せきしろのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
せきしろさんと又吉直樹さんの自由律俳句集3作目。
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『カキフライがないなら来なかった』が気に入ったこともあり、続けて読んでみました。
前作よりかなりの歳月が経っているためか、句の趣が少し変わったように思います。そこまで削ぎ落としてしまうのかと感心するほど、句がシンプルになっているような印象を受けました。(個人的には前作の多少ウエットな空気をまとった方が好みなのですが。)
ともあれ今作も楽しめたので、個人的に印象に残った句を書き留めておくことにします。
○せきしろさん
・ わざとだと知っているがもちろん言わない
・ 悪い人ではないと言われている人が来た
・ 絵を描こうと思っているんだとずっと言ってる
・ 誰もいない時計店で動いている針
※「鎌を持ったまま道を教えてくれる」は一茶の「大根引き大根で道を教へけり」のオマージュだろうか。
○又吉さん
・ 赤飯から払った虫が煮物にいる
・ 第一走者の親が謝っている
・ 人がいるコインランドリーを避ける
・ この話し方の店員からは買わない
・ 写真に写らない月を仰ぐ
・ 良い靴がないから家にいる
・ 近所まで蹴り育てた石を諦める
気に入った俳文についても、取り上げた句のみを書き留めておきます。
○せきしろさん
・ ますのすししかない
・ 鮮魚売り場で鋭い目つきをする
○又吉さん
・ そこからだと月は見えない
・ 実家が外ぐらい寒い
今回は、又吉さんのシャイところがわかる句が、自分としては好もしく感じました。 -
Posted by ブクログ
ネタバレあるある! と共感したり笑ったりするだけでなく、なにかひとりじゃないような、あたたかくもないけど寒くも無いような、何かが残る好きなシリーズ。
せきしろさんの句は基本的に自意識が強く、少し冷めていて、なんだか寂しい。物悲しい。観点が絶妙で、共感するのに既視感でうんざりしたりはしないラインをうまくついているし、他の人にありそうで無い行動原理、しかも揺るがないやつを持っているように感じる。
ただ、同じ言い回しが多くて、言葉選びのフィルターをもう1、2枚通して欲しいなという感じはある。文章でも過度な説明や同じ話の繰り返しが多くて、割と飛ばし読みしてしまった。
友人のビデオテープの話、教員の父に大人になってから褒められた話、先生のプライベートを知っている話、変なおじさんの話、後輩の話、これらは味わい深かった。
又吉さんの句は、物悲しくもどこか笑える気配を帯びている。というか、お笑いを愛する人として、物事を笑いに昇華する姿勢が見える。それと基本的にやさしい。
句もいいが、文章のほうが魅力がより発揮されている気がする。時々入るツッコミがとても面白い。事件とは一切関係ないやつがイキり出す妄想の話、「又吉さんの髪型はラーメンみたいだった」の中国ネットニュースの話は声を出して笑った。エッセイ集をもっと出して欲しいな。
又吉さんが綾部さんとコンビを組んでいるのはいつ見ても不思議で面白いが、お互いに無いものを見出し認め合い、深いような浅いような関係で、とても好いなと思っている。「草野球なのにドラフトを真剣に待つような意識は綾部の美点だと思う」という文には特に顕著に表れていた。
〈好きだった句をいくつか選抜〉
せきしろ
- 夏の午前の本屋にいたい
- ベランダから神輿を見下ろす寝起き
- ドッキリでしたと来ない
- 子供が追いかけるから鳩がこっちに来る
- そうだふりかけがある
- 次に泣くのはいつだ
又吉
- この海で自分だけ靴下をはいている
- 美術館を出た後の空が一番青かった
- 親の傘の重たさ
- ゴールした人を旗まで連れていく係
- 携帯に保存した詩だけが光る部屋
- もはや犬ではない -
Posted by ブクログ
いなにわさんの作った、
「普通の文章の中から57577を無作為に切り取って
短歌として抜き出す」
というプログラムを元に、
Wikiを材料に生まれた、
膨大な短歌の中から100首を選りすぐり
せきしろさんのコメントを付けてまとめた本。
視点が面白くて、実際選ばれた短歌も味わいがあって楽しい。
これコメントいるのかなあと。
ツッコミや、そこから妄想を広げる形、
内容と出典のギャップを突くのは面白いと思うけど。
「ときに偶然短歌は○○の事実を教えてくれる」
ってわりと出てくる言葉なんだけど
これ元ネタがWikiだし。
文章が途切れているかたちで切り取られた短歌も
そのまま文章が途切れてると考えて、
前後を気にするコメントが多いのも不思議で。
むしろ倒置法とか体言止め的に完結したものとして
味わう方が面白くないか?と思ったり。
元の文章の一部なのに別物、というのが
このプログラムの、「偶然短歌」の、肝なんじゃないの。
あとがきを読むと、依頼されてのコメントだったようで、
自身でも苦労しているのが分かりました。
読んで面白いと思うかどうかは、
せきしろさんとセンスを共有できるかどうかなんだと思います。
私は、ちょっと合わないようです。
Twitterで「偶然短歌bot」というのがありましたが、
横書き改行なしだと、空気感が出てこないですね。
やはり余白たっぷり、縦書き、(ときに改行)ありのほうが
想像をかきたてられます。