天藤真のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
成城署の真名部警部は近くに住む顔見知りの作家の紹介で脳性マヒの少年、信一を知る。
少年の家を訪ね彼と語り合ううちに少年の知性に驚いた警部は、たまたま抱えている難事件の話をしたところ、少年は車椅子に座ったままで事件の真相を言い当ててしまった。
タイトルに惹かれて手にとった文庫本だったのだが、また新しい名探偵を知ることができた。
安楽椅子探偵なんだな、という認識で読み始めたのだが、完全に自宅の車椅子の上で解決した第一話から始まって、信一少年が少しずつ外の世界に出て行く様がまた考えさせられる。真名部警部が彼の友人となったことにより、少年の世界もまた広がっていくのだ。(2004-04-30)
収録 -
Posted by ブクログ
冒頭の、関係のない4人の転落死、その事件を解決すべく結成される遺族会、そして一癖も二癖もあるいかがわしいそのメンバー、結末直前のどんでん返し、そして4人が同乗して死に至った経緯のコミカルさ、これらを取り出してみると正に天藤ワールドのエッセンスが詰まっているのだが、どこか空虚な感じが残っており、充実感がない。それは主人公令子の行動と共にストーリーが語られることにあると思うのだ。
今回の主人公は決して読者の共感を得る存在ではないだろう。勝ち気で考え方に偏りがあり、しかも厚顔無恥な所もあり、移り気が激しい。この移り気の激しい令子の行動がまた短絡的で探偵ごっこの域を出てないために、徒に時を費やしている