る。
  • たとえる技術
    「○○のような~」をどう例えるか?をまとめた、自由俳句のせきしろさんならではの感性が光る1冊。
    いやいやかえってわかりにくいってーと突っ込みたくなるのも多いのだけど(「小さい」をたとえるのに「大きな耳がかわいらしいフェネックギツネのように小さい」とか)、、「図書カードに書かれている卒業生の名前のよう...続きを読む
  • たとえる技術
    こんな例えを日常の中でさっと言いたくなる本

    お湯が沸く寸前の電気ケトルの中のように

    「この犬、他の人に懐くこと滅多にないのよ」と言われた時のように嬉しい

    地面を行き交う死ぬ間際の蝉のよう
    →動きが予測不能

    部活のOBが言う「俺らの頃の練習」と「お前らの練習」くらい違う

    転校生の習字セットく...続きを読む
  • たとえる技術
    ○○のように、と「たとえ」るだけで、“水で戻した乾燥ワカメのように”文章が拡がります。

    例えば
    「シャア専用のような赤いもみじ」
    「メロスはナマハゲのように激怒した」
    …「悪い子はいねがぁ」と入ってくるメロスにおびえて泣き出す邪知暴虐の王
    「メロスはこち亀の大原部長のように激怒した」
    …ラストのコ...続きを読む
  • たとえる技術
    この著者の着眼点は本当に面白いし、観察力がすごい。よくもまあ、こんなに絶妙な例えをできるものだ。同じものを見ていても、世界はこんなにも違うものかと感心してしまう。「新しい単位」を読んだときのような、鮮やかな驚きを与えてくれる本だった。
  • 逡巡
    淡く景色がうつろう郷愁あふれる物語かと思いきや突然予想だにしないオチだったり。世界は自分の意思とは関係なく動いていく。

    妄想道みたいな小説も良かったが、こうしたショートショートの方がいかんなく才能が発揮されている。 素晴らしい。
  • 逡巡
    動物が笑わない、というのはきっと、
    面白い事が無くても、つまらなくないから。だと思う。

    人だけが笑う、と言われているのはきっと、
    面白い事が無ければ、つまらないのだ。
    と、悟ってしまったからだ、と思う。

    何も無いところから
    (面白み)を発見するせきしろさんはすごいっ!

    これも、人...続きを読む
  • 逡巡
    オチが絶妙。
    悲しげなお話やワケアリなお話も入っているけれど、どれも味わい深くて、さらにニヤリ、あるいはププっと笑ってしまうものばかりです。
    2,3ページくらいの短いものが中心なので、電車に乗っていても面白すぎてウッカリ駅を乗り過ごす、という危険の少ない本でもあります♪
  • 逡巡
    鋭い観察眼と、繊細な描写でせっせと組み立てた舞台を、ギャグでひっくり返す台無しの美学。

    短編を束ねる章のタイトルも、「野球チームを作りたいがあと八人足りない」といった、それだけでイメージがふくらみ、文学の威厳がしぼんで行くものになっている。

    ここまで心情や風景の描写が優れていると、もはや、文学と...続きを読む